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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第3章 TS賢者はアイを知るっ!?
132/227

ありのままのグラちゃんになって



 午後



「じゃあいくよー!雪よ降れ降れ『ブリザード』!」



 私はディメンションルームの『庭』で全力全開の大雪魔法をぶっぱなした。


 ·····ォォォォォォォオオオオオオオオオッ!!


「きたきたきたー!!」


 ゴォオォォォォォォオオオオォォオオッ!!


「逃げろー!!」


 『庭』にこの前の大雪みたいなとんでもない勢いの猛吹雪が発生し、私たちの遊び場である『庭』が物凄い勢いで雪原へと変化していく。

 あっ、世界樹さんが寒そうにしてる。


 なんか申し訳ないけど、あの木って極圏とか標高5000m以上でも普通に生えるから平気だよね?

 うん、平気ってことにしておこう。


 そして私は猛吹雪から逃げるように『秘密基地』へと飛び込んで、庭から冷気が入ってこないように張ってた結界のお陰でポカポカになった。


 この秘密基地と庭の間は実はゲートになっていて、気温やゴミが入らないよう結界も張って徹底的に断熱できるようにしてあるから、外が寒くても秘密基地の中はポカポカなのだ。

 ちなみに夏はもちろん庭は暑いし秘密基地はひんやりしている。


「はー寒い····· やばい·····これ外出たら吹っ飛ばされるし、凍え死ぬわ·····」


「前から気になってたんだけどさ、なんで暖かくできるのにわざと寒くしてるの?こんな結界まで張って·····」


「だって冬だから冬を味わいたいじゃん·····」


 私は尻もちをついたような姿勢で、猛烈な吹雪の結界の外を眺め·····


「我慢できないわぁぁぁあああっ!!私行ってくる!やっはーーー!!!うひょぉぉおおおぉぉぉぉ·····」


『『ちょっ!?グラちゃん!?』』


 グラちゃんが猛吹雪の庭に飛び出し、そのままどっかに吹っ飛ばされて行った。






 私とエビちゃんの懸命な捜索の結果、グラちゃんは『庭』の端っこあたりに出来た雪山の中に足だけ出ているのを見つけて引っ張り出した。


「ぷはぁ!やっぱり雪はサイコーね!!」


「はぁ·····はぁ·····焦った·····」

「う、うむ····· 普段大人しいグラがまさかこんなにはしゃぐとは·····」


 私とエビちゃんは寒さに対する耐性かあったので猛吹雪の中に飛び出したが、天使の服を着てなかったら私は今頃氷像になっていたであろう寒さだ。


 体感温度は大体-15℃といったところだ。

 風が物凄いせいでめっちゃくちゃ寒い。


「ねぇグラちゃん、その格好で大丈夫なの?」


「うむ、この寒さは流石のワシでもちゃんと着込まないと無理なのじゃ·····」


「この程度全っぜん平気よっ!」


 グラちゃんの服装はなんと薄着なのだ。

 まぁ薄着と言っても普段着で長袖だけどね?

 それでも、この極寒ではありえない服装で、一般人なら確実に死に至るだろう。


「薄着はやめた方がいいと思うけど·····」


「あら?ソフィも薄着じゃない」


「くっ·····」


 確かに私の格好は寒さ無効の効果がある『天使の服』という薄手の白の肩出しワンピース1枚という異様な光景だ。

 ちなみに暴風でワンピースがめくれ上がって下着丸見えになってたりするが気にしない。


 共同生活してるからフィーロ君も含めてなかよし組はしょっちゅうお互いの裸とか見てるし見せてるからね。

 ·····そういやフィーロ君のは見たことないかも。


「で、どうなってんのそれ?」


「あぁ、言ってなかったかしら?私は寒さ無効っていう特殊能力があるのよ?氷の張った川でも平気で泳げるわ、なんなら今全裸で走り回りたいくらいよ!」


「「はぁぁぁああ!?」」


 ダメだ、グラちゃんは常識人だって期待してたのにダメだった、この子頭おかしいわ。


 ·····まぁ、私も寒さ無効のスキルあったら全裸で雪に飛び込むけどね?


「分かった、でも風がヤバいから今は一旦積もるのを待とう?寒さは大丈夫でも大怪我するよ?」


「わかったわ·····」


「一件落着なのじゃ····· うう寒っ、早く戻ってポトフでも飲みたいのじゃ·····」


 こうして私とエビちゃんは無事にグラちゃんを見つけて連れて帰った。



「ねぇまだ?まだ?まだ?まだかしら?」


「·····まだ、1mは積もらせたい」


「ちっ·····役立たず·····」


「ああん!?やったろうかゴルァ!!」


 ビュゴォォォォォオオオォォオオォォオオォオ!!



「·····やっべ、積もらせすぎた」


「わーい!!」


 ぼすっ


 私たちの前には、なんと5m近くも振り積もった雪の壁があった。

 ちなみにグラちゃんはその雪の中に飛び込んで消えていった。


 もちろん吹雪は終わっていて外に出られる環境にはなっているけども、雪の壁のせいで外へ出られない。


「仕方ない····· 魔法で雪かきするから待ってて」


『『はーい』』


 私は魔法を使って無理やり庭へ出ると、なんかもう凄すぎる事になってた。


 この『庭』は今は直径10キロ近いドーム状なのだが、1面物凄い真っ白だ。



「えーっと、とりあえず世界樹の周囲は除雪、秘密基地の周囲も除雪、退けた雪は1箇所に固めて雪山にして·····いや、地面を隆起させて山にしてっと、ええと、あとあそこも雪の量を減らしてあそこは四角いフィールドにして·····」



 5分後



「みんなー!できたから出てきていいよー!」


『『わー!!』』


 なんとか整備を終えられた私は、みんなに終わったと声を掛けた。

 するとみんなが秘密基地から飛び出して、早速雪玉を作って空に浮いてた私目掛けて·····


 ヒュゴッ!


「·····えっ、もしかして的当てゲーム!?」


『撃ち落とせー!ソフィを撃ち落とすのじゃ!』


「ちょちょっ!まって!エビちゃんの玉はシャレにならなへげぶっ!?」


『当てたわ!顔面に命中よっ!!』


 突然雪の中から現れたグラちゃんが投げた雪玉が顔面にぶつかり、私は雪の中へと真っ逆さまに落ちていった。




「あいててて····· 雪って結構痛いんだ·····」


「ソフィちゃん大丈夫?これで冷やして」


「ありがとうフィーロ君·····って雪じゃねーか!!」


 私は衝撃で首を少し痛めたので、休憩中だ。


 あとフィーロ君がふざけて私に雪を渡してきたので、とりあえずパンツの中に突っ込んだら変な悲鳴を上げながらどっかにぴょんぴょん跳ねながら消えてった。


「とりあえずみんなの分のスキーセットとスノボセットはこんなもんかな·····」


 私は予め伐採しておいた世界樹の枝·····まぁ枝1本で神社の御神木みたいな太さあるんだけどね?

 その枝から切り出したから、性能に関しては問題ない。

 そして固定方法は足を置くところに魔法を組み込んだ魔石を付けて、踏んだら発動して板に固定する仕組みになっている。

 あとは一定以上捻ったら外れて対象者を保護する機能まで付けておいた。


 ·····このスキー板、杖じゃないのに下手な杖よりも圧倒的に性能いいんだよね。


「っし、あとは雪山の整備と、スノーモービル化したケッテンクラートを持ってくるのと、アキさんにポトフを作ってもらうのと·····」


 あぁ忙しい·····


「よし!そろそろ私もあぞぶひっひゃっこ!?」


「ソフィちゃ〜ん?僕のどこに何を入れたのかな?」


「ちべたっ!?ちべたんっ!?ちべたぬすっ!?」


 冷たさの三段活用。


 さっきパンツの中に雪を入れられてはね回ってたフィーロ君が反撃してきた。


 ·····私の服の中にも雪玉をぶち込まれたわ。


 めっちゃ冷たかった·····

 というか天使の服働け!


 ·····え?こういう悪ふざけの仕返しの場合は効果が出ない?マジかよ!?


 その後、私はフィーロ君と同じように雪の中をぴょんぴょんはね回るハメになった。



「あぁ冷たかった·····」


「それ自業自得って言うんだよ?」


「だよねー·····」


「そ、ソフィちゃん·····」

「ん?何?」


 何やらフィーロ君が神妙な顔で私の方を見ていた。


「その、ぼ、僕、僕、ソフィちゃんの事が、すっ、す····· 好ッきやきっ!?」ベチコンッ!!

「·····すき焼き?」


「雪の中の私は無敵よ!あはははっ!!」




 スーパーハイテンションなグラちゃんが雪の中から飛び出してきて、私とフィーロ君の顔面に雪玉をぶつけて、再び雪の中に消えていった。


 よく見たら、寒くて部屋に帰ったウナちゃんを除く全員が顔面に雪玉をぶつけられていた。


「·····(憤怒)」


「うわ!フィーロ君の顔がマジだ!?」


「みんな背中合わせに固まるよ、グラちゃんが来たら雪玉で狙い撃ちしぶべっ!?」ペチィッ!


 今度は死角から顔面に雪玉が命中した。


「どうなってんの!?とりあえず背中合わせ!」


「りょうか」ベチッ

「りょう」ベチッ

「りょ」ベチッ

「り」ベチッ


『『·····』』


「きゃはははっ!!」



 ぷちっ


「ッッッッッ!!!!!(激怒)」

『『あっ·····』』



 フィーロ君キレた。





 何故かガチギレしたフィーロ君の作戦通りに、私はグラちゃん(ゲリラ)が出てきたところに突っ込んだ。


 するとそこにはなんとモグラの巣穴みたいな雪のトンネルが出来ていた。

 多分魔法でトンネルを作ったな?


「エコーロケーション·····!」


\カァンッ!!/


\カァンッ!/

 \カァン/

  \カン/

   \/


「·····見つけた」


 タッ


 私は舌打ちのような音を放ち、反射してきた音でグラちゃんの位置を特定し、駆け出した。


「いた」


「想定内よ!ふんっ!」


 ドサドサドサッ!


「ひぎゃっ!?」


 私の脚力で一瞬でグラちゃんの所までやって来たが、なんとトンネルを崩して私を生き埋めにしてきた。


「ももぐもがもが····· ぷはっ!·····くそ!逃げられたっ!!エコーロケーション!\カァンッ!!/·····は?反応が無い?」


「甘いわよ!」


「ぴむっ!?」ベチコンッ


 なんとグラちゃんが私から見て左の壁をぶち破って出てきて、と降り際に顔面に雪玉をぶつけて右の壁の中に消えていった。

 しかも通り道が塞がってしまうというオマケ付きだ。


 ·····ヤバいなアレ、鬼に金棒ならぬ『雪にグラちゃん』というコトワザが生まれそうだ。


「くっそ····· エビちゃん聞こえる!?」


『うむ!聞こえびっ』ベチッ


『あははは!!動かないと当たるわよ!動いても当てるけど!!』


『こんの····· オルァ!!』


 ドォン!!


「うわっ!?」


 多分上空で浮いてたエビちゃんが怒って結構マジで雪玉投げたな?


 でも多分グラちゃんには当たってないなこれ、だって私の顔面に雪玉ぶつけて来たし。


「エビちゃん!上空からグラちゃんの動いてる痕跡見える?」


『多少は見えるのじゃ!じゃが神出鬼没で対応が追いつかんのじゃ!』


「うーん·····とりあえず見つけたら高速で突っ込んでグラちゃんを拘束して!」


『了解なのじゃ····· そこだっ!!』


「捕まえて!!」


「ここだぁぁぁああっ!!」


「へっ?」

「えっ?」


 ごちんっ☆


「「いったぁぁぁぁああいっ!?!?!?」」


 何故か私目掛けてエビちゃんが突っ込んできて、両者共に頭をぶつけてしまった。

 角が刺さってたら即死だったけど、奇跡的に頭頂部同士が激突したお陰で助かった。


「痛たんべっ」ベチコンッ!

「あいたぶべ」ベチコンッ!


「あっはははっ!2人ともよわいよ!!」


 が、そのタイミングを見計らってグラちゃんがまた顔面に雪玉をぶつけて来た。



 ·····



「雪よ消えよ」



 シュンッ



 次の瞬間、雪の立体迷宮が消滅しグラちゃんの姿が顕となった。


「「みぃ〜つけた〜」」


「·····逃げなきゃ」


 ズダァンッ!!


 グラちゃんは逃げ出したが、直線番長のエビちゃんと私に捕捉されてはもう逃げられない。


 エビちゃんがロケットスタートで一瞬で背を向けて逃げるグラちゃんの前に回り込んだ。


「グラよ、魔王からは逃げられないのじゃ」

「そして私からもね?」


「くっ····· 雪さえあれば·····!!」


 だがそんなグラちゃんの願いも虚しく、あっという間に簀巻きにされて『秘密基地』へと運び込まれてしまった。





「·····で、なんであんな事に?」


「·····あれが私の素よ、親から周囲の目を気にしろ、貴族らしい言動をしろと言われてずっと我慢してたのよ」


「えっ!?アレが!?ただの悪ガキじゃん!」


「確かに····· 貴族のお嬢様にしては酷すぎる·····」


「凄かったねアレ····· わたし帰っててよかった·····」


「ワシの幼少期より酷いのじゃ·····」



「こんな性格で悪かったわね!!」



 私たちはグラちゃんを尋問して行った結果、なんとグラちゃんの本性が悪ガキという事が判明した。


 めちゃくちゃ大人しくてお淑やかで可憐な貴族令嬢なのに、魔法学校に来る前の地元では超有名な悪ガキだったらしい。

 アレだ、最近流行ってる·····といっても12年前(転生前)の日本で流行ってた悪役令嬢ジャンルに出てきそうなレベルの悪ガキだったらしい。


 そういや入学してすぐくらいに、執事の····· 名前なんだっけあの罵倒がえぐい人。

 名前忘れちゃったけど、あの人が『地元の悪ガキ共に加わらないと友達が出来ない』云々って言ってた気がするわ。


 ·····てっきり、悪ガキグループに混ざって友達ごっこしてるのかと思ってたけど、違うわ。

 グラちゃんもそっち側の人間だわ。


 そんで雪があるとどうしてもテンションが上がってしまい、つい素が出てしまったようだ。



「·····何よ、文句あんの?」


「いやぁよかった·····グラちゃんの性格が普通すぎてなんかおかしいと思ってたんだよね」

「うんうん、ワタシたちの中では1番普通だったもんね!心配してたから良かった!」

「これで僕達と同じくらいに·····って僕もそっちの仲間!?」

「わーい、グラちゃんも仲間入りー!」

「ワシもそっち側かぁ····· まぁ分かるのじゃ、というか『なかよし組』は全員クセが強いのじゃ!!」


「·····???」


 あっ、なんかグラちゃんの顔が急に宇宙の話を振られたネコみたいな表情になってる。

 もしかしなくても拒絶されると思ってたら逆に歓迎されて理解が追いつかなくなったな?


「って事で、みんな別に気にしてないからさ、これからは素で····· まぁ私たちといる時だけでも肩の力を抜いてさ、もうちょっと素を出してもいいんだよ?」


「わかったわ、今度からそうするわ」


「だーかーらー、そういう硬い言い方はもうダメだよ!もっと柔らかく!さんはい!」


「·····嫌よ」


「えっなんで!?」


「一人称が貴女と被ってるのよ、ソフィみたいな粗雑な喋り方してたらどっちがどっちか分からなくなるわ、それにせっかく6年掛けてイメージ改善をしてたのに意味が無くなるじゃない」


「·····暗に私と同類に見られるのが嫌って言ってない?」

「そうよ?」



 あっさり認めやがったわ、こんにゃろ。



「·····ガチめに泣くよ?」

「はぁ、悪かったわよ····· そうね、これからは時々素が出るかもしれないから皆も理解してくれると助かるわ」


『『はーい』』


 この日、グラちゃんの心の壁が雪が融けるように消えていった。









「あっ、グラちゃん」


「何かしら?」


「「「「雪玉を当てたのは許してないから」」」」


「·····ご、ごめんなさい」





 ぎゃぁぁぁあああぁぁぁぁぁああっ!!!




名前:ソフィ・シュテイン

年齢:12歳

ひと言コメント

「グラちゃんへの罰?私が魔法で一時的に『寒さ無効』のスキルを相殺して雪玉を全身にぶつけてなおかつ服の中に雪を詰めたよっ☆」


名前:アルム

年齢:12歳

ひと言コメント

「グラちゃんのはしゃぎっぷりに凄くビックリしたけど、これでもっと仲良くなれた気がする!!·····雪玉の件はちゃんとオシオキしたけどね?」


名前:フィーロ

年齢:12歳

ひと言コメント

「あぁ·····あったかいポトフが美味しい·····」


名前:グラシアル・ド・ウィザール

年齢:11歳

ひと言コメント

「私の本当の性格というか、こっちに来る前まではかなりな悪ガキだったわ····· ここに入学したのも、ちゃんと令嬢としての作法を教え込むためだったのよ····· 今はみんなのおかげで、少しズレてるけど親の望んだ性格になってしまったのよね、でもこれも嫌いじゃないから構わないわ」


名前:ウナちゃん

年齢:12歳

ひと言コメント

「寒い中でハフハフしながら飲むポトフが美味しい····· 寒いのも悪くないかも」


名前:エビちゃん

年齢:12歳

ひと言コメント

「というか、グラの雪掘りの才能凄すぎぬか?何気にあのトンネルの中ではワシでも追いつけない程の能力があったのじゃ、何に役立つか分からぬが、アレは相当な能力なのじゃ」


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