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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第3章 TS賢者はアイを知るっ!?
189/234

前へと進め!我らなかよし組っ!


 ばるんっ

  ばるんっ

 ばるんっ!


 広い平野にあるコースの上を、1人の少女が色々弾ませながら高速で駆け抜けていた。


「あー!痛いっ!!」


 彼女は悲鳴を上げているが、特に妨害の攻撃によって傷を負った訳では無い。

 走る度に胸にぶら下がる凶器が揺れ動いて痛いらしいのだ。


 生憎私にはそんな胸は無いからわかないんけどね!あっはっはっ!!


 ·····あとで削ぐ。


 なんて悪態をついていたら、アルムちゃんが第6走者の元へとやってきた。



「ガヴェインせんぱーい!!タスキ受け取ってー!\ガッ/きゃっ!!?」


「あっ!」



 タスキを渡す直前でアルムちゃんがバランスを崩して転倒、前から地面に向けて倒れ·····


 ボヨーン


 なかった?


「あっ····· どうぞ」


「ど、どうも·····」



 なんと転んだアルムちゃんは胸がクッションどころか反発材になって、元通りに起き上がってしまったのだ。

 そしてなんか気まずくなったのか、そっとタスキを渡したらアルムちゃんは何処かへ去ってしまった。


 ·····あの乳、バランスボールでも詰めてんのかな。





「よし、いっちょ走るか!·····って走りにくいな!!」


 第6走者のガヴェイン先輩は砂浜コースを駆け抜け、巨大な岩山を超える必要があるエビちゃんにそのタスキを渡す必要がある。


 ただし砂浜は走りにくく、海からは海水が飛んでくるので通り抜けるのはそう簡単には行かない。



「うおっ!危ねぇ!!」



 砂浜を駆け抜けるガヴェイン先輩目掛けて高波や強力な水鉄砲が飛んでくるが、先輩はそれを紙一重で回避しながら砂浜を爆走して行ったが、慣れない砂浜の上を走るのは厳しかったようでそこそこ短距離なのにも関わらず第7走者にタスキが渡るのには1時間半も掛かってしまった。



「すまねぇ!思ったより砂がサラサラで力が入んなかった!」


「別に良いのじゃ、ここでワシが一気に追い上げるのじゃ」





「むきー!!ツノが邪魔なのじゃー!!」


 ガヴェイン先輩が渡したタスキは、垂直に聳え立つ高度1500mはあろうかと言う巨大な岩山を登るという最難関区間を走る第7走者のエビちゃんがたしかに受け取って、肩からかけようとして角に引っかかってイライラしていた。


 や〜い下手くそ〜



「チッ、まぁ良い!行くのじゃ!!」


『頑張れ魔族の嬢ちゃん!!』

『落ちるなよー!!』


「うむ!がんばるのじゃ!!」



 珍しい魔族の学生という事と、盛り上がりポイントという事で観客が沢山いたので、エビちゃんに対して沢山の声援が飛ばされてエビちゃんは調子に乗っているようだ。

 よく見たら周囲に魔族も沢山居るから、エビちゃんが活躍してるのを見たい魔族にいい所を見せたいんじゃないかな?



「見ておれー!一気に行くぞ!吹っ飛ばされんよう気を付けるのじゃっ!!」



 ズッドォォォオオオン!!



『『うわあああああっ!!?』』


 エビちゃんがミカちゃんの再来かと錯覚するような音速超えのロケットスタートをすると、音速に届かないものの新幹線越えの速度で走りあっという間に巨大な岩山に到着してしまった。


 そしてロケットスタートの様子を間近で見ていた観客のうち、構えていなかった者はどこかへ吹っ飛ばされてしまったが、エビちゃんはそんなことはつゆ知らず、早速ロッククライミングの準備を開始していた。



「ふむ····· 中々大変そうじゃの」


「えっ、もう到着ですか!?すいませんまだ落下保護の魔法が構築できてないんです!可能であれば少し待っていただくか、自己責任で登っていただくしか·····」


「構わぬ、ワシは飛べるし()()()のじゃ」


「·····は?」


 巨大な岩壁の前に立ったエビちゃんの元へスタッフの人が近付いてきて、まだ救護システムが万全では無い事を告げた。


 しかしエビちゃんにはそんなものは無用だ。


 何せ彼女は世界最強の魔王が転生し、前世より強くなった正真正銘世界最強の魔王·····

 いや、魔神王なのだから!!


「のう、校長1つルールを聞いても良いか?」


「·····私はカメラマンよ、話しかけないで頂戴」


「1回のジャンプで上まで行くのはセーフか?」


「·····飛行魔法を使わないのなら問題ないわ、あと岩山を迂回したり破壊してトンネルを作るのもルール違反で即失格よ」


「では構わんのじゃな?言質はとったのじゃ」



 そう言うと、エビちゃんは膝を折り曲げて上を向き、より禍々しくなった翼と尻尾を出して空中での姿勢制御を向上させた。



「皆少し離れとくのじゃ、飛んできた石で怪我をするぞ?」


「·····はぁ、岩山は壊さないで欲しいわ、貴女と戦った時の名残りだけれど何故か観光名所になってるのよ」

「·····やはりのぅ、なんか見覚えあると思ったのじゃ」



 え、あのクソデカい岩山、魔王との戦争の時からあるの!?

 地質学的に不自然だったし、あの規模の岩山を出せるの校長先生くらいしか知らなかったからそうだとは思ってたけど·····


 そんな因縁の場所を、エビちゃんはひとっ飛びで飛びこそうとしていた。



「では行くのじゃ!!耳を塞げ!!」



 ドッガアァァァアアァァァァアアアアンンン!!



 エビちゃんの忠告で校長先生を含むスタッフ達がエビちゃんの周囲から離れ、それを確認したエビちゃんは貯めていた力を一気に解放!


 まるで打ち上げられたミサイルが如き勢いで岩山の山頂目掛けて飛び出した。



 あっという間に、たったひとっ飛びで1500m····· いや3000m近く飛び上がったエビちゃんは、見事に岩山の天辺へと着地した。



「ふむ?中々良い長めなのじゃ、そんでコレが登頂の証明ってヤツか」

「それを下の係員に渡しなさい、それでOKよ」


「·····お主はしれっと着いてきとるんじゃな」

「えぇ、中継するのが仕事だもの」


「その割にはミカのダッシュには追いつけておらんかったようじゃがのぅ、吹っ飛ばされておったし」

「·····貴女、ここから突き落とすわよ?」


「おー怖い怖い、ワシは大人しく観光してから降りるとするのじゃ」

 

 山頂で校長先生と罵り合いをしたり軽く眺めを楽しんだエビちゃんは、そこに置かれていた登りきった事を証明する魔石を1つ掴んで、岩山を降り始めた。


 私は前世でも今世でもよく登山をしているのでわかるが、登山は登る時よりも降りる時の方が危険だ。

 それもこう言った垂直な崖とかだと尚更危険だ。


 1500mの崖から落ちて無事な人間なんかいるはずが無い、なのでここは時間をかけて、魔法で足場を作りながら降りるのが正解だ。


 飛び降りた奴が居たら私はソイツにとびきりのアホと賞賛してやる。



 そして早速とびきりのアホが現れた。



「落下注意か····· 危険と言われたらやるしかないのじゃ!ひゃっほーーう!!」


「あっ、結局自分で飛び降りたわね、·····やると思ったわ」



 エビちゃんは人間ではない、それどころか魔神王という前代未聞の魔王を超えた魔王だ。

 多分大気圏から頭から落としても死なないと思う。

 特にエビちゃんはギャグ補正率が高いから犬〇家するだけで済むだろう。


 だからこの程度平気、というか普通に降りては時間が掛かるのでエビちゃんにとってはこっちの方が早いのだ。




 /ひゅるるるるるるっ·····\


 ド ォ ン ッ!!



「魔族の·····娘?どうしてもうここに·····」


「ゴチャゴチャ言わずに着地地点の整備をしろ!!そこクレーター出来てるぞ!!·····ん?」


「ふむ、この程度なら問題ないのじゃ、ところでそこのスタッフよ、コレは誰に渡せば良いのじゃ?」


「お、おぅ·····」


 空から堕ちてきた上弦のさ·····魔族の娘ことエビちゃんは、有り得ない現象を見て固まったスタッフに山頂で取った証明用の魔石を示して誰に渡せばいいか尋ねていた。



 その後、係員の人がきて魔石を確認して、ちゃんと登山した事が認められた。



 まぁその後は本気を出したのか音速を超えた速度でぶっ飛び、第8走者の元までやってきた。



「では頼むのじゃ、荒野の道も恋路もがんばるのじゃぞ!」


「ううううるさいっ!!」





 第8走者はフィーロ君だが、彼は走るのはそこまで早いわけじゃない。

 ましてや荒野なんていう歩きにくい場所を走るのは苦手なはずだ。


 だが彼は自信満々にこの位置を選んだのだ。


 きっと何か秘策があるに違いない。


「道がないなら作ればいい!『マジックエミュレータ:マギ・レールガン』!!」



 ズドゴォォオオオオオオン!!



「うわっは!?」


 おもわず声が漏れたわ。

 フィーロ君も中々エグい事をするなぁ·····


 彼はなんとマギ・レールガンで地面を抉り飛ばして歩きやすい直線道路を作りあげてしまった。


 しかし、フィーロ君が射撃した方向には人が居るというか交代のポイントに向けて発射していた。


「やーっばい!!曲がれ!!」


 このままでは死人が出ると察知した私は、ポイントに着弾する直前で弾丸を上に逸らして事なきを得た。


 ·····まぁ、弾丸は極わずかに上向きに飛んでいて、私が曲げなくても人には直接の被害が出ない高さになるようになっていたけど、多分爆風とかで転んだり大怪我をする人は多数出ていただろう。

 いや、よく見たら結界も弾丸が通過する直前にしっかり張ってたから大丈夫そうだわ。



 でもこれは後でフィーロ君を怒んなきゃな·····

 マギ・レールガンは使い方を誤ったら本当に危険な魔法だから、自由に使えるとなるとかなり危ない。


 いくら好き(暫定)な人とはいえ、流石に危険すぎるから許せないかな·····


 多分彼は私が見ているのを知っていて、危険があれば弾丸を逸らしてくれる、守ってくれると思っていたのだろう。


 フィーロ君はそこら辺を利用するのは上手だけど、今回はちょーっと怒んなきゃいけないなぁ·····




 その後、フィーロ君は綺麗な直線道路を駆け抜けてあっさりと荒野ゾーンを攻略して第9走者へのタスキを繋げた。


 ちなみに彼は通った後の道をフカフカの土で埋めるという嫌がらせを行っていたから、彼の本心は意外とドSなのかもしれない。

 まぁ私が同じ状況に立たされたら、フカフカの土の中に鋭い鉄や石やガラスの破片を混ぜて、しかも一部は水を含ませて泥にするから、フィーロ君がやった事まだまだお子ちゃまの遊びだけどね☆





「はぁっ、はあっ、グラちゃん、これを、ソフィちゃんに、届けて!」


「受け取ったわ、任せなさい!」


 そして走り続けたフィーロ君の持つタスキはとうとう第9走者のグラちゃんへと渡った。


 ちなみに他チームはやっと王都へとやってきて抜け始めたくらいだから、私たちのチームはイカれてる速さだ。



 そしてグラちゃんはタスキを身につけると、早速泥濘地帯に突入した。


 グラちゃんはアレでも一応高貴な貴族の家出身で、泥に汚れるような地帯に行くのは苦手なはずなのだが、彼女は真っ先にここに立候補した。



 まぁ十中八九得意な川渡りメインなんだろうけど、このレンコン畑みたいな泥沼地帯を頑張って泥だらけで進んでるのを見たいなぁ·····



 なんて考えは一瞬で否定された。



「凍りなさい『アイス・エイジ』!」


 カキンッ!!


「大いなる氷よ動け『グラシア』」



 なんとグラちゃんは早速泥濘地帯を凍らせてしまい、完全に凍って固まった泥の上に立つと氷を動かしてスイスイと泥の上を汚れること無く華麗に通り抜けて行った。


 まぁ流石に泥濘地帯の全てを凍らせるのは厳しかったのか、直線上の広範囲に渡って表面から50cm程を凍らせただけで全部は凍ってない。

 そのため泥の中に潜って妨害しようとしていたスタッフは閉じ込められることなく範囲外から抜け出す事に成功していた。


 でも泥から出たスタッフがガタガタ震えながら火魔法で暖をとってたのを見ると、多分グラちゃんの魔法のせいで泥の温度は物凄く下がっているのだろう。

 元々2月だから相当冷たいだろうしね。


「楽勝ね、·····危なっ!」


 そして慢心していたグラちゃん目掛けて遠くから泥が魔法で飛んできたが、グラちゃんはそれを氷魔法のドームを生み出す事で防いだ。


 これで鉄壁の布陣が完成したのか、グラちゃんは氷の中で川に到着まで暫し休憩をしていた。


 ·····ちっ☆

 あとちょっとだったのに。



「これが川ね····· 流れが穏やかで助かったわ」



 その後はのんびりと泥濘地帯を進み、暫くするとようやく川に到着した。

 ただ、川幅は河口付近のため物凄く広くてなんと1km近くもある。


 だがグラちゃんはそんな事は気にせず、普通に平地を歩くかのように土手から河川敷へ、河川敷から川へと足を踏み出し·····



 パキッ!

 パキャーン!



「やっぱり水の上を凍らせて歩くのは楽しいわね」



 グラちゃんは足元の水を凍らせて、その上を駆け足で通り抜けて行った。


 当選のことながら水を掛けられたりウォーターボールを当てられたりと妨害を受けるが、絶対零度の氷姫に水如きが勝てる訳もなく、為す術もなくすべて凍らせられてしまった。


 しかもお邪魔スタッフは船に乗っていたが、グラちゃんが歩く時に現れる特大の雪の結晶のような氷の足場に巻き込まれて身動きが取れなくなっていた。



 そしてグラちゃんはあっという間に川を渡りきり、川の流れと同じ方向に、私の方に向けて方向を転換して走ってきた。


「おっ?肉眼で見えてきた!」



 走っているグラちゃんの姿と、それを追う飛行カメラマンこと校長先生の姿が遠くに見え始めてきた。


 なので私は千里眼を解除して、海の上を渡るための準備をしながらタスキが届くのを待ち始めた。



 ちなみに届いたのは10分後で、普通に準備が終わって暇してたところにやって来た。



「ソフィ、このタスキを貴女に託すわ、思いっきり走りなさい!」


「もっちろん!任せて!!」



 最終走者の第10走者は、私ことソフィ・シュティンだ。


 そして幅30kmの湾を渡りきるという前代未聞の難関に私は挑むため、私は最後の準備を始めた。



名前:ソフィ・シュティン

ひと言コメント

「さーて、いっちょ本気だしますか!!」


名前:ガヴェイン

ひと言コメント

「うわっ!?靴の中から物凄い量の砂出てきやがった!なんだこれヤベェ!!」


名前:エビちゃん

ひと言コメント

「ワシはタスキを渡した後は暇じゃったから岩山に戻ってスタッフに頼んで岩山の上で寛いでたのじゃ、中々良かったのじゃ」


名前:フィーロ

ひと言コメント

「きっと怒られるだろうなぁ····· でも僕も絶対に誰も傷付けないようにしてたんだよ?」


名前:グラちゃん

ひと言コメント

「泥濘地帯の氷の上で優雅に紅茶を飲むのは中々良かったわ、でもソフィから早くしろと怒られたわ」


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