いざ魔法競技大会の会場へっ!
【建国1225年1月28日 午前7時半】
いつもなら学校の教室でダラダラとしゃべったりして先生を待っている時間だが、今日は全校集会(出発式)なので私たちは校庭にある舞台の裏辺りで出番を待っていた。
そしてチラッと校庭を覗くと、とんでもない人数の学生が集まっていた。
確か1学年あたり500人前後で学年が9個あるから、大体4500人は生徒が集まってるし教師とかも集まってるからめっちゃ多い。
「あー緊張する」
「そう?特にワタシは緊張しないけどなぁ」
「ぼぼぼぼぼぼくはきんちよぅ、緊張しててないよ?」
「コレはダメね····· 別にいつも通りでいいのよ?」
「·····」
「おいウナ?どうしたのじゃ?·····ダメだ緊張でコチコチになってるのじゃ」
「すやぁ·····」
集まっている生徒を見た反応は十人十色で、特にフィーロ君とウナちゃんがヤバいくらい緊張してる。
というかウナちゃんの存在感が消えてきたからそのうち消滅するかもしれない。
『ではこれより魔法競技大会の出発式を行います』
と思ってたら拡声魔法で大きくなった声が聞こえてきて、出発式が始まったのがわかった。
うわやばいめっちゃ緊張してきた。
「あばばばっばばば·····」
「フィーロ君、落ち着いて?」
と思ったら私の隣にいたフィーロ君が壊れたオモチャみたいにブルブルと振動しだしたので、私は彼の手を握ってみた。
「はっ!そ、ソフィちゃん!?えっ、手、手握っ」
「よかった、フィーロ君は緊張し過ぎだよ?もうちょいリラックスした方が良いよ、落ち着くまで手握って置いてあげるから」
「あっ····· えっと····· ありがと」
「ごフッ」
「ちょっとエビちゃん!こんなとこで砂糖吐かないでよ!袋ないから勿体ないじゃん!」
「で、でも、出るものは仕方がないじゃろ!こやつらがイチャイチャするのが悪いのじゃ!」
「「イチャイチャしてない!」」
「おぼろろろろろっ!」
「うわぁああっ!?勿体ない!勿体ないからぁ!」
「アルム!エビちゃんのマジックバッグに入れなさい!」
「ありがと!」
「やめるのじゃげろろろろっ!!ワシの服が砂糖ぅぶぼべべべべべっっっ!!!」
フィーロ君を落ち着かせてたら、今度は何故かエビちゃんが砂糖を吐くという発作を起こしてしまった。
緊張してたのかな?
というかエビちゃんは前からよく砂糖を吐いてるけどよく条件がわかんないんだよね、感情が昂ったら吐くって訳じゃなさそうだし、緊張した時かともおったらリラックスしてても吐いてたり·····
何なんだろうねホント·····
まぁ資金源になるから別に良いんだけどさ?
ちなみにエビちゃんはマジックバッグの中身が砂糖まみれになって泣いてた。
◇
〜5分後〜
校長先生が挨拶やら大会の簡単な説明を行って、とうとう私たちの出番がやってきた。
『では選手紹介を行います、選手の皆さんは壇上へ』
『『はいっ!』』
「じゃあ行くよ!」
私たちは壇上にあがると杖を持って1列に並んだ。
うわぉ、流石にこんだけの人数の前に立つと迫力がヤバいわ。
砂糖じゃなくてガチの偽もんじゃ焼きを吐きそうだわ。
『今回のメンバーは半分以上が6年生という異例のチームよ』
ザワ·····
ザワ·····
ざわわ·····
ざわわ·····
校長先生の発言に生徒たちが驚いて風に揺られるサトウキビの畑みたいにザワザワしだした。
時折「不正だ」とか「おかしいだろ」とか聞こえてくるとイラッとする。
お前ら私たちより強いんか?
あぁん?
(ソフィちゃん!おちついて!)
(はっ、声漏れてた?)
(ヤバい感じの威圧感というか殺気?が漏れてたよ)
(威圧感ヤバいのじゃ·····)
どうやら殺気が漏れだしていたらしい。
落ち着け〜、落ち着け私〜
はいおちついた。
『静かに!確かに6年生の選手は異例よ?だけどその強さも異例なのよ、彼らは練習の時点で大会記録を大幅に更新する程の実力を持っているわ』
ザワザワ·····
ザワザワ·····
·····お前らはギャンブル狂か!
ってツッコミを心の中で入れてしまうほど生徒たちがザワザワしだした。
でもまだ私たちになんか文句言ってくる奴が居たから、ちょっとだけ、ちょーーっとだけ魔力解放。
「そりゃっ」
すると煩く騒いでいたプライドだけは高そうな奴らがシーンと黙って·····
やっべ、立ったまま気絶してるわ。
見なかったことに·····
『·····静かになったわね?じゃあ続けるわ』
(ソフィちゃん?後で説教よ?)
(ひえぇ····· お許しを·····)
校長先生が一瞬だけ私に目を向けた。
その瞬間、私は校長先生が何を言いたかったのか分かってしまった。
逃げたい。
◇
説教が確定になった私はもうヤケクソになり、緊張なんてどこかに行ってしまった。
『では今回のチームのキャプテンを発表するわ』
·····へぇ、キャプテンなんて決めるんだ。
まぁ十中八九ガヴェイン先輩だろうな、あの人の能力はそこまででもない(※当社比)けどチームをまとめる力とかは凄いから彼が選ばれるだろう。
主人公タイプだもんあの人。
·····ん?
校長先生、なんでいま一瞬私を見たんですか?
ナズェミテルンディス!!
『今回のキャプテンは·····』
やめて?
マジでなんで私見てんの?
頼むからあっち向いて、あっち向いてホイ!!
ほら左のエビ向けエビ、エビが最適だから、私嫌だよキャプテンなんて。
『ソフィ・シュティン、貴女が今回のチームのキャプテンよ、前に出てきなさい』
「嫌ッ····· はい!!」
やっべ、今校長先生が見た事ない目になってたわ。
マジで殺されるかと思ったわ。
(あああぁぁああの、あの、あの目、わ、ワシが前世で、あやつと、殺りあった時の、目なのじゃ、怖いのじゃぁ·····)
わぁお、魔王を倒す時の目だぁい。
反抗する気が無くなった私は即座に先生の指示に従って前に出てきた。
『ではキャプテン、大会の意気込みをお願いするわ』
「うえっ!?」
前に出てきたら校長先生にマイクを渡されて意気込みを言えという無理難題を押し付けてきた。
そして全生徒の注目が私一点に集まった。
思い出せ私·····ッ!!
社畜時代に同僚とか上司から押し付けられ、社長とか総務とかの前でめっちゃ大事なプレゼンをやらされたあの時の語彙力を!!
カムバック!!俺!!
『ああぁぁああのっ、わたひっ、わた、わたひぅ·····わたさわたさし、がはんばばかばんばりままさす!』
··········
やべっ、思いっきり噛んだというか緊張しすしまき、さしぐ、しすごは、しすきゎ、、 しんちやま、緊張がやばかてろれうがあまさない
せいともみ、生徒のみんは、みぬ、みんなも、シーンぅてなっててヤバばはぃ
あの·····
おーい?
俺さーん?
藤石賢人さーん?
·····起きろゴルァ!!
\ぺぽんっ/
【スキル『ソフィの石』が一時的に『賢人の石』へ戻ります】
『おほん、失礼いたしました、私は今回の魔法競技大会のキャプテンを任命されました『ソフィ・シュティン』です、全校生徒4612人と教師の方々の期待を背負い、そしてこの国の代表チームであり世界最高峰の魔法学園であるマグウェル魔法学校チームのキャプテンという役職を拝命したからには全身全霊でチームメンバーを率いて試合に挑む事を誓います!皆様どうか応援宜しくお願い致します!』
すぅ·····
『目指すは総合完全優勝のみっ!!他校に大差をつけて!テッペン取ってやる!!テメェら盛り上がりが足りねぇぞァァアアアアッッ!!そんな声援でホントーに私らに優勝して欲しいって思ってんのかァァァアアアアッッッッ!!!』
『『ウオオォォオオオオオオッ!!』』
『1番強いのはどこのチームだぁぁあ!!』
『『このチームだー!』』
『優勝するのはどこの学校だァァアッ!!』
『『この学校だー!!』』
『世界最高記録を塗り替えるのは何処のどの誰だぁあああ!!!』
『『我らだぁぁああ!!』』
私の真面目な演説が急にロックな煽りに変わると、生徒のテンションはヒートアップしボルテージは最高潮に達した。
周囲の先生が大慌てで私を止めに来ているがそんなの気にしない。
もう私は止められねぇ!!
『いっちばん強くて可愛いのは誰だー!!!』
『『「〆€○☆$€〆^=#ーーー!!(聞き取れない)』』
『私だるるぉぉぉがァァアア!!テメェらソフィちゃん最強っ!ソフィちゃんカワイイヤッターって言え!!はいせーの!!』
『『・→☆○○÷¥〠€€$%÷〒』』
『ゥアかってねぇなテメェらぁぁああ!?いっちばん強いのは私だ!!ソフィちゃんが最強だぁああ!!覚えとけ伝説の始まりはここからだよっ!!盛り上がれテメェらぁぁあああ!!!』
『『『ーーーーーーーー!!!』』』
私はステージの上にあった演台に飛び乗り、拡声魔法を魔改造してまるでライブ会場のような爆音で、街にまで届くような轟音を響かせて生徒のテンションを煽りに煽って行く。
そして私の声は生徒だけでなく町民にも届き、彼らのテンションも上げまくって街中からもどデカい声援が響いてくる。
『いいね!ゾクゾクしてきたよっ!もっともっともっと盛り上がれっ!!こんなテンションじゃ本番持たねぇぞぁぁああっ!!大会は2月1日からだぁああっ!伝説の幕開けを見るが良い!!私の伝説にはそんな声援じゃ足りないよーーー!!?はいもっと大きく!!せーーの!!』
『『『『☆/♯∇♣〇〠ψ☼β♪@☞θλ♫ζ!!!』』』』
『まぁもういいやっ!!みんな応援ヨロシクっ!!』
「ソフィちゃん降りなさい!!というかマイク離しなさいっ!!なに拘束魔法使ってるのよ!!解くのめちゃくちゃ大変だったわ!!もう好き勝手やらせないわ!!」
『いーやーだー!!うがぁぁああっ!!みんな盛り上がれー!!大会を楽しみにしててねー!!あとソフィちゃんはみんなのアイドルだよっ☆☆☆』
『『『『うぉぉぉおおおおおお!!!』』』』
演台の上に立っていたら校長先生や他の先生が私を掴んで引きずり下ろそうとしてきた。
私は何とか抵抗してライブを続けようとしたが、数の暴力には勝てなくてあっという間に引きずり下ろされてマイクを取り上げられ、一瞬で簀巻きにされてしまった。
◇
『騒がせてしまったわ、何はともあれ出発の時間よ、皆様応援よろしくお願いするわ』
『よろしくー!!』
『『ワァァァアアアアアッ!!!』』
私はあの後簀巻きにされてスカートなのに床にポイッと放置されていた。
とりあえずパンツはさっきスパッツにしてたからセーフだけど、乙女に対して酷い扱いだ。
そして私はマイクが無くとも拡声魔法に干渉出来るので校長先生の演説に混ざってやった。
そしたら今度は校長先生が私に魔法で猿轡を付けてきやがって、物理的に喋ることができなくなってしまった。
ちくせう。
『はぁ·····ソフィちゃんには後でキツい説教をするわ····· ではこれより魔法学校マグウェルの選抜チームは会場に向かうわ!転移魔法陣起動!!』
ヴォンッ
先生が転移魔法陣を発動するよう指示を出すと、床の魔法陣が強烈な光を発して効果を発揮しだした。
そして私の顔は魔法陣のラインの真上にあったので爆光が直接目にあたっていた。
「んぐーーー!!?」
「自業自得って言葉そろそろ覚えたら?」
「ソフィちゃん、なんで時々暴走するんだろ·····」
「アホだけど物凄い盛り上がってたわね」
「すっごかった!音がビリビリしてた!」
「ワシが魔王軍の前で演説した時よりヤバかったのじゃ····· カリスマ性なのじゃ·····」
「ん····· うるさい·····」
私は簀巻き状態で動けないので、芋虫みたいにぴょんぴょんと飛び跳ねたりウゾウゾして転移魔法陣の爆光から逃げようとしていた。
確か魔法が発動すると魔法陣が一際強く輝くはず。
つまりこのままでは私の目はム〇カ大佐になるって事なので、大慌てで逃げていたのだ。
だが現実は非情であった。
ピカッ!!
「んぐむむぐー!!むぐぅっ!?」
その瞬間、光にビックリした簀巻きの少女が大きく飛び跳ねたという間抜けな絵面を晒した瞬間、私たちは遥か遠い王都近くの大会会場へと転移した。
名前:ソフィ・シュティン
年齢:12歳
称号:『期待の新人アイドル』←New!!
ひと言コメント
「前世でバンドとかやってたのかって?いや?教室のすみっコで寝たフリしてたりブックカバー付けたラノベ読んで挿絵のところで恥ずかしくなってちょっと隠し気味に読んでたクソ陰キャオタクですが何か?」
名前:アルム
年齢:12歳
ひと言コメント
「ソフィちゃん注目されて羨ましい····· ワタシも負けてらんない!アイドル?になりたい!!」
名前:フィーロ
年齢:12歳
ひと言コメント
「ソフィちゃんのファン1号は僕だよ、そこは絶対に譲れない!」
名前:グラちゃん
年齢:11歳
ひと言コメント
「·····何あれ?というか最初は普通にちゃんと演説出来てたわよね?何気にアレも凄くないかしら?」
名前:ウナちゃん
年齢:12歳
ひと言コメント
「ソフィちゃんがんばってー!!わたし応援してるよ!!」
(ウナ!わたしたちも出るんだよ!!応援される側だよ!)
「そうだった!!」
名前:エビちゃん
年齢:12歳
ひと言コメント
「ソフィお主····· そういう変な自慢するあたりがクソ陰キャムーブなのじゃ····· いやワシも分かるんじゃが·····」
名前:ミカエル
年齢:12歳
ひと言コメント
「うるさい····· 寝れない·····」




