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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第3章 TS賢者はアイを知るっ!?
188/228

走れ!走れ!走れ!


【建国1225年2月9日 6時28分】


 今日はこの大会の最後の種目『魔法リレー』のある日だ。


 そして選手はバトンタッチを行う場所に行くため朝早く·····午前2時に移動を開始して、午前6時半のスタートに備えることになっていた。

 まぁ私は呼び寄せたケッテンクラートで快適に移動していたからぐっすり眠れたけど、他の選手の疲労は中々な物だろう。

 現に周囲には仮眠を取ってる選手が地面に転がっててなかなか酷い光景が広がってる。



「さて、そろそろスタートかな····· ミカちゃん大丈夫かな」


 他の選手がバトンタッチに備えて仮眠を取ってる中で、私はケッテンクラートの後部座席にクッションを敷いてのんびりと『千里眼』を使って観戦していた。





 さて実況は私ソフィ・シュティンでお送りします。


 まず第1走者はやる気の無い寝坊助天使のミカちゃんで、学校指定の運動服に身を包んで珍しく軽い準備体操をしていた。



『では間もなくスタートとなります、選手はスタート位置についてください』


 おっと、どうやら選手紹介も終わってリレーが始まるようだ。

 ミカちゃんはスタート位置の端っこに立つと、クラウチングスタートの姿勢を取った。


 そして背中から光の翼を展開して魔力の出力を高めていた。


 あれ絶対クラウチングスタートじゃなくてロケットスタートするつもりだ。

 あまりの魔力量に周囲の人全員ビビってるし。



『ではこの魔法が炸裂した瞬間スタートとなります!位置について!よーい!』



 パンッ!

 バァァァァァァアアァァァァアアアンッッ!!!



『『ぎゃあぁぁぁああっ!!?』』


「みョ゜っ!?」


 うっわやば!


 ミカちゃんヤバいわ、スタートして数歩で音速超えてる!?


 てか音が大きくてビックリして変な声でたわ!


 そして衝撃波で他の選手が面白いくらいぶっ飛ばされて出遅れているし、少し遅れて私のいる場所まで爆音が響いて来ててヤバかった。


 その間にもミカちゃんは加速し続け、音速を超えた証拠のベイパーコーンを纏いなからマッハ3を超えて飛ぶように移動していた。


 1歩の歩幅が100m近いとんでもない駆け足で移動してるから、大体70歩で次の走者の所まで行けるだろう。


 それでいて地面になんの痕跡も無く、足音さえ響かせず走っているのは地面に結界を展開して足場にながら走ってるからだろう。

 じゃなきゃあの速度ではマトモに踏み込みも出来ないはずだ。



〜5秒後〜



「ブレーキ」


 ズガガガガガガガッ!!!



 ミカちゃんはたった10秒ほどで第2走者の所までやってきてしまった。


 だけど秒速約1kmはさすがに早すぎたのか1km手前でブレーキをかけて減速し初め、交代直前で何とか常識の範疇くらいの速度になった。



 だがミカちゃんが走った後は酷いことになってて、両足でブレーキを掛けた所は地面が抉れて歩きにくそうな事になっていた。


 あれ後続の人大変だろうなぁ·····


 あと妨害で魔法を撃ち込むはずだった人達が風圧で吹き飛んでひっくり返ったりキョトンとしてるわ。



「ん、まかせた、がんば」


「ミカエルは早すぎでしてよ?まぁ遅すぎるよりはマシですわ、あとは任せなさい!」


「おやすみー」



 7kmをたった10秒で駆け抜けたミカちゃんは第2走者のパイル先輩にバトンタッチすると、いい感じの場所を見つけて結界を展開して寝てしまった。





「行きますわよ!!だりゃぁぁああ!!」


 バトンを受け取ったパイル先輩がかなりの速度で駆け出した。


 パイル先輩に関してはもう小細工ナシの本気の身体能力で突っ走っている。

 時速は30km程度だけど、私のキノコの拳も貸しているから疲れ知らずで突っ走れるだろう。


 そして今回は速度が常識の範疇なのでちゃんと妨害を受けながら走っている。


「ふんっ!どりゃっ!うぉりゃぁぁああ!!」


 ドゴォ!



 妨害は足元を狙った物や水球を当てて動きにくくしたり植物魔法で絡め取ったりと嫌がらせに近いものがあったり、石の槍だったり火球だったりと、当たったら怪我するような物まで撃ち込まれていた。


 だけど流石はキノコ神拳を修めた者だけある。


 速度の遅い魔法では彼女は止まらず、ひょいひょいと身軽に避けながら突き進んでいった。



 そして4.5kmほど進むと、観客が1番多くなる王都の衛星都市の横を通過し始めた。


 このエリアは観客がトップクラスに集まる場所で見せ場と呼ばれているエリアだ。

 しかしパイル先輩の早すぎる到着に観客も困惑しているのか、声援は少なめだったような気がする。



「世界新記録を目指しますわよー!もっと歓声を上げなさーい!!」


『『うおおおおー!!』』



 歓声が少なくてムッとしたパイル先輩は観客を煽って、その歓声で加速してゴールまでダッシュして行った。


 約15分後、当然の如く1位でパイル先輩は第3キュルキャピ☆のショア先輩にタスキを渡した。




「ギーク!これを託すわ!」


「ギークじゃないよ?ショアだからね、それじゃあとはティンクルピンクに任せてね☆」





「いっくよー☆キュルキャピっ!!」


 当然の如くぶっちぎりの1位でバトンタッチ·····?タスキタッチ?された第3走者のショア先輩は、キュルキャピ状態で駆け出した。


 キュルキャピ(へんしん)状態になったショア先輩のステータスは爆発的に向上し、正にキャピピカのような速度で動く事が出来るのだ!!


 推定時速は70km、ミカちゃんに比べると亀のような速度だが人間が出せないような速度で·····

 いやこの世界の人なら普通にこの速度で走る人もいるらしいけど、それでもごく一部の人しか出せないようなスピードで森へと駆け込んで行った。



 ショア先輩が入った森の中は迷路のように複雑に木や植物が入り組んでいて、お邪魔役として最大でCランク級の魔物が放ってあるらしい。

 ·····それ大丈夫なの?って思うけど、冒険者が取り囲んで追い払ってるから大丈夫だそうだ。


 そして選手は何処から襲ってくるか分からない魔物から隠れて逃げながら、この森の中を音を立てないよう駆け抜けて行く必要がある。



「はっ☆とりゃっ☆よいしょー☆」


 だがキュルキャピ☆ティンクルピンクにはそんな事は関係ない。

 彼女は木の幹を蹴ってまるで忍者のような動きで森の中を派手にキュルキャピして行く。


 もちろんその音で森の中に居る魔物に勘づかれるが、ショア先輩はそれをキュルキャピ☆魔法で撃ち落として、なんとたった15分で駆け抜けてしまった。



「じゃあタスキをキュルキャピ☆するよー!頑張ってねウナちゃん!」


「ま、まかせて····· えへへ、頑張るよ!!」



 タスキはたったの2時間以内で既にスタート地点から20km近く離れた場所にいる第4走者のウナちゃんへと渡ってしまった。


 ちなみに2番目のチームは案の定『エンシェンオースト魔法学園チーム』だったけど、第2走者がなんとか道の半分までやってきた感じだ。





「じゃあ頑張るよ!·····ふぅ」


 タスキを受け取ったウナちゃんの体に白と黒の光がまとわりついた。

 そして顔つきも普段の温厚でほにゃっとした顔から、どこか狂気を帯びた凶悪な笑みへと変わった。


 アレは凶暴というか、凶悪とか狂暴って言った方が合うかもしれない。

 現にあの顔つきになったウナちゃんは、普段は鶏を〆て肉にするのも嫌がるのに、平気で獲物の首とか掻き切れてるし·····

 それもあの子の二面性の現れなのかもしれない。


 そんな恐ろしい顔になったウナちゃんは、その見た目に似つかわしくない閃光の如き勢いで駆け出した。



「うははっ!はやい!!」



 ウナちゃんは物凄い勢いで王都の西口から街の中へと突っ込んで行った。



 王都の中は見事に区画整理されていて通りやすく、コースも大通りなので比較的通りやすい·····

 が、今日はお邪魔役で人がごった返している中を通る必要がある。


 基本的には一般人だけれど、選手に脚をかけて転ばせようとするお邪魔役のスタッフが紛れているのには気を付ける必要がある。



「そろーり·····ぴょんぴょんっ!」



 しかしそこは不可視のウナちゃんと言うべきか、王都に入っても誰にも気が付かれずに人混みの頭上を駆け抜けて行った。


 そう、ウナちゃんは文字通り人混みの()()を走っているのだ。

 人混みで普通の道は歩きにくいが、人の頭の上を伝って行けば人混みは逆に快適な道へと変貌する。


 これは誰にも気が付かれないウナちゃんの特性と体重の軽さが無ければ決して出来なかっただろう。

 もちろん踏み台になった人は踏まれた事にさえ気が付かず、突然頭が痛くなったように感じただろう。


「そろそろ····· まがるっ!」


 そして東に向けて走っていた方向を南に90度曲げて、王城正門前の大通りに入ると人混みが減った道を最高速度でアルムちゃんに向けて突っ走った。


 このあとは王都正門前でリレーの見せ場となる王族や貴族の前でのバトンタッチだ。


 ·····が、ここはお上品に走る必要のあるエリアだ。


 なりふり構わず走ればNot Elegant。

 その学校の評価を下げる事に繋がるため、基本的に優雅にゆっくり走るか歩く必要があるのだが·····



「おじーちゃーん!!きたよー!!」


『むっ!?ウナか!?いや早くね!?』

「もうきたよー!!」



 ウナちゃんはなんと全力疾走を続けながらしかも国王様の方に顔を向け笑顔で手をブンブン振りながら通過した。


「君、止まりなさい」


 当然近衛兵が止めようとするが·····


「·····あれ、その顔、·····いえ、そのお顔はぁ!?」

『そのまま通しなさい、これは国王命令だ』

「っっっ!?」


 近衛兵長らしき人物はウナちゃんの顔と髪を見た途端に直径の王族だと気がついたようで、顔が引きつっていた。


『愛しい孫娘だ、構わぬ』

「は、はぁ····· あっ、これは失礼いたしました!!ウナ様、どうぞお通り下さいませ!!」


「えへへ、ありがとー!!アルムちゃーん!!タスキ受け取ってー!!」


「うん!·····なんていうか、早くない?」


「ミカちゃんがすっごく早かったんだって!わたしはショア先輩から聞いた!」


「へー····· まぁいいや!ワタシは走るの遅いから頑張る!」


「頑張ってね!ばいばーい!!·····おーい、おじーちゃーん!わたし頑張ったよー!!ほめてほめてー!」



「うりゃりゃりゃー!!走るよー!!」



 そしてタスキを受け取ったアルムちゃんは王都の外に向けて、タスキを渡したウナちゃんはお爺ちゃんことこの国の国王様の元へと走って向かった。


 ·····身分隠してるはずなんだけど、大丈夫なのかなぁ。

 あっ、校長先生の豆知識コーナー来た、なになに?これも国王様の策略で、王族の直系の匂わせをしておきたいって?


 ·····なるほど。

 私、転生先ソフィ・シュテインでマジでよかったわ。





 その頃、アルムちゃんはというと·····


「はあっ!はぁっ!じゃまっ!おっぱいがめっちゃ邪魔ぁ!!」


 バルンッバルンッ!



 それはまるで飛び跳ねるスライムのようであった。


 アルムちゃんが1歩踏み出す度に巨大なメロンが派手に揺れ、邪魔するはずのスタッフや通行人が男女関係なくその動きに思わず目を疑い、邪魔するのも忘れて見入ってしまった。



 そして本来なら抜けるのが大変なはずな王都の大通りをアルムちゃんは愚痴をギャーギャー叫びながらすんなり抜けてしまった。



「はぁ·····はぁ····· やっと出れた!これで本気出せる!『ステッピングストーンズ』っ!」



 そして王都の外に出てきたアルムちゃんは、地面から六角柱状の石の柱を生み出す大地魔法を連続で発動し、その石柱が飛び出す勢いで胸も身体も弾ませながら、第6走者の元へと飛び跳ねて向かった。



名前:ソフィ・シュティン

ひと言コメント

「みんなも大概ヤバいけど、ミカちゃんが特にヤバいわ····· マッハ3で走るとか完全にやり過ぎでしょ」


名前:ミカちゃん

ひと言コメント

「はやくねたかったから、ちょっとホンキ出した」


名前:パイル先輩

ひと言コメント

「お邪魔と言ったからもっと凄いのを想像してましたわ、拍子抜けですわね」


名前:ショア先輩(元ギーク先輩)

ひと言コメント

「途中に強い魔物さんがいたけどキュルキャピ☆にしちゃったよー☆」


名前:ウナちゃん

ひと言コメント

「わたしはみんなに会う前は人にほとんど気が付かれない体質だったんだ····· たまにお母さんもお父さんも気がついてくれなくて····· でもお爺ちゃんだけは絶対気が付いてくれたの!だからおじいちゃん大好きなんだ!えへへ·····」


名前:アルム

ひと言コメント

「おっぱいが大きすぎて邪魔っていったらソフィちゃんとエビちゃんに物凄い怖い目で睨まれちゃったんだよね····· でもほんと邪魔·····」


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