ソフィ・シュテイン人外化計画
魔法の実習授業を終えた私たちは教室に戻ってきて、購買で買った弁当を食べながら雑談をしていた。
「ソフィちゃん、あれって何やってたの?」
「色んな義手の調整だよ!それと両利きになるための訓練も色々とやってるんだ!」
「遠くから見ててもなかなか凄かったわね、あのビームとか食らったらひとたまりもなさそうね」
「わかるー、すっごい音だったもんね」
「ワシでも食らったらキツそうなのじゃ·····」
そりゃそうだ、だってあれ直撃したらこの前のゴブリンジェネラル程度なら一撃で消し飛ぶ威力あるし。
エビちゃんなら····· まぁ無傷だろうけど相当な距離は吹っ飛ばされるだろうね。
「いやぁ義手っていいね、こんなに使いやすいなんて思いもしなかったよ」
「ごめんねソフィちゃん·····」
「もう!フィーロ君謝るのいい加減にしてよ!」
「分かったよ·····」
未だにフィーロ君は私の腕を切断した事を申し訳なく思っているらしい。
別に気にしなくてもいいのにね。
強いて不満を言うなら、右手の方が色々やりやすかったかもしれないってくらいかな?
「はぁ、右手も義手にしたい·····」
「もうこれ以上無くすのは止めて!タダでさえ左手がないんだから!」
「はいはい····· ん?」
無くすのはダメ。
ってことはさ?
「·····増やすならいいの?」
「へっ?」
◇
私が閃いたのは『第3,4の腕を生やす』という案だ。
まぁ元々異種族へ変身できるアイテムを使用して天使にはなっていたり、たまに亜人族になって遊んでいるけどそれと少し似ているかもしれない。
·····で、どうやって腕を増やすかが問題だけど、私の脳裏にはいい案が思いついていた。
増やす腕は別に生身の腕でなくても、この左腕の義手と似たようなのを追加で2本左右に追加すれば十分ことたりる。
そして私の脳内には、2本腕から4本に増えるギミックを搭載したとあるロボ(※諸説あり)が浮かんでいた。
「とりあえず『星鎧』を改造して····· 胸当て部分にこういう機構を組み込んで、あーしてこーして·····」
「·····なんか小難しい事言ってる」
「どうせロクでも無いことじゃろ」
そのままの体だと増やすのは難しかったし、正直私生活ではそんな必要ないと思うから戦闘中に不意打ちで増やして色々やるのがいいだろう。
って事で、追加の腕は鎧に追加してみることにした。
「よし、装着っ!」
「·····今から授業だよ?」
「·····それまでの間にテストするだけだから!」
「ふむ·····?上半身の装甲が分厚くなったのぅ、で?腕はどこなのじゃ」
「んふふふふ····· こうするのっ!」
カキンッ
ギュォォォオオオオンッ!!
胸元の装甲に環状の光が2ヶ所に出現すると同時に胸部から脇腹あたりの装甲に亀裂が入り、装甲が動き出した。
クロスした形の2つの装甲が分離し、新たな2つの腕へと形状を変化させた。
「んっふっふ····· どう?カッコイイでしょ!」
「す····· 凄いのじゃーっ!!」
「何それ!?なにそれなにそれ!?カッコイイんだけど!!」
「ソフィお前すげぇ!チョーかっけーんだけど!!」
「見せろ見せろーっ!」
「動くのかそれ!なんか掴んでみてよ!!」
「んふふふ····· んふ····· ふんぬ、ふんんんっ?·····ふんぬぬぬぬぬっ!!!」
·····
動かん!!
ダメだ、私の脳のOSが4本腕に対応してないから動かないわ。
でも私は絶対に諦めないぞ!!
「魔導神経接続····· 動けええええ!!」
ピクッ
「よっしゃぁぁぁああ!!動いたああああっ!!」
「·····それだけ?」
「ピクっと動いて止まった·····」
「ちぇ、つまんねーの」
「オモチャじゃん」
「だって動かすの難しいんだもん····· この義手はまだ自分の腕の動かし方を伝えるだけでいいけど、追加したのどう動かせばいいか知らないもん·····」
「·····ぷっ」
「おいエビ!!笑ったなこんにゃろう!!」
「じゃって、ぶふっ!大層な変形をしておってハリボテじゃったら笑うじゃろうが!!」
「むきーっ!!許さん!喰らえパーンチー!!」
\ドゴスッ!!/
「ふっ、効かぬのじゃぐばっ!?!?」
「う、動いた!?」
そして怒り任せにパンチを繰り出したら、なんか動いてエビちゃんの顔面にパンチがクリーンヒットした。
·····うん。
動作が不安定すぎて実戦投入はまだ無理だねこれ。
あー残念·····
「·····で、説教はします?」
「·····怪我のことも考えて口頭で終わらせるわ、教室で鎧を着るんじゃないわよ」
\ワシが殴られたのはどうなのじゃぁ·····/
「いつもの事よね?我慢しなさい」
\酷いのじゃぁ·····/
·····とりあえずこれ以上試してたら、先生から説教食らうからこの位で終わらせるとしよう。
でも絶対諦めないからね!!
◇
〜放課後〜
私は星鎧の調整をすべく、久しぶりに魔動車部にやって来ていた。
とある目的のついでに、ここの作業場を借りてやっちゃおうって魂胆だったんだけど·····
「おはよーございます」
「おはよ····· っておい!今は今晩はだろ!·····ん?いやこんにちはなのか?」
「夕方って微妙に困りますよねー」
部室にはサンドラ先輩が居て、私が作った彼女の愛車『ワイルドキャッツ2』を点検していた。
実は私は先輩にこれ関係で呼ばれてたから、そのついでに星鎧の調整でもしよう。
「で、どうしたんですか?」
「いや特に問題はねぇぞ?後輩ちゃんが中々来ないから呼んだだけだ」
「お疲れ様でしたー」
だったら帰るわ、うちにも工房あるし。
ここ使いたかったのはアイディアが頭から抜ける前にやりたかっただけだし。
「まてまてまてまて!ちゃんと困ってた事があんだよ!」
「なんですか?」
「パンクした」
「·····はぁ」
タイヤは相当頑丈にしていた筈なのにパンクしてしまったようだ。
最初は直さないでおいてやろうかと考えたけど、どうやら動かす時に他の部員が工具を置きっぱにしてて踏んでしまったらしい。
それだったら仕方が無いという事で私は『修繕魔法』を使ってタイヤのパンクを修理した。
「·····あっ!いい事思いついた!!」
「おっ?なんだなんだ?」
「ちょっと改造していいです?」
「おう!オレも手伝うぜ!」
「ありがとうございます!」
今思いついた機能は『自動修復』、私の修繕魔法を発動する機関を組み込んで普段から周囲の魔力を取り込んでおいて故障時に問題箇所へ修繕魔法を掛けて修理するという機能だ。
とりあえず魔導具は一瞬で完成したので、制御ユニットの中に取り外したら壊れるような仕掛けを施して組み込んだ。
そして車体全体を効果範囲に設定して初期状態を記録しておいてそこから大規模に変化があった場合は溜め込んだ魔力を使用して修理する仕組みにした。
必要魔力量は多いが、パンクや凹み程度の修理であれば1ヶ月に1度なら発動できるようにしてある。
それと魔石を使ったり魔力を流しても貯蓄できるようになってるので、私が居なくても修理はできるだろう。
本当は誰でも修理できるようにしたいんだけど、ワイルドキャッツIIはそれが不可能なくらい魔改造しちゃったから、そこは責任を持って私がメンテナンスしてるって訳だ。
「よしOKです!これで私が居なくても修理出来ると思いますよ!」
「そんなに部活に来るのが嫌なのか·····」
「いや、この機能は私が卒業した後でも直せるようにした機能ですよ?」
「·····確かにそうだな、コイツをまともに直せるヤツは後輩ちゃんくらいしか居ないからな、サンキュー!」
「で?どうなんです?IIIの制作は」
「順調だな!!資金集め以外は!アッハッハッ!!金が全く足りないぜ!!!!!」
ちなみに先輩はIIを参考にIIIをちゃんと自作してるけど、とにかく資金不足で大変らしい。
·····少し寄付してもいいけど、自力でやりてぇって言って断られてるのよね。
この人、魔動車に関しては異常なこだわりもってるからなぁ·····
その後は細かい部分の修理や他の魔動車の改良とかをして時間ギリギリまで部活をやってから寮へと帰って行った。
名前:ソフィ・シュティン
年齢:12歳
ひと言コメント
「どうにかし4本腕使えないかなぁ····· あっそうだ!アシュラスケルトンさーん!多腕の人の腕の動かし方教えてー!!」
名前:アルム
年齢:12歳
ひと言コメント
「今日はミラクルスイーツパフェっていう幻のパフェを食べれたんだ!!ソフィちゃん来れなくて可哀想····· めっちゃくちゃ美味しかったのになぁ」
名前:フィーロ
年齢:12歳
ひと言コメント
「ソフィちゃんが人間離れしてきて困る····· ちょっとカッコイイけど」
名前:グラちゃん
年齢:11歳
ひと言コメント
「ソフィが部活に行ってたから帰り道に荷物を自分で持つ必要があってキツかったわ····· 本当に重すぎるのよコレ····· 筋トレするべきかしら?」
名前:ウナちゃん
年齢:12歳
ひと言コメント
「みてみてー!わたしも腕よっつあるよー!」
名前:エビちゃん
年齢:12歳
ひと言コメント
「ウナ、お主のは後ろにウェアが居るだけじゃろうが····· というか腕4本より尻尾とかの方が良いと思うのじゃ、ワシのしっぽはコップ程度じゃったら持てるしのぅ」




