壊れた体の治し方っ!
私がミカエル先輩との対決に敗北したあと、私たちはそれぞれ受けていたダメージを回復すべく治療に専念していた。
「いった!!ふうぅぅぅ····· あーダメだこりゃ·····」
「だいじょーぶ?」
「だいじょばない」
現状、私は肋骨を中心にだいぶ骨がボキボキのポッキポキだ。
最初にお腹に食らった一撃が想像以上に重くて、下側の肋骨は全滅、複数個にバラバラに骨折している。
しかも内臓も何ヶ所か破裂してて腹腔内が汚染されてるし、腸だけじゃなくて肝臓とかも損傷してる。
そして一番重いのは、右腕側からの一撃だ。
右腕は粉砕骨折して腕自体が骨もろとも圧壊、ぺしゃんこだ。
さらに胴体にまで達した結界弾は鎧をベコベコに凹ませて肋骨を何本もへし折り、肋骨は肺に刺さってる酷い有様だ。
まぁ、今は応急処置を終えて肋骨は肺から抜き終わってるんだけど、うん。
「·····づぃっででで、あーキツ、神経もめちゃくちゃになってるわ」
問題はもう山盛りだ。
まず肋骨がジグゾーパズルだ。
ぶっちゃけもうどれがどれか分からない状態で、致命的な状態の肺から抜くために雑に肋骨があった場所に詰め込んだせいで、バラバラなのだ。
しかも骨周りの神経とかも骨がぐちゃぐちゃなせいで治そうにも治せない。
だから息をするだけで痛い。
「げふっごふごふっ!!痛っ!!!」
けどまぁ、地道に治癒は進んでるけどね。
いや、治癒というよりも今は治癒のための下準備を進めてるって所かな?
「いてて····· アカシックレコード、バックアップデータ呼び出し『建国1225年1月18日』!」
実は私、左腕がぶっ飛んだあの日からは日付が変わる瞬間に私の肉体データをアカシックレコードに保存することにしている。
ちなみに保存期間は1年で、過ぎた物は自動的に消去されるが、1ヶ月に1個だけ1番体調が良かった日のデータを残すような仕組みになっている。
とりあえず今回は今日記録したデータを使用する。
「再生魔法にデータ入力、差異がある部分を修正っと」
これで全データの入力が完了して、あとは魔法を発動するだけでOKだ。
「ふぅぅぅぅ·····『痛覚遮断』、『ヒール・リビルディング』」
ミヂミヂミヂッ·····
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああっっっ!!!」
魔法を発動した瞬間、痛みを遮断してるはずなのに激痛が走った。
まぁそれもそのはずだ。
ボロボロになった体内を魔法が駆け巡り、断裂した筋肉や神経、折れた骨を一斉に動かして治してるんだから、痛くて当たり前だ。
むしろ麻酔がなかったら痛みで死んでる。
事前に相当痛む事を理解してたからこそ、背中を丸め地面にうずくまり、その痛みを必死に、吐きそうになるくらい我慢して·····
ごきっ
ぼきっ
ぐぢょっ·····
ぐぢっ
ぐぶっ、ごきっ!
「っっっっっづぅ、痛い····· うぐぅぅぅ·····」
やべ、ちょっと漏れたわ。
「·····ひとって、こんな音なるっけ」
「いま、鳴ってる·····」
「ん、たしかに」
\ぼきぼきっ!みぢっ!!/
「うっ、くっ····· ほぼ、治っ、た····· かな·····」
ちょっとソフィ汁が漏れたけど無事に私の全身の再生が完了した。
今は何度か繰り返し体のスキャンをして異常がないか確かめてる所だけど、血管も神経も筋繊維もちゃんと繋がってるし、骨にズレもなく跡もなく綺麗にくっついていた。
更に内臓破裂があった腹腔内も魔法で浄化、損傷した箇所もくっつけたから無傷と言えるだろう。
「はあっ····· はあっ····· ガチで痛かった·····」
「ん、ごめん、ね?」
「あー、だいじょぶ」
いつの間にか私の近くにミカエル先輩が来ていて、しゃがんで私の事を心配そうに見ていた。
痛すぎて気が付かなかったわ·····
というか!なんだよこのクソポンコツ痛覚遮断は!
もっと強力に遮断する方法をなんか考えないと·····
·····まぁ原因は痛いのは嫌でロクなテストもせずに使ってたからだけどさ?
「うん、問題なく動くわ」
「だいじょーぶ?」
「まぁ、たぶん?」
ぶっちゃけまだ違和感はある。
粉々になってた右腕は動かす時に痺れがあってビリビリしてるし、治ってるはずの肋骨あたりも若干痛みを感じる。
まぁそんな事はどうでもいい。
「あー!負けたぁぁああっ!!悔しいいいい!!」
人生初の完全敗北だ。
ゴブリンジェネラルの時は油断しててああなっただけで、本気でやってたら左腕も切り落とされる事は無かったと思う。
それに前にフシ山山頂のドラゴンの大ボスにケンカふっかけた時も、そこそこ焦らせる程度にはダメージも通ったし完全敗北では無かった。
·····一応負けたけど勝ち筋はありそうだったし。
けど今回は違う。
正直全く歯が立たないし、現状出来る攻撃はほぼ全てぶつけた。
·····たぶん、縮退砲を撃っても第1層さえ突破しなかったと思う。
それに洗脳魔法とか貫通して通りそうな搦手の魔法も弾かれるだろうし、奥の手の『星断』も結界に当たったら刃こぼれしてたと思うからそもそも使わなかったし·····
「あーーーもう!!悔しいーっ!!どーやっても勝つビジョン浮かばないいいいーーっ!!くやしいいいいいっ!!!」
私は悔しくて駄々っ子のように地面に大の字になって転がるとジタバタと暴れた。
「んー、わたしのまけでいいよ」
「へっ?」
と思ったら、ミカエル先輩も負けを主張してきた。
「あのひかり、『絶対防壁』も貫通してた、ぜったいに何もとおさない結界をとおりぬけた、そのじてんでわたしのまけ」
「·····認めない、あんな卑怯な手で勝ったなんて認めない!!私は真正面から戦って打ち破らないと勝ったとは認めないっ!!!」
「ん、ちがう、ましょーめんから戦った」
「方法が卑怯って言ってんの!それにあそこからどうにかする方法全く思いつかないし、光を遮断されたらもう何も出来ないし!!」
私は意地でも勝ちを認めたくなくて、ミカエル先輩と口喧嘩をはじめた。
私は真正面から正々堂々戦って勝ちたい主義なのだ。
「んー!ちがう!!わたしのまけ!!アイギスがまけたからまけ!!!」
「だーかーらー!私は超大怪我したんだよ!?足元に血溜まりも出来てるし····· どう考えてもダメージ量的にも私が負けでしょ!!」
足元にはかなりな大きさの血溜まりが出来ていて、まだ体温が残っているのかホカホカと湯気を立てていた。
「んーっ!!まけはわたし!!アイギスとおりぬけるの、ありえない!!」
その後もどっちが負けたのかと言う底辺争いをしていたが、決着はつかなかった。
「じゃあこうしよう?じゃんけん一発勝負で勝ち負けを決めよう?」
「ん、わたし、絶対まける」
「「じゃーんけーん····· ぽんっ!!」」
「「·····」」
私 :チョキ
先輩:チョキ
\ヌッ/
校長先生:グー(ゲンコツの構え)
「はぁ····· お互い引き分けって事にします?」
「ん、引き分け、帰ろ?」
「あら?逃がさないわよ?」
私の脳内に、渓谷に架かる橋から急須がバンジーした映像が流れた。
バンジー急須、万事休すってね。
AHAHAHAHA☆
「逃げろっ☆」
捕まった。
◇
その後私とミカエル先輩は校長先生にグチグチグチグチグチグチグチグチと叱られた。
まず勝手に決闘を始めたのは軽く怒られる程度で済んだんだけど、その他が問題だった。
超高火力の一撃を何回も放ち、結界面に直撃した魔法のせいで校舎はおろか街にまで届く爆音と衝撃波が何度も街を駆け巡っていたらしい。
んで、1番怒られたのは戦った結果だ。
特に私のダメージについて怒られた。
あんなボロボロになるまで戦うなって、そしてそもそもああいう怪我をするような戦い方はやめろってめちゃくちゃに怒られた。
ちなみにミカエル先輩も、いくら相手がやっていいって言ったからって、本気で殺しにかかるのはやめろって怒られてた。
そんで、私が瀕死の重症を自力で治癒したこともめっちゃ怒られた、こういうのは聖女とか教会治療院の人じゃないとやっちゃいけない事らしい。
めんどくさくて規約を1行も覚えてないけど、なんか色々なルールがあるんだとか。
治ったならいいじゃんって言ったらゲンコツを食らったからかなりマジなんだろう。
「あいたたた·····」
「いたい·····」
「反省しなさい?」
「「はーい·····」」
ちなみに、ゲンコツ回数は私が12回、先輩が11回だった。
私が1回多いのは余計な事を言ったからだ。
·····あれ?
ミカエル先輩、校長先生のゲンコツ普通に喰らってる?
なんか初撃でポテチが割れるみたいなサクサクパリパリって音めっちゃ聞こえたし·····
·····あっ、なーんだそういうことか。
これキノコ神拳で最初からやってたら勝ててたわ。
·····いや、今日は無理だったな、ミカエル先輩のペースに乗せられてたから使えなかったかもだし。
·····というか、現状最強ってもしかして校長先生のゲンコツ?
◇
その後は、ボロボロになった校庭を私が魔法で修復したり、ボロボロになった制服の汚れを落としたり修復をしたらと、色々やってたら日が暮れたので私たちは先輩たちと別れて帰宅の途に付いていた。
もちろんいつも通り私はケッテンクラートに乗ってみんなの荷物を後部座席に乗っけて運搬しながら、私たちの拠点であるB寮へと雑談をしながら向かっていた。
「はぁ····· まだ痺れてる·····」
「大丈夫?なんかすっごい戦い方してたけど」
「まぁ大丈夫だと思うよ、平気そうに運転してるし」
「にしてもよく平気よね····· 私だったら骨が折れるだけでもキツいのに·····」
「骨おれるのいたいよー?すぐ治ったけど、すっごく痛かった」
「ワシも昔はよく骨を折ってたのぅ····· でも腕とかが無くなるって事は無かったのじゃ」
「ん、わたしも怪我したこと、ない」
「だよねー、いっぺんにあんなダメージ受けるなんて早々····· 無い·····」
·····ん?
「はい点呼!!」
「1番アルム!」
「2番フィーロ」
「3番グラシアル」
「4番ウナだよ!」
「5番エヴィリンなのじゃ」
「6番ミカエル」
·····んっ?
「もう1回!!な、なんかの間違いだよね?」
「1番アルムだけど、なんでもう1回?」
「2番フィーロ····· あれ?」
「3番グラシアルよ、言い間違えたかしら·····」
「4番こんどはウェアだよ!」
「5番エヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシス」
「ん、6番ミカエル」
「·····なんで?」
「ん」
「いや、『ん』って言われても·····」
私は後ろを振り返ると、荷物置きになっている後部座席に美しくもくすんだ超ロングの金髪少女がちょこんと座っていて、車輌の揺れを感じて心地良さそうにウトウトしていた。
えっ、なんでミカエル先輩ついてきてんの?
いつの間に????
名前:ソフィ・シュティン
ひと言コメント
「いや、なんで??いつの間に??? ·····というかさ、ミカエル先輩が校長先生のゲンコツ初撃食らう時、1000回くらい何かが割れる音鳴ってたんだけどさ····· もしかして、あの強度の結界が1000枚ある·····?むっ、無理ゲーーーーー!!!!!!!」
名前:アルム
ひと言コメント
「うぇへへへ····· ねぇ味見してみてもいい?ダメ?」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「なんか嫌な予感がする·····」
名前:グラちゃん
ひと言コメント
「これ以上なかよし組が増えたら困るわ····· 後書きが長くなって面倒な事に····· ああっ!?ついに年齢も省略されてるわ!?」
名前:ウナちゃん
ひと言コメント
「あっ!ずっと眠そうにしてたせんぱいだーっ!!」
名前:エビちゃん
ひと言コメント
「こやつ····· 目的は何なのじゃ?」
名前:ミカエル
「ん、いいかんじの寝床があったら、わたしどこにでもいく·····」




