魔法の威力を測っただけなのに
【建国1225年2月2日】
今日は魔法威力の競技の日だ。
といっても方式は昨日とほとんど変わらず、計測場がかなり離れた場所になって計測役の人とか審判とか観客も離れた位置で中継でやる感じだ。
そりゃ危険だから仕方ないね。
「私たちの順番は····· うわ最後かぁ」
「ホントだ1番最後になってる」
「昨日は1番最初だったのにね」
「絶対に昨日のアレのせいだわ」
「今日もがんばろー!」
「ふっふっふ、魔王と呼ばれたワシの実力を見せてやるのじゃ!」
「ん、がんばる、まけない」
あっ、最後になったの私たちが派手にやりすぎて盛り上がりが微妙になっちゃったからか、あと一発目で計測場がボロクソになったからだよね。
係の人とかが直すのが大変だったって言ってたわ。
〜待機中〜
うん、結局私たちの番が来たのは日が暮れ始めてからだったわ。
『では最後のチームを紹介します!Aブロックは昨日伝説的な記録を打ち立てた極東の魔法の聖地!サークレット王国『マグウェル魔法学校』チームです!』
『そしてBブロックは西方の魔法の本場と呼ばれ、昨日素晴らしい記録を打ち立てたソーサリー連合王国の『エンシェンオースト魔法学園チーム』です!』
ふーん?
相手は前世の世界地図で言うところのイギリスあたりの学生さんか·····
あのあたりって私の記憶が正しければすんごいレアな鉱物があったり、化石がものすごく沢山出るはず。
いつか行ってみたいなぁ·····
おっとそれより挨拶しなきゃ。
「遥々遠くからようこそ!そしてよろしくお願いします!お互いがんばりましょう!」
「そうですね、流石に貴女たちのような大記録は無理ですが、よろしくお願いします」
わぁお謙虚。
やっぱり隣国の傲慢なアイツらとは大違いだ。
というか私が挨拶したこの人、昨日すごい記録出した勇者候補の人じゃん。
なんて名前だっけ、忘れたけどすごい人だ。
ステータスを覗き見したら称号とスキルに『勇者候補』ってあったから、間違いなく強い。
あと各種ステータスもかなり高いから、今回最大のライバルになるだろう。
◇
それじゃ今回の結果を発表する·····前に!
この『魔法威力』の競技の計測方法を説明するよ!
なんかこの国って校長先生が持ってる絶対壊せないアイテムとやらに攻撃を加えて、それの反応を数値化して見る感じらしい。
あとは周囲への被害とかを見るそうだ。
そして挑戦は1回限定なので全力でやる必要がある。
まず最初にガウェイン先輩!
彼は私の貸した包丁を思い切り振って、斬撃が何か絶対に壊れない石っぽいヤツに直撃!
しかし本当に石が割れなかったけど、直線状に地面が真っ二つになって渓谷ができた。
数値は2万8000
続いてパイル先輩!
彼女は私が伝授したキノコ神拳を使って物凄い威力のキノコパンチを繰り出して地面にデカいクレーターを作ったけど、相変わらず石は割れなかった。
数値は5万4000
更にギーク先輩!
『キュルピカ☆ティンクルピンク』に変身した彼女は、必殺技の『キュルピカ☆バースト』を使ってとんでもない威力のキュルピカ☆を発生させた!
しかし石は割れない!どうやらめっちゃ硬いだけではないようだ。
数値は10万キュルキャピ。
·····キュルキャピ????
そんで次は我らがグラちゃん!
彼女は1粒の氷を空に飛ばすと、それが一気に大きくなって超巨大な氷塊となり地表に彗星の如き勢いで衝突、更に爆心地の周囲を凍てつく極寒地獄へと変えてしまった。
で、問題のアレは凍っていたけど傷1つ付いてなかった。
数値は15万
その次がアルムちゃんだ!
アルムちゃんは得意な『不安定化魔法』、魔法の発動をわざと失敗させて不安定な状態にする事で解放した時に物凄い爆発を起こす魔法を使い、なんかぐにゃぐにゃ動く鋼鉄の砲弾を射出、絶対に壊れない石に激突すると大爆発を起こした。
けど石は黒焦げになっただけで無傷で巨大クレーターの真ん中に落っこちていた。
数値は一気に上がって約30万
んで、ここから破壊力がエグい事になり始める。
まずはウナちゃんの番だ。
ウナちゃんは両手に白と黒の光を纏わせると身体の前で手を合わせて祈るような姿勢を取り、その手を前に突き出した。
すると前方に極太の白と黒のビームが出てきて、地面を抉りながら例の石に直撃!!
彼女の白黒魔法はマジでエグい、なんとあれ白黒魔法とか呼んでるけど正体は『崩壊魔法』だ。
つまりアレが触れた所はきれいさっぱり消滅しているのだ。
しかもあれって光と闇魔法の混合で発動してるから消費魔力がめっちゃ少ないんだよね。
そして強力なビームが通り抜けた跡には何も·····
うわ石残ってやがる。
·····ん?
なんかちょっと小さくなった?
数値は150万
まぁどうでもいや、お次はフィーロ君の番だ。
彼が使ったのはマジックエミュレータを使った私の改良後の『対消滅』で、半径15mの次元断裂結界の中に『対消滅爆弾』を呼び出して起爆する魔法だ。
仕組みは『アルミニウム』と反物質の『反アルミニウム』を真空中で浮かして保存、起爆する際はこのふたつをくっつけて対消滅を発生させる仕組みだ。
その際に発生するエネルギーは途方もなく、解放した状態だったらこの平野にバリンジャークレーターみたいなのができているだろう。
あと爆風でこの辺り一帯の町は尽く消し飛ぶ。
しかも改良版だから、放出される放射線をも中に閉じ込め、最後は除染魔法で綺麗さっぱり無かったことにするすんごい魔法だ。
そんなやべぇのをたった半径15mの球の中に閉じ込めるので結界の中はとんでもない事になっている。
具体的には、真っ白い光の珠になって10分くらいそのままだった。
そして光が消えると、また増えたクレーターの底にボロボロになったあの石があった。
対消滅に耐えるとかヤバくね?
でも数値は500万、インフレし始めた。
フィーロ君の次はミカちゃんだ。
ミカちゃんの攻撃は凄く単純だった。
絶対防壁の結界を多重展開し、両側からぶつけて挟み込んだだけだ。
しかしその威力は凄まじく、衝撃が強すぎて空間が捻れるほどの力があった。
ちなみに石はちょっと平たくなってた程度で、潰れない事にミカちゃんも驚いてた。
数値は1200万だった。
壊せなくて少しガッカリしてるミカちゃんに変わり、エビちゃんが出てきた。
「·····ふむ」
「ん?どうしたの?」
エビちゃんは魔法を使わずに近づくと、少し紫がかった黒い石ころを手に持ってジロジロと観察を始めた。
「·····やはりのぅ、そうじゃったか」
「おーい?なんかあったー?」
「·····魔神魔法『Zündung』」
エビちゃんが使ったのは謎の魔神魔法だったのだが·····
ぼぅっ
威力 0.0000000000000000000000·····
その数値は0だった。
まぁだって手のひらに乗ってる石が包まれる程度の紫の炎で炙っただけだし。
·····だけなんだけど
「·····なんか色変わって光り始めたんだけど?」
「·····」
なんか石が大きくなって禍々しく輝き出していた。
それをエビちゃんはじっと見つめていた。
·····ん?
威力 999999999999999999999999999999999999999999
威力 9999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999
威力 99999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999
数値が·····
数値が、なんかすんごい勢いで増えて·····ッ!!?
違う!!
さっきのは数値がゼロなんじゃない!!!
ゼロに最も近い値『∞』だったんだ!!!
\ピロンッ/
《メッセージを1件受信しました》
◇
件名:壊して
送信元:ガイア
宛先:ソフィ・シュテイン
本文
それ壊して
◇
·····ウルトラ鑑定!
《ウルトラ鑑定結果》
『復讐の魔神玉』
死した魔王が最後に遺した、己の魔結晶
攻撃を加えれば加えるほど復活する魔神が強くなる。
魔神魔法『Zündung』を受けると今まで吸収した魔法の魔力を変換し、本来の宿主へと還りその者を魔神へと覚醒させる。
「やばっ!?喰らえ本気の『収束型縮退砲』ッ!」
ギュィィィィィイイイイイインッッ!!
ズガァァァァアアァァアアァァァァアッッ!!!
焦った私は本気の一撃、『縮退砲』を一極集中して破壊力に特化させた集束バージョンを『復讐の魔神玉』に直撃させた。
今回はあの雪雲を消し飛ばした時と違って、惑星も粉砕しかねない本気の一撃だ。
それを一点に収束させた更に一撃に特化したバージョンを放った。
込めた魔力は1兆、私でも疲れるくらいの魔力を消費して放たれた縮退砲は紫に輝く禍々しい珠に激突、激しい光の奔流が珠を飲み込んでしまった。
そして光が収まると·····
「えっ!?こ、壊れてない!?」
確かに私の縮退砲は直撃していたはずだ。
しかも周囲の空間もろとも捻り切って潰したはずなのに。
現に復讐の魔神玉はかなり小さくなって飴玉くらいになっているが、むしろ物凄い魔力が渦巻いて圧縮し、今にも復活しそうになっていた。
「やばいやばいやばい!!復活する!壊さなきゃ!」
「·····さぁ、ワシの元へ」
パクっ
ゴリュッゴリュッボリッ
ゴクンッ
「·····今、たべた、·····よね?」
「っ、ッ!!·····ふぅぅぅうううぅぅぅ」
なんと魔神玉をエビちゃんが飴を食べるようにパクッと口に入れ、噛み砕いてしまった。
その瞬間、エビちゃんから発せられる魔力の質が一気に変化し、感じた事の無いほどのどす黒い魔力が溢れ出した。
それと同時に、魔力に覆われていたエビちゃんの姿が若干変わったようなシルエットが写った。
·····が、それは一瞬で終わり、元通りのエビちゃんが現れた。
とりあえず色々問い詰めたけど、エビちゃんは絶対に答えようとしなかった。
本人曰く悪い物ではないらしいし、別に良いや。
だってそれよりもヤバい事が起きてるもん。
私の放った『集束型縮退砲』が魔神玉を貫通して射線上にあった山を貫通して巨大なトンネルが出来てるんだもの。
あーあ、また校長先生に説教されちゃうよ、とほほ·····
·····まって?
今頃思い出したけどあっちフシ町の方じゃね?
うわっ危なっ!?
フシ町の近くをブチ抜いてるじゃん!!
あのしかもあたりのかなり通り辛かった山脈を所々いい感じにブチ抜いてる変なトンネルできてるし·····
「·····これ交通の便が良くなったんじゃ?」
結果オーライだったけど、私は校長先生からハチャメチャに怒られた。
·····で、怒られてたらなんかこの国のお偉いさんが来て、国王からお礼があるから大会後に来てくれって言われた。
どうやらあそこにトンネルを作る計画はあったけど難しくて断念していたそうだ。
ラッキー☆
名前:ソフィ・シュティン
年齢:12歳
ひと言コメント
「マジでヤバかった····· 女神様から短文でメールが来るなんて初めてだわ、でもなんでだったんだろ?」
名前:アルム
年齢:12歳
ひと言コメント
「ソフィちゃんなんであんなに焦ってたんだろ?」
名前:フィーロ
年齢:12歳
ひと言コメント
「いまエビちゃん石食べなかった?というかソフィちゃんが大慌てするって事はあれ相当ヤバい物だよね?」
名前:グラちゃん
年齢:11歳
ひと言コメント
「特に何も起きないならそれでいいわ、それより私もうすぐ誕生日なのよ!楽しみだわ!!」
名前:ウナちゃん
年齢:12歳
ひと言コメント
「うーん、最近できるようになった黒白黒魔法でも壊れないんだ····· ざんねんだなぁ·····」
名前:エビちゃん
年齢:12歳
種族:『魔王』→『魔神姫』
ひと言コメント
「·····あの石の正体はあまり言いたくないのじゃが、前世のワシの置き土産なのじゃ、とりあえずワシの魔法じゃから喰って何とかしたのじゃ」
名前:ミカエル
年齢:12歳
ひと言コメント
「んっ、あれヤバかった、出てきてたら、本気のアイギスで、塞いでた」
名前:ガイア
ひと言コメント
「·····チッ、あーあ私の賭けの負けかぁ、はいはいわかってるよ私のコレクションの織田信長が死んだ後焼け落ちる前の本能寺から盗んで来た『薬研藤四郎』持ってさっさと帰れ〜、はぁほんと刀〇乱舞好きだねぇ····· アイツそっくりだよ、本当にさ·····」




