土地を買おうっ!
【2日12日】
魔法競技大会から帰ってきた私たちは、今日は学校が休みとなっていたが、グラちゃんを除く私たちは忙しなく動き回っていた。
というのも、明日はグラちゃんの誕生日なので誕生日パーティーやプレゼントの準備で大忙しなのだ。
「ぬわぁぁぁあ!!忙しいっっ!!こうなりゃ最終手段!!蘇れ私たちよっ!!」
「呼ばれて飛びててソフィちゃーんっ!!」
「びっくりドッキリソフィちゃん参上っ☆」
「出てこいと言われたら!」
「出てくるのが世の情け」
「なーんてなっ☆」
「はい注目っ!!明日はグラちゃんの誕生日っ!私は土地の購入をしてくるからその間に私1と2は料理!私3と4は会場のセッティング!私5は遊撃隊的な感じ!」
「「「「「了解っ!!」」」」」
流石は私、テキトーな指示でも意味がちゃんと伝わって行動を始めてるわ。
実はあの後私の分身たちはちょっと調整をしていて、私が私に反抗心を抱かないように擬似魂魄を入れる時に脳みそに小細工を加えてアカシックレコード経由で思考や記憶を本体の私とリンクさせて、あたかも私が増えて分業をしているようになるようにしてある。
簡潔に言うと、本物の私の脳みそ1つでは全員分処理出来ないから、情報処理能力もあるアカシックレコードで纏めて処理してる感じだ。
「んじゃ行ってくるぅ!!」
「「「「「行ってらっしゃーい!!」」」」」
私は私たちとのリンクが切れるとマズイのでディメンションルームに居る私にゲートを開け続けてある特殊なアクセサリーを持たせる事で、メインの私が離れていても行動ができるようにして、メインの私は卒業後のグラちゃんの住処兼なかよし組のギルドホーム的な家を立てるための土地を探しに街へと向かった。
◇
さて、私は不動産屋さんに来ているんだけど、ちょっと困った事が起きていた。
「ソフィ様でしたらこちら等はいかがでしょうか?」
「うーん····· どっちかと言うと魔法学校に近くて静かな川沿いの土地がいいんだけど····· あと空き地」
「いえいえ!Sランク冒険者のソフィ様ですから!一等地でなくては!!」
さっきから不動産屋のお偉いさんがずーっと高級住宅街を勧めてくるのだ。
最初は普通に普通の人が対応してくれてたんだけど、途中で私ってバレて偉い人が出てきちゃったのだ。
1番大きい不動産屋だったらいい土地があると思ってたけど、間違いだったかもしれない。
「うーん····· いい土地無いのでまた今度という事で」
「おっ、お待ちをっ!この物件はいかがでしょうか!?豪邸付きで·····」
「防犯の関係で自分で建てたいので····· お世話になりました、チップはここに置いてきますね」
私は雑にチップを置いて不動産屋から出ていった。
◇
「あ゛ーーーーーーーーーー····· Sランク冒険者辞退しよっかなぁ·····」
私は寮近くの憩いの小川の土手にあるベンチに腰掛けチャイを片手に独りごちた。
あの後3軒くらい不動産屋を巡ったけど、私の望む土地は見つからないというか高級住宅街を勧めて気やがった。
·····ちなみに今飲んでるチャイティー、例えるならインドのチャイティーしかなくてそう呼んでるんだけど、正しくはミルクティーに香辛料を加えたサークレット王国の伝統的な飲み物の『テャーイ』だ。
ダンジョンからスパイスが沢山取れるし日本よろしくお茶の栽培も盛んだから、何故か普及してるのよね。
校長先生が広めたらしいから名前もほぼそのまんまだし·····
「はー美味しい····· うーん····· この沢の近くにいい感じの空き地か空き家とか無いかなぁ·····」
私はベンチの背もたれで思い切り体を反らしてグチグチ言ってると、ふと目に上下逆さまになった住宅街の一軒の家が飛び込んできた。
「·····ん?小さい不動産屋さん?」
そこにあったのは、小さく『土地あります』とだけ書かれた看板があるお店らしき民家だった。
「よし、行ってみるか!」
私はその小さな不動産屋に行ってみることにした。
◇
カランコロンッ
「お邪魔しまーす·····」
「はいはいちょっと待ってね」
お店に入ると古き良きドアベルの音が鳴り響いて、奥から店主さんらしきお爺ちゃんの声が聞こえてきた。
「お待たせしましたっと····· おや?魔法学校の学生さんかね?」
「あっ、はい!えっと、この辺りで少し広いけど静かで表の川に近い土地ってありますか?」
「ちょっと待ってね、確かこの辺りに·····」
私が要望を言うと、お爺ちゃん店主は物件情報が書かれた紙を漁り始めた。
それにしても、なんかすっごい落ち着く部屋だ。
さっきまでの不動産屋とは大違いな、個人経営の下町の不動産屋って感じがして私は好きだ。
それに私を見ても動揺してないのは、私の事を知らないのか知ってても構わす接客してくれる人なのか·····
まぁどちらにせよ有難いわ。
「何個か見繕ってみたよ、学生さんにはちょっと厳しい価格のもあるけど大丈夫かい?」
「大丈夫です!こう見えてお金持ちなので!」
「ほほう、最近の若者は凄いねぇ·····」
いや、それ私だけです·····
出版関係とかその他諸々の利益で既に総資産が数十億あるし、魔結晶とか星核合金を売ったら兆単位で稼げると思います·····
インフレし過ぎだって?だって校長先生がお米渡す度に億単位でお金くれるんだもん·····
仕方ないよねっ☆
「ふんふん····· こことか良さげかなぁ·····」
「ここかい?ここなら魔法学校からも近いから通いやすいんじゃないかな、魔法学校の寮ともそんな離れてないはずだよ」
「あっホントだB寮の近くだ」
お爺ちゃんが見せてきた物件情報の中に、割と高めだけど私の理想をほぼ完璧に叶えた最強の物件があった。
B寮からも近く、川沿いで、土地もそこそこ広く、大通りから少し離れた場所で周囲に民家が少なく静かという好立地だ。
強いて欠点を言えば、空きボロ屋が立っていて解体する必要があるって事かな?
お値段は1000万円、そりゃ一軒家の土地を丸ごと買おうとしてるから高くて当然だけど、高級住宅街では無いからそんなに高くない。
「じゃあここでお願いします」
「はいよ、じゃあローンとか建築費はどうするかい?解体するならそれも掛かるけど·····」
「全部自分でやります、あと一括で」
「·····ん?」
「一括払いでお願いします」
\ドンジャラッ!!/
そう言うと私は机の上にドンッと貨幣の入った袋を置いた。
中身は1枚100万円の貴族とかが使う白金製の硬貨が15枚入っていたはずだ。
「ちょっと多いですけど白金硬貨13枚、つまり1300万円分あります」
「か、確認させてもらうよ····· 本物じゃねぇか·····」
「もっちろんです!ちょっとガッツリ変えちゃうんで多めに入れときましたけど、良いですか?」
「1000万でも結構強気な値段だったんだけどな····· 良いよ君の好きにしなさい、土地の利権書を持ってくるから少し待ちなさい」
「はーい」
大金を渡したら話がトントン拍子で進んでいってしまって、今日のうちに土地が手に入りそうだった。
これに関してはありがたい、私が本気を出せば家なんて1時間もあれば建てられるからねっ☆
最初は土地を買ったってグラちゃんに伝えて、少しずつ建築して行く予定だったんだけどこれだったら実物を渡せそうだわ。
「お待たせ、これが利権書とか申請書とかだよ」
「ありがとうございます!じゃあ早速記入しちゃいますっ!」
「分からなかったら言ってくれれば手伝うよ」
そして私は早速利権書とかの書類に必要事項を爆速で記入していった。
◇
「ここが私たちの新たな活動拠点になるのか·····」
利権書や契約書などを書き終えた私は、早速我が物になった土地の前にやってきていた。
私の土地をみた第一印象を言うと、廃墟だ。
まず草はまだ冬だから枯れてるけど生え放題伸び放題、古い家は木造で風雨に晒されてボロボロで今にも幽霊が出そうって感じだ。
「はぁ····· 腕がなるなぁ····· よし!頑張ろっと!!」
こうして私の建築計画が始まった。
名前:ソフィ・シュティン
ひと言コメント
「いい感じの土地が手に入って嬉しいけど、ここに今日中に家を建てるとなると····· よっし気合い入れよっと!」




