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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第3章 TS賢者はアイを知るっ!?
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レクリエーションの時間っ!


 私たちがビショ濡れ水遊びをした午後。



 海水でぺたぺたする全身を海の家のシャワー室でさっぱり洗い流し、新しい服に着替えた私たちを含むB組はとある施設にやって来ていた。



「はい、それでは魚捌き体験教室を始めます、よろしくお願いします」


『『よろしくお願いします!』』



 そう、今日の午後の日程は海の幸を使った料理教室なのだ。



 現に私もショートデニムとTシャツに薄手の白いパーカーを羽織ったラフな格好の上から、いつも料理の時に使っている普通のエプロンを身につけていた。


 ちなみに、同じテーブルにいるミカちゃんを除くなかよし組のメンバーも同じような格好をしている。

 ミカちゃんも来るか誘ったんだけど、面倒臭いって言ってどこかへ眠りに行ってしまった。



「ではみなさんまずはテーブルの上を見てください、まな板、ナイフ、ふきん、そして魚が入った桶があると思います」



 指示通り机の上を見ると、指導員さんの言う通りの道具が並べられていた。



「すいませーん!ナイフって自分のを使ってもいいですか?」


「はい、使い慣れたナイフや道具がある場合は使用しても大丈夫です」


「っし!」



 私はインベントリから使い慣れた暗く濃い紺色をした業物の包丁『星断』シリーズの、何にでも使える万能包丁を取り出した。


 形状でいえば、少し刃渡りが短い牛刀と言った感じで、私が扱うのに丁度いい長さや重さになっている、料理をする時に1番よく使っている包丁だ。



 つづいて『星断』シリーズとよく似た色の不思議な形状の器具を取り出してまな板の上に乗っけた。

 これは鱗かきなのだが、この世界にというか地元には売ってなくて自分で作ったオーダーメイドの鱗かきだ。



「はい、では桶の蓋を開けてみてください」


『『はーい!』』


「じゃあ開けるね!」



 アルムちゃんが机の真ん中にあった桶の蓋を開けると、中には海水とまだ生きて泳いでいるアジが入っていた。


\バシャッ!/


「へぇ·····生きたのを使うんだ」

「うひゃはぁっ!?水飛んできたんだけど!?」

「魚かぁ、生きたままって難しそう·····」

「あぁ美味しそうね·····生姜醤油で食べたいわね」

「わたしはアジフライがいいな!」

「ふむ、つみれ汁も捨て難いのじゃ」



 中を覗き込んだみんなは、もうこのアジ達がご飯にしか見えていないくらいお腹が空いていた。

 そう、午前中に大はしゃぎした私たちは体力を使ってお腹ペコペコなのだ。


 ·····こう言うと驚かれるかもしれないけど、私たちの肉体はちゃんと14歳の体で、あれだけ激しく遊んでいたら流石に体力を使ってお腹も空いてしまうのだ。

 何せ育ち盛りの14歳、食っても食っても腹は減るのだから!!


 まぁ私は割と太りやす·····


「ではこれから魚をまな板の上に移動してシメてから捌いていきます、出来る方が居ましたら班の人に教えてあげてください」


「·····聞いてた?」

「もちのロンよ!」



 私はアジどころか400kg越えのマグロを捌いた事さえあるのだ。

 アジ程度なんて楽々捌けてしまうのだ!


 ·····太りやすい云々は忘れて?



「んじゃ教えるね、まずアジなんだけどしっぽ側に鋭くて堅い鱗のぜいごがあって、下手したら手が切れて怪我するからそこには注意ね」


『『了解っ!』』


 そして私は素早く桶の中にいるアジを拘束して口の中に親指を突っ込んで持ち上げた。


 少し可哀想だけど、こうすることで危険なぜいごと呼ばれる鱗で手を怪我することなく持てるのだ。



「じゃあ皆もやってみて」


「·····という訳なので、捕まえるのが難しいので各テーブルに魚を掴む用の網が置いてあります、それを使って捕獲してまな板の上に乗せてください」


「·····網を使ってね?」



 どうやら私のやり方はおかしかったようだ。



「まぁまずアジをまな板に置いた後を説明するね、魚は空気中だと息がほとんど出来なくて苦しいから、早くシメてあげるのが鉄則ね、やり方はこんな感じ」



 私はピチピチと暴れていたアジをまな板の上に置くと、包丁の刃元をアジの胸びれの付け根あたりから真上に置くと、一気に背骨を断ち切ってトドメを刺してあげる。

 この時の注意点として、胸びれの付け根の後ろ、つまり胴体側寄りで切ると良い。


 そして動かなくなったアジを魔法で生み出した塩水球の中に入れてしっかりと血抜きをした。

 ちなみにこの時真水だと身がふやける事があるので注意だ。


「この時躊躇うと苦しいだけだから、なるべく一撃で骨を断ち切ってあげてね、まぁ大きい魚だと関節を狙わなきゃ切れなかったりするけど、このサイズだったら簡単に切れちゃうから一気にやってね!そしたらここに入れて血抜きする感じね、じゃあやってみて!」


『『はーい!』』


 その後、みんながトングを使ってまな板の上にアジを置いて、私の言った通りにアジをシメていった。


 まぁ、力が弱いウナちゃんとか優しいフィーロ君とかが躊躇ってしまって微妙に一撃ではトドメをさせなかったので、魔法で介錯してあげた。


 うん、死ぬ時の苦しみはよくわかるから、あんまり何度もナイフを刺したりして苦しませるのは嫌なんだよね。

 それは例え相手が知能があまりない魚であってもだ。


「みんなできたみたいだね、実はこういう方法じゃなくても、氷水で一気に体を冷やしてしめる方法とか、魔法で脳を揺らして気絶させる方法もあるんだけど、今回は1番シンプルで『命を頂く』ってのがわかる方法にしてみたよ」


 捌かれる側にとってはたまったもんじゃないけど、美味しく食べるから許してほしい。



「さてと、じゃあ後はこのアジをもう1回まな板の上に戻して、切れ込みから真っ直ぐ下に包丁を下ろして頭と胴体を切断して、内蔵を掻き出してこの上の方にある赤黒い所が無くなるまでカリカリしてあげて」


 私はズドンッと包丁を下ろして、最後でちょっと角度を変えて腹びれの後ろに包丁を入れて胴体と頭を切り離した。

 そうするの頭の方には邪魔な胸びれと腹びれが付いてくるので、胴体側が調理しやすくなるのだ。



「·····で、ここからが問題なんだけど、どの調理方法で食べる?材料は用意するからなんでも出来るよ?ちなみに鑑定したから全部お刺身でも食べれるってわかったよ!」


「ワタシはフライで!」

「僕はお刺身にしよっかなぁ·····」

「私も刺身ね、でもフライも捨てがたいわね·····」

「わたしはフライがいいなぁ」

「ワシは刺身がいいのじゃ」


「よし!じゃあまだ余ってるから2パターンやってくね!ちょいまち!」


 私は余っていたアジをあっという間に頭と体を切り離した状態にしてしまった。


「じゃあまずお刺身から!まずは·····」



 ·····ん?


 あれ?

 調理工程は?


 あっ、QP3分お料理方式なのね。



「まぁ無視してざっくりやるけどね!」




 アジの捌き方だが、お刺身にするなら『3枚おろし』、アジフライにするなら『背開き』という方法を使う。


 まず3枚おろしには何パターンかあって、基本的には1発で片面を切ってしまう『大名おろし』と、骨に身が残りにくいけど手間が増える『本おろし』の2パターンがあって、今回は後者の本おろしでやった。


 背開きはその名の通り背中側から包丁を入れて、腹側に貫通しないように切断して背骨を切除、その後色々やる方法だ。



 ちなみに、両者とも身を切る前にしっかり鱗をとる必要がある。

 そして鱗取りの前に必ずしっぽ側にある硬く危険な鱗『ぜいご』を包丁で切るようにして剥ぎ取る必要があり、この時削れて身が露出してしまうがそれが正常なので心配する必要は無い。


 そしたら刺身にする時の注意点として、開いた身の中心部分に何本か『中骨』と呼ばれる骨が何本か入っているので骨抜きで引っこ抜くか、思い切って切除してしまうパターンがある。

 そして新鮮なアジだと中骨が抜きにくいので切断してしまうのがオススメだけど、気分で今回は引っこ抜いてしまった。


 あと忘れちゃいけないのは『腹骨』を切り取る事で、それと一緒に内蔵と触れていて臭う膜も切除する必要がある。



 これらの注意点をこなしたら、刺身に関してはもうお好みの厚さで切ってしまうだけだ。

 この時に包丁をギコギコとノコギリのように切ると切り口が汚くなってしまうので、なるべく1太刀で切るようにする事が大事だ。



 さてここからが問題で、今ある設備だとアジフライなんて到底作れない。

 だが私のインベントリには常に調味料や調理道具は入れてあるのでなんとでもなる。


 まずは開いたアジに塩コショウで味付けをして、小麦粉、卵、パン粉の順番で衣をつけて、空中に浮かした熱々の油の玉の中に入れてカラッと揚げる。

 この油の玉だが、水魔法で生み出したサラダ油を『熱魔法』という物を魔力で加熱する魔法で温めた物だ。



 ·····詳しい調理方法は料理サイトで見てね!



 という訳で、私は余った3匹のアジをスパッと捌いて骨を除去してミンチにすると、色んな材料と合わせてつみれにして、カツオと昆布の合わせ出汁の中に入れて醤油と塩で味を決めて、ちょっと生姜を加えて香りをプラスした。


 そう、私が作ってたのはアジのつみれ汁だ。


 後はキャベツを千切りにしたり、大根でツマを作ったりして、本格的な『料理』と呼んでも差支えの無い物が完成した。



「完成っ!いっただっきまーす!」


『『いただきまーす!』』


 全班の中でも1番最初に料理や洗い物を終えて、しかも完璧な120点の料理を作り上げた私たちは早速食べる事にした。


 だが、今回作ったのはあくまで『おかず』に適した料理であり、それ単体で食べるとちょっと味気ない物ばかりだ。


 当然そんなことは私が許さない。

 私はインベントリからフワフワのパンとご飯を取り出してみんなに配った。


 美味しく食べるとこの魚たちに誓ったんだから、私は全身全霊で美味しく食べるための工夫をするのだ。



「じゃあ調味料はこれね、好きに使ってもいいよ〜」



 私は早速小皿に醤油を垂らして、そこにすりおろしたワサビと生姜を両方乗っけた。


 やはりアジの刺身といえば生姜だけど、私は刺身といえばワサビ派なので両方用意したのだ。


 そして早速刺身を一切れとると醤油に付けて、生姜を乗っけてパクッと口に入れた。


「ん〜〜〜っ!!!」


 新鮮な身はまだコリコリというような硬い食感だが、アジの香りと旨みが醤油の旨みと塩分によって強化され、欠点であるアジの臭みが生姜の強い香りに押し負けて消えて美味しい風味だけが残った。


 流石は旬の魚、めちゃっくちゃ美味しいっ!!


「はぐはぐはぐっ!!」


 私は思わず白米を口にかき込み、また刺身を一切れとぅて今度はワサビ醤油でパクリと口に入れてご飯をかき込み、またまた生姜醤油でという永遠ループに陥ってしまった。


「·····ぷはぁっ!美味しかったぁ」


 私は山盛りだったはずのご飯をあっという間に平らげてしまった。

 それほどまでにこのアジは美味しかったのだ。


 ぶっちゃけて言うと、微妙な質の鯛なんかより圧倒的にこっちの方が美味しかったかもしれないくらいに。



「·····フライも食べちゃおっと!」



 私はお手本のために作っておいたアジフライも食べてしまう事にした。


 もちろんご飯のリロードはとっくに終わらせてあり、お茶碗にご飯がこんもりと大盛りになっている。



「ソースとマヨとカラシは必須っ!!」



 私は中濃ソースとマヨネーズと練りカラシを皿の縁に出すと、カラシとマヨを混ぜて辛子マヨネーズにして、ソースと辛子マヨに付けて齧り付いた。



 すると『サクッ』とも『ザクッ』とも取れるような子気味良い音が鳴って、その奥にあるフワッフワのアジの身が現れた瞬間、旨みと香りが芳ばしい衣のソースとマヨと一緒になった事で破城槌の如き勢いで鼻腔を経由して私の脳天をぶっ叩いた。


 その衝撃は私の食欲を爆発的に増大させ、無我夢中でご飯をかき込んでしまった。




「·····ぷっはぁ!!美味しかった!!」


「ワタシもソフィちゃんみたいな美味しいの作れた!やった!」

「あぁ、刺身美味しい·····でもこんな大変だったんだなんて知らなかったなぁ、いつも作ってくれてたソフィちゃんに感謝しないと·····」

「やはりアジの刺身は美味しいわねぇ·····ご飯とよく合うわぁ·····」

「サクサクフワフワでおいしい!!」

「はぁぁぁぁあああっ·····つみれ汁が暖かくて体の芯から暖まるのじゃぁ·····」



 こうして、午後のレクリエーションである魚捌き体験教室で私たちはお腹を満たして大満足した。




 ちなみに、指導員の人はこの班だけ異常だけどきにするなと事前に通達されていたので、驚きはしたものの特に進行に影響を出すこと無く無事にレクリエーションを終わらせることが出来た。


 ·····が、アジフライは作れないのかと他の生徒からガチなトーンで詰め寄られた時には流石に困惑したそうだ、何せ元々は『普通の塩焼き』になる予定だったのだから、アジフライを作る材料がなかったのだ。




名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「アニサキスがいるかいないかを鑑定出来るってほんと便利だよねぇ·····」


名前:アルム

ひと言コメント

「自分で捌いて食べるとなんかさらに美味しく感じた!ワタシもお料理頑張らなきゃ!」


名前:フィーロ

ひと言コメント

「もしソフィちゃんが僕のお嫁さんになったら、毎日こんな美味しい料理が·····って今も皆でソフィちゃんの手料理を食べてるんだった、じゃああんま変わんないか」


名前:グラちゃん

ひと言コメント

「クロベの海産物はとても美味しいのよ?でもここの魚もなかなか美味しくて良いわね」


名前:ウナちゃん

ひと言コメント

「おさしみも好きだけど、わたしはアジフライをパンに挟んで、ソースとマヨネーズを掛けて食べるのが好き!」


名前:エビちゃん

ひと言コメント

「このつみれ汁なら1リットルは飲めるのじゃ····· 特に海遊びで体が冷えておったから最高なのじゃ·····」



名前:ミカちゃん

ひと言コメント

「あとで、わたしのぶんも作ってもらった、おいしかった」


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