突撃!隣の惑星さん!
とある日の事·····
「暇だなぁ·····」
私はとても暇をしていた。
今日はエビちゃんとお兄ちゃんがカップルになってから初めての休日だ。
今日も今日とてエビちゃんはお兄ちゃんの所に行っていて、きっと今頃フシ町でデートしている頃だろう、もしかしたらデートじゃ済まない事になっているかもしれない。
いや、間違いなくなってる。
そしてグラちゃんは校長先生に自分がダンジョンになったことをちゃんと説明しに行ってて、アルムちゃんはギルドハウスの飾り付け、フィーロ君は居るけどさっきなんか買ってきてたけど挙動不審な感じで部屋に駆け込んで以来引きこもってる、ウナちゃんは行方不明、ミカちゃんは寝てる。
という訳で、今日は特に遊ぶ予定も冒険する予定も無くて暇している感じだ。
「よっし、ダラダラするのも終わりっと!暇だしなんかやろっかな」
秘密基地のソファでダラダラしていた私はぴょんっと跳ね起きると、自分の部屋へと向かっ·····
向かう前に、脱ぎ散らかしていた服や下着をちゃんと回収してから自分の部屋へと向かった。
◇
スポーツ風の下着を着用した私は、現在出版中の『ティンクル☆キュルピカ』の最新刊を描いているシルキーさん達がいる部屋へとやって来ていた。
「アキさんただいまー、アシスタントシルキーさん達の進捗はどんなかんじ?」
「はい、現在半分ほどペン入れが完了しております、また原稿に誤字などの修正点が15点ほど報告されていますが確認致しますか?」
「あー、後で確認するから頂戴、あとこれアシスタントシルキーさんたちへの差し入れだから渡しといて」
「かしこまりました」
修正点のある原稿を受け取った私は、かわりに差し入れにおやつを渡してから、ページをペラペラと捲って修正点を確認しながら自分の部屋へと向かっ·····
「やべっ·····!!」
原稿の中に趣味で描いてるR18漫画の原稿が一つだけ混ざっていた。
しかもご丁寧に修正、改善点が描かれていて、私は恥ずかしくて顔を真っ赤にしながら自分の部屋へと逃げ込んだ。
◇
「はぁ、酷い目にあった····· ちゃんと原稿は分けとかなきゃダメだなぁ·····」
ちゃちゃっと修正点を直して混ざった原稿をちゃんと分けた私は、ゲーミングチェア風の椅子の背もたれに寄りかかって体を伸ばした。
「シルキーさんたちも上達してきたなぁ·····」
私の描いている漫画『ティンクル☆キュルピカ』は主に私が原稿を描いて、ペン入れや仕上げを魔法で召喚して雇ったシルキーさん達に頼んでいる事で成り立っている。
現在雇っているアシスタントさんの数は5人、その全員が家事精霊シルフィーのアキさんの後輩でアキさんの家事修行を受けながら、割と緩い感じでアシスタントとして活動して貰っている。
もちろんホワイト企業なので忙しく無くアットホームな職場で、シルキーさん達からも苦情が出たことは·····
·····あるけど、アキさんの家事修行がキツすぎるという相談はしょっちゅうされているけどそこは私は関わってないのできっとホワイト企業だ。
本人たちも、アシスタントをやってればアキさんのシゴキから解放されるから嬉しいと張り切って仕事してるし·····
·····結局仕事してるんだけど大丈夫なのかな。
「まぁいいや、何しよっかなぁ·····」
漫画の続きを描く、服を着る、寝る、おやつを作る、エビちゃんとお兄ちゃんの様子を盗み見、新作料理の研究、挙動不審なフィーロ君が何してるのかの確認、魔法の研究·····
「あっ、そうだ宇宙行こっと」
私は宇宙空間活動用の服『天使の服』を着て、ゲートをくぐって静止衛星『賢者の杖』へと向かった。
◇
「よいしょっと」
私は衛星の最上階にある自分用の部屋の椅子に座ると、あることを始めた。
「よし『千里眼』起動!」
千里眼は私が赤ちゃんの頃に原型が完成した、遠方を覗き見する魔改造魔法だ。
最初は壁や暗闇などの場所では見えなくなっていたが、今では暗闇でも地面の中でもどこでも見えるようになってるし、なんなら距離も千里どころじゃなくなっている。
その距離は脅威の50万km、地上から月面を見る事ができるレベルの距離だ。
「でも、もっと遠くを見たい、火星とか金星を見てみたい!」
地球から金星までは約1億km、今のままでは到底見ることなんて出来ないのだ。
この50倍の壁は凄く厚くて中々突破出来ない。
「さて、どうしよっかなぁ·····」
私は解決策を考え始めた。
◇
千里眼の距離を延ばす方法だが、私が今のところ思い付いている候補はこんな感じだ。
・ゴリ押し
魔力を供給しまくってむりやり接続させて探索
(画質はかなり悪くなる)
・衛星リレー方式
衛星を何個も配置して、目的の惑星まで続く通信回路を作る
(通信に時間がかかる)
・多次元式
今いる世界とは別の世界に潜航して覗く方式
(単純にめんどくさい)
「うーん、イマイチぱっとしない·····」
はっきり言っていい案が思いつかない。
どれもコストがヤバかったり手間が掛かりすぎたりと、あまり良くない方法だ。
「こういう時は1回頭をスッキリさせなきゃ····· よし!【自主規制】しよっと!」
◇
「ふぅ·····閃いた!」
満足いくまでスッキリした私は、突如妙案を思いついた。
「イッちゃえばいいんだ!」
そうとくれば早速実行しなければ!
私は『賢者の杖』から宇宙空間に飛び出すと、魔改造した飛翔魔法で超高速移動して金星の見える位置までやってきた。
(さてと、久々にやるから緊張するなぁ·····)
宇宙空間だから声が出ないが、私は独り言をボソボソと言いながらどんどん魔法を使って行く。
まず鑑定を金星に向けて使って、その距離や移動速度や光の速度による位置のズレをアカシックレコードの計算機能を使って求めて行く。
データが求まったら巨大な砲身を作成して私がその中に入り、位置情報と到着時間を計算して角度を微調整して行く。
(調整完了、後は·····我慢っ!)
そして私はまだ名前を決めていない新作の魔法を発動した。
その効果は『数分間何があっても絶対に死ななくなるが、効果時間が切れた瞬間死亡する』という拷問魔法だ。
今回の効果時間は15分だが、この効果が続いている間は例え全身を焼かれても、核爆発に巻き込まれようと、対消滅で消えようと、崩壊魔法で消滅しようが絶対に死なない。
もちろん死なないだけで怪我をしたら激痛が走るし、その間は岩に押し潰されていたら再生した端から潰されるという地獄を味わうことになるエグい魔法だ。
ちなみに仕組み的には、魂を無理やり肉体に繋ぎ止めて、肉体も無理やり魔法で直して維持するって仕組みだ。
しかも効果が切れると死ぬ最悪のオマケ付きだ。
だけど、これは私にとっては最強の魔法なのだ!
効果時間は最長で丸1日なのだが、この効果はなんと私のユニークスキル『リスポーン』よりも優先的に発動してくれるのだ。
つまり何かしらトラブルがあってリスポーン回数がゼロになった場合、この魔法を使って丸1日時間を稼いでしまえばリスポーン回数が元に戻って無理やり生存する事が可能になるのだ!
そんな最強魔法を使う理由だが·····
(実践した方が早いわ!時よ止まれ『須臾』っ!)
その瞬間、宇宙空間に光速に達する程の速度で流れる彗星が1つ生まれた。
◇
〜数分後〜
ズッドォォォォオオオオオオオオオオオン!!
ここは地球から遥か遠く、ソフィが『金星』と呼んでいる厚いガスの雲で覆われた惑星。
そこに光速に近い速度で長さ1.5mほどの有機物でできた隕石?が直撃、厚い硫酸の雲を吹き飛ばして地表に大きなクレーターを作った。
そしてクレーターの底にある隕石の残骸がモゾモゾと動き出した。
名前:ソフィ・シュティン
年齢:14歳
現在地:金星
ひと言コメント
(ヤバい体が原型をとどめてないから話せないや····· というか大気が酷すぎて再生した途端ダメになってるっぽい?うわーめっちゃ痛いわぁ·····)




