依頼のついでに里帰りっ!
1つ目の依頼を終えた私たちは、2つ目の依頼を達成するため北の街道で目撃された盗賊らしき人物の発見と、ついでに爆弾スライムの処理に向かっていた。
「グラちゃーん、見つかったー?」
「どっちも見つからないわ!このまま進むのよ!」
「あいあいさー!」
爆弾スライムも盗賊もどこに居るか分からないので後部座席にグラちゃんを乗せて、他のみんなは牽引車に乗ってもらって北へ向かう街道を突き進んでいた。
後部座席にグラちゃんを乗せたのは、これまたグラちゃんの能力『迷宮姫』を使って自分の周囲をダンジョン化、その範囲をマップ表示して魔物や盗賊が居ないか捜索してもらうためだ。
まぁさらに後ろの牽引車でもいいんだけど、こっちの方が意思疎通が早いから今日はフィーロ君とエビちゃんと交代してこっちに乗ってもらってる。
·····ぶっちゃけ言うと私がやれば100kmの範囲くらいなら一瞬で感知できるし、少し時間をかけたらこの国の範囲くらいなら感知可能だ。
でも今日はグラちゃんの実力を調査するのが目的だからそれはやらずに走り回っているのだ。
「なんかあったら言ってねー!」
「了解よ!」
◇
その後、15分ほど街道を北に進んでいるとグラちゃんのマップに反応があったようだ。
「ソフィ!右方向に爆弾スライムが居るわ!」
「りょーかい!私も確認してみる!」
どうやらグラちゃんが爆弾スライムを発見したらしく、必死に右斜め前方を指さして指示を出してくれた。
そっちを魔法で光学的にズームして見ると、確かにうっすらとスライムらしき魔物が居た。
「7km先かぁ、結構離れた所にいるなぁ·····」
「確か爆弾スライムは採取とか討伐じゃなくて処理よね?じゃあ私が先に行って処理しておくわ」
「えっ!?」
そう言うとグラちゃんはケッテンクラートの後部座席から転移で爆弾スライムの元へと向かった。
そして数秒後·····
ドオォォォォォォォォオオオン·····
「あっちゃー·····自爆しちゃったかぁ·····」
「ねぇソフィちゃん!グラちゃん大丈夫なの!?」
「今の爆発って爆弾スライムの爆発だよね?」
「やばいよ!グラちゃんが爆発しちゃった!」
「ふむ?特に問題なさそうじゃの」
「んぅ····· うるさい·····」
「大丈夫だよー、グラちゃんの魔力はちゃんと感じ取れてるから生きてると思うよー」
「それなら良かった·····」
爆弾スライムについて説明してなかったので説明すると、爆弾スライムはいわばニトログリセリンみたいな野郎で、軽い火魔法····· いや、静電気が発生しただけで大爆発を起す厄介なスライムだ。
間違って剣で切りつけようモノならもう酷い目にあうこと間違いなし、大爆発に巻き込まれて大惨事まったなしだ。
コイツは倒す際は高位の氷属性魔法などで凍らせるか、遠隔で自爆させるしか対処法が無いのだ。
しかも上手くスライムのコアを潰しても爆裂性の粘液は残っているので取り扱いが難しく、火薬や燃料の代わりに使う研究も世界各国でされてたけどどこの研究室も研究者諸共木っ端微塵にしてきた悪名高い魔物だ。
なので基本的には爆発処理という形で討伐されているモンスターだ。
ちなみに爆弾スライムの亜種に『オイリースライム』というスライムが居て、コイツは特定の油分を多く含む種子しか食べない偏食の爆弾スライムで、上質で様々な食用の料理油を蓄える種類なので重宝されて養殖も行われてる。
·····まぁたまに普通の爆弾スライムになって牧場が消し飛ぶんだけど。
そんなこんなで5分後、爆心地にやってきた私たちが見たのは、爆弾スライムが爆発してできたクレーターの中で隠れて何かをやっているグラちゃんだった。
◇
隠れて何かをやっているグラちゃんの元までやってきた私たちは、同じくクレーターの中に入ってグラちゃんに話しかけた。
「ねぇグラちゃん、なにやってんの?」
「しっ、盗賊団を見つけたのよ、偵察しにきた奴が森の外に居たから気がついたわ」
「マジ?」
「ええマジよ、かなり離れてるけれど北の森の中に人の反応が100ほどあるわ、マップで少し見たけれど殺人、強盗、その他色々な犯罪系の称号がついていたから確定よ」
「へぇ····· ちょっと私も見てみるわ、『千里眼』」
私はグラちゃんが指した辺りに千里眼を飛ばして偵察しに行くと、確かに小汚いオッサン共が集まっていて、リーダーらしき臭そうなゴツいオッサンも居た。
幸い捕虜にされた人は居ないらしいが、リーダーや幹部が居るテントには盗品が詰め込まれているのが見て取れた。
·····なんか逃げようとしてる?
あーたぶんさっきの爆発で警戒してるな、それで偵察を出してグラちゃんにバレたと。
「あー、こりゃ盗賊で確定だねぇ····· どうする?私たちで殺っちゃう?」
「いや、報告だけにしておきましょ?盗賊団の壊滅は別の依頼のはずよ」
「了解、じゃあギルド宛にメール送っとくわ」
私はウィンドウを操作して、ギルドに設置して貰った私との通信用の魔道具に盗賊団発見の報告と様々な方向から撮影した写真、そして盗賊団の拠点と人数や能力のデータを送信した。
すると5分ほどで返信が帰ってきて、すぐに討伐隊を組むとの事だった。
そんで私たちがやると全員ミンチになりかねないから止めてくれと言われたので、私たちは仕方なく最後の依頼を終わらせるために東へと向かった。
ちなみにこの盗賊団は後に組まれた討伐隊によって大半が捕まえられ、法の下で裁かれる事になったのは言うまでもない。
果たして彼らは私たちにミンチにさせるか檻の中や強制労働で一生を終えるのか、どっちが幸せだったのだろうか?
まぁ私たちには関係ないから知らんけど。
◇
そしてしばらく盆地を東に向かって進み、私たちは目的地であり、私が初参加の魔法競技大会で開けた大穴『王都直通トンネル』に到着·····
する前に、ちょっと寄り道していた。
「おーい!ただいまー!」
「ん?おお!町長のとこの娘さんか!今日は友達も一緒かい?」
「うん!ちょっとお昼ご飯食べようと思ってきたんだ!」
「わかった、入っていいぞ」
『『わーい!』』
時刻は丁度お昼時、お腹ペコペコな私たちは近くにある私の故郷『フシ町』へと寄り道していたのだ。
もちろんお昼は私の実家で食べるつもりだ。
『おっ?アレって賢者姫サマじゃねぇか?』
『おお!相変わらず元気そうで何よりだな!』
『さすがはSランク冒険者だ、風格が違うぜ!!』
『おい、アレはゴルド商会の娘だぞ?胸の大きさで判断するな!』
『いやいや!あんなでけぇ胸ならSランク確定だろ!』
『ソフィ嬢はちっちゃいけどなぁ!!アレには夢が詰まってるんだよ!!』
『そうだそうだ!小さいからこそいいんだ!』
『なんだと!?大きい方が良いに決まってるだろうが!盛れ!盛りまくれ!!』
『『あ゛あ゛ん?』』
「·····ソフィちゃん、殺って」
「もちろん、全員控えめに言って死んで欲しいんだけど····· ショックボール」
『『ぎえっ!?!?』』
私の胸がちっこいだとか、巨乳派のヤツだとか最低なケンカを始めてたアホ共の股間に、衝撃を与える非殺傷の無属性魔法ショックボールをぶつけてやった。
もちろんヤツらは悶絶したが、私たちは気にせずに私の実家へと向かった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「入学した時はもう9年間は帰れないと思ってたけど、いざ学校生活が始まると月2くらいで帰ってるんだよね····· おーいただいまー!!」
名前:アルム
ひと言コメント
「町長さんのお家なんて中々入れないから楽しみっ!それにソフィちゃんの家だから遊びに来れて嬉しいなっ」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「ソフィちゃんの家····· ソフィちゃんはここで育ったんだよね····· 僕もいつか····· はっ!僕は何を考えてるんだっ!!?」
名前:グラちゃん
ひと言コメント
「爆弾スライム、本当につついただけで爆発したわね····· ぷっ、一触即発の喧嘩前のソフィとエビちゃんみたいだわ」
名前:ウナちゃん
ひと言コメント
「ソフィちゃんのお家、あんまり来たことないなぁ····· でもソフィちゃんのおかあさんのご飯はとっても美味しいんだ!」
名前:エビちゃん
ひと言コメント
「さてと、すぅぅぅ····· ふうぅぅぅ····· 覚悟を決めぬとな····· ·····き、緊張してきたのじゃ」
名前:ミカちゃん
ひと言コメント
「おー、寝心地よさそう·····」




