魔法競技大会が始まるよっ!
【建国1225年2月1日 13:03】
揚げバターの力でカロリーやら何やらの摂取が完了した私は、冷静になってカロリーの計算をして青い顔をしながら午後の競技をするために野外の会場へと戻ってきていた。
『では第1種目『魔法飛距離』の計測を行います!』
ちなみに競技は前に魔動車レースをやったサーキットではなく、街の外の平野部でやるらしい。
理由?
そりゃここに集まっているのは学生とはいえ国の代表として集められた魔法使いだ、その実力は現役魔法使いや王宮魔術師などに匹敵する者も居る。
例えば私たちとか。
そんなヤバい奴らが魔法をぶっぱなしたらどうなるか火を見るより明らかだろう。
サーキットは今も競馬とかで使われているので壊されたらたまったもんじゃない。
だからこうして外でやる事になったそうだ。
「·····よし、秘策も魔法も準備OKっと」
「ソフィちゃん私たちが何番目か覚えてる?」
「絶対に覚えてないから先に言っちゃおうよ」
「私たちはAブロックの1番目よ」
「じゃあいこうよー!早く並ぼう!」
「そうじゃな、腕が鳴るのじゃ!」
「ん、がんばる」
「キャプテンの秘策か····· 面白くなってきた」
「そうですわね、どれだけ飛距離が上がるか楽しみですわ」
「どぅふふw拙者は無敵でやんす····· ドゥフw」
同志ギーク殿がキモい笑い方をしてるのは、推しの漫画家さんに会えたかららしい。
まぁやる気はあるみたいだし良いんじゃないかな?
一体誰だろうなー。
◇
とりあえず私たちは1番最初らしいので、2ヶ所ある射撃位置の左、Aブロック用の射撃場にやってきた。
そして整列すると司会進行の人がルール説明を始めた。
『では『魔法飛距離』のルールを説明します!計測は3回、魔法を3回飛ばして1番飛んだ魔法が記録となります!使用する魔法に関しては自由ですが観客に被害が出るような物は禁止です!』
『『はい!』』
『では最初のチームの挑戦です!Aブロックは当大会の開催国サークレット王国の代表チームにして世界最高峰の魔法学園の1つ『マグウェル魔法学校』チームです!Bブロックはクリミネア共和国の『アロガンス魔法学園』です!』
『『うぉおおおお!!!』』
「んひゃはっ、すごっ!」
チーム紹介が終わると、観衆が爆発したかのような声援を上げた。
さすがウチの学校、世界最高峰って呼ばれのも納得だなぁ·····
声援に感心していたら、なんか隣のBブロックの学生からヤジが飛んできた。
『おいおい!アッチのチーム魔族がいるぞ!』
『審判!魔族が居るチームを失格にしろ!』
『そうだそうだ!』
『どうせ魔族が1人居た程度で俺達には勝てねぇよ』
「あー····· 隣国のヤツらか·····」
どうやらBブロックのチームは、前にエビちゃんに絡んできた亜人族差別主義の宗教が国教になってる国で私が『隣国』って呼んでる国『クリミネア共和国』の選手らしい。
「相変わらず傲慢で差別的だねぇ····· そんなんだから嫌われるんだよ?」
「可哀想なヤツらなのじゃ、邪教のせいで自ら考える意思も持たず脳死で盲信するしかないんじゃからのぅ」
『なんだと?テメェらこっち来い、魔族は奴隷にしてやる』
『場外乱闘はおやめ下さい、続けた場合失格とします』
『『チッ』』
はぁ·····
あの国の人はなーんか傲慢で喧嘩っ早いしやたらクレームしてきたり、嫌がらせばっかりで迷惑なんだよね·····
「審判さんすいませんでした····· じゃあみんな!アイツらを競技で圧倒するよー!!」
『『おーー!!』』
◇
私たちはAブロックの発射地点にやってきた。
発射地点を見て私が真っ先に思い浮かべたのは野球のホームベース付近と槍投げとか砲丸投げのグラウンドの2つだった。
まぁそんな感じで撃つ場所は広くて、飛んでった先には所々に計測役の人が居て、空を飛んで監視している人も·····
うわっ!?
校長先生も計測役なの!
まぁいいや。
「んじゃ、まずはガヴェイン先輩お願いします!」
「おう!任せろ!」
まず最初にガヴェイン先輩にやってもらう。
彼は剣術魔法を使って斬撃を飛ばすのだけれども、彼にはとある秘策を渡していた。
「にしても変な形だなこのナイフ·····」
「んふふ、私の傑作包丁『星断』の試作だよ!かるーく縦に振ってくだいね!」
そう、先輩に渡したのは私の愛包丁『星断』を作る時にできた失敗作というか微妙だったのを何本か保管していたモノだ。
その中のひとつを魔改造して、私の魔結晶を組み込んで誰が使っても私が持っているのと同じくらいのパワーを出す事を可能にしてあるのだ。
しかも、ガヴェイン先輩の魔法も発動すると更に強くなる。
「では先鋒ガヴェイン、いくぜ『飛翔斬撃』ッ!」
彼が包丁を振る瞬間、魔結晶から魔力が放出され飛ぶ斬撃が強化、空間を切り裂くような刃が放出された。
ズバァァアアアアッッッ!!
「うおっ!?」
「おー!」
彼が包丁を振ると、斬撃は地面を切り裂きながら物凄い勢いでぶっ飛んで行った。
シーン·····
「で、審判さん記録は?」
『あっ、えっと、ガヴェイン選手の記録は····· 1024m!?い、いきなりとんでもない記録が出ました!!』
『『うぉぉおおおぉぉおおおおお!!?』』
『続いてBブロックのハット選手の記録が出ました!50mです!』
『『おおー·····』』
んふふ、早速エグい記録出てるしめっちゃ盛り上がってるわ!!
まぁそりゃ伝説の勇者が放ったと言われる斬撃っぽいからカッコイイに決まってるよね!
それに地面も綺麗に真っ二つになってる事からも威力の高さがわかりやすいだろう。
あ、隣のヤツはマジックボールを飛ばして着弾したら地表を軽く削った程度だった。
·····ってか、代表の魔法使いなのに射程50mってどうなの。
弓矢より射程短いじゃんか。
その後2回3回とやった結果、最高記録は1276mとなって先輩も驚いていた。
◇
『では次の選手、発射地点に来てください』
「次はアタクシですわね、ソフィ師範、アタクシの特訓の成果、見ててくださいですわ」
「うん、私のキノコの拳、特別に貸してあげるから全身全霊で挑むんだよ」
「はい!」
次はパイル先輩の番だ。
彼女に授けた秘策は、私の『キノコ神拳』の伝授と『神拳:キノコの拳』の貸し出しだ。
2週間くらいしか時間は無かったけど、キノコ神拳の基礎は完全にマスターさせることには成功した。
元々彼女には格闘のセンスがあったから教えるのも楽で良かった。
「では次鋒パイル・ド・ライバー行きますわ!!」
両手にファンシーなキノコのグローブを付けた貴族の令嬢というおかしな景色に観客からは笑い声が聞こえたが、同時に息を飲むような声も聞こえてくる。
彼女は拳こそふざけたモノだが、その服はボクシングの選手のような感じでお腹や腕や足の肌が····· いや、鍛え抜かれた筋肉が見えている。
そして、嘲笑の声は感嘆の声に変わった。
「ふぅ····· キノコ神拳序段拳技!キノコ式釘バット!!!どぉりゃぁぁあああっっっ!!!」
ぽーんっ
\ズンッ!!!!!!/
ベモッポォォオオオオオッ!!
ズッドォオオオオオォォォォオオン!!
パイル先輩がブラウンマッシュルームを空に投げると、その縦ロールの中から釘が刺さったバットが現れそれをメジャーリーガーの如く構えた。
そして落ちてきたマッシュルームを、地面にめり込むほどの踏み込みをもってフルスイングした。
釘バットに刺さらなかったマッシュルームは星になるほど遠くまで飛んでいった。
「まだまだですわァァア!!キノコ神拳破段拳技!ロード・オブ・ザ・菌輪グ!!」
ドゴォオオオオン!!
バッゴォォォォオオオオオオオン!!
「最後ですわァァア!!!キノコ神拳急段必殺!キノ渾ッ楔ッ颯ッ!!!!!」
バゴォァァァアアアアアアッ!!!
「ふぅ·····師範、どうかしら?」
「うん!良き!」
『えっ、Aブロックのパイル選手の、きっ、記録、5億kめっ····· \それ幻覚よ本当は1784mよ/あっ!1784m、1935m、2450m!最高記録2450mです!』
『『おぉぉおおおおぉおおおおお!!!』』
ちなみにBブロックの人は最高62mだった。
だからそれ後衛の魔法使いとして(略
◇
「続いては拙者でやんすね」
『Aブロック3番目はギーク選手です!果たして彼はどんな魔法を見せてくれるのでしょうか!?』
私たちの3番目の選手はオタクのギーク先輩だ。
もちろん彼にも秘策を渡してある。
「では行くでやんす!輝けキュルキュルティンクルファンシー☆チャーム!!!ちぇーんじ!ティンクル☆すたーふぉーむぅっ!!」
ポンッ☆
彼はオタクらしい彼の根暗な外見に似合わない可愛らしいチャームを天に掲げて詠唱をすると、可愛らしいエフェクトに包まれてしまった。
そしてエフェクトが消えると·····
『キュルピカ☆ティンクルピンク参上っ!みんなキュルキャピにしちゃうよーっ☆』
『『きゃぁああぁああーー!!』』
『『おおおおおおおーー!!!』』
彼はなんと大人気マンガ『ティンクル☆キュルピカ』シリーズの大人気主人公『キュルピカ☆ティンクルピンク』に変身したのだ!!
そう、彼に渡したのはその主人公の変身アイテム『キュルキュルティンクルファンシー☆チャーム』を模した変身アイテムなのだ!
ちなみに原作者が作った本物5個のうちの一つ、キュルピカ☆ピンクことショア・フレグランスに変身できる魔導具ね。
ちなみにちゃんと女の子になってるし見た目も漫画の主人公ソックリになっている。
仕組みは前に私がダンジョンで見つけた『○○なりきりセット』の応用というか、アレを解析して自分で作った変身アイテムなのだ!
しかも改良版で、変身後に使える『キュルピカ☆パワー』を再現するために、私の魔結晶の中でもかなり特殊で性能がいいヤツを利用した魔力吸収変換システムで彼の魔力に変換して高威力で魔法を撃てるようにしてある。
あとは変身後には主人公が持ってるステッキも出現して、再現度が半端ない魔法も撃てるようになる。
·····まぁ、魔法は元々彼が作っていたのだけど魔力が足りなかったり荒があったので私と協力して作り直したりしたものなんだけどね?
「じゃあいっくよー☆ キュルピカパワーフルバーストッ☆ 『キャピキャピキュルルン☆ティンクルショット!!』」
キュッピーーーーーーン!!
彼····· いやキュルピカ☆ティンクルピンクは必殺技の魔法を放った!!
『『『わぁぁああああぁぁあああぁああ!!!』』』
「す、凄い····· 本物だ·····」
彼女が放った魔法は可愛らしいキュルキャピしたエフェクトを散らしながら飛翔して、ものすごく飛んだ。
『キュルキャピだーー!!キュルピカ☆ピンク〜!!!わたし大ファンなんです!握手してー!サインしてー!!』
\ちょっとちょっと!仕事放棄しないでください!/
『·····はっ、失礼しました!!先程の記録!なんと5555m!!大会最高記録に迫る迫る!果たしてどうなるのか!!』
どうやら司会の人も好きだったらしい。
実はこの『ティンクル☆キュルピカ』の作者·····
私なんだよねっ☆
ティンクル☆ファンシー!!
◇
「よーし!次はワタシの番だよ!!」
続いては我らが爆乳担当アルムちゃんの番だ。
彼女には特に何も教えてないけど、なんと大砲を自ら作ってぶっぱなしていた。
それもアームストロング式とかこっちの世界で主流の大砲ではなく、私の使ってる戦艦とかの大砲に近いタイプで発射した。
·····そういえば秘密基地の本棚にそういう系の本置いてた気がする。
「発射!!」
ドッゴオオォオォォォオン!!
『『わぁぁあああっっ!?』』
彼女の放った砲弾ははるか遠くまで飛んで行き、着弾すると大爆発した。
「うーん、飛距離9.2kmか、まだ甘いね」
「ええー?結構頑張ったんだけどなぁ·····」
「ライフルリングの造形が甘いね、突貫工事だったから仕方ないけど····· 調整、出来るでしょ?」
「もっちろん!!任せてっ!!」
その後、彼女は私のアドバイスでちょいとアレンジして発射した結果、飛距離が伸びて11kmほど飛んだ。
◇
「次はわたし!いっきまーす!!」
今度はウナちゃんだったが、彼女は白黒魔法を使ってビームを発射、光線はまっすぐ飛んで行くと20kmくらい飛んですぅっと消えてしまった。
そして見えてないけど2人が協力して放った一撃はさらに飛び、40kmも飛んだ。
·····最後の1回、なんか大モメしながらも60km飛んでたんだけどなんでだろ。
黒色の比率多かったし。
この辺りからもう驚きすぎて審判の人が飛距離を伝えるだけのBOTみたいになってるし、観客の人たちも声が出てない。
あとあんまりにも飛びすぎているので、Aブロックの計測役の人が近くに居なくなってかなり離れた場所に行ってしまった。
という訳でウナちゃんズの最高飛距離は60kmだった。
◇
もうそろそろダイジェストにしようと思う。
ウナちゃんの次にやったのはグラちゃんで、前に使ったミサイルの巨大バージョンというか弾道ミサイル的なのを飛ばした。
飛距離はなんと約100km、この大会の最高記録の10倍近い記録だ。
ちなみに校長先生が疲れ始めた。
この後どうしようかで悩み疲れてるなあれ。
◇
その次からはもう酷すぎた。
校長先生が中継用の機械をもって映像で飛距離をライブ中継するという感じになってしまったのだ。
エビちゃん
飛距離666km
彼女の放った邪悪な気配のする魔法は海上に着弾して爆発した。
ちなみにめっちゃエグい大波が起きたらしいけど校長先生が凍らせて何とかしたらしい。
ミカエル先輩
飛距離1000km
彼女はやる気がなかったのかピッタリ1000kmの位置で消してしまったのでこの記録だ。
◇
そして私の想い人にして私に匹敵する記録を出せるであろうフィーロ君の番が来た。
「ではいきます!ふぅ····· 『マジックバレット』!」
パァンッ!
『飛距離····· 500m?』
タァン!
『飛距離、420m!ここに来て記録が下がりました!フィーロ選手はどうしたんでしょうか!?』
「1発で仕留めるよ!『マギ・レールガン』起動!!目標地点設定!発射!!」
キュィィィィイイイイン!
ズドゴォッッ!!!!
「おおおー!」
『『うおおおおおおおおおおおおおおお!!!』』
彼は私の必殺魔法『マギ・レールガン』を自身のユニークスキル『マジックエミュレータ』でそっくりそのままコピーして発動した。
まぁ、発動したのは乗り込み式のこの前のではなくて、別の時に使ったマギ・レールガンだったからそこまで飛ばなかった。
·····といっても
『ひ、飛距離は不明です!あっマグウェル魔法学校の校長先生から入電!·····はぁ!?3000km以上!?それより先で見失ったとの事です!』
どうやら校長先生でも見えなかったそうだ。
ちなみに私の衛星ではしっかり観測してあって、大体1万2千km飛んでいるのを確認できた。
やっぱり私の魔法はエグいねぇ·····
◇
『初っ端から前代未聞の伝説に残るであろう記録を残し続けた『マグウェル魔法学校チーム』!果たして最後のソフィ選手はどのような記録を見せてくれるのだろうか!』
「観客のみんなー!!いまからみんなは本当の伝説が生まれる瞬間を目撃する事になるよ!!覚悟しろー!!あと私こそが『ティンクル☆キュルピカ』の原作者!『キュルピカ☆マスター』だぁあああ!!」
『『えええええええええええ!!?!?』』
『えっ!?まさかソフィ選手が『ティンクル☆キュルピカ』の作者!?後でサインしてくださいー!!』
·····さて、どうしよっかなぁ
あのレールガンを使うのは確定だけど、フィーロ君より派手にやりたい。
·····よし、そうするか!!
「いきなり行くよ·····!『マギ・レールキャノン』発動!全システム起動開始!!」
ギュォォォォオオオオオンッ
ガコンッ!
『おーっと!?な、なんだ!?巨大な····· 大砲!?大砲が出現しました!!』
私は魔力を一気に解放して、巨大な機械的な大砲を生み出した。
その制御室に乗り込むと空高くへ向くよう角度のデータを入力し、重力や大気摩擦による弾道のズレ、そして目標地点の移動距離を計算して修正して行く。
·····目標地点までの到達は3分後を予定、そのために必要な速度は光速の1.5%程。
『須臾』式加速および、微調整用魔導力式ベクトル加算加速魔法陣を多重展開!
魔力充填開始っ!!
ヴゥゥゥウウウウウウウウンッ!!!
『す、凄まじい魔力です!この目に見えるほどの魔力が渦巻き、砲身へと注ぎ込まれています!!一体何が始まるというのかーっ!!!』
発射準備完了ッ!!
「ってー!!」
ズッッッッッッッドゴゴォォォォォォォオオオオオオオオオオンンッッッッ!!!!
発射の号令と共に、マギ・レールキャノンの砲弾は光速の1.5%にまで加速され打ち出され、空の彼方、月方向へ向けて飛んで行った。
『うわぁっ!!?·····って、あれ?弾は何処へ、サトミ様!そちらでは観測できましたか!?』
『·····見失ったわ、そもそも見えなかったのだけれど発射の痕跡は見えたわ』
『えー、只今の記録は『測定不能』となります』
『『ザワ····· ザワ·····』』
着弾地点不明。
その前代未聞の記録に観客も審判席もザワついていたが、私はお構い無しに次の魔法を放った。
「みんなー!いっくよー!キュルピカファンシー!」
『『わぁぁああぁぁあっっ!!』』
キュルピカッ☆
キャルルーンッ☆
私は自分の作品の魔法····· というか漫画のモデルにした魔法を放った。
『凄いすごい!!本物の、原作者の『キュルピカ☆ティンクル』達の魔法だー!!(ナードさん!飛距離!飛距離忘れてます!)あっ!飛距離は····· 5kmだ!』
「そんでもって〜!いつも使ってる普通のマジックバレット〜」
ズッダァンッ!!!
『こ、これが普通·····?ひゃ、120km·····!?』
『ザワザワザワザワ·····』
続いて私が撃ったのは、いつも使ってる初手で放つくらい普通でいくらでも連射できるただのマジックバレットだ。
·····それが、他校の選手が本気でやっても到底届かない120kmも飛んだのだ。
『これにてマグウェル魔法学校チームの全挑戦が·····』
\ちょーっと待ったぁー!!!/
『·····終わっていないようです!ソフィ・シュテイン選手にまだ何かあるようです!!』
そしてオーディエンスのボルテージがマックスになったところで、私は拡声魔法を使った。
『ところで観客の皆さん、夜空に浮かぶ最も大きい星は何でしょうか?』
私は空をズビシッと指さした。
『『月!!』』
『そう、夜空を優しく照らす星の名前、それは月と呼ばれています』
『あまりにも大きいその星は、手を伸ばせば届くのではないかと錯覚してしまいます』
私はわざとらしく月に手を向けると、その手のひらをぎゅっと閉じた。
·····が、その手に月が握られる事は無かった。
『それもそのはずです、その距離はとても遠く、人の手では決して届くことは無いのですから·····』
『その距離は実に38万4400km、我々は届かぬ月に想いを馳せ空を見上げていました』
すぅ·····
『みなさん空をご覧下さい、空の彼方に月が浮かんでいます』
私が指さした方向には、昼間でもうっすらと月が見えていた。
観客たちも一斉に空を向いて月を見つめていた。
そしてよく目をこらすと、月面へ向け小さな光の点が向かっているのが見えただろう。
ザワザワ·····
『ま、まさか·····!会場の皆さん!空を!月をご覧下さい!!』
どうやら何をするのか気がついた者もいるらしく、観客たちも計測役の人も私の作品オタクの審判もみんな空を見上げてザワザワとしていた。
『10』
『9』
『8』
『7』
『6』
『5』
『4』
『3』
『2』
『1』
『弾着····· 今ッ!!』
ピカッ
『着弾確認っ!!』
うっすらと見えていた月面の中心が赤く光った。
そう、私の放った弾丸が月面に着弾してあまりの威力で月面に巨大なクレーターを作ってしまったのだ。
その威力は凄まじく、新たなクレーターは高温になって真っ赤に輝いており地上からでもその爆発が確認できるほどだった。
『記録は約38万4400km、皆様いかがだったでしょうか?これが伝説が生まれた瞬間ですっ!』
『『ッッッーーーーーーーーーーーーーー!!!』』
私は具現化したレールキャノンの上に仁王立ちして、観客の歓声を受け止めた。
その日、月面に新たなクレーター『ソフィクレーター』が誕生した。
名前:ソフィ・シュティン
年齢:12歳
ひと言コメント
「私の月面基地?もちろん無事だよ、そこら辺も計算して撃ったからね!!」
名前:アルム
年齢:12歳
ひと言コメント
「ワタシも頑張ったんだけどなぁ····· ソフィちゃんがヤバすぎる·····」
名前:フィーロ
年齢:12歳
ひと言コメント
「あの魔法も記録したけど、うん、絶対に使わない、ヤバすぎる」
名前:グラちゃん
年齢:11歳
ひと言コメント
「クレーターってああやって出来るのね」
名前:ウナちゃん
年齢:12歳
ひと言コメント
「すっごーい!あれってソフィちゃんが作者だったんだ!」
名前:エビちゃん
年齢:12歳
ひと言コメント
「わわわ、わワシもあれくらい出来るのじゃ!舐めるななのじゃ!!」
名前:ミカエル
年齢:12歳
ひと言コメント
「ん、あれくらいやっていいんだ、やっとけばよかった、太陽で」




