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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第3章 TS賢者はアイを知るっ!?
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初日の出カムバック


【1月1日 6時30分】


 お雑煮やらなんやらを一通り食べた私たちは外出の準備をしていた。


 それも軽い外出とかではなく、割とガチの外出用の装備である。


「じゃあみんな、初日の出を見に行くぞー!」


『『おーー!!』』


 そう、私たちは初日の出を見に行くつもりなのだ。


 たしか初日の出は6時55分ごろだったから、それまでにはいい感じの場所を見つけたい。


「よし!ちょっくら抜け出すよ!ゲート展開っ!」


 私はゲートをとある場所に繋げて、みんなを案内した。



 がさっ·····


「うわさむっ!?」

「そう?寒いかしら?」

「グラちゃんが言っても信用ないからね?今日ほんとに寒いからね?」

「だよね、あぁ厚着してきてよかった·····」

「寒い·····ぶるぶる·····」

「ふむ、心地よい寒さなのじゃ」


 私たちがやってきたのは街の外にある西の森だ。


 ここはエビちゃんがなかよし組に加わった時の依頼で初めて来た所だ。


 そう、あの筋肉キノコの居た場所·····に近い所だ。



「ソフィちゃん、ここってどこ?」


「ふっふっふ、コイツを見ればわかると思うよっ!弟子共よ出てこいっ!!」


『『Muuuush!!』』



 私が合図を出すと、森の奥から、地面から、木の洞から、木の上から、やたらムキムキなキノコがゾロゾロと出てきた。



「ひっ!?や、やめるのじゃ!そいつはワシのトラウマなのじゃっ!!」


「大丈夫!このキノコたちは私の弟子だから!」


『『·····弟子?』』


「うん!私って前にマッスルマッシュのユニークモンスター倒したでしょ?あの時『キノコ神拳』っていうスキルに覚醒したんだけどね、その後ダイエットのためにここに来たら、マッチョマッシュ達のトレーニング施設に連れてこられて、一緒にトレーニングしてたらいつの間にか師範に·····ね?」


「··········わからんのじゃ!!」


「だよねー」



 うん、さっきも言ったけど、私はいつの間にかキノコ神拳の師範代になってた。

 最初は西の森でトレーニングしてただけなんだけど、なぜか筋肉キノコたちの道場に連れてこられて、その後はそこで指導をやりながら筋トレをやってたという訳だ。


 ちなみにエビちゃんは顔をボコボコに殴られたせいでマッチョマッシュどころか大きめのキノコにトラウマがあるよっ☆


「あっ、場所で言うとここは『連峰』の手前の山の中だよ!」


「へぇ····· でもなんでこんな所に来たの?街の近くでも良くない?」


「いや、私よくここに筋トレしに来てたし、この子たちが危険な魔物を排除してくれてるから安全なエリアなんだよ!·····私が居たらだけどねっ☆」



 ちなみにこの奥にはなぜか突然前世の地球にあった『武陵源』みたいな地形が広がっていて、その上にキノコ達の修行寺院、キノコ道場があったりする。


 あと私は人間だけどそこでキノコ神拳の達人として、キノコ道場の師範代としてキノコだけじゃなく武闘系の魔物達にも拳法を教えていたりする。



 ·····キノコ神拳の歴史とかを説明すると長くなるから今回はカットしちゃうよっ☆



 そして今居るのはそのキノコ道場だ。

 ここは幻影結界で包まれているから常人では来れない秘境なのだが、その景色はもう恐ろしいほどの絶景で、新年には丁度いいと思ったのだ。


「やばっ、みんな!もうすぐ日の出だよ!こっちこっちっ!!」


『『はーいっ!!』』



【1月1日 6時49分】


 私たちが向かったのは、道場から出て真っ直ぐのところにある舞台だ。

 イメージはアレだ、中国とチベットと日本とかの様式がごちゃ混ぜになった清水寺の舞台って感じの場所だ。


 ちなみに舞台の下は300mくらいの崖だから飛び降りたらガチで死ぬよっ☆

 ·····まぁ、キノコ神拳をマスターしてたら死なないんだけどね。


 宇宙から生身で落ちても無事(なお地面に人型の穴はできる)のがキノコ神拳なのだ。


「ええと、あと6分くらいで太陽が出てくるよ!」


「ごくり····· キノコたべたい·····」

「うわぁああっ!凄い景色っ!!」

「凄いわね····· ソフィ、後でここで写生してもいいかしら?」

「高いのこわい·····」

「っはー!凄い!凄いのじゃっ!魔王城あたりに少し似ておるが、あっちはいっつも妙な雲が立ち込めて日の出は見れないから凄いのじゃ!」


 ここからの景色は本当に凄い、ここは岩柱の乱立する渓谷で、常に幻想的な霧が立ち込め、冬で雪が降っているというのに深く美しい緑色の木々が生え、そして遠方にはこの国の象徴である『霊峰』が悠々と聳えたっている。



 ·····暇だな、ちょっとこの盆地の構造でも語って暇つぶししよっと。



 実はここの盆地の地下深くには魔脈····· 直訳だからわかりにくいけど、風水用語の『龍脈』的なのが沢山通っているのだ。

 もちろんこっちのは魔術的にちゃんと解明された実在の流路で、前世の地球とは少し違う形状だけど『中央構造線』などの地脈、断層面に沿って地下深くから流れてくる魔力の流路が存在する。


 そしてこの盆地は、『中央構造線』と『クロべ・霊峰構造線(※日本の『糸魚川静岡構造線』)』 と『ルーラル半島(※伊豆半島)衝突地点』などが一堂に会する地点で、とてつもない量の魔力が溢れるポイントなのだ。



 まずこの中央構造線とクロべ・霊峰構造線が激突したことによる龍脈の停滞によって魔力溜まりが発生し、しかも『霊峰』のマグマだまりを伝ってプレート沈み込み帯から魔力が吹き出してくる事で超巨大な龍穴が出来ているという、かなり特異な地点だったりする。


 そしてこの場所は龍脈から伝わった魔力があっちこっちから吹き出す、いわば温泉、それも別府温泉みたいな地点だ。

 ·····まぁ、この盆地はそこら中に魔力噴出地点があるのだから珍しい物でも無いけど、ここの魔力噴出地点は比較的量が多いという特徴があるからこんな感じで寺院が建てられた·····らしい。



 とか考えてたら、もうあと1分くらいで日の出だ。




【1月1日 6時54分】


 意識を自分の思考から現実に切り替えると、既に空は明るくなり太陽が上りかけて眩しくなってきていた。


「おおおっ!あとちょっと!あとちょっとだ!!」

「あとどのくらい!?」

「わかんないけど見といた方がいいよっ!」

「眩しいわね····· でもあと少し!」

「まだかなー·····」

「幻想的なのじゃ····· 良いのぅ·····」


 そして、遠くの山の縁が明るく輝き出して·····


 あっ、やべっ、強い光みたせいで、くしゃみが出そう·····

 なんだっけこれ、えーっと····· 光くしゃみ反射でいいんだだけ。


 あームズムズする、でもあとちょいで太陽が出るから我慢して見ておきた·····


「ふぇ、ふぇ·····ッ!!」


 私が必死に堪えていると、とうとう太陽の縁が山から出始め、強力な光が差し込み·····


「ぺくちんっ!!ふぇっ、ふぇっ····· ぺっくちんっ!!」


『『わぁぁぁあああっ!!!』』


「あーーー!!!見逃したーーー!!」



 太陽が1番輝く瞬間を見逃した。




「むうううぅ·····」


「ほ、ほらソフィちゃん、別に日の出なんて何度でも見れるから!」

「そうだよ、また来年も見に来ようよ!」

「ほらイジけないの、さっさと部屋に戻って····· いや、ここの観光したいから案内して欲しわ」

「キノコたべたーい!ソフィちゃんこのキノコ食べてもいい!?」

「気の毒じゃったな····· というかお主何故光をみてクシャミが出るんじゃ?」

『『mushroom·····』』


 ご来光を見逃した私は舞台のすみっこでイジけて体育座りしていた。

 その背中を新年の明るい太陽光が慰めるかのように照らしていて、私は余計にいじけていた。


 そしてなかよし組の面々と、弟子のキノコたちも集まって私の事を慰めていた。

 そして余計に余計にいじけていた。


「·····いいもん、今から時を戻して見るもん」


「それはダメなのじゃ!!というか軽々しく時を戻すでない!!前やった時の説教を覚えとらんのか!?」


「チッ。····· まぁいいや、来年こそは····· 待てよ?『チッ。』?」


 その瞬間、私の脳裏に妙案が浮かんだ。


 昼と夜、それは惑星が自転する事によって恒星の光に当たらない位置にあり影になっていた部分こと『夜』が恒星に晒されて発生する現象である。

 その時、ある地点から東側を観測しているとあたかも水平線(地平線)から太陽が動いて登っているように見えるのが『日の出』という現象だ。



 昼の部分、つまり光が当たる部分が広がるスピードは惑星の回転速度に依存する。

 そして、この回転速度は時速約1700km、


 つまり、たった今太陽が登ったこの地点より1700km西側では1時間後に日の出が始まる。


 そこまで行けば、私は時を戻さなくてももう一度日の出を見ることが出来るはずだ。


 考えろ私!唸れ私の脳細胞!


「計算式····· 目的地点、時点速度の時速、移動距離、それを考慮すると『X÷(40000÷86400)=Xkm動くのに必要な時間(秒)』」


「そ、ソフィちゃん?どうしたの?」


「この場合計算式が複雑化するから変形、『現在地点で日の出からの経過時間X(秒)×(40000÷86400)=必要距離Ykm』」


「計算·····?僕にも分かるように説明して?」


「日の出時刻は6時55分、現在時刻7時5分、誤差10分、計算式に入れるため秒に変換して10×60=600、X=600を計算式に代入すると」


「あぁもうダメ、私は頭痛くなってきたわ·····」


「600×(40000×86400)=277.7()、つまりここから277.7km先、多めに見積もって300km先はまだ日が登ってないはず」


「ねぇソフィちゃーん、キノコたべようよー、バターと醤油と七輪だしてー」


「日照地点が移動するスピードば秒速472m、時速1700kmだと追いつけない、じゃあマッハ10なら?12250÷60=204.17km/分、300km先まで1分半、すると日照地点は0.472×90=42.48kmを移動距離にプラス、よって飛行時間は90+5秒だけど多めに見積もって100秒と見積もると移動距離は·····」


「ま、まさかお主!太陽を追い越そうとしておるのか!?」


「340km先だっ!!」


『Mushroooom!!!』


「じゃあちょいとひとっ飛びしてくるっ!!待っててねみんな!!キノコ達はみんなを持て成してあげて!傷付けたら····· 全員焼いて食うよ?」


『『Musssssshhh!!!』』


『『ちょっと待って!!いくらなんでも』』


「問答無用っ!!じゃあねっ!!」


 ブワッ!!


 私は空へ向けて垂直に飛び立ち、一瞬で上空4000m付近までやってくると、太陽を1度拝んでから背を向け、『飛翔魔法』と風避け結界などの飛行に必須な魔法を即展開して·····



「いくよっ!!マッハ10だっ!!」



 バァァアアアンッ!!!



 その瞬間、私の体は1秒で音速の10倍に達し、ソニックブームによる爆音と衝撃波を撒き散らしながらまだ暗さが残る西の方へと消えていった。





「うぉおおおおおっ!!暗くなってきたーー!」


 マッハ10の速度は凄まじく、私の眼下には恐ろしい速度で景色が流れていっており、空もどんどん暗くなって太陽は一方通行なはずの黄道を逆走し、東に向けてどんどん沈んで行っていた。



「にしても、もし重力魔法が無かったら私は今頃ぺちゃんこになってたよね·····」



 たった1秒で時速12250kmまで加速したのだ、重力魔法でGをうち消してなかったら確実に死んでた。



「やっぱり魔法ってサイコーーーー!!!」



 私の声はドップラー効果を引き起こしながら取り残され、体はその間にも西へ西へと飛翔していた。





「あと5、4、3、2、1、到着っ!!」



 出発からピッタリ100秒後、私は盆地から約340km離れた、前世で言うところの兵庫県姫路市あたりまでやってきていた。


 ·····けど、なんか微妙におかしかった。

 計算上でマッハ10で飛べばもうちょい早い時点で日の出を追い越してたはずなんだけど、なかなか沈まなかったのよね。


 たぶんだけど、惑星の面積が1.5倍くらいあるのに1日が24地球時間だから、そのぶん自転速度が早いのかもしれない。

 まぁマッハ10で飛べば関係なかったし、落ち着いて見たかったから余裕をもった場所まで来たからなんの問題も無い。


 結局は力技で解決よ。



 そして、私は来た方向を振り返ると·····






「きた····· 太陽が昇る·····」






 地平線の彼方から美しい太陽が昇り、私の体を照らした。






 あぁ、空から見る日の出ってこんなに美しいんだ·····







 私はその美しさに感動し、思わず涙が零れてきて、一滴の雨粒を大地に降らした。



名前:ソフィ・シュティン

年齢:12歳

ひと言コメント

「やっぱり初日の出はちゃんと見たいよねっ!はぁ·····今年もいい年になりそうっ!」


名前:アルム

年齢:12歳

ひと言コメント

「キノコさんたちが道場の中でスイーツキノコっていう甘いキノコ食べさせてくれたんだ!傘がチョコで柄の所がクッキーだったよ!」


名前:フィーロ

年齢:12歳

ひと言コメント

「まったくソフィちゃんはもう····· スカートというかワンピースで空浮かないでよ····· 新年からいいもの見れたけどさ·····」


名前:グラちゃん

年齢:11歳

ひと言コメント

「ソフィが帰ってくるまで暇だからスケッチでもしておくわ····· ちなみに私は普通に絵心あるわよ?」


名前:ウナちゃん

年齢:12歳

ひと言コメント

「わたしも絵は描けるよ!ソフィちゃんから『画伯』って褒められたんだっ!凄いでしょ!!」


名前:エビちゃん

年齢:12歳

ひと言コメント

「ワシはそこそこなのじゃ·····というか皆はソフィがとてつもない速度で飛んだのには突っ込まんのか····· まぁ日常茶飯事だから仕方がないのじゃ」


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