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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第二章 TS賢者は魔法学校へ行くっ!
14/61

魔法学校への旅路 1日目後半


 結局あの後も何のトラブルも起きず、日が落ちたので今日の移動は終わりとなった。

 私のマップによると、魔法学校のある街まで半分を少し過ぎるくらいの距離まで進んだようだ。


 そして、今日は街道沿いにある野宿用スペースで野宿するようだ。



「そういえば私、野宿なんて初めてだけど大丈夫かな?」


「僕も初めてだなぁ·····」


「ふふんっ!ワタシはあるよっ!王都に行くとき、かたみち2週間くらいずっと野宿だったんだ!だからワタシに任せてよっ!」


「はいはい、設営は大人がやるからガキンチョ共はそこら辺で遊んでな、でも遠くには行くなよ?」


「「「はーい·····」」」



 野宿経験者のアルムがイキリ散らかしていたが、野宿のプロである同行してくれた冒険者たちにそう言われ、不貞腐れながらも私たちと一緒に野宿場の隅っこにやって来た。


 そして、設営が完了するまで私たちは雑談をしようとしたが、アルムちゃんは悔しかったのか1人で魔力トレーニングを初めてしまった。


 あっでもよく考えたら私、前世で山の中でキャンプならした事あるわ、まぁでも異世界では役に立たないだろうしまだガキンチョだから言わなくていいや。




 私は暇なのでフィーロ君と話をし始めた。


「ねぇソフィちゃん、金ってさ、まだ錬金術では作れてないらしいんだけど·····」


「うん、確か金も賢者の石も出来てないんだっけ?」


「そうそう、でもさ、ぼくたちの町だと山から金が採れるでしょ?」


「うんうん、金の含有量も高い高品位な鉱脈があるもんね」


「この金ってさ、どうしてあるんだろう?」


「うん?私の町の金鉱脈は『熱水鉱床』だと思うよ、簡単に説明すると地下深くにある温泉が岩のヒビを通ると、ヒビに温泉成分が沈殿して石英とかが出来て、それと一緒に温泉にちょーーっとだけ含まれる金も沈殿して、長い年月を掛けて地殻変動で地表に出てきたのが金鉱脈だね」


「·····えっと、つまり温泉に金があるってこと?」


「それだと半分正解だね、温泉ってなんで温かいと思う?」


「うーーん····· 地面の下で温められてるから?」


「何によって?」


「·····もしかして、火山?」


「ほぼ正解、私たちの立ってる地面の遥か下にあったアツアツの溶岩に水が触れると、溶岩に含まれる成分が水に溶けだしてさっきのに繋がるってわけだよ」


「ということは、『霊峰』が関係してるの?」


 霊峰、この盆地の南側に広がる巨大な火山で、強力なドラゴンが住んでいると言われている所だ。

 この国では山岳信仰の対象にされている山だ。


「たぶんね」


「·····なんとなくわかった気がする、じゃあ僕達が入ってたフシ町の温泉もいつかは金鉱脈になるのかな?」


「どうだろうね、それが分かるのはずーっと後の事だと思うよ」


 久しぶりに有意義な会話が出来た気がする。

 というか、フィーロ君この年にしては賢すぎないかな?この会話を1割でも理解出来てる時点で凄い。


 だって、私たちと同い年のアルムちゃん、全く理解できなくて頭から煙出てるよ?


「·····あれ?溶岩に金があるんだよね?」

「うん、溶岩の中にあるはずだよ」


「その金って、何処から来たの?」


 うわ、フィーロ君そこまで行き着きますか·····


「んふふ、何処だと思う?」


「ぼくの予想だと、もしかすると大地の下にはでっかい賢者の石があって、それが鉄とかを金にするんだとおもう!その金を溶岩が運んできて、ぼくたちのところにやってくるんだと思う!!」


「フィーロ君の結論は残念ながら間違いだと思うよ」


「そっかぁ·····」


「ここから先はただの独り言、聞いても聞かなくてもいいよ」


 おほん、久しぶりに()の本気を見せるとしますか。



「金の起源はまだよく分かってなくて色んな説があるけど、宇宙空間、それもこの星から遥か遠く遥か昔に存在した恒星、私たちを照らす太陽よりもっともっと熱くて重い惑星、太陽質量の8〜10倍の質量を持つ恒星で、水素やヘリウムの核融合の末に出来た炭素・酸素からなる中心核でまた核融合反応が起こり、酸素やネオン・マグネシウムからなる核が作られる。この段階の中心核では電子の縮退圧が重力と拮抗するようになり、この中心核の周囲の球殻状の部分で炭素の核融合が進むという構造になる。中心核を取り巻く部分で起こる核反応生成物によって次第に中心核の質量が増えていくが、やがて中心核を構成する原子内で、陽子が電子捕獲により中性子に変わった方が熱力学的に安定となるらしい。これによって中心核は中性子が過剰な原子核で埋め尽くされるようになり、一方で電子捕獲によって減った電子の縮退圧が弱まるため、重力を支えられなくなって星全体が急激な収縮を始める。中心核の収縮は密度が十分大きくなって中性子の縮退圧と重力が拮抗すると急停止する。これより上の層は中心核によって激しく跳ね返されて衝撃波が発生し、一気に吹き飛ばされる。この段階を超新星爆発と呼ぶ。爆発の後には中性子からなる高密度の核が残り、これが中性子星となるんだけど、この中性子星ではまだ核融合が足りなくて金を作るまで至っていないらしくて、もっともっと強い重力で中性子の密度が高くなった中性子星同士が激突・合体する過程でようやく金とか白金とか希土類元素が生成される可能性が高いらしいね、その仮に超中性子星と呼ぶそれが何らかの原因で砕けたり蒸発して元素が宇宙空間に放出され、それが巨大な分子雲になって、その一部で重力による収縮が始まって分子の雲が圧縮され、収縮した質量の大部分は集まって恒星を形成して残りは扁平な原始惑星系円盤を形成してここから惑星、衛星、小惑星やその他の小天体等ができたんだけど、このとき分子の雲に含まれる金とか白金族とか希土類元素は重いから原子惑星の中、核付近に集まるんだけど、そこが供給源となってマントルプルームと呼ばれる現象のうち、ホットプルームというマントル成分が上昇する現象で惑星の奥深くにある重い元素が地表に近づいて、火山活動で溶岩にその成分が取り込まれ、溶岩に地下水が接触したときに成分が熱とともに地下水に取り込まれ熱水となり、それが沈殿してやっと地表に金が届けられるって仕組みなんだよ」



「わかった?」


「ぷしゅー·····」

「わかんない」


「あば〜、おんせんがばーんしてあばば〜」


「·····あれ?」


 いつの間にか同行してくれた冒険者たちの魔法使いのお姉さんも参加していたようだ。


 まぁ、全員等しく脳の処理能力を越えたせいか頭から煙出てたけどね!



「おい、そろそろ晩飯が出来るぞ····· って、うおっ!?何だこの状況!?」


「あっ!はーい!」


 結局ご飯が出来るまで、みんなは回復しなかった。

 私はみんなを置いて先に調理場まで行ってご飯の準備を始める。

 ふむふむ、夜ご飯は保存の利くパンと、干し肉と乾燥野菜のスープに、道中の川で採れた魚の塩焼きのようだ。


 魚の焼けるいい匂いに夢中になっていると、ようやく回復した皆が来てメンバーが揃った。


「全員揃ったな?じゃあ食べ始めるぞ」


「いただきまーす!!」


「·····いただきますって何?」


 さてさて、まずはスープから·····


 ずずずっ·····


 うん!味薄いっ!!


 次はパンを·····


 ボソボソで硬いっ!!


「ははは!嬢ちゃんマズいって顔してるな、冒険者ではこれが普通だ、むしろ町から近いから塩も沢山使えてウマい方だぞ?」


「むむむ····· まぁ、お腹を満たせるだけマシなのかな、塩分も補充できてるし·····」


「ほれ、魚でも食って元気出せよ、モスイートフィッシュ食わせてやるから」


「わーい!おじちゃんありがとー!!」


 冒険者のおっちゃんに貰ったアユにかぶりつく。


 すると、私の口の中でふわっふわの身が解れ、アユ特有の甘味のある香ばしい香りが鼻からフワッと抜け、舌にアユの旨みがまとわりついてめっちゃくちゃ美味しい。

 だが、ちょっと塩の掛かりが甘いので、飾り塩が付いたヒレをもぎ取って齧ると、カリッカリに焼けたアユのヒレは口の中で弾け、そこについた塩が口の中のアユの身と混ざって丁度いい塩分量になった。


 そして、子供にしては珍しく····· というか、前世で大好きだったアユの部位がある。


 そう、内臓だ。


 大人になっても苦手な人が多い部位だが、私はそこが1番好きだった。

 しかも、うるか(アユの内臓と身を刻んで塩を加えて熟成させた珍味)をアテにアユの骨酒で呑むのがかなり好きだった。


 あの苦味が無いとアユを食べる気にならない。


 私はアユの内臓を腹骨と周囲の身ごとかぶりつき·····


「うっまーーーい!!やっぱりアユのフワフワの身にこの香り!そして内臓の苦味がたまんないっ!!」


「おっ?モスイートの内臓の苦味が好きとは分かってるじゃないか、大人になってもコイツみたいに苦手なヤツも多いのにな」


 そう言うと、リーダーさんは話に加わっていた頭が爆発してた魔法使いを指さした。


「ええっ!?だって苦くて美味しくないじゃないですか!モスイートは好きですけど、内臓だけは絶対に無理っ!」


「私も内臓は食べたくないなぁ····· だから身が多い魚の方が好き」


「僕は食べれない事はないけど、内臓が無いほうが良いかな」


 むむっ!?

 内臓の美味しさが分からないとは、みんなまだまだお子ちゃまだねぇ·····

 ここが美味しいというのに·····


 というか、酒は無いのか!!米は無いのか!!


 あぁ!日本酒が恋しい!アユの塩焼きを食べながら日本酒をグビっと呑んで、アユと米を一緒に炊き込んだアユご飯にアユの唐揚げを添えてかきこみたい!


 はぁ、久しぶりに日本が恋しくなってしまった。


 こんど暇な時にお米と日本酒を探すかなぁ·····



 ご飯を食べ終えると、私たちはもう寝るだけだ。


 本当は冒険者や乗客の人が数時間交代で見張りをするのだが、私たちは子供なので見張り役は免除されて明日の朝までぐっすり眠れる。

 しかも、私たちは小さいので馬車の中にベッド代わりの布を敷いてのんびり寝る事が出来る。


「んじゃワタシ右端もーらいっ!」


 馬車の中に入ってすぐにアルムちゃんが右端に寝転がってしまった。


「じゃあ私はアルムちゃんの隣で」


 私はアルムちゃんの隣、馬車のど真ん中で寝る事にした。


 そして最後は·····


「えっ!?あっ、ぼっ、僕は、ええと、そ、外で寝るよっ!!」


 フィーロ君は逃げ出してしまった。

 はっはーん?フィーロ君、さては女の子と一緒に寝た事ないなぁ?ウブで可愛いねぇ·····


 そんなフィーロ君の行動にホッコリして何となく懐かしい感情を感じていると、フィーロ君が俯きながら帰ってきた。


「外は危ないからガキンチョは馬車で寝ろって言われちゃった·····」


「まぁ、私は気にしないから大丈夫だよ、ほら、私の隣空いてるよ?あっ!それとも、私とアルムちゃんの間が良い?」


「うっ····· ううううう····· ソフィちゃんの隣で·····」


 フィーロ君は渋々といった様子で私の左隣に行き、馬車の端っこにくっつくように縮こまりながら寝転がった。


 閃いた。


 ぐへへ····· ちょっとイジワルしちゃお。


 私は()()()フィーロ君の方に寝返りをうって、壁の方を向いて張り付くように寝ているフィーロ君の背中に、身体を当てるようにピタッと張り付く。


 そして、とっておきの殺し文句を言い放つ。



「フィーロ君、私のこと、嫌いなの?」


「っ!?!?!?!?」



 フィーロ君の身体がビクッと反応し、逃げるつもりなのか起き上がろうとした。


 逃がさないよぉ····· ぐへへ·····


 私は絶対に逃がさないようフィーロ君に手足を巻き付けガッチリとホールドし、追撃を開始する。


 逃げられないと悟ったのか、恥ずかしさからなのか、首と耳まで真っ赤にしてプルプル震え始めたフィーロ君の耳元で優しく囁く。



「あのね、わたし、フィーロ君と話したの、すっごく、すっごくたのしかったのに、逃げちゃうなんて、わたしのこと嫌いなんだ····· わたし、悲しいな·····」


「えっ!?いやっ!ちがっ!僕はっ、ソフィの事す····· すっ!?」


 フィーロ君がギュルンと首を回してコチラを見てきたので、上目遣い&涙目の悩殺コンボで攻める。



「す?」


「ああああのっ!えっと!あばばばばばばば!」



 おっ?

 これは、あとひと押しで爆発するかな?ぐふふ·····

 なんて邪な事を考えていると·····



『うるさいっ!!!!』



 寝ようとしていたアルムちゃんがキレた。


「はーい·····」


 仕方ないので、これ以上フィーロ君をイジるのは今日はもう終わりにしよう。


 だが、私は今やってるイタズラを()()()とは一言も言っていない。


「ふぃーろ君、おやすみなさ····· い·····」


 私はフィーロ君に抱きついたまま、ピュアな少年の激しい鼓動と、綺麗だった性癖がぶっ壊れる音のハーモニーを楽しみながら眠りに就いた。





 んふふ、今日はいい夢が見れそう·····






「えっ、ちょっとソフィちゃん?その、離れて欲しいんだけど····· えっ?抱きついたまま寝るのっ!?」


「すやぁ·····」


「うっ、うううううう·····」


 その日、フィーロは一睡も出来なかったという。


 その原因となったソフィはそんな事を知る由もなく、見事に朝までフィーロに抱きついたまま爆睡していた。


名前:ソフィ・シュテイン

年齢:6才

称号

『魔性の女』←New!!

ひと言コメント

「ああ〜!!性癖が壊れる音ぉ〜!!」


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