やったねソフィちゃん家族が増えるよ!
魔動車にのって私の実家の前にやってきた私たちは、早速敷地内に魔動車を駐車して中に入った。
「おとーさん!おかーさん!ただいまー!!」
『『おじゃましまーす!』』
ドタドタ·····
「ソフィ!帰ってきてたのか!?帰る前は事前に連絡しろって何回····· ん?今日は友達たちも一緒なのか?」
「うんうん、ギルドの依頼で近くまで来たから、家でお昼ご飯食べよっかなって思って!」
「うーん、7人分もご飯あったかな····· おーい!リラ!ルーベ!7人分の昼ごはんあるかー!?」
『無いわー!』
「·····だそうだ」
知ってた。
まぁ私の実家には基本的に4人しか居ないから、7人分のご飯がある訳無いよね。
だが天災·····天才少女ソフィちゃんはお料理も出来ちゃうのだよっ☆
「大丈夫ー!ちょっとキッチン貸して貰うだけだから!あと会議室借りていい?」
「あぁ、暫くは会議をする予定も無いから使っていいぞ、だけど汚さないよう気をつけろよ?」
「はーい!じゃあみんな!先に会議室に行ってて!」
『『りょーかい!』』
みんなはもう何回か私の実家に来ているので、いつもお昼を食べている会議室の場所は把握している。
なので私はみんなに会議室に行くよう指示して、私はご飯を作るためキッチンに向かった。
◇
キッチンに入ると、真ん中のテーブルでお母さんとルーベさんがお菓子をつまみながら談笑していた。
「おかーさんとルーベさんただいまー、お昼ご飯作るからキッチン貸してー」
「あらソフィ来たのね、ルーベと女子会してただけだからいいわよ」
「へーい、じゃあ遠慮なくー」
遠慮なくとは言ったけど、このキッチンを作ったのは私なんだよね。
元々はかまどや薪を使ってるくらい古いキッチンで、唯一水道だけはポンコツ魔道具を使っていたんだけど、私が7歳の時のお母さんの誕生日に改装してあげたのだ。
水が時々出なくなるし燃費も悪い水道、物凄く煙が出るかまど等を全て魔道具製に変えて、オーブンや換気扇、冷蔵庫や食洗機などの私基準の設備を設置した。
自称だけど王城よりいい設備が揃ってると思う。
まぁ日本のシステムキッチンっぽく作っちゃって、やり過ぎだって怒られたんだけどね☆
「んじゃ何作ろっかなー、まず味噌汁を寸胴ごと出してあっためておいて····· よし、焼き魚にしよ、鮭でいいや」
「·····あれ便利よね」
「ですね、私も使えたら買い出しが楽になるのですが·····」
私はボヤいてる母2人をガン無視して、インベントリから食材を出しまくってお昼ご飯を作り始めた。
もう何年も6人·····最近は7人分のご飯を作っているので大量に作るのに慣れてしまった。
まぁ普段はアキさんと共同でやってるからもっと楽なんだけどね☆
「そうだムニエルにしよっと」
◇
〜会議室〜
普段は町長であるソフィの父が行政関係で会議をするために使われる、長机のある部屋でなかよし組のメンバーはくつろいでいた。
「飯が出来るまで暇じゃのう·····」
「だねー、でもやっぱりソフィちゃんのお家って凄いよね、さすが町長さんのお家だなぁ」
「あっ、よく見たらこれお父さんのお店の魔道具だ」
「流石は鉱山の町ね、沢山鉱石·····鉱物だったかしら?まぁ色んな石が飾ってあるわね····· あっ名前が分かるようになってるわ!これはフローライト、アメシスト、水晶、天然魔結晶、ルチル、ガーネット、アクアマリン、フェルドスパー、マラカイト、アズライト、ロードクロサイト、ロードナイト····· よく分からないけれど物凄く沢山あるわね」
「うわぁきれい!」
「すぴー·····」
「ふむ?1つの鉱山にしては鉱物の種類が多いのじゃ」
ちなみにだけど、この会議室に飾られている鉱物は全てこのフシ町が管轄している鉱山で採取された物だ。
鉱山と言われると山にトロッコが走れるデカい穴を掘ってそこを伸ばしながら鉱石を採掘しているイメージがあるが、実際はそうじゃない。
まずは山に登って岩盤が露出した場所を見て周って地質を調査、様々な資源が取れそうな地質だったら徹底的に調べ、鉱脈を見つけたら試掘用に大人一人がギリ通れるくらいの試掘坑を掘って確かめる、もし優秀な鉱脈であればそこを掘り続けるという感じで採掘して行くのだ。
なのでフシ町の周辺の山には沢山の短い坑道があったり、1つの山だけじゃなくてその山ごとに長い坑道が何個もあるのだ。
例えばフシ町の北西にある花崗岩系の山にはペグマタイト鉱床、長石や柘榴石や雲母、それにアクアマリンやトパーズやトルマリンといった宝石系の鉱山がある、·····まぁメインで採掘してるのはカオリナイト、陶磁器用の素材なんだけど、宝石用の原石も採れる優秀な鉱山だ。
ちなみに石オタクのソフィはここに入り浸ってよく採掘させてもらってる。
それと町の西側には巨大な鉄鉱山と魔結晶の鉱山、東側には銅やマンガン系の鉱山がある。
そして地下深くには地表には出ていないアダマンタイトを含む希少魔導金属が採れる珍しい地層もあって、そこの採掘も盛んなんだ。
「·····って感じなんだよ!」
「へぇ····· 知らんかったのじゃ」
「大体はソフィの受け売りだけどね、ぼくも将来は鉱山の管理とかをやるから頑張って覚えてるんだよ」
「というかやはりお主ら兄妹なんじゃな、そのやたら熱心な語り方がそっくりなのじゃ」
「そ、そうかな·····?」
いつの間にかエヴィリンの隣にはソフィの兄であるラクトがやって来ていて、フシ町の鉱山について熱く語っていた。
もちろんエヴィリンは話半分で聞いていた。
(·····どうするかのぅ)
(ワシから言ってもええんじゃが、いつまでも踏ん切りが付かぬこやつに自分から言わせたいのじゃ、·····ちと煽ってみるかの)
「のぅ、お主」
「え、えっと、何かな?」
「お主はこの家の長男なんじゃろう?確かソフィが3つ上と言っておったから今17って事じゃな?」
「そうだけど·····どうしたの?」
「·····跡取りはおらんのか?」
「ブフッ!!」
エヴィリン····· いや、ワシはソフィの兄であるラクトにジャブを打ち込んだ。
時々ソフィの家に来ておるから気が付いたのじゃが、どうもこやつはワシに好意を抱いているっぽいのじゃ。
やたら角や尻尾を触りたがるし、隣に座れば手を握ろうか悩んでおるのか手がモジモジと動いとるし、無理に話そうとしたのか話題が途切れて気まずい雰囲気になる事も多々あるし·····
そしてジャブがいきなりクリーンヒットしたのか、ラクトは吹き出して驚いた。
「い、いやー、その〜····· まだ、居ない·····かな?」
「ふむ····· じゃがお主の立場と歳から考えれば既に婚約者が居て、子がおってもおかしくないのじゃ、ちと遅くないかの?」
「そ、それはー、そのー、この町の子は友達って感じで····· あんまり·····」
ええい!焦れったいのじゃ!!
なんじゃこやつ!!ソフィそっくりでは無いか!!
やはりこんな所まで妹そっくりなんじゃなこやつら!!
両想いなのに気が付かずいつまでもウジウジしてフィーロに告白しないソフィと似てるのじゃ!!
もういい、ワシは焦れったいのは苦手じゃ。
「ほう?では町の外に居るのじゃな?」
「いやっ!?今は町の中·····あばばばばばばっ!!」
はぁ·····
焦ると誤爆するのも、変な声を出して焦るのもあやつと似ておるのじゃ·····
さて、行けそうじゃし一気に押し込むとするのじゃ。
「やはり好きな女子がおるのじゃな?名は?ほらさっさと言うのじゃ」
「ええとっ、まだっ、居ないっ·····」
ワシはラクトに顔を近づけてそう問い詰めると、ラクトは顔を真っ赤にして居ないと言いながら逃げようとした。
その瞬間、ワシのイライラゲージはMAXになった。
「ええい!そんなんだからダメなのじゃ!とっとと言わんか!」
「ぃゃ····· その·····」
「もう分かっとるわこのニブチンが!お主、ワシの事が好きなんじゃろう!?まっったく、そんな分かりやすいのに気が付かぬのは何処ぞの鈍感くらいなのじゃ!!」
「うぐっ·····」
\ぺくしょんっ!!/
流れ弾でフィーロは割と深刻なダメージを受けた!
ついでにソフィも!!
「いやっ!違·····わないけど····· その·····」
「それにじゃ、ワシからの好意にも気が付かぬのも鈍感すぎるのじゃ」
「··········えっ」
「お主、なぜワシが態々ちょっかいを出そうとするお主の隣に座ったり、下手くそな話題を上手く拾って繋げてたと思う?なぜ態々縁もゆかりも無いここに長期休みの度に来て過ごしていたと思う?·····ここまで言ってまだ分からぬか?」
「そ、その、つまり·····」
「言え、分かっておるなら男らしく言うのじゃ」
「えっ、エヴィリンちゃんも、ぼ、僕のことが·····」
「·····うむ、好き、なのじゃ」
◇
ワシはまだ心の奥底は男じゃと思っている。
·····裏を返せばワシの心の大半はもう既に女になっておるという事だ。
そしてワシの女の心は、ソフィの兄ラクトに対して好ましい、共に生きたいという感情を抱いている。
最初にそれを感じたのは、初めてソフィの家に行った時の事じゃ。
ワシは前世では魔王で、女に好意を寄せられる事は多々あった。
じゃが、そこにワシという人物を好む者は、ワシ自信を好きになって近寄ってくる者はおらんかった。
その全てが、魔王の妃という立場を、魔王家の血筋を取り込みたいと考える者ばかりだった。
愛されていても、その裏には必ず理由があったのじゃ。
民もそうじゃ。
ワシは魔王、魔族の国の王として絶対的な力の象徴として、魔神の末裔として君臨していた。
·····それはつまり、ワシはエヴィリンとしてでなく『魔王』としてしか見られないということじゃ。
叔父もそうじゃ。
ワシを魔王としてしか、便利な兵器としてしか見てくれぬ。
父上も母上も·····いや、あの2人はワシを家族として見てくれていた。
じゃが2人は王と王妃、ワシを家族としてでなく跡取りとして扱わざるを得なかった。
誰も、ワシを、エヴィリンというただの人間として、個人として見てくれる者は、2度あるこの人生の中で、誰一人居なかった。
·····ワシはずっと、孤独で愛に飢えておったのじゃ。
そういえば姉上がおったが······························うん、忘れるとしよう。
あやつは唯一ワシ個人を見ておったし嫌では無かったが、例外というかイカレ偏愛変態女じゃったし。
そんな中で、ラクトはワシを見て可愛いと言ってくれた。
ただ見た目が好みで、ワシの角を触ってみたいという、そんな裏も表もヘッタクレも無い単純でどう考えても裏なんて無さそうな理由で好意を抱いてくれる人間に、ワシは始めて出会った。
そんな経験は前世でも今世でも初めてじゃった。
·····そして、ワシはそんな単純なヤツに惚れてしまった。
我ながら単純なヤツじゃと思う。
それ以来、ラクトと居る時は皆と居る時とは別方向で、今まで感じたことの無い『楽しい』という感情が出てくるようになった。
きっとこれが恋なのじゃろう。
ラクトもワシを好ましく思っていて、ラクトは月に1、2回程度しか会えなくとも、行き遅れと言える17になっても他の女に目移りせずワシの事を想ってくれておる。
良き相手ではないか。
·····自分で言うモノでは無いと分かっておるが、ワシは見た目が良く、魔王が故に強く、転生したが故に年齢以上の知識を持っておる。
探せばいくらでもワシを好んでくれるもっと良い男はおるじゃろうし、引く手あまたとは分かっておる。
ワシが望めば貴族の跡取りに嫁ぐことだって出来るじゃろうが、ワシにそのつもりは無い。
だって、ワシはラクトという個人が好きなのじゃから。
◇
「2度は言わぬ、故にハッキリと言うのじゃ、ワシは····· エヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシスは、ラクト、お主の事が好きなのじゃ」
言い切った。
ワシもウジウジしていたのかもしれぬ、そう思ったらソフィのアホ面が浮かんできてイラッとしたから、言い切ってしまった。
もう後には戻れぬ。
「お主は、ワシの事をどう思っておるのじゃ?」
「ぼくは·····ぼくは!」
\がちゃっ/
「みんなー!お待たせっ!ご飯できたよー!」
\カィーンカィーン/
(お玉で持ってきた味噌汁入りの鍋を叩く音)
「ついでに私の分まで作ってもらっちゃったわ、アナタも一緒に食べましょ?久しぶりの家族団欒よ」
「だな、ルーベも一緒にどうだ?」
「ふふ、もちろんです」
「ぼくも!エヴィリンちゃんの事がっ!好きだ!!」
「うむっ!じゃあ、まずは恋人同士という事でよろしくなのじゃ」
返事は、心配する必要もなくOKじゃった。
これで、ワシの彼氏はソフィの兄という事になった。
·····つまりワシは、天涯孤独の身からようやく解放されたのじゃ。
告白は緊張したが、別に過ぎてみれば別になんて事はない。
むしろ嬉しいという感情が溢れてくる。
·····恋人同士になったのじゃから、もう自重せんでも良いよな?
「ラクト」
「な、なに·····んむぐっ!?」
ワシは背伸びして、自分の唇をラクトの唇へ押し付けた。
「·····ふっ、どうじゃ?ファーストキスの味は」
「·····っ!?え、えっと····· よく分からなかった、かな」
「じゃあもう一度じゃ、今度はしっかり味わうのじゃぞ」
「·····うん」
そしてワシらは2度目のキスを交わした。
「あらあらあら····· 困ったわね、家族が増えちゃったわ」
「嫁が魔族か····· 親父さんにどう説明すれば·····まぁ良いや!俺のやらかしに比べたら軽いもんだ!!ラクト!よくやった!エヴィリンちゃん、不躾な息子だがよろしく頼むぞ!」
「私からも、シュテイン家をお願いしますね、エヴィリンさん」
「···············ぽふぇ?」
ずるっ
\ガッシャーン!!/
\ドバッシャァァァアアア!!!/
「はあああああぁぁぁああぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁあぁあぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあぁあぁぁあぁあぁぁああぁぁあぁぁぁあぁぁあぁあぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁああぁぁぁあぁぁあぁぁあっっっっ熱熱熱熱熱熱熱熱熱熱ッッッッヅンゾジリ゛ッッツっづぁぁぁああああああいいいいっっっっっっっっ!!?!??!??!!!?!!!?!?!?」
私は驚くと同時に鍋を手放し、自由落下するアツアツの味噌汁鍋は足の上に直撃!!足の骨にダイレクトアタック!!
あまりの痛みに反射的に足を上げると鍋は自由落下を逆走ッ!
そして私の顎を捉えた味噌汁鍋によるアッパーカットからの中身ブチ撒けアタックが直撃!!!!
私は悶絶して床を転げ回った!!
「床もアチィッ!!!」
\びょんっ!!/
が、床に広がった味噌汁もアツい!!アツすぎる!!!
転がる所じゃなくなった私は1周まわって冷静になり、驚いてこんなことになる原因を思い出し、お茶目なヘアアクセサリー☆(わかめ豆腐油揚げ)を付けたまま質問攻めを始めた!!
「えっ!?待って待って待って待って!!?お兄ちゃんとエビちゃんが!?えっ!?待って!?今の告白!?どういう事!?お兄ちゃんエビちゃんが好きなの!?なに!?えっ両思い!?!?というか成立!?キス!?待ってどういうこと!?てかお兄ちゃんのキスおええええっ!!!エビちゃんのキスおっゲェぇぇえええっ!!てかイチから説明してよ!?えっえっ!?·····えっ!!?ええええっ!!?!?ってことは私とエビちゃんが義理の姉妹!?えっえええっえっえっ!?ってことはエビちゃんがエヴィリン・アマイモン・シュテインになるの!?えっ待って気持ち悪い!!とりあえずお兄ちゃんおめでとう!エビちゃんなにやってんの!?赤飯食べる!?ちょっとキッチン行ってくる!とりあえず結婚式は呼んでね!!あっ!あとヤる時は部屋に防おn」
「きっ、気が早いのじゃ!」
\ドゴスッ!!/
「CAN YOU CELEBRATE!!?」
ワシとラクトが恋人同士になった瞬間、ワシの義理の姉妹となったソフィとその家族が部屋に入ってきて、その中でソフィのみが狼狽えて大混乱を引き起こした。
そしてとんでもない事を言い始めたから、ワシはソフィの頭をぶん殴って落ち着かせた。
もちろんソフィはいつも通り意味不明な断末魔をあげてから床に突っ伏して、ビクビクと痙攣していた。
「全く騒がしいヤツじゃのぅ····· ソフィの両親·····あー失礼、お義父様、お義母様、いきなりで申し訳なかった、ギルドの依頼をやりに来ていた所じゃったから特に手土産も用意しておらぬ、じゃから後日ちゃんと挨拶に来させてもらうという形でも良いかの·····」
「わかっ」
「挨拶なんていいのよ別に!ほら座って座って!今日はパーティーよ!」
「お二人共、おめでとうございます」
「いや、挨拶はちゃんt」
「あーなーたー?」
「·····わかった」
◇
「うぅん····· 酷い悪夢を見たわ·····」
「ほぅ?どんな夢じゃ?」
「エビちゃんが、お兄ちゃんと付き合うって夢····· あぁ寒気がするっ最悪だわ、エビちゃんのキスとか見てるだけで吐き気したから夢でよかった」
「それは酷い夢じゃのぅ、今から首絞めてもういっぺん夢の中に送ってやるから辞世の句を詠むのじゃ」
「·····え?」
「ほーれキュッと」
\キュッ♥/
「くぁwせdrftgyふじこlp!!!」
私は絶叫した
◇
その後、2時間くらいかけてエビちゃんや家族や友達たちに説得されてなんとか落ち着きを取り戻した私は、改めて会議室のテーブルに座って2人を問い詰めていた。
「エビちゃん、本当にお兄ちゃんの事が好きなの?」
「うむ、これが愛という感情で合っているかは分からぬが、合っているのなら好きなのじゃ」
「お兄ちゃんは?相手は私の友達とはいえ魔族だよ?いいの?」
「大丈夫だよ、フシ町は亜人族に寛容な町だし、なんと言われようと僕はエヴィリンちゃんが好きだから」
「·····もし反対する奴がいたら、ワシが力で捩じ伏せてやるのじゃ」
「うーん·····」
前々からお兄ちゃんのエビちゃんに対する対応が優しいというか妙だとは思っていた。
なんかエビちゃんと一緒に帰った時だけ挙動不審だったし、私だけで帰るとやたらエビちゃんが居ないか聞いてくるし、毎回エビちゃんは何してるかとか聞いてくるし·····
··········あれ、なんでこんな分かりやすいのに私気が付かなかったんだ?
ただエビちゃんは塩対応をしていたから、その気はないと思ってた。
·····いや思い返したらエビちゃんもやたらお兄ちゃんの様子聞いてたし、休みにひとりでフシ町に手土産もってひとりで飛んで行ったりしてたな。
··········あれ?
いやいや、そんな訳·····
·····ごめん、私くっそ鈍感だったわ。
アホかな、アホだね、アホだわ。
いやでも、まさかエビちゃんの方から告白するとは·····
しかもなんて事ないただ立ち寄っただけのタイミングでなんて思ってなかった。
·····いや、よく考えたら今日は妙にソワソワしてたし、フシ町に立ち寄って欲しいって頼み込んでたわ。
あれ、もしかして今日告白するつもりで来てた?
「ソフィ、ワシとお主の兄が付き合うのを認めてくれぬか·····?ワシはラクトの事が本気で好きなのじゃ」
「ぼっ、ぼくもエヴィリンちゃんの事が好きなんだ!だから認めて欲しいな·····」
「ダメ」
『実の兄と親友が付き合うのが物凄く気持ち悪いから』
私はその嫌悪感だけで、さっきからずっとふたりが付き合うのをダメと言い続けていた。
私のお父さんとお母さんは2人が付き合うのを認めてるし、なかよし組のみんなもキャッキャ騒ぎながら大喜びしていたが、私だけは頑なに認めていなかった。
でもよく考えたら、エビちゃんはお兄ちゃんの彼女としてこれ以上ないほど良い子だ。
魔王を超えた魔神姫で物凄く強い、それは鉱山もあり冒険者も集まる荒くれ者の多いこのフシ町で町政をする上ではかなり重要だ。
そして町政の補佐をするとしても、エビちゃんは一応前世では王として国を纏めていて、力だけでなく王として政治をやってたらしくてその能力もある。
それに今も昔も人望があって人を惹きつける力がある、天性の人の上に立つタイプだ。
結婚相手としては100点····· いや、1億点をあげたいくらい良い相手だ。
そのメリットは、今でも少しだが差別を受けている魔族であろうがデメリットを打ち消して圧倒してしまう程大きい。
それに、気持ち悪いって言うのはただの私の主観でしかないし、2人は今物凄く幸せそうにしている。
·····ただ、唯一私だけがその幸せを邪魔してるのは、ちゃんと理解してる。
「·····うん、私の負け、いいよお兄ちゃんとエビちゃん、おめでとう」
「ありがとうなのじゃ、ソフィ!·····そうじゃ!くくくっ·····ワシはお主の義姉になったのじゃからワシの事を『エヴィリンお義姉ちゃん』って呼ぶのじゃ!」
「·····え゛っ、げぅっ、おぼろろろろろっ!!!!」
「のじゃげろぼがばっっっ!!?!?!?!」
あまりの気持ち悪さに私はエビにゲロをブチまけた。
名前:エヴィリン・アマイモン・シュテイン(※自称)
年齢:14歳
恋人:ラクト・シュテイン
ひと言コメント
「まさかワシが一番乗りになるとは思ってなかったのじゃ····· 本当はファミリーネームもシュテインにしたいのじゃが、ファゴサイトーシスは魔王の家系の象徴じゃから無理なのじゃ、じゃから自称なのじゃ」
「なぜこのタイミングかって?ワシは一期一会、思い立ったが吉日去れば凶日タイプなのじゃ、機会があったから告白した、それだけなのじゃ」
名前:ラクト・シュテイン
年齢:17歳
恋人:エヴィリン(以下略)
ひと言コメント
「まっ、まさか両想いだなんて思ってなかった····· そっか、エヴィリンちゃんもぼくのこと好きだったんだ····· 嬉しいなぁ、じゃあまずは手を繋ぐところから····· あっ、でもキスしちゃったからエヴィリンちゃんに子供が····· どうしよう、まだ覚悟出来てないのに····· うん、頑張ろう!」
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:14歳
ひと言コメント
「はー·····はー····· 久しぶりにガチゲロった····· エビのことを『お義姉ちゃん』って呼べって考えるだけで死ぬほど気持ち悪いっ!!あぁゾワゾワするっ!気持ち悪っ!こればっかりはマジで気持ち悪い!!うぎゃー!!気持ち悪いっ!!全身に鳥肌立つわ!巨大ガエルのゲロョンパに丸呑みされた時くらい気持ち悪いっ!!」
\貴様殴るぞ!?/\ソフィそれ酷くない!?/
名前:アルム
年齢:14歳
ひと言コメント
「ちょっと2人とも馴れ初めから詳しく聞かせて、クラスの皆に拡散するから」
名前:フィーロ
年齢:14歳
ひと言コメント
「ぼ、僕も告白すれば良かったかな····· いや、でもこの短期間で2人もってなったらソフィちゃんもソフィちゃんの家族も混乱しちゃうし、タイミングが良くない····· うーんうーん·····」
名前:グラちゃん
年齢:14歳
ひと言コメント
「·····1ついいかしら?今回って私の能力を検証するのがメインだったわよね?なのになんでエビちゃんの方が目立ってるのかしら?」
名前:ウナちゃん
年齢:14歳
ひと言コメント
「エビちゃんとラクトくんおめでとー!!エビちゃんの赤ちゃん楽しみ!·····あぁいう感じ羨ましいなー、わたしは····· あっなんでもないよ!!」
名前:ミカちゃん
年齢:14歳
ひと言コメント
「·····ねてた」




