魔法決闘 決勝戦
〜同日午後〜
『お待たせしました!最終試合は『マグウェル魔法学校チーム』VS『エンシェンオースト魔法学園チーム』の対決です!』
「やっと出番だ·····」
とうとう決勝戦が始まった。
相手は当然の如く勇者候補さんがいる『エンシェンオースト魔法学園』だった。
そして最終試合のステージにやって来ると、相手チームのキャプテンである勇者候補さんが挨拶しにきた。
「やあ、また会ったね」
「おっ、ええと····· フィーロ君この人の名前なんだっけ?」
「確かクリュサオルさんだよ」
「あはは、ごめんね覚えにくい名前で」
「いえいえ、エビちゃんの本名よりマシですよ」
「なんじゃと!?エヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシスじゃぞ!?簡単なのじゃ!!」
「いや難しいから·····」
流石フィーロ君、よく覚えてるなぁ·····
「クリュサオルさん、今回も手加減しないのでお互い頑張りましょう」
「もちろんだ、ウチのチームは皆鍛えてるからね一勝くらいは出来たらいいなとは思ってるよ」
「あー·····ガヴェイン先輩ならワンチャンあるかも?」
ガヴェイン先輩は確かに強いけど、魔法も剣術もCランク冒険者くらいだ。
しかも剣術特化型だから相手によっては負けるかもしれない。
·····いや、分からない。
向こうの手札をこっちはあんまり知らないけど、向こうは観察してたみたいだから対策も立ててるだろう。
でも私達の実力はまだ出し切ってない、だから対策されようとも負ける事は無いはずっ!!
◇
そして第1試合はガウェイン先輩VS文系っぽい魔法使いの女の子だった。
「へぇ、ペンを使うんだ」
「あぁ、彼女はペンを使って魔法を具現化する珍しいスキルの持ち主だ」
「ペンは剣よりも強し·····か」
「·····なにそれ?」
「文字通りだな」
何故か私は待機スペースでクリュサオルさんと雑談しているが、そんな事よりもガヴェイン先輩がペンを使ってる子にボロクソにやられている。
空中に書いた線にガヴェイン先輩の剣が触れると、まるで鋼鉄の棒にでも当たったかのように火花が散り、完全に受け止められてしまっていた。
更に空に描かれる線は魔法陣を構築するとそこから魔法が発射され、さらに術式を文章で書き込み放つなど、圧倒的な技量を見せつけていた。
「ぐあっ!」
「こんなものですか?拍子抜けですね·····」
「·····あの人、もっと後半で出すべきでは?」
「だって一勝くらいしたいだろ?」
「あぁー·····」
そしてガヴェイン先輩はペンの子に終始圧倒されてしまい、負けてしまった。
今大会初の黒星だ。
「くっ····· 負けちった····· すまねぇ·····」
「先輩ドンマイです!あの人普通に強かったから気にしなくてもいいよ」
「あぁ·····」
「では次はアタクシね、頑張るわ」
◇
今度はキノコ神拳を習得したパイル先輩の番だ。
彼女はもうキノコの拳を身につけていない。
自分の実力を知りたいとの事で、自力で挑むようだ。
その結果は惜敗だったけど一片の悔いも無さそうな顔をしていた。
というか対戦相手の相性が悪かった、だって空に浮いて魔法を撃ってくるタイプの魔法使いだったんだもん。
でもその攻撃を拳で打ち返して反撃したり、発勁みたいなのを飛ばして攻撃していたし結構命中はしていてダメージはあったっぽい。
ほぼ引き分けだけど、先に膝をついたのはパイル先輩だった感じだ。
「いい戦いでしたわ、これからは魔法ももっと鍛えますわ、願わくば勝負抜きで戦いたい所でしたわ」
「あぁ、こっちもまさか格闘技で撃ち落とされるとは思いもしなかった、私も鍛えるとしよう、·····そして私も同感だ、この後1戦交えないか?」
「「·····よし!勝負抜きでもう1戦やるぞ(ですわ!)」」
そしてパイル先輩は対戦相手と握手をして、場外で親睦を深めた。
◇
で、次は元ギーク先輩のショア先輩の対戦だけど、うん、一方的にボコボコにして勝ってた。
というのも·····
「あぐっ!」
「どうしたの?キュルピカ☆になっちゃうよ?」
何故か対戦相手の女の子が一切攻撃をせず、一方的に耐え続けて居たからだ。
しかもステータスを覗き見したけど特に『ダメージを蓄積して反撃する』みたいなのは無かった。
「はぁ、はぁ····· 推しに殴られるの、サイコー·····」
「·····は?」
「うわガチの人だ、ガチ勢だ·····」
「はぁ····· はぁ·····♡ それに、推しを、傷付けるなんて、出来ないっ!」
どうやら変態だけどガチのファンだったらしい。
こうなるのが分かってたなら順番を変えればいいと思ったけど、それは彼女が頑なに断ったそうだ。
その結果相手選手はショア先輩に一切攻撃できずにボロ負けしたが、彼女の顔はとても満足そうだった。
◇
そしてとうとう『なかよし組』の番になった。
先陣を切ったのは我らがフィーロ君で、対戦相手はかなり魔法が上手そうなタレ目に涙ボクロで巨乳が特徴的な魔術師さんだ。
果たして魔術師さんより能力が劣るフィーロ君は、とっさの閃きと技能で勝てるだろうか?
「よろしくお願いします」
「ええ、·····うふっ♡ 中々可愛い子じゃない·····お持ち帰りしたいわぁ」
「ひっ!?」
「やっばい!!妖怪ショタ喰いお姉さんだっ!!」
「うちのショーラ····· チームメイトに酷い言いようだな、まぁ、事実そうなんだが·····」
「エ゛」
「やめるように言ってるんだがな·····」
ヤバいアレは妖怪ショタ喰いだ!!
私のフィーロ君がNTRされちゃう!!
「フィーロ君ぜっったい負けないで!!」
「う、うん!負けたらやばい!!」
「うふふふ·····♡」
『では試合初め!』
「燃え盛る我のイシよ現れて玉となれ『ファイアーボール』!」
「あら?その程度····· きゃっ!?」
「おっ!?すごっ!!」
フィーロ君はファイアーボールの詠唱中に『石魔法』を紛れ込ませて火の玉の中に石の弾丸を作り、それを同時に飛ばして攻撃していたのだ!
だが魔術師さんの足を狙って飛んだファイアーボールは、魔術師さんが張った魔法防御結界で阻まれて消滅してしまった。
しかしそれも想定内なのか中から赤熱した石が飛び出して足に直撃、火傷を負わせていた。
さっすがー!!
「ふふ、余計食べたくなっちゃった、どう?お姉さんとイイコトしない?」
「ふん、僕にはソフィちゃん·····達がいる!裏切る訳には行かないんだ!!」
「ヒューヒュー!男前ー!」
フィーロ君は12歳になってもまだまだショタっぽさが抜けなくて可愛いから食べたくなるのはわかる。
なんでもフィーロ君の家系には遠い先祖にドワーフ系の血が入ってるらしくて、フィーロ君はそれが濃いらしくあまり見た目が変わらないそうだ。
ちなみに、この世界には2通りのドワーフがいる。
男女共に毛むくじゃらで筋骨隆々なちっこいオッサンで鉱山での作業や製錬を専門的にやってる種族で、日本でのドワーフのイメージに近い『ドヴェルグ』
ドヴェルグとは真逆で毛はあまり生えず人間の子供っぽい見た目のまま成人してドヴェルグ程ではないが筋力はあり装飾や魔道具作成といった繊細な作業が得意な『ドワーフ』
フィーロ君は後者の『ドワーフ』の血が入ってるらしく弱々しい見た目に似つかわしくない筋力と魔力がある。
あといつまで経ってもショタっぽさが抜けないから成人しても可愛らしい青年って感じになると思う。
とか無駄な事を考えてたら、フィーロ君がピンチになっていた。
「ふふふ、早く逃げないと食べちゃうわよぉ?」
ドォン!ズガァン!
「うわっ!?わあっ!?」
フィーロ君はショタ食いお姉さんの魔法に狙われて紙一重で避けて·····
いやアレいたぶってるだけだわ。
いつでも倒せるけどフィーロ君を力尽きさせて食べちゃう気だわ。
「フィーロ君!出し惜しみ無しで!」
「分かってるって!·····先に言っておきます、僕のユニークスキル『マジックエミュレータ』は5回しか使えません、だから5回で決着を付けます!」
「へぇー?」
「マジックエミュレータ:マギレールガン!」
ズッドォォォオオン!!
「きゃっ!?·····外したわね?」
フィーロ君は早速1回目の『マジックエミュレータ』を使わずに攻撃していた。
「まだだ!マジックエミュレータ:爆光!」
カッ!!
「きゃんっ!?」
立て続けに2回目の魔法を発動、ショタ食いお姉さんの目をくらました。
「マジックエミュレータ:インフェルノ!」
ゴォォオオオオオ!!!
「やばいわっ!『ウォーターフォール』!」
ジュァァァアアアアアアッッ!!!
3度目の魔法、フィーロ君は青白く燃え盛る炎の玉を撃ち出した。
それをショタ食いお姉さんは水魔法で滝を呼び出して鎮火させていった。
しかしフィーロ君の火球も超高温なので物凄い量の水蒸気が発生して視界が悪くなった。
「マジックエミュレータ:フォグラビリンス!」
それをフィーロ君は4発目の魔法で増強した。
ちなみにフォグラビリンスは水魔法を火魔法で一気に加熱して水蒸気というか霧を発生させる魔法だ。
そして霧は一気に濃くなり、視界が最悪な状態になってしまった。
「視界が悪すぎるわね····· でも居場所が分からなくなるとでも思ったの?」
「そう来ると思ってたよ!マジックエミュレータ:霞隠れ!」
5回目の魔法、フィーロ君は霧に紛れる魔法を使って魔力反応さえ隠蔽してしまった。
「うふふ?これでキミのコピー魔法は使い終わっちゃったわね?例え霧の中でも私には初級魔法だけじゃ勝てないわよ?」
「·····」
魔法を5回使ったフィーロ君は霧の中からショタ食いお姉さんにマジックバレットを撃ち込むが、物理結界によって弾かれて効果が無かった。
マジックエミュレータが無くてもフィーロ君の無属性魔法は私直伝の銃魔法でかなり強化されてるけど、威力に限りはある。
·····が。
「勝ったな」
『『えっ?』』
ズダダダダダッ!
「弾丸を増やしても無駄よ?そこね」
ズドンッ!
「うわっ!?」
ショタ食いお姉さんは弾丸の軌道から位置を予想して魔法を撃ち込んで、フィーロ君はそれをギリギリで回避した。
だが集中を切らしたフィーロ君は魔法を解除してしまい、霧が晴れてきて姿を表してしまった。
「みぃつけた、早く逃げないと食べちゃうわよぉ?」
「くっ·····さすがは、·····:けっしょうのうで 前····· 勝てないかぁ·····」
「あら?逃げないのね、じゃあ遠慮なく頂くわ····· あれ?動けない?」
「掛かった!くらえマジックエミュレータ:『マギ・レールガン』!」
「えっ!?6回目!?ぎゃんっ!!」
ドッパァァアアン!!
2度目のマジックエミュレータが発動して、人に向けちゃいけない魔法『マギ・レールガン』がショタ食いお姉さんに直撃、爆散して光になって散っていった。
そして場外で身体が元に戻った事でショタ食いお姉さんの負けが決定した。
「·····何があったのかしら?」
「えっとね、僕はさっきまで1回も『マジックエミュレータ』を使ってなかったんだ」
「でも言ってたじゃない!」
「言ってたよ?魔法としてじゃなくて言葉だけ」
「·····は?」
そう、フィーロ君はマジックエミュレータを使って無かったのだ。
例えばインフェルノは別にフィーロ君でも普通に使える『半化学魔法』で、実は火球に酸素を送り込んで火力を上げているだけの普通の魔法だし、『霞隠れ』なんて魔法存在しないただの嘘っぱちだ。
そんで魔法を使う前にマジックエミュレータと意味もなく叫ぶ事で使ったと誤認させていたのだ。
で、油断した所で『結晶の腕』と呼ばれる透明な白い腕を生み出して相手を掴んで拘束する魔法を会話に混ぜて発動した。
ちなみに、実は『結晶の腕』は無言で発動した『マジックエミュレータ』のコピー魔法だったりする。
そもそもマジックエミュレータは無詠唱も発動できるんだけど、今回は騙すためにちゃんと発言してやってるらしい。
そんで結晶の腕は物凄く頑丈で透明な石英の腕なのだけれど、動きが遅いから避けられやすい。
だから視認性の悪い霧の中に隠しながらこっそり近付いて掴み、本物の『マジックエミュレータ』を発動して一撃でトドメを刺したという訳だ。
「フィーロ君お疲れ様!さっすが閃きの天才!」
「えへへ·····照れるなぁ·····」
「いいわね····· ねぇキミ、お姉さんの所に来ない?イロイロ教えてあげるわよ?」
「あー····· ごめんなさい提案は嬉しいんですけど僕は行かないです」
「あらー····· なかなか良い子だったんだけどなぁ····· 気が向いたら来てもいいのよ?」
「·····ごめんなさい」
「あら〜〜·····」
あの妖怪ショタ食いお姉さん、まだ諦めて無かったのか·····
◇
お次はアルムちゃんの番だ。
·····けど、アルムちゃんの戦法は思ったより堅実で見てて暇になる感じだった。
「いくよ!『マルチプルフォートレス』ッ!!」
ギュォオアアアッ!
カキュンッ!
「閉じこもった·····?」
アルムちゃんは試合開始と同時に身体の周囲を大地属性魔法でドーム状の多重の装甲を作って閉じこもった。
『ふっふっふ、これで攻撃は通用しないよ!』
「·····ファイアーボール」
『あっぢゃっぢゃっ!!?』
「あっ·····ヤバい」
アルムちゃんはアホだった。
そりゃ鋼鉄でできたドームなんだから火魔法を食らったら中が熱々になって当然だ。
『もうやめてー!こうさーん!!蒸し焼きになっちゃうぅぅううう!!!』
「·····ウォーターボール」
じゅぅぅぅううううう·····
アルムちゃんは熱を逃す魔法を覚えてなかったため熱々になって即座に降参してしまい、対戦相手に冷やして貰っているという間抜けな姿を晒してしまった。
そしてドームが冷めてくると·····
「ぶはぁっ!!熱かった·····」
「·····今更で悪いが、ドームを解除すれば良かったのでは?」
「·····あっ」
サウナに入った後みたいに全身を汗だくにしてはぁはぁ言ってたアルムちゃんは、その事に気が付かなかったらしい。
やっぱりアルムちゃんはアホだった。
「なにやってんの····· やっぱりおっぱいに脳に回す栄養持ってかれたか·····」
◇
これで2勝3敗と私たちのチームは割とピンチになりかけていた。
というか2人くらい自分の行動が原因で負けてるからちゃんと引きしめて欲しいわ。
「やれやれね····· 私が行くわ」
「次はオレの番だな」
「あっ·····」
グラちゃんの相手は、なんかすっごい熱そうなゴリマッチョだった。
しかも見た目通り全身に高熱を纏って攻撃するタイプの人で、氷のプロであるグラちゃんの天敵のはずだ。
私の予想だけで済めばよかったんだけど、私の祈りは届かなかったようだ。
「くっ····· 『スノウストーム』!」
ヒュゴォォオオオ!!!
「ふははははっ!涼しいなァ!」
グラちゃんは攻撃というより防御や妨害に向いた能力だし、氷を溶かすような相手にはかなり相性が悪いようだ。
「仕方ないわ····· 『コキュートス』!」
「おっ?」
このままでは勝てないと悟ったのか、グラちゃんは本気を出してきた。
使ったのは相手の魂まで凍らせる極寒地獄の魔法だが、熱血漢の相手選手の足元を凍らせる程度にしかならなかった。
「これならどう!?『アブソリュート・ゼロ』!」
「うおおおお!寒い!寒いぞ!ふははは·····」
熱血漢さんはグラちゃんの必殺魔法、絶対零度(実は液体窒素くらいの温度)で相手を凍らせる魔法を使った。
そして·····
「『グラシアル・コラプス』ッ!!」
パリィン!!
彼女の名前が入ったもうひとつの必殺魔法、凍った物を崩壊させる魔法を使った。
すると凍りついた相手選手が粉々に砕け散ってしまった。
「勝ったわ····· はぁ疲れ」
「ふんっ!!」
「えっ?!戻った!?」
「ふははははっ!オレは炎!例え砕けたとしても炎のように元に戻るのだ!くらえ『インフェルノ』!」
「あああああ゛あ゛あ゛ッッッ!!」
「グラちゃんっ!!」
なんと凍って砕けていた熱血漢さんが溶けて炎になると元に戻って、逆にグラちゃんを燃やしてしまい、炎に包まれたまま倒れてしまった。
うわ·····
友達の悲鳴を聞くの辛い·····
って思っていたら、私の隣にグラちゃんが現れた。
「うっ·····ううぅ····· 痛い·····」
「大丈夫!?『アネステシア』!」
私はグラちゃんに鎮痛魔法を使って痛みを和らげてあげた。
怪我も無いし魔道具の効果で痛覚がかなり感じにくくなってるとはいえ、全身を焼かれた痛みは想像を絶するだろう。
その痛みは私も1度ケバブになった事があるからよくわかる。
現に、グラちゃんは辛そうにベンチに横たわって呻き続けていた。
「·····みんな、分かってるよね?もうこれ以上は負けられない、気を抜かないで」
「もちろん、わたしも本気出す」
「ん、おふざけは無し」
「お礼参りをするのじゃ」
その姿を見た私たちは、お遊びモードから本気モードに切り替わった。
◇
第7試合はウナちゃんだ。
当のウナちゃんは、いつもの気弱そうな顔はどこへやら、キリッとしたかなり本気な顔になっていた。
対する相手は普通な魔法使いっぽいが、私の鑑定によると光を屈折させられる魔法が使えるタイプの魔術師だ。
つまりウナちゃんには相性が悪い相手である。
「えいっ!」
「効かん!」
ギュオッ!
ウナちゃんの放った光線は対戦相手によって湾曲させられてしまい、当たることは無かった。
「こんなものか?」
「あんまりナメないで?グラちゃんに痛い思いをさせたの、許さないからね?」
「ウナちゃんを7番目に選んだのはそれだけじゃないんだよなぁ·····」
「はあぁぁぁぁぁ·····」
「来い、光でも闇でもねじ曲げてやる」
ウナちゃんはまるで祈るような姿勢になると、その両手に白と黒の光を纏って手の間で混ぜ合わせた。
きた!ウナちゃんの必殺魔法!
彼女が白黒魔法と呼んでいる合体魔法!
光闇の対消滅から生み出される魔力は『崩壊属性』を帯び、素粒子さえ崩壊させる凶悪な魔法となる!!
「ほんきのほんき!いっけー!!白黒ビーム!!」
「ふんっ!曲がっ」
ガオンッ!!
ウナちゃんの放った極太消滅レーザーは相手選手を直撃、一瞬で形状を崩壊させてしまった。
もちろんこの時点でウナちゃんの勝利は確定だ。
そして1番心配してた崩壊魔法による肉体消滅の問題だが、無事に復活出来ていたみたいで安心した。
◇
8番目はミカちゃんだ。
「ん、まけない」
「んじゃ!よろしくぅ!」
相手はミカちゃんとは真逆のお喋りそうな女子だったが、なんか凄そうな槍を持っていた。
「ミカエルちゃんは強力な結界を持ってたからな、あらゆる結界を破る神槍に選ばれた、2人目の勇者候補を当ててみたんだが····· どうなるか」
「いや、私のとこのミカちゃんは強いよ」
何やら相手もかなりすごい子を出してきたらしい。
たしかにあの槍からは、特に切っ先からはただならぬ気配を感じるけれど·····
『では初め!』
「まず初めに言うよ、私はキミの結界を破るためにこの一撃に全てを賭ける、本気で行くよ!」
「ん、おっけー」
ミカちゃんと槍使いの勇者候補さんは睨み合っていたが、しばらくすると動いた。
「貫け『GáeBolg』!!」
「ん、『絶対防壁』」
ギュリィィィイイイイイイイッ!!!
最強の矛と盾、その2つが激突した。
そして勝ったのは·····
「ヴっ·····」
「盾の方がつよい」
ミカちゃんの絶対防壁『アイギス』は絶対必中の神槍『GáeBolg』を押し返し、相手選手を石突き側から逆に貫いて更に結界面に押し付けると一撃で押し潰してしまった。
だが人は潰れて消えたがミカちゃんのアイギスによる押し潰しにも耐えて神槍はそのまま傷つかずに残ったのを見ると、アレは本当の神槍だったんだろう。
本物の神器って傷付かないらしいからね。
「いてて····· 負けちゃったかぁ、強いねキミ」
「ん、おねーさんも、強かった、普通じゃ、まもりきれないとおもう」
「お褒めに預かり光栄だねぇ、いやー!いい経験だった!もっと鍛えないとなぁ!」
まぁ勝ちは勝ちだからいいだろう。
彼女も満足してるみたいだし。
◇
「次はワシじゃな、一瞬で仕留める」
「させませんよ?」
9番目は魔王のエビちゃんVS聖女のセシリアさんの戦いだ。
『初めっ!』
「一撃で決着を付けるのじゃ、お主も全力を出せ!『魔神槍』!!」
「そうね、私も一撃で決めますわ!『光ノ神翼』!」
エビちゃんは言語化不可能な魔神魔法を使って恐ろしい気配のする漆黒の槍を、セシリアさんは昨日も見た、そして昨日より更に強く輝く光の翼を背中から出した。
「「行くぞっ!!」」
ヒュッ
ズッドォォォオオオオオォォォオオオオン!!!
「ヴぐァっ!?」
「い゛っ!?」
光の翼はエビちゃんの魔結晶のある位置を2枚同時に正確に穿ち、エビちゃんの槍はセシリアさんの心臓を貫いた。
そして先に消えたのは·····
『りょ、両者同時に消滅!引き分けです!!』
なんと引き分けだ。
「す、すまなかった、のじゃ····· くっ、ワシの、魔結晶が·····」
「大丈夫!?」
「このクソ魔導具が·····っ!ワシの魔結晶には、非対応、なのじゃ·····!!」
エビちゃんの体内を魔法で見ると、確かに魔結晶が4つに割れた状態になっていた。
そして活動も停止しているので、エビちゃんの魔王としての力は失われてしまっていた。
·····放置してたら、じきに体に不調が現れ衰弱死してしまうだろう。
「でもこれだったら直せる····· 『修繕』!」
「き゜っ!?いぎゃぁぁぁああっ!!」
私はそれを無理やり修繕魔法で直したが、痛みが伴っていたようだ。
「はぁ、結構痛かったのじゃ」
「·····平気なの?」
「うむ、この程度なら平気なのじゃ!おおっ、元に戻ったのじゃ!!ソフィよサンキュー!」
「はいはーい!じゃあ行ってきます!!」
『『がんばれー!!』』
◇
最終試合は私と勇者候補····· 勇者最有力候補のクリュサオルさんの対決だ。
今の試合の成績は4勝4敗1分、ここで勝った方の勝利だ。
「さてと、みんなを痛めつけてくれたお礼は、リーダーの私がちゃんとしないとですね」
「そっちも、オレのチームメンバーを容赦なく消し飛ばして来たからな、やり返してやる」
私とクリュサオルさんは一昨日も戦ったから、相手の戦法は少しは把握している。
『では最終試合を開始します!これに勝利したチームが優勝となります!』
『では初めっ!』
「最初から厄介な魔法を封印させてもらう!『Brave Realm』!」
クリュサオルさんは初手に魔法を封じる領域を展開してきた。
もちろんこれは想定内だ。
「そう来ると思ってましたよ」
「もうあのふざけた格闘技は効かないぞ?勇者は日々成長するからな」
「へぇ?でも成長するのは勇者だけじゃなくて賢者もなんですよ?『賢者姫』っ!!」
ブォォォオオン!
「なっ!?消された!?いや、押し返された!?」
「その魔法の弱点はもう把握してますよ?勇者特有の魔力で周囲の魔力を支配下に置く事で魔法を発動出来なくするんでしょう?」
「·····そうなのか?」
「えっ、知らなかったの!?·····まぁそういう仕組みなんで、私から不可侵の魔力をぶっぱなす事で効果を打ち消すんですよ」
そう、あの魔法の弱点は自分の中にある魔力は使えることなのだ。
つまり私から私の支配下に置いた魔力を超高密度で解き放つ事で、勇者の支配下に置かれた魔力を押し返すという方法なのだ。
「これで戦えますね·····ふふふ····· いくよ!!」
「掛かって来い!『Braver』!」
クリュサオルさんは自信に勇者化魔法を掛けて一気に自己強化を行った。
対する私は、彗星駆鎧を起動して左腕をブレード状にして突っ込んだ。
「うおおおおおっ!!切り裂かれろっ!」
「なんだその腕!!」
ギャリンッ!
私の左腕とクリュサオルさんの聖剣が激突し、火花を上げてお互いに弾かれた。
ほぉ?
崩壊魔法に耐えるか·····
「えいやっ!!」
「くそっ、もっとスピード上げるぞ!」
キキキキキキキンッ!!
「早っ!!『須臾』っ!」
流石に危機を感じたのかクリュサオルさんが一気に剣戟の速度を上げてきた。
私の素の力では追いつかなくなったので、時間を遅延させる須臾を発動して追いついた。
そしたら、物凄い勢いで速度を上げてきて、私はそれを追うように時流を遅くして切り合って行く。
「なかなかやるね!」
「?」
あっ、遅くしてるからマトモに会話できないや。
という訳で私とクリュサオルさんは無言で斬りあって行くが、埒が明かないので思い切り吹き飛ばして一気に決着を付けることにした。
「一撃で決着を付けましょ?本気の本気でやります」
「いいぜ、本気だ!『神剣化』!耐えてみろ!この一撃に!!」
クリュサオルさんは聖剣を覚醒させたのか物凄い神聖な気配がする光の巨大な剣に変形させた。
多分食らったら私でも真っ二つだ。
神、神か。
ならば私は科学と物理の力で勝って見せよう。
「『レールガン』起動、強制加速システム発動」
私が発動したのは、魔法による物だが理論は純粋な物理現象を用いた、本当の『電気誘導加速砲』だ。
それを『須臾』で超加速させる、6歳の時にやった亜光速攻撃の強化版だ。
「来い!全て断ち切ってみせる!」
「やれるもんならやってみろ!!『発射』!」
「神剣よ彼の者を断ち切れ!」
ドッッッ!!!!
私が弾丸を発射した瞬間、音が消えた。
あっ鼓膜が破れた訳じゃなくて弾丸の周囲の空気を一旦無くして弾道を宇宙まで真空状態にしたから音が無くなっただけだよ!
だが、クリュサオルさんの剣と私の放った亜光速の弾丸が激突する音が鳴り響き·····
なんと弾丸が切り裂かれてしまった。
だが切れた弾丸の勢いは殺せず、真っ二つにした所で関係なく直進した弾丸は直撃後に爆風と衝撃でクリュサオルさんを木っ端微塵にしてしまった。
「ぐあっ!!」
「いだぁあっ!!?」
だが私もノーダメージとは行かなかった。
太刀筋は逸れたが、クリュサオルさんの剣は私の左半身をバッサリ切ってしまった。
今度はいつかの時みたいに左腕だけでなく、左足や胴体やその中にある内臓まで完全に切断されてしまった事で、私も呆気なく死んでしまった。
『勝者は一瞬でしたがクリュサオル選手が先に復活したので····· ソフィ選手です!よって優勝は『マグウェル魔法学校チーム』です!!』
『『うぉぁぁぁあああああああああああ!!!!』』
「いっててて····· 結構痛いけど、素で殺られた時よりはマシかな?」
「それ分かるのソフィちゃんだけだからね?」
何はともあれ、魔法決闘は私たちの優勝となった。
名前:ソフィ・シュティン
ひと言コメント
「いやぁ私も痛みに慣れてきちゃったわ、ちなみに1番痛かったのはケバブになった時だよ!継続ダメージがヤバすぎる、目玉とか血液が沸騰する激痛はマジでヤバい」
名前:アルム
ひと言コメント
「うわぁ····· 蒸し焼きになる前に早めに降参しといてよかった····· それにしたってワタシはアホだったけど····· 反省会しなきゃなぁ·····」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「僕の対戦相手怖かった····· 何気に僕の人生で1番危なかったかも····· 貞操が」
名前:グラちゃん
ひと言コメント
「ソフィ、貴女、よく、この痛み、耐えられたわね····· めちゃくちゃ痛いわ·····」
名前:ウナちゃん
ひと言コメント
「骨折もすっごく痛いよー!あっ、わたしの白黒魔法は曲げられないよ!びゅーんって直進するんだ」
名前:エビちゃん
ひと言コメント
「ワシの魔結晶が砕ける痛みも中々なのじゃ、生きてたのが奇跡なのじゃ、普通なら死んでたのじゃ·····」
名前:ミカエル
ひと言コメント
「ん、わたしは痛いの嫌」




