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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第一章 異世界転生?転性?
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腹の内の腹の中


 ·····ここは何処だ?


 ゆっくりと目を開くと、そこは何やら赤っぽく薄暗く狭いドームの中だった。

 俺は狭い場所は嫌いではないけど、足が窮屈なので伸ばしたい。



 とここで気がついた。

 この狭い空間の中はどうやら液体で満たされているようだ。


(くそ!また死んでたまるか!おーい!水の中にいるんだ!!溺れる!助けてくれ!)


ちらっ


 助けを求め壁を手で叩くが、ポヨポヨとして全然効かない。

 ならばと足で蹴飛ばすが、ボヨンと弾き返されてしまった。


ちらちらっ


(!?)


 すると突然、空間がゴゴゴと大きく揺れた。


 必死に壁に手を伸ばして押すが、壁は張りがあってビクともしない。

 それでも押していると、壁の向こうから何かが圧迫し、俺の手を押し返してきた。


(ひっ!?)


ちらちらちらっ


 それと同時に、この部屋に怪物の鳴き声のような音が響き渡り、壁が外側から複数箇所押され始めた。


ちらちらちらちらっ


(こ、この世の終わりだ ·····邪魔だこのロープ!!ッッッぐえっ!?)


 さっきから目の前を漂っていた邪魔な赤っぽいロープをむんずと握りしめると、突然息が出来なくなったかのような苦しさが俺を襲った。


 慌てて手を放しロープの行き先を見ると、俺のプニプニしたお腹の、へそのあるはずの場所に繋がって·····


(·····ん?へそ?)


 ·····あー、わかった、そういう事ね。

 やっと理解できたわ。


 これアンビリカルケーブル(へその緒)だわ。



 つまりここはコッチの世界の母のお腹の中か。

 という事は、俺は無事に転生出来たという訳だな。


 真理に辿り着いた胎児の俺は、出産までもう一眠りしようと目を瞑ろうとし·····


《メッセージを受信しました》

《ステータスウィンドウを開いて確認して下さい》


 ·····邪魔された。



《メッセージ》

件名:転生おめでとう!

送信元:ガイア

宛先:自分(暫定:藤石 賢人)


本文

 やっほーケントくん!元気?新たな生は謳歌できてるかね?

 できてる?うんうん、そーだよね!

 無事に目覚めたみたいでよかったよ!


 添付資料で『異世界入門マニュアル』を送っといたから、産まれるまでの暇つぶしにしてね!


 ps.キミの大好きなおパンツはインベントリの中にあるよ!


添付資料

1件:異世界入門マニュアル.godpdf



(ちっ、なんだよこの文章!1度日本で仕事してメールのやり方くらい覚えやがれ!俺なんか毎日毎日毎日毎日メールを作っては送って作っては送って作っては送って作っては·····)


 あのクソ女神に悪態をついていると、お腹が外側から緑色に輝き、その優しい光が俺を包み込んだ。


(おぉ····· 温かくて気持ちいい····· 心の闇が消えていくみたいだ·····)


 その温かい光を堪能していると、ウィンドウが勝手に開いた。


《異世界入門マニュアル:魔道の心得》


 その項目を見てみると、今感じている光の正体が判明した。


 どうやら現在感じているのは、この世界に拡がる『自然魔力』が生命体に貯えられ変質した『魔力』と呼ばれるエネルギーのようだ。


 とりあえず箇条書きにしてみると


・この世界に存在する不思議エネルギーが『魔力』

・魔力が物質の中に留まり、その物質の固有波長と共鳴する事で一般的に知られる『魔力』と呼ばれるエネルギーに変換される。

・その魔力を詠唱や魔法陣で制御し変換する事で『魔法』となる。



 他にも種類があるが、基本はこのくらいだろうとの事。


 これを踏まえ、色々意識してみると少しづつ魔力らしきエネルギーが感じられるようになってきた。



(おぉ、これが魔力って奴か····)



 更に調べていくと、どうやら先程の光は『回復系魔法:精神安定』に近い魔法のようだ。



(イライラしてたからこっちの母が心配してくれたのか?優しい人なんだな·····)



 俺はそう思いながら、異世界チート転生の計画を練り始めた。





 暫く考えていくうちに、とりあえず当面の目標というか、産まれるまでの目的が出来た。



 暫くは体内で魔力を循環・増幅・密閉?して魔力を使い切って魔力量を増やそう。

 ちなみにこれはさっきの入門書に書いてあったオススメの方法だ。


 そんで1度魔力を放出してみたら偉い騒ぎになって酷い目に遭ったので、なるべく漏れないようにしたい。



 もうカクテルシェイカーの中身体験なんか二度としたくない。



 まぁ俺自身がカクテルされるのは良くないけどいいとして、魔力を使い切ったら強くなるのはファンタジーではド定番、それに強い魔法は沢山の魔力が必要になるはずだ。

 というのも、俺の魔法を自由に創れる能力はどうせ物凄い魔力が必要になると踏んで、予め産まれる前から強化しておこうという魂胆だ。


 神に頼んで魔力量は増やして貰ったが、多いに越したことは無いので、今のうちに増やしまくっておくとしよう。



(そのうち世界中を飛び回って美味しいモノとか凄い景色とか珍しい鉱物とか宝石を見つけたいからな、あぁ、まだ見えぬ世界が俺を待っているんだ、楽しみだ!そのためには特訓あるのみ!)



 俺は新たな母の腹の(なか)で腹の(うち)を決めた。


 あっ、ちょっと母さん、シェイクするのやめて、吐きそう····· いや吐く物もないけど気持ち悪いっす。



名前:?(名称不明,暫定:藤石 賢人)

年齢: -5ヶ月

ひと言コメント

「お腹の中の子供に気を使ってくれるのはいいんだけど、ちょっと揺れすぎ····· もっと安全運転して·····」

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