海で語る将来の話
「「ご馳走様でした」」
朝ごはんを食べ終えた私たちは、ちょっと休憩したあと別の場所へ移動することにした。
「フィーロ君次はどこいく?」
「うーん····· とりあえずお腹もいっぱいになったし、軽く海岸線でも散歩してみる?」
「あーいいね、行ってみよ!」
私は腰掛けていた堤防からぴょんっと立ち上がると、フィーロ君の手を取って立ち上がるのを手伝ってあげて、そのまま海岸まで向かった。
◇
砂浜へ到着した私たちは、特に目的もなく2人並んで喋りながら歩き回っていた。
「ねぇフィーロ君、卒業後って確かお父さんのお店で働くつもりなんだっけ?」
「そのつもりだけど、たまには冒険者として活動するつもりだよ、でも冒険者ってやっぱり命の危険もあるから安定した仕事もあった方がいいなって思って·····」
「フィーロ君らしいねぇ·····」
「そういえばソフィちゃんって色々売ってお金稼いでるんだっけ?」
「うんうん、お米、醤油、味噌、魔結晶、魔道具、魔動車·····って感じかな?国と取り引きもしてるから大体数十億くらいは稼いでるよ」
「うわぁ····· もう働かなくてもいいじゃん·····」
「そういうフィーロ君だって、Sランク依頼の報酬で結構稼いでるでしょ?」
「まぁそうだけど·····」
Sランク冒険者の私が受けるSランク依頼は、1度で数千万単位の報酬が出る事がある。
私たちは既に何回かSランク依頼を受けており、1度霊峰の上に住むドラゴンがむっちゃ些細な事で怒って宥める依頼を受けて達成した時は5000万円くらい報酬が出た事があって、報酬を分けても1人700万円は貰えたから、この歳にしてはめちゃくちゃお金持ちなのだ。
そんなこんなで、フィーロ君の貯金は最低でも1000万円以上あるはず。
しかも普通の人から見たらAランク冒険者で高名な魔法学校を卒業した総資産数千万のショタっ子なんて、悪いショタ喰いお姉さんの餌食確定だ。
「そういうソフィちゃんだって沢山お金持ってるし、凄く強いし、新しい技術とか色々見つけてるし、新しい主食になる物も見つけてるし、物凄く質のいい魔結晶を沢山売ってるじゃん·····」
「うんうん、だからよく変態貴族から求婚されたり大変なんだよ?片っ端から断ってるけどさ····· 時々直接やってくるヤツとかいるんだからホント迷惑·····」
「それは僕は無いなぁ·····」
これまでに求婚とかお見合いとかを断ってきた人数は数百を超えてるし、そのうちの何割かは犯罪歴があったから捕まってるのよね·····
主に児童とか誘拐関係で。
ちなみに何回か国王様からも『ウナと結婚しないか?』と冗談·····であって欲しい事を言われた事があったりする。
もちろん丁重に断ってるけどねっ☆
ちなみに同性婚は場合によっては認められているらしく、ウナちゃんとの結婚も可能だそうだ。
それを聞いたガチレズのアルムちゃんは飛び跳ねるくらい歓喜していた。
·····マジで?って思ったけどマジらしい。
「·····なんか話逸れちゃったけどさ、実家のお店で働くんだったら実家暮らしするの?」
「まぁ、そのつもりだけど·····」
「じゃあさ·····」
私と一緒に暮らさない?
って言いかけて、口から出る直前でなんとか止めた。
これを言うのはまだ早い、成り行きで言うような事じゃない。
「どうせならフシ町にも土地を買おっかなって思ってるんだけど、実家暮らしするならフィーロ君の部屋は無くても大丈夫かな?」
「それは欲しいかな、僕の部屋無いし·····」
「えっ無いの!?」
「滅多に帰らないからって、弟の部屋に勝手にされちゃってね····· まぁいいんだけど·····」
「んふふ、じゃあフィーロ君の部屋もちゃんと作るよ」
「ほんと?·····所で他のみんなの分も作るの?」
「作るつもりだけど····· なんで?」
「い、いや、ソフィちゃんと二人暮しだったら、その、ええと·····」
「ひょへ」
「ひょへ?」
「なななななななんでもないっ!!」
そ、それって私と同棲したいって事じゃ·····
い、いやまて私、冷静になれ私。
初デートだからって浮かれてたら絶対ダメな気がするから、とにかく落ち着いて·····
「あっ、いや、その、ソフィちゃんの家なのに僕が住ませて貰うのちょっと申し訳ないなっていうか、ええと····· ふたりで住むのも僕は構わないっていうか、その·····」
「あっ、あぁ····· そういうこと····· まぁ活動拠点はもう1つ欲しかったから作るのは確定だよ、たぶんアルムちゃんも来るから気まずさも無いと思うし·····」
「そっか·····」
「「·····」」
それきり気まずくなって会話が途絶えてしまった。
2人きりでって·····
もしかしてフィーロ君も私の事好き·····いやでもそれは無い無い無い、自惚れんな私っ!
でも2人で一緒の家で·····
もし付き合って結婚して·····
··········
私はついデートを放ったらかしにして、将来の妄想を始めてしまった。
が、途中でそれに気がついて同じようになんか考え事をしてるフィーロ君に話しかけ·····
·····ると同時に、フィーロ君がこっちを見て話しかけてた。
「「あのっ!」」
「「あっ·····」」
見事にシンクロして、私たちはお互いに完璧に同じタイミングで話しかけてしまった。
「さ、先いいよ?」
「いや、ソフィちゃんが先でいいよ」
「ありがと、でさ?そろそろ砂浜歩くのも飽きてきたから別の場所行ってみない?」
「あっ、それ僕も言おうと思ってた····· そういえば今何時だっけ?」
「えっとー·····8時24分だね」
「大体8時半か·····うん、じゃあいこっか」
「うん!」
私はフィーロ君の手を再び握り、彼に導かれる形で次の場所へと向かった。
◇
そして砂浜から上がって、オシャレな白色のサンダルに入った砂を出して·····
出し·····
「無限に出てくるんだけど·····? どうしよ?」
「魔法でやったら?」
「フィーロ君天っ才!!」
私は白色のサンダルに入った砂を地属性魔法で操って外に掃き出した。
「フィーロ君のもやろっか?」
「·····お願い」
ついでにフィーロ君の靴に入った砂も出しておいてあげた。
「これがあるから海って苦手なんだよね·····」
「あっ·····ごめん、海苦手だった·····?」
「いや?海と山どっちが好きかって言われたら山が好きなだけだよ?だから海も好き·····なんだけど、ほんと砂浜歩いてたら砂が入ってくるのが鬱陶しくて·····」
「確かにそれ分かるかも、山歩きでも土とかが入る事あるけどこんなに多くないもんね」
「うんうん、しかも粒が細かくてサラサラしてるから細かい所まで入って出てこないし」
「わかる」
私が趣味で登山や鉱物採取をしに行く時によくフィーロ君が付いてくるから彼も共感できるようだ。
「まぁいいや、そろそろ行こ?」
「だね、じゃあ付いてきてね」
「もっちろん!ちゃんとエスコートしてね?」
靴の中の砂を無事に出せた私たちは、街中へと向かっていった。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:14歳
ひと言コメント
「もし告白が成功したら、2人で住むための家も作らなきゃなぁ····· 2人の愛の巣·····ぐへへ·····うへへ·····」
名前:フィーロ
年齢:15歳
ひと言コメント
「ぼぼぼぼ僕は何を言っちゃったんだ!?確かにソフィちゃんと2人で暮らせたらいいなとか思ってるけど、まだ成功するかわかんないのに····· うぅ·····」
名前:覗き見中のなかよし組
ひと言コメント
アルム
「甘あぁぁぁぁぁあいっ!!やっぱり恋愛って言ったらこんな感じだよね!エビちゃんの突然の告白とかもいいけど、こうやって甘々なデートをやって最後に告白するのもいいけど途中でちょっとボロが出ちゃって気まずくなるのもいいよね!(早口)」
グラちゃん
「アルムが暴走してるわね·····大丈夫かしら?」
ウナちゃん
「エビちゃんが出した砂糖の量が凄いことになってる····· もうマジックバックに入んないよー!!」
エビちゃん
「もう砂糖が尽きたのじゃ····· 魔力も砂糖も枯渇したのじゃが·····」
ミカちゃん
「ばれないよーに····· こっそり·····帰っちゃダメ?」




