スクラップ&ビルディングッ!
同日
私は『彗星駆鎧』に身を包み、先程即金で購入した土地とボロ屋の解体に取り掛かっていた。
「さてと、どうやって解体しよっかなぁ····· まずは中になんか無いか見とくかな、『アナライズ』」
解体するのは魔法で一瞬だけど、中に野良犬とか野良猫がいたらまとめて潰しちゃう可能性があるので先に何か無いか魔法で調査をしておく。
「おっ、結果出た!なになに·····?」
調査の結果、中には野良猫15匹、野良犬5匹、ネズミ24匹、黒いアイツが250匹、シロアリが数万匹、天使1体、その他色々が敷地内に居て、明らかに誰かが住んでいる痕跡があっ·····
·····うん?
「·····天使1体?」
うーん?
なんか空き家を転々としてる天使ってなんか心当たりがあるなぁ·····
「ミカちゃーん!!いるーー!?」
「んぅ····· ソフィちゃん?」
「やっぱり居た····· なんて偶然·····」
私がボロ屋に向けて声を掛けると、2階の窓からミカちゃんが眠そうに顔を覗かせ、外の明るさで顔を顰めていた。
「この土地私が買ったのー!!今から新しい家建てるから立ち退きしてー!!」
「ことわる」
「うわ出たよ立ち退かない地主····· いや不法占拠してるだけか、仕方ないなぁ、おーい!ミカちゃん専用の寝床作るから出てってよー!」
「んぅー····· 仕方ない····· みんな、外行くよ」
ミカちゃんが指示を出すと、なんと家の中に居た生き物が全て外に出てきた。
Gがワサッと集団で出てきた時は流石の私でもゾワッとした、あとシロアリが木材からゾロゾロ出てきた時もゾワッとしたけど、野良犬や野良猫がワンワンニャーニャー言いながらミカちゃんを背に乗せて運び出してるのを見たらホッコリした。
「じゃあ早速解体するね、荷物の整理とかは終わってる?」
「ん、だいじょーぶ」
「了解〜、じゃあまずは『防音結界』」
この土地がある場所は町外れなので家と家の間隔が広くて、家を潰しても騒音被害とかは無いだろうけど念の為音を出さないようにしておいた。
「んじゃ本命、『分解』」
ゴゴゴゴゴッ·····
私が崩壊魔法の1つ『分解』を使うと、割と広めな敷地内に建っていた二階建ての木造建築がパーツごとに分解されて瓦礫の山になっていく。
この魔法は魔道具とかをバラしてパーツにするための魔法で、知恵の輪とかも一瞬でバラす事ができる優秀な魔法だ。
「よし解体完了っ!あとは····· 家はどうしよっかな」
「ん、ならこの子達のもお願い」
「えっ?」
『ワンっ!』
『にゃーお』
『チューチュー』
『カサカサ·····』
『·····』
「·····わかったわかった!作る!作るけどまずは人の家が優先だからね!!」
「ん、ありがと」
空き家を寝床にしていた先住民たちが文句を言ってきたので、私は仕方なく無駄に広い土地の一角に動物や虫専用の家も建てることにした。
その前に·····
「まずは人の家からかな、よし頑張ろっと!!」
◇
ぶっちゃけ言おう、私は建築なんぞできない。
正確には耐震性や耐火性や建築構造的に良い家を設計することができない。
もし設計図さえあればあとは簡単に家くらい建てられるけど、この家を建てるのが難しいのだ。
あと家を建てるなんて前世でも今世でも経験は無い、いやゲームの中でなら家を建てたことはあるけど耐震性もクソも無い豆腐建築くらいしか作った事が無い。
「·····さて、アカシックレコードよ私に力を貸して」
こういう時は万能ウルトラ辞書のアカシックレコード大先生に頼むのが1番だ。
まず家のデザインはこの世界の雰囲気から浮かないように前世のヨーロッパ系の古い町にありそうなシンプルだけどオシャレな家にモダン要素をちょっと加えた感じのデータをかき集め、それを解析してそれっぽい建物を作り出してみた。
で、そこから気に入らない場所とか必要な部分とかを付け足したりして、すぐに満足がいく家が完成してしまった。
「ホログラム3Dモデル表示」
ヴォンッ
「んー、ここにコレを足してこうやって·····あとはコレをこうすれば·····」
完成したそれをホログラムで表示して実寸大にすると、大きくしたら気がついた足りない所とか、オシャレになりそうな装飾を付け足して行く。
もちろん建築した時に壊れる原因にならないギリギリの範囲を選んでいる。
「外装はこんなもんかな····· あとは内装かぁ、まずは居住区でグラちゃん用の部屋とお風呂とリビングとディメンションルームから繋がる部屋とあとはキッチンとかボイラー室とか····· よしOK!あとパーティホームになる予定だし偽の執務室的なのと応接間とか必要なのをちょちょいと加えて····· あとロマンをちょっと入れれば·····」
外見が完成したので次は内装を作って行く。
まず必要なのはグラちゃんが住むための家だからグラちゃん専用の部屋や魔法の研究室と一応生活に必須な設備も組み込んで、あとここは私たち『なかよし組』のパーティホーム····· 言い難いしギルドホームにしとこ、ギルドホームとして使うから応接室や普段私たちが居るって感じの部屋も作っておく。
そんであとはロマンで庭にプールを作ってみたり、地下に秘密基地を作ったり、ケッテンクラートと新しく設計してる魔動車のガレージの増築とか色々やって設計図が完成した。
「よーし!次は建築っ!!」
◇
まず家を建てる前にやるべき事が残っている。
「草刈りしなきゃなぁ·····『マジックブレード』、『サイコキネシス』」
ザシュッ!!
私の土地は雑草が生え放題になっていたので、それを魔力のブレードでまとめてスパッと切ってしまい、更にサイコキネシスで浮かして1ヶ所に纏めて置いた。
「じゃあ次は根っこよ引っこ抜けろ!!」
ズポッ
雑草は根っこがあるとまた生えて酷いことになるので、なるべく根っこが無くなるように片っ端から引っこ抜いておく。
そして根っこは地面に置いておくとまた地面に潜って生えてくる可能性もあるので可哀想だけど燃やしておくが、一部の薬草だったり可愛い花が咲く雑草だけは根まで引っこ抜いて花壇予定地に行ってもらった。
「さて、次は地盤工事っと·····確かこの辺りって段丘堆積物だっけ」
この辺りの地盤は段丘堆積物というタイプの地質で、川底や海底だった場所が地殻変動などで水がなくなってできた場所だ。
まぁ地質については詳しくないし、こっちの世界の地質については詳しく調べた訳じゃなくて前世の場所と照らし合わせて推測しただけだ。
推測だけで地盤改良とかやるのは危ないからちゃんと調査したところ、表面の土の層は物凄く厚いという訳でもなく、数メートル掘れば岩盤があるような感じだった。
そんで岩盤は西の山が玄武岩だったから多分玄武岩で間違いないだろう。
「って事は割と頑丈じゃん、じゃあ早速家の土台作っちゃおっと」
まずは3Dモデルのデザインの通りに魔力強化鉄筋コンクリートで土台を作り、岩盤まで到達するコンクリート製の杭を何本も打ち込んでしっかり固定する。
これで地震とか洪水で家が動く心配はなくなった。
続いて家本体の作成だけど、ここの材料をどうしようか一瞬悩んだけど、いいことを思いついた。
「世界樹つかっちゃおっと」
私はディメンションルームの庭で暇な時に世界樹さんが落とした巨大な枝を拾い集めて材木にしてたから世界樹の木材は大量にあるし、この木材は下手な鉄筋コンクリートなんかより圧倒的に耐久力があるから長持ちもするし、リラックス効果とか色々あるから使わない手はないだろう。
「んじゃ出てこい世界樹っ!」
インベントリから貯めまくった世界樹の丸太を出しまくって、それを設計図のパーツ通りにスパスパと加工して行く。
·····のだが、流石に1人だと厳しくなってきた。
「いでよ私5,6,7番!」
『『『建築するぞー!!』』』
私はインベントリから私の死体を取り出して、『ソフィの石』を魂の器の部分に接続して蘇らせた。
ついでに私が複数人居るのを見られるとヤバいので、私の見た目をバラバラな種族に変えておく。
5はエルフ、6はダークエルフ、7は龍人って感じで肌と髪と目の色や体の形が変わるので一目見ても私ってバレなくなったはずだ。
「私5は私と一緒に建築!6と7はインベントリから世界樹を引っ張り出して図面通りに加工!報酬は揚げドーナツ!」
『『あいあいさー!!』』
いくらコピーされて自我もあるようなないような状態の私とはいえ、報酬がなくてはやる気も出ない。
まぁ報酬が無くても私をコピーした私っぽいロボット的なモノだから良いし、なんならウナ&ウェアちゃんの仕組みを真似て全ての私が私という高度な事をやってるから、返事とか全て自作自演だけどそこら辺は気分だ。
·····えっ?
つまり私同士で会話したりするのは自作自演何じゃないかって?
そうだよ?
一応自我を持たせる事も出来るけど、そうすると文句言ってきたり反逆される可能性もあるからやってないんだ☆
この辺はまだ確立してないから随時変えてるけど、一貫して反乱を起こさないような工夫はしている。
まぁいつまでもこんな話してたら時間が足りなくなっちゃうから、そろそろ家を建ててしまおう。
「よーし!さっさと建てちゃうぞーっ☆」
『『おー!!』』
そして私4人による爆速建築が始まった。
◇
そしてすぐに終わった。
そりゃ私4人全員で魔法を使ったら3時間もあったら完成しちゃうよね。
「あとは内装だよー!!家具作ってどんどん配置していこー!!」
『『おーー!』』
今度は内装や家具をその場で作ったり、インベントリから取り出して内装を作って行く。
そうそう、分裂した私に対していい表現が思いついたよっ☆
この分裂した私の状況は自立行動をする影分身って感じだよ!
私の死体····· まぁ生きてるけど死んでる体に私の魂である『ソフィの石』を接続する事で記憶等を挿入、あたかも分裂したかのように行動出来るようにしてあるって感じだ。
うん、分かんなくてもいいよ!
私もよくわかんないから!!
「あ゛いだっ!?」
「ごめんっ!ちょっとそこ危ないよ!」
あーもう!私6が置いたばかりのタンスに足の小指ぶつけてる!!
爪が剥がれて血が出てたから即刻治癒魔法で治してたけど、ゾワッとしたわ·····
「みんな安全に注意!」
『『了解!』』
そして私たちはキャーキャー騒ぎながらもたった1時間で内装を完成させてしまった。
◇
内装を作り終えた私たちは家の外に出てくると、メインの私がサブの私たちに指示を出しはじめた。
「じゃあ次は完全分業!私は庭全体のデザインするから、5は野良犬と野良猫とネズミを綺麗に洗って!病原菌とか怪我があったら魔法で治癒!」
「了解っ!みんなこっちきてー!」
私5には元々住んでいた住人たちを綺麗にする担当に任命した。
「私6は犬猫ネズミ用の家を建てて!虫はいい感じの森に逃がしてあげて!家に関しては制限なし!贅沢に!」
「任された!」
私6には先住民たちの新たな家を作ってもらうことにした。
ちなみに野良犬の中になんかフェンリルが混ざってたと5から報告が来たので野良軍団のリーダーに任命するよう伝えた。
「私7は裏のプールとかそこら辺を作って!」
「あいあいさー!!」
そして私たちはバラバラだけど一気に家の周囲を作り始めた。
◇
結局グラちゃんの家兼ギルドホームが完成したのは日が暮れてからだった。
そしてディメンションルームで料理をしていた私1から4、建築担当だった私5から7も作業を終わらせていたので私の大好物の揚げドーナツを大盤振る舞いして、ギルドホームの中で食べて貰って、今は全員メインの私に戻ってもらって体はインベントリに収納した。
「あー頭痛い·····」
私たちのリンクを解除したら、全員の記憶が一気になだれ込んできたので少し頭が痛くなってしまった。
まぁ大半はアカシックレコードに記録してるから大丈夫だけど、同時に7人の分裂してた時間分の記憶が入ってきた時は頭が割れるかと思った。
「何にせよ出来たからいいや、あとは結界とかを張って帰ろっと」
私は最終仕上げで家に強力な結界とかの防犯システムを組み込み、来客者用にインターホンとかも設置して、ついでに家の外の様子を見れる用の監視カメラ魔法とかも設置した。
そしてら夢中になっちゃって夕食の時間になったので私はディメンションルームへと帰った。
名前:ソフィ・シュティン
ひと言コメント
「分裂状態の私を説明する言葉が思いつかないんだよね····· 全員私で自我はあるけど自我は無い····· うーん、もうよくわかんないけど私がリンクしてる時は全員私になってるってことで!!」
名前:ミカちゃん
ひと言コメント
「ん、ねごごちサイコー·····」




