魔王よりやべー女
私たちがゴブリンを殲滅し終わってちょっとしたくらいで、やっとこさ冒険者たちが森へとやって来た。
そして先導してきてきたユッ····· ええと、確かユユユユユユユユが私に話しかけてきた。
「おい!ゴブリンを殲滅したってどういう事だ!?」
「その通りの意味ですよ?」
「じゃあゴブリンジェネラルって言うのは!?」
「ほらコイツですよ」
私は背後にある、頭が爆散して無くなったゴブリンジェネラルの死体を指さした。
「·····マジかよ」
「マジです、調べてみていいですよ?」
「わかった」
そう言うとユッカリモッカリ?がゴブリンジェネラルを調べ始めた。
「もう1つ聞きたいのだけれどいいかしら?」
「はいはい?」
今度は魔法使いの格好をした女性が話しかけて来た。
あっ、この人ギルド職員の人の1人だ、初めてギルドに行った時に担当してくれた人だから、ユン氏の名前と違ってちゃんと覚えてたわ。
へぇ、一応冒険者だったんだ。
「いくらあなた達とは言え流石にゴブリンの集団を全滅させたとは考えにくいわ、それに討伐難易度A超えのゴブリンジェネラルを·····」
「ドラゴンのせいとでも言うんです?あれは私たちがちゃんと倒しましたよ?」
「·····わかりました、ジェネラルが討伐されたことに違いはないので良しとしましょう、では『ゴブリンを殲滅した』と言いましたが、討伐数は何匹でしょうか?」
「んーと、私は3200くらい殺ったかな····· みんなはどう?」
「クソっ!ワシは2100なのじゃ!」
「僕達は合計300くらいだった気がするよ!」
「合計約6000だから····· うん!倒せてますよ!」
「·····待ってください、桁を2つ以上間違えていませんか?」
「え!?この森の中、60万匹も居るんですか!?」
「いる訳ないでしょう!?そんな規模だったらサトミ様も出撃してますよ!!!」
そりゃそうか、そんないるわけないもんね。
ビックリしたなもー。
「森の中を探索してくれたらわかると思いますし····· というかこの臭気でわかりません?」
森の奥からは明らかに血なまぐさい悪臭が漂って来ていた。
それもシカを血抜きした時とは比べ物にならない、それこそ千単位の生き物の血が流れないと漂わない戦場の跡地みたいな臭気だ。
「·····たしかにこの臭いは大規模掃討作戦の後のような臭気ですね」
「でっしょ〜?なんなら森の中を探索してもいいですよ!」
「分かりました····· ではみなさん!残党のゴブリンを討伐しに行きます!」
「あーちょっと待って?もうそんなにゴブリン残ってないから、半分くらいは魔石採取とかにした方がいいですよ?あと森の中は地獄絵図なので、ゴブリンの生ミンチを見たくなかったら入らない方がいいですよ?」
「·····はぁ、では伝えておきます」
そう言うとギルドのお姉さんは大量の冒険者を引き連れて森の中へと入って行った。
5分後、1/4くらいの冒険者が顔を青くしたり吐いたのか気持ち悪そうにしながら森から出てきた。
ほら言わんこっちゃない·····
◇
ヒュンッ!
パシッ!
「よし、いい感じになってきた」
「おおおぉぉお!かっこいい!」
「ロマンなのじゃ!!」
「むぅ·····可愛くない·····」
「そうね、もうちょっと人っぽい感じにならないのかしら?」
「不気味だなぁ」
私たちは森の外でのんびりと遊んでいた。
今は私の義手を調整して使いやすい感じにしているところだ。
そう、さっきまでのは微妙だったし、ちゃんとした奴の設計もさっき終わって魔法で義手を構築したのだ。
あの後何があったかをダイジェストで言うと·····
・ギルドのお姉さんが慌てて外へ出てきて、使い捨ての転移魔法のスクロールを使用して帰って行った。
・ミンチの中から魔石を拾い集めた猛者たちが、特にユン氏がウハウハ顔で森から出てきたり、グロ耐性が無かった冒険者たちが沢へ逃げて行った、多分吐いてる。
・上位ゴブリンを1ヶ所に集めて使えそうな素材を採取しておいた、主に魔石。
・森の中からたまに悲鳴が聞こえてくる、たぶん冒険者が肉塊に足をもつれさせて転んだんだと思う。
ちなみに、今私が装着している義手の評価はフィーロ君とエビちゃんは大喜びだったけど、他の女子からはかなり不評だった。
そりゃメカメカしい腕じゃなぁ·····
でもロマンは捨てられない!!
「フォームチェンジ!アームキャノン!!」
ガチャガチャガチャッ!!
「「おおおおお!!!」」
私は左腕を変形させ前腕を開くとそこにサンダーボルト・アヴェンジャー用の弾丸を装填し、次に腕の左右に魔力誘導レールが展開され伸び、手のひらが外側へと折れて露出した掌底部分に隠されてた砲門が顕となり、レールガンと同じ仕組みにより誘導加速を行い物凄い威力の弾丸が発射された。
ちなみにエネルギー弾にすれば連射も可能だ。
「光のモード!輝彩滑と·····ブレードアーム!!」
カチャカチャカチャカチャッ!!
ジュインッ!!
ブゥゥゥゥウウンッ!!
「「うおおおー!!」」
今度は肩から肘までを人間の腕を模した機械の腕に、肘から先は手刀のような形で刃が出現して手の先より更に先まで伸びて腕全体がまるで刀のような形状へと切り替わった。
ちなみにブレード部分には『崩壊魔力』を纏わせてるため、光をも切り裂いて虹色にキラキラと不気味に煌めいていた。
そしてまた変形、次はデカい化け物みたいな爪の生えた腕にした。
うーん、巨木を握りつぶせるっていいね。
続いては機械っぽさのあるいたって普通の義手·····
に見えるけど、伸びる。
私は5mくらい遠くにあった野いちごを摘み、口にポイッと投げ込んだ。
精密動作もできるね!
また変形、今度は2分割して片方を椅子に、もう片方をテーブルにして即席の休憩スペースを作った。
·····足りなかったからもう一本伸ばして普通の腕にすると、インベントリからお茶を取り出して両手で綺麗な姿勢で飲んだ。
「ぷはあ····· どうしよ、義手が便利すぎるんだけど?あーなんか右腕も切りたくなってきた」
『『それだけはやめて!!』』
「だよねー」
ぶっちゃけ言うともう左腕はこのままでいっかなって思い始めたし、右腕も切断して義手にしたくなってきた。
だって普段は見た目も機能も触覚も体温も何もかもが元の腕と同じだけど、その気になれば伸ばせたり触手にしたりさっきみたいに機械っぽくしたり出来るんだよ?
まぁ元の人間の腕が恋しくないのかって言われたら恋しいとは答えるけど、私は全身のデータを『アカシックレコード』にバックアップを取ってあるので、腕のデータをそのまま義手に貼り付けたらそれっぽくなるのだ。
しかも魔法の力で継ぎ目も分からないくらいちゃんと繋げてるから外見にも問題は無いし、万能結界によって構築してるお陰で何にでもなれる優れものだ。
万能結界って説明したっけ?
まぁ説明しとくと、コイツは『結界を圧縮して作った万物を再現する擬似魔法物質』だ。
前に魔法には2つのタイプがあると、『魔法で物質を創造するタイプ』と、『魔法で周囲から物を掻き集めて構築するタイプ』があると言ったと思う。
けれど、私が使うこの『万能結界』はそれに属さない第3の魔法形式だ。
仕組みとしては、私が魔力で作り出せる結界の性質を『ソフィの石』による制御で形質を変化、私の記憶にあるモノの形や見た目、触感、性質を真似する事により擬似的に物質を生み出す仕組みだ。
メリットとしては魔力効率が創造するよりも良く、集めるタイプより素早く展開が可能な事。
それに例えば鉄→木材への変更みたいな異種素材への変更もそのままの形で行えたり、結界を追加する事で即時修復が行えたりする事かな?
デメリットは魔法を物質にしてるようなモノだから、意識して維持してないと性質を維持できない事や、常人にはコストが重すぎて維持できない事などがある。
まぁ私には問題ないんだけどね、ソフィの石で自動制御できちゃうし。
「んっふっふ〜♪」
そして私の左腕は今はこの魔法でできている。
ソフィの石の力で制御してるお陰で、元の腕と魔導神経で接続して擬似的に神経を通してるお陰で思った通りに動くお陰で幻肢痛が起きないし、触れたらちゃんと感覚もある。
更に一定以上の痛みは遮断するし、変形した時は擬似的に腕の形のまま神経回路を接続しておいて、手の形によって形状を変化させられるようにしてある。
例えば手刀にすればブレードモード、ピストルの形にすればアームキャノンになったりできる。
で、もちろん形質を変化させれば元の腕そっくりに戻せるし、擬似的にだけど傷を負えば出血したり打撲痕を再現したりも可能な機能も付けられる。
ここまでやったら、もう元の腕なんて必要ないって言ってもいいだろう。
「ほんとなんでも出来るんだねそれ·····」
「うんうん、これでもまだ慣れてないからたぶん本来のパワーの10%も出てないよ?」
「えぇ·····」
「人間基準に合わせるために出力落としてる····· と言うより落とさざるを得ないって感じかな?相当パワー出るよこれ」
「ソフィがまた強くなった····· もうソフィお主ワシより····· 魔王よりヤバいのじゃ·····」
「えっ?私は悪人じゃなくない?それに私はただの可愛い女の子だよ〜っ☆」
「はぁ?魔王は悪人じゃないのじゃ!!」
「·····魔王は悪人じゃないけど私は魔王じゃない!!」
『いやもう魔王よりヤバいわよ····· どうして貴女はちょっとでも目を離すとこうなるのよ·····』
·····上からなんか声が聞こえた。
私は左腕チェアに座りながら湯呑みを左腕テーブルに乗っけてから恐る恐る上を見ると·····
「ソフィちゃん、説教」
「いゃやぁぁあああっ!!!」
この後校長先生にみっちり怒られましたっ☆
名前:ソフィ・シュティン
年齢:12歳
ひと言コメント
「ぶっちゃけ左腕より利き手の右腕の方が良かった·····」
名前:アルム
年齢:12歳
ひと言コメント
「どうせなら可愛くしたいなぁ····· そうだ!可愛くデコってあげようかなっ!!」
名前:フィーロ
年齢:12歳
ひと言コメント
「腕が無くなっても元気そうでほんと良かった·····」
名前:グラちゃん
年齢:11歳
ひと言コメント
「誰も触れてないのだけれど悪質な冒険者たちが私たちに何かしてきそうだったのよ、でもソフィの腕をみてビビって逃げ出してたのよね····· たしかにエグいわよねアレは」
名前:ウナちゃん
年齢:12歳
ひと言コメント
「ウェアもかたち変わらないかな?イスくらいにはなるんだけど·····」
「イスはやだーっ!」
「あっごめんね?」
名前:エビちゃん
年齢:12歳
ひと言コメント
「変形!機械!ロマンなのじゃ!!·····ワシもちょっと腕を切り落とそうかと悩んだのじゃ」




