勇名ノ証石
国王様との謁見と談話が終わった私たちは、王城の客間で休憩していた。
そしたら校長先生が私に話しかけて来た。
「ソフィちゃん、Sランク冒険者の証を出して」
「えっ?あの変な石コロですか?」
「ええ、アレは『勇名ノ証石』と呼ばれる希少な半魔道具よ」
「へぇ·····」
私はインベントリから謎の石コロと一緒に貰った巻物みたいなのを取り出して机の上に広げた。
巻物は普通にSランク冒険者に任命するっていう証明書と、謎の石コロこと『勇名ノ証石』と呼ばれる石の使い方が書いてある説明書と、Sランク冒険者の規定とかが書かれた紙等が入っていた。
「その石は所持する者の魔力を込める事で、その者の望むモノ、望んだ事、信念等を示した形になるわ」
「へぇ、なんかカッコイイ·····」
ただの火成岩系の玉砂利みたいな石が変形ねぇ·····
まぁ特に何も考えずとりあえず魔力を込めるのやってみよっかな。
「ちなみに私のはコレよ、こんな感じに変形して色も変わるわ」
「うわすっご」
先輩Sランク冒険者の校長先生が見せてきたのは、なんと言うか女神像とか戦乙女像的な感じの美しいペンダントトップが特徴的なペンダントだった。
「私のは『元の世界への帰還』『元の世界との決別』『この世界で生きて行く覚悟』『魔法』などね、全ては言えないけどこんな感じよ」
「ほへぇ····· 私だったらどうなるんだろ?」
「早速やってみなさい、やり方はそれを両手で包んで本気で魔力を込めるのよ」
「了解です!じゃあ·····『次元断裂結界』」
私はまず絶対に魔力が漏れないように、私の周囲だけに本気で結界を張った。
何せ私の本気の魔力が少しでも漏れたら、この辺りの魔力密度が上がりすぎて色々ヤバくなるからだ。
具体的に言うと、魔道具の稼働効率が上がりすぎて爆発したりするけど、その説明は今やる必要はないだろう。
「よしっ、じゃあ早速やってみます」
「頑張るのよ」
私は『勇名ノ証石』を両手で包むように持つと、それに本気で魔力を流し込み始めた。
「魔力流路『ソフィの石』に直結、放流開始っ!!」
カッッッ!!!
「わひゃんっ!?」
びびびっびっびビックリしたわ!!
魔力を流し込み始めた瞬間マグネシウムに火を付けたみたいに爆発的に輝きだすのは卑怯だよ!!
「こなくそがー!!」
腹が立った私は、本気でコイツを壊す気で魔力を流し込み始めた。
さっきまでは億単位で許してたが、単位を変えて兆単位で一気に流し込み始める。
そしたら光の量が更に酷い事になるが、不思議と目は痛くならない。
でもクソ眩しい。
「いい加減収まれやゴルァー!!!持ってけドロボー!100兆だっ!!」
もう激おこプンプン丸になった私は全力全開で魔力を100兆くらいブチ込むと、拡大していた光が逆に集束して行き、最終的には手の中に収まってしまった。
「·····そろそろいいかな?」
「何やってるのよホント····· 私の時でさえほんのり光るくらいだったのよ?何よその光の量·····」
えっ?そうなの?
いや確かに物凄い光が出てたからおかしいとは思ってたけどさ?
そりゃ兆単位の魔力を込めたらこうなって当然か。
とりあえず光も収まったし、手を開けて見てみよっかな。
「おーぷんっ!」
手を開くとそこにあったのは·····
◇
「·····何これ?」
「機械チックな感じね」
うーん、何とも説明しにくいモノが出てきた·····
例えるなら『ガラス球に閉じ込められた歯車などの機械で構成された太陽系の模型』?
いや、なんか見覚えあるぞこの形·····
「わかったトゥールビヨンだ」
「何それ?」
「超高級時計の駆動部に使われるパーツの事です、ふへぇ·····カッコイイ·····」
その形を改めて例えるなら·····
太陽系を模したトゥールビヨン
色は基本的に金属製(材質不明)
中心部には恒星の如く青白く輝く星
その星を環のような形の歯車が幾重にも覆う
それらが未知の動力源により別々に動き、トゥールビヨンのようにクルクルと動く
外縁部を青白い光の軌跡が何本も行き交い、SFチックな印象となっている
時計の針のような♂と♀を合わせたような形の装飾がある
そしてそのトゥールビヨン部分を覆う頑強な球状の結界と、そこから繋がるネックレスチェーン
全体の大きさは直径5cm程で小さいし精巧な部品の集まりなので遠くから見るとよく分からないただの玉見えるだろうが、放出される魔力がブラックホールの周囲を覆う降着円盤のように渦巻いていてその存在感は非常に強い。
「これは·····凄い·····」
「複雑だけど精巧に造られてるわね····· こんなしっかりしてて動く証なんて見た事ないわ」
へぇ、意外と凄いモノだったんだこれ。
でもなんか、動き回ってたら歯車がズレてグチャグチャになりそう·····
「おりゃぁぁああっ!!」
ブンブンブンブンブンブンブンブン!!
「だりゃっせーい!!」
バギャッ!!
「ちょっと!?ソフィちゃんそんなことしたら壊れるわよ!?このテーブル1千万はするわよ!?」
「えっそっちの心配····· って高ぇ!?!?!」
私はSランク冒険者証のチェーンを持ってブンブン振り回し、1千万円もするテーブルに展開した結界に向けて思い切り叩き付けた。
その結果·····
「うっわ、グッチャグチャだ」
「言わんこっちゃないわ·····」
精密機械っぽい歯車で構成された証の中身はもう原型が残らないくらいグッチャグチャになっていた。
で、直そうにも継ぎ目のない結界ガラスに守られてるから直せそうもない。
なんかもったいない事したなぁ·····
「·····ん?これもしかして」
私は冒険者証に魔力を流してみると、なんと中身の歯車がひとりでに動き出し元の形に戻ってしまった。
「面白いわねそれ」
「ふんっ!」
ゴギャアッ!!
「ちょっ!?」
「戻れっ」
カチャカチャカチャっ·····
うわこれ修復されてくの面白い。
「もう1度っぐえっ!!?」
「いい加減にしなさい!!それ物凄い貴重品なのよ!?」
「た、たしかに、これ高いテーブルですもんね·····」
「違うわよ!そっちの勇名ノ証石よ!!Sランク冒険者は世界に約100人しかいない、つまりソレは100個しか無い貴重品なのよ!?」
「むぅ····· 殴らなくても·····」
「殴られる程度で済んで良かったわね?」
「へーい·····」
まぁ流石に遊びすぎたけど、こうして元通りになるって分かって安心した。
「にしても、なんでこんな形に·····」
まぁ何となくわかる。
トゥールビヨンは私が何個も現代の機械や兵器を模した魔法を作ったりしてるからだろう。
♂と♀の装飾は私がTSした事
明らかにオーバーテクノロジーな見た目なのは異なる世界から来たこと
太陽系を模しているのは私が元の世界に戻ろうとしているから
星があるのは私が星に関する事を色々やってるから
って感じかな?
「いいね、気に入った!」
「あとソフィちゃん、使い方はわかるかしら?」
「使い方?」
「ええ、それは魔力を流す事でSランク冒険者ということを示す特有の魔力波を放つわ、その時に特殊なエフェクトを放つと思うわ」
「へぇ、じゃあ試してみよっと」
冒険者証に魔力を流すと、トゥールビヨンの動きがどんどん早くなって中央の恒星が輝きだして魔力を放ち始めた。
うん、確かに魔力がなんか特殊な感じがするわ。
「出来てるわね、Sランク冒険者と示す時にはそうやるのよ」
「へぇ····· なんかカッコイイ」
私は自分の身分を示すSランク冒険者証を見てニヤニヤしていると、部屋に衛兵さんが入ってきた。
「お待たせしました、城外までご案内致します」
「ソフィちゃん、それと皆も行くわよ」
『『はーい』』
そして相変わらず私は冒険者証を見てニヤニヤしながら私たちは城の外へと出ていった。
名前:ソフィ・シュティン
年齢:12歳
ひと言コメント
「なかなかカッコイイ証になってよかった!自分だけのデザインってなんかいいよね!!」
名前:なかよし組
平均年齢:12歳
ひと言コメント
アルム
「高そうな予感·····」
フィーロ
「いいなぁ、僕も欲しいなぁ·····」
グラちゃん
「私はお姉様の証を小さい頃に見て憧れたわ····· ソフィが羨ましいわ」
ウナちゃん
「ソフィちゃんらしくて可愛いくてかっこいい!」
エビちゃん
「·····これ、古代魔族の遊び道具じゃよな魔王城でちょいちょい落ちておったのじゃ、確か今も細々と作られておるんじゃが、魔力を込めると形が変わるっていうヤツと似てるのじゃが·····?」




