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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第二章 TS賢者は魔法学校へ行くっ!
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生命の洗濯


 何とか門限に引っかからずに帰ってこれた私たちは、一旦自分たちの部屋でパジャマなどに着替えたり、各自終わっていない片付けや歯磨きなどを終わらせてから再び私の部屋へ集まる事にした。


 私?


 私はもう荷物の片付けは終わっている。

 何せ、持ってきた荷物はダミーで、本命の荷物は全部『ディメンションルーム』とインベントリに入っているからね!


 そして、荷物整理が終わっているのに集合時間を遅らせたのには理由がある。


「ふふふふふふふふふ·····」


 私は不敵な笑みを浮かべながら、()()()()()をするためディメンションルームへと消えていった。



 真っ白な空間にある、風変わりな建物内に作られた空の池の前に、1人の少女が居た。


 少女は夜空の如き色の奇妙な形の杖を持ち、池に向かって魔法を放とうとしていた。


『火山より湧出する水よ 我が元に集い 渦巻く球となれ!『アクアボール』ッ!!』



 少女は魔法改造で『大きさ』と『水質』を変化させた、妙に白濁して()()()()()()()がするアクアボールを空の池に撃ち込んだ。

 だが、少女の魔法はそれだけでは終わらない。


『水よ長く続く水流となれ『ウォーターフロー』!』


 池に溜まった水が、私の魔力で作られた道の通りに進み、岩の隙間を通って池の畔にある1.5mくらいの岩の塊のテッペンにある窪みから溢れ始め、水が窪みの限界に達すると()()()()()()()()凹みから流れ落ち、再び池に流れていった。


 少女は立て続けに魔法を放つ。


『弱き炎よ 我の声に答え消える事なき球となれ!『恒温ファイアーボール』!』


 ボウボウと可愛く燃え盛る小さい炎の球が生まれ、炎の玉がフラフラと移動すると岩山のテッペンにある水へ落ちてジュボッという音と共に消え·····なかった。


 炎の球は水中でも尽きる事無く、相変わらず弱々しく燃え続けて水を90度まで熱してしまった。

 ちなみに冷水も混ぜるので、浴槽に落ちる頃には温度が丁度よくなる計算だ。


 そして、少女は仕上げの魔法を掛ける。


『貯まりし水よ ()()()()()() 清き水に戻りたまえ『ピュリファイドウォーター』!』


 少女は再び水が湧き出る、火球の入った岩の窪みに特定成分以外を綺麗にする浄水魔法を掛け、恐る恐る貯まった水に手を突っ込み·····


「丁度いい温度っ!我ながら完璧っ!!」


 満足げな顔をして建物の中に消えていった。



「おっといけない、コレを設置し忘れてた」


 建物の中から先程の少女が何かを思い出したのか()()()戻ってきて、池の中央にある窪みの無い大きな岩の下にある穴へ、水色の綺麗な魔結晶を遠隔操作ではめ込んで満足気に帰っていった。


 ちなみにこれ蒸発する水を補う用の魔法を込めた魔結晶ね、一応言っとくけどいざとなったら自爆するとか盗撮用とかそういうモノじゃないからね?




 私はモクモクと湯気をあげる池の前にたっている。


「やっぱり元日本人として、そしてフシ町の町人として!温泉は必要だよねっ!!」


 そう、私が作っていたのは温泉だ。


 いや、建物自体はあったのだが、いつもはフシ町の私の実家にあるお風呂に入っていたから水を張っていなかった。


 なぜ今になってお湯を張ったのかというと、私の今の住処にしているB寮·····


 お風呂が無いのだ。


 それどころか!水道の冷たい水でタオルを濡らして身体を拭かなければいけないなんてっ!


 お湯ならまだギリ許せたが、冷水で身体を拭くなんて絶対に無理だ。

 心臓がキュってなって死んでしまう。


 これは由々しき事態だ。

 そう思った私は、以前に作ったら満足してしまって放置していた温泉を稼働させて、のんびりお風呂に入ろうと考えたのだ。


「そして!どうせなら温泉にしちゃおうっ!って事で、フシ町で1番好きだった温泉と同じ成分にしちゃったわぁ、んふふ·····」


 ついでに、私は熱めが好きなので温度を43度になるよう設定してある。


 ふふふ·····


 いまこの世界に()ートピアが生まれた!



 あっいまの所、温泉みたいにアッツアツの面白ギャグね、笑うところだよ。

 ほら大爆笑、わははははっ!


 ·····何か言ってて虚しくなってきたわ。



 時刻は20時13分、集合予定時間は45分なのでまだ時間に余裕がある。


「·····入っちゃお!」


 めちゃくちゃ良い温泉を見てしまったが故に、人間の3大欲求の1つ『温泉に入りたい欲』がオーバーフローしてしまった。


 私は欲求不満を解決するため、併設された温泉施設をイメージした板張りの優しい木と仄かな温泉の匂いのする更衣室で、おもむろに服を脱ぎ始めた。


「どうせパジャマに着替えるつもりだったし、ちょっと温泉に入ってもいいよね!」


 私は着ていた学生服を次々と脱いで行き、スカートを下ろした辺りで温泉作りで忘れていた工程を終わらせ、シマシマのパンツに変化している『時空を超えた伝説のパンツ』····· 長いから略して『伝説のパンツ』を脱いで全裸になった。


「うーん····· やっぱり全く汚れてないや」


 さすが伝説のパンツ、汚れが一切付いていない。

 ·····汚れるようなヘマはしていないが、常に新品同様の輝きをしているこのパンツは、御神体として崇めたくなってしまう程の便利さだろう。


「んな事はどうでもいいっ!今は温泉に入りたい!」


 私は脱いだ服を魔法でシワが出来ないよう綺麗に畳み、温泉の更衣室によくあるカゴに入れ、タオルを2枚インベントリから出して、温泉へと向かった。



 カコーン

 カポーン


 広い露天風呂に、木製の椅子と桶が床にぶつかるいい音が2回響き渡る。


「まずは身体を洗うのが温泉のマナーだよねっ!」


 私の作った温泉には露天風呂しか無いが、ちゃんと洗い場もあるし、シャワーやシャンプーもある。


 もちろん全部私の魔法を使ってあり、シャワーからはお湯も水も出るし、床は1日に1度は浄化魔法で自動的に洗浄してくれて、なんと『ディメンションルーム』の応用で気温や天候、更には景色まで切り替えられる超贅沢なお風呂だ。


 そして意外だったのが、このシャンプー、元は水魔法の『ウォーターボール』なのだ。

 液体だしもしかすると変換してシャンプーに出来るかも?ってやったら本当に出来てしまったので、物凄く驚いた。


 しかも、使ったら髪がツヤツヤでサラサラになるし香りも良いし、リンスの効果まである超絶良いシャンプーと来たもんだ。


 ちなみに、身体を洗う石鹸も液体タイプだ。

 これも魔法で作った。


 そんな王宮にさえ存在しないようなめちゃくちゃ良いお風呂を、私は独り占め出来るのだ。


「ふぅーははははっ!!·····寒っ、早く身体洗ってお風呂入ろ」


 私は持ってきた2枚のタオルのうち、質が悪くてゴワゴワした方のタオルを手に取り、水を貯めた桶に浸して液体石鹸を付け、ゴシゴシと身体に擦り付ける。


 このタオルが1番よく垢が取れるので、お風呂では必須アイテムだろう。



 そんでもって全身をくまなく洗ったら、次はシャンプーだ。


 こんな良いシャンプーがあるので、私は髪の洗い方にも拘っている。


1.まずは髪をクシを使ってしっかり()かす。

2.髪が梳けたら、何も付けず水で大まかな汚れ等を髪の流れに沿って洗い流す。

3.ここでようやくシャンプーを手に付け、まずは頭皮の汚れを洗うため指の腹でしっかりゴシゴシ洗う、同時に髪もワシャワシャと洗う。

4.シャンプーを1度綺麗に洗い流し、グチャグチャになった髪をもう一度クシを使って整える。

5.シャンプーを追加で手に付け、髪全体に馴染ませるように満遍なく塗ったら、3分間待ってやる!する。


 しばし休憩。

 ちなみに、5は普通はリンスでやるので注意。


6.3分経ったら、シャンプーに魔力を込める。すると含まれた魔素が髪に吸着して、なんか良いらしい。

7.石鹸成分が残らないようしっかりと入念に洗い流し、これでようやく完了だ。


 私の髪は色こそ鈍い銀色····· 銀灰色だけれど髪質はサラサラで絹のよう····· うん、若干癖があって何もしないと跳ねちゃうんだけど、何はともあれ髪質は良いからケアは怠らない。



 そして全て洗い終わった私は、湯気で曇った鏡に水を掛け最終確認をする。


「うわっ!?鏡に絶世の美女がっ!?·····なんか悲しくなってきた」


 鏡に写った私はやっぱり可愛かったが、いざ絶賛の言葉を口から出してみると、なんか悲しくなった。


「·····うん、3割増でお肌も髪もツヤツヤになった気がする!·····おっぱいも3割増にならないかなぁ、十割増でもいいけどねっ!」


 私はまだ6才だ、成長したら巨大なメロンがたわわと実ることが決まっている····· はず。

 だが、今のうちから手を打っておいて損は無い。


 まだ私のお風呂のルーティーンは終わっていない。



「んっ!んはあぁぁぁぁぁぁあああぁぁんっ♡」


 温度高めの濁り温泉に足から入っていき、全身が浸かると思わず声が漏れる。


 あぁ、お風呂は生命の洗濯とはよく言ったものだ。


 流石は温泉地の箱根にある某特務機関で1尉を務めているだけあるなぁ·····


「よし、アレをやりますかっ!」


 私は自分のペタンコな胸を手で包み、温泉の中で優しくマッサージをするように、大きくなーれと念じながらモミモミと揉む。


 うん、我ながらプニプニで最高の手触りだと思う。


 ぐへへ····· そして、この[規制済み]



 るるる〜る〜♪


(※番組を変えてお送りしています、美しいフィヨルドの景色をお楽しみ下さい)




 足りない。


 何かが足りない。

 お風呂は良いが、何か足りない。



「あっ、景色変えてなかった!」


 よく考えたら整備用にディメンションルームの色をデフォルトの真っ白な空間にしたままだった。


 そりゃ真っ白な空間だと、いくら良い露天風呂があっても雰囲気台無しで魅力半減だ。


 だが、そこは私のチカラでなんとでもなる。

 『千里眼』で好きな場所の映像を映してしまえばいいのだ。


 とりあえず場所を決めるため、普通の『千里眼』をゲートから外に出すと·····


「ん?あっ、やべっ」


 私の部屋の外にアルムちゃんとフィーロ君が居る。


 時間を確認すると、現在時刻は20時43分と表示されたので、まだ予定まで2分はあるがお風呂から絶対に出たくない。


 そうだ、どっかの空飛ぶ城の王族の末裔の大佐みたいな事をしてみよっ☆





 あっ、景色は面倒だから私の記憶にある空に浮かぶ城の景色にしておいた。



名前:ソフィ・シュテイン

年齢:6才

ひと言コメント

「あぁ、日本酒飲みたい····· 早く大人になりたい·····」


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