備えすぎれば憂いあり
【建国1227年7月1日】
今日は夏休み初日、そして修学旅行の出発日は18日となっている。
それまでに私はフィーロ君を惚れさせるために、そしてこの修学旅行を最高の思い出にするために尽力しなければいけないのだ。
とりあえず、服はこの前アルムちゃんにコーディネートして貰ったから特に問題は無い。
私が見ても500点満点をあげたいくらい完璧なオシャレなサマーコーデをアルムちゃんは提案して、そのために必要なアクセサリーなんかも全てアルムちゃんの指導の元で購入したから大丈夫だ。
ちなみに結構な額はしたけど、必要経費だと割り切ったわ。
「あとはキャンピングトラックの中の整理と食料品の確保、あと外でキャンプもできるようにオシャレな喫茶店の外に付いてる屋根みたいなのも展開できるようにしてっと、あとはトランクにテーブルと椅子も入れてキャンプ設備はOK·····あぁキャンプなら焚き火もできるように·····」
服はOKなので、今はキャンピングトラックの魔改造中だ。
前世で高級キャンピングカーを紹介する番組で見た、サンシェードみたいなテントみたいなのが車体から出てきて外でもキャンプが出来るようになるのを見た事があったからその機能を追加した。
ついでにこのトラックは密閉性が高い構造なので水中でも走行できるよう魔導推進器と、オマケで水上走行システムを組み込んでおいた。
そうなったら水の抵抗とかを考えなきゃいけないから、前面はトラックみたいな平らな構造はあんまり良くない。
なので先端は少し尖らせた直線混じりの流線型にして、それに伴って後部の居住区も似たようなデザインにしてしまった。
そしたらちょっと攻撃的なデザインになったので、対魔物用の魔法攻撃砲を一門設置した。
ちなみにこれ、威力を下げた小型マギレールガンなので大抵の魔物なら一撃で吹っ飛ばせるし威力を下げて連射力を上げてるので大群相手でも軽々対処できてしまうはずだ。
その結果·····
「·····あっれ〜?おっかしいな、私いつの間に武装火星探査車みたいな車両作ってたんだ?」
私の前には、なんか武装車両と言われても否定できないようなとんでもない魔動車が鎮座していた。
中身は特に変化は無いが、外は陸海空全てに対応しており魔法の結界によってありとあらゆる攻撃を防ぎ、魔力で再現したレールガンっぽいヤバい大砲を詰んだ武装車両だ。
しかもめちゃんこ速いし、光魔法と風魔法による完全ステルス機能まで搭載してあるという優れ物だ。
なんでこんなになっちゃったかなぁ·····
「まぁ乗れるならいっか!」
私は考えるのをやめた。
◇
「っはぁ!疲れたっ!」
その後、私は3時間掛けて武装キャンピングトラックに寝具や生活必需品や食料品を詰め込んで、ようやく移動用車両が完成した。
移動だけならこんなゴツい車両は要らなかった気がするけど、備えあれば憂いなしって言うから別にいいだろう。
「別にいいんだけど、こんな兵器作って私何と戦う気なんだろうなぁ····· 今の私ならドラゴンくらいなら倒せちゃうし、魔王も私の友達というか義理の姉妹になっちゃったし·····」
この世界はたしかに強力な魔物も驚異的な自然災害も沢山存在する。
命の危険は転生前の世界より遥かに高いだろう。
だけど、私の作る兵器や私自身はその驚異たちよりも遥かに強い。
今の私なら霊峰の上にいる弱いドラゴン程度ならお遊び感覚で倒せてしまうだろう。
この世界で1番強いと言われている魔物はドラゴンだ、ドラゴンは強い個体であればSランク冒険者が2桁単位で集まっても勝てないと言われている。
霊峰の山頂に居る1番強いドラゴンは2桁単位でも負けるような強いドラゴンだが、怠け者であまり他の生物に関わろうとしないため放置されていたりする。
というかたまに人間に化けて街に遊びに来てるって噂まであるくらい酒豪で友好的なドラゴンだ。
·····まぁそのドラゴンが本気出したらミカちゃんくらいしか何とか出来ないし、私でも負けるはずだから強くなって損はない。
「·····となると、次の脅威は私か」
この世界で最も危険視されているドラゴンや魔王よりも強い者が現れたらどうなるか?
全ての脅威が去った後、その脅威を倒した者はどうなってしまうのか?
物語で語られる事はあまり無いが、大抵は2つのパターンに分かれている。
人類の英雄として崇められるか、人類の新たな敵として見なされるかだ。
予想では、この国からは英雄扱いされても他の国の者はよく思わないだろう。
私という存在は、この世界のパワーバランスをぶち壊す程の脅威となり得るのだ。
「·····どっかの人造人間兵器の話みたいだなぁ」
私が前世で好きでよく見てたアニメでは、旧劇場版では全ての敵を倒し終えた主人公が人類の敵と見なされて酷い目にあっていたのをよく覚えてる。
·····まぁ、私は映画版の最終作が公開される前に死んじゃったから結末は知らないけどねっ☆
いつか絶対見に行くわ、異世界から地球まで行って絶対見てやるわ。
オタクの執念ナメんなよ!!
「よく考えたら主人公と同い年なんだよなぁ·····あっ閃いた!!」
どうせ人類の敵にされるなら、その時に反抗の意思さえ示せないくらい強くなってしまえばいい、極限まで備えてしまえばいいのだ。
備えすぎて憂いになってしまえばいいんだ。
「汎用ソフィ型最終兵器 魔改造人間ソフィシュティン、出来ないことは無いな·····」
どうやら私の思考はかなり変な方向に引っ張られてしまってるらしい。
私がパッと閃いたのは、リスポーン時に残した私のサブの体を変身魔法で巨人化、それに魔結晶やら装甲やらなんやらを組み込んで、胸の中央に巨大なコアとなる魔結晶を組み込んで、私が入って魂と魔力と感覚をリンクさせて操作させる方法だ。
ぶっちゃけた話、巨大なロボットを作る計画はあったんだけどコストや動作とか、ありとあらゆる点で問題が頻発したので頓挫していたのだ。
そこで私の体を素体にして半分ロボットみたいな事にしてしまえば良いと思い付いたのだ。
そうとなればやるしかないよね!
という訳で『えらくデッカいソフィちゃん開発計画』、略してE計画が始動した。
◇
ちなみに、この計画は3日で頓挫した。
いや、その日のうちに体のひとつを巨大化して装甲とかを装着して、胸に魔結晶のコアを埋め込んだ事も別に問題は無かった。
問題が発生したのは、このコアに私がエントリーして試運転しようとした時だ。
なんかコアの中に私が取り込まれて出れなくなっちゃって、何とかリスポーンを駆使して脱出はできたんだけどそれ以来怖くて乗れなくなって頓挫しちゃったのだ。
まぁ私は死んでも代わりは居るから、別にサルベージするつもりは無いし、また閉じ込められても大丈夫なんだけど普通に怖いから諦めてしまったのだ。
「·····ん?まって?私、修学旅行の準備してたんだよね?じゃあなんでエ〇ァ作ってるんだ?」
計画が頓挫して冷静になった私は、やっとこさ修学旅行の準備に戻った。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:14歳
ひと言コメント
「E計画は頓挫したが次の計画が進行中だ、私の計画に問題はない、賢者の石覚醒計画は既に始まっている、まずはあの少年だ·····
んへへ、フィーロ君と付き合おう計画は絶対に失敗させないからねっ!」




