フシ町の危機を救えっ!
「「あっっっっったかぁぁぁぁぁあい·····♡」」
急いで寮に戻ってきて、フィーロ君が居るにも関わらず秘密基地から服を脱ぎながら移動して、体を軽く洗って温泉に入った。
もちろんフィーロ君は絶叫しながら後ろを向いていたけど、体が冷えきった私たちにそんなことは関係ない。
「はひゅー····· 冷えた体が暖まる·····」
「この冷えた体がジンジンと痛いくらい温まるのがたまらんのじゃぁ·····」
「わかるぅ·····」
はぁ·····あったか·····
やっぱりお風呂はサイコーだなぁ·····
「あっ、エビちゃん暖かいココアあるけど飲む?」
「ココアも良いが、熱燗で頼むのじゃ」
「もちろん用意してるよ、はいノンアル」
「サンキューなのじゃ」
私たちは暖かいドリンクで体の中からも温まった。
◇
「「ただいまー」」
「2人ともそこに正座」
「「えっ」」
「正座」
「「はい·····」」
「2人とも良い?僕は男で、2人は女の子、2人ともいい歳なんだからもう裸になっちゃダメだよ?」
「「いや、私は構わないんだけど」」
「僕が良くないの!色々悪いからいい加減ちゃんとしてよ!」
「ふーん?何が悪いの?」
「ほれ言ってみるのじゃ」
「ううううぅぅぅぅ·····」
「ふっ、どうした?反論出来ぬか?」
「はい論破、なんで負けたか明日までに考えておいてね」
「·····ウナちゃん、ウェアちゃん、やっちゃって」
「「はーい!」」
ガシッ
ガシッ
「「えっ」」
「それじゃあー」
「罰ゲームの時間だよー」
「「こちょこちょこちょこちょ!」」
「「あひゃびゃひゃびびびゃびひひひひっ!?!」」
私たちは怒ったフィーロ君に指示されたウナ&ウェアちゃんにたっぷりおしおきされ、笑い疲れたところでたっぷり怒られた。
◇
「んぷぁー····· 疲れた·····」
みんなと雪合戦したり、ドーミさんに怒られたり、魔法で雪かきしたり、フィーロ君に怒られたりで疲れた私は、秘密基地のソファにうつ伏せで寝転がった。
「·····疲れた原因ってさ、大体ソフィちゃんの自爆が原因じゃない?」
「確かに、僕が怒る原因になったのは雪かきで、雪かきは雪合戦の罰で、雪合戦の発端はソフィちゃんのイタズラだよね?」
「自業自得とは正にこの事ね」
「でも雪合戦楽しかったよね!またやろっ!」
「それはまた明日なのじゃ·····ワシは疲れたから今日は寝るのじゃ·····」
そう言うと、疲労困憊のエビちゃんは一足先に部屋へ戻ってしまった。
「あぁー私も疲れた!今日は早いけど寝よっかな·····」
「寝ちゃえば?どうせしばらく休みだし」
「だね、あーフシ町に帰るのどうしよっか····· な·····」
フシ町と発言した瞬間、私は嫌な予感を感じた。
「ね、ねぇアルムちゃん、フィーロ君、この雪ヤバいけどさ、フシ町大丈夫かな?」
「確かにヤバいかも·····前に雪がくるぶし位まで積もったときパパが『家が何個か壊れるかもな』とか言ってたからヤバい·····」
「たぶんフシ町もここと同じくらい雪降ってるよね?じゃあ今フシ町は····· ソフィちゃん、確か向こうにゲート繋げてたよね?」
「もちろん!ちょっと聞いてくる!」
私はパジャマのまま、フシ町の自分の部屋へ繋がるゲートを開いて飛び込んで行った。
◇
【建国1224年12月26日15:27】
転移で直線距離80km以上もあるフシ町の家まで一瞬でやってきた私は、部屋のドアを勢いよく開けて普段家族が団欒しているであろうリビングへと走っていた。
「おとーさん!おかーさん!おにーちゃん!ルーべさん!誰かいるー!?」
「居るぞ、どうしたそんなに慌てて」
「雪!大丈夫っ!?」
「大丈夫じゃないな、積もった雪で家が何軒も壊れて避難してる、ウチは母さんとラクトとルーべが協力して何とかなってるが····· 今は町民総出で家屋の屋根に積もった雪を降ろしてるが、間に合ってないな」
「マジか····· ねぇお父さん、今から私が」
「ダメだ、非常事態だから手を借りたい気持ちは山々だが、転移が使えるなんてバレたら後々面倒すぎる事になる、やめてくれ」
「·····よし、1時間なら耐えられる?」
「·····何をする気だ?」
「前に魔動車でこっち来たでしょ?アレなら雪の上も走れるから、1時間あればこっち来れる」
「確かにそれなら大丈夫そうだが、飛行魔法は使えないのか?確か使えたよな?」
「うーん····· マグウェル街の門出るのに魔動車が無いと説得力減るから厳しいかな、それにこの猛吹雪だと飛行魔法で行くのかなりキツいし」
「そうか、わかった、ただなるべく早く来てくれ」
「うん、あとちょっとだけ頑張って!私も頑張ってこっち来るから!」
「でもソフィ、外は猛吹雪だぞ?本当に大丈夫か?」
「大丈夫だよ!私はそんなにヤワじゃないから」
そう言うと、私はゲートで『秘密基地』へと戻って行った。
◇
秘密基地に戻ってきた私は、みんなに軽く現状を報告した。
「マジで!?ウチ大丈夫かなぁ····· 倉庫とかは結構頑丈だから大丈夫だと思うけど·····」
「僕の家も心配だ····· 従業員さんたちの家も心配·····」
「って事で、私はちょっと校長先生に許可貰ってフシ町までひとっ走りして雪かきしてくる!」
「ならワタシも行く!」
「僕も!ソフィちゃん1人じゃ無理だよ!」
「·····ごめん、魔法でやるから居てもそんなに役に立たないし、マジで走るから後部座席も危ないから乗れないんだ」
「·····わかった、ソフィちゃん頑張って」
「僕達はここで応援してるよ、頑張って!」
「OK!町長の娘として、私は町を守るよ!」
私はそう言うと、校長先生へのお土産を持って校長室へと繋がるゲートをくぐった。
ちなみにワイロは熱燗つき雪見露天風呂利用券ね。
◇
「貴女ねぇ·····ッ!!私が賄賂で簡単に手懐けられてぽんぽん何でもくれる便利なヤツだとか思ってるのかしら!?」
「え、えへっ☆」
やっべ、普段から賄賂渡しすぎて効果薄くなってるかも。
あーもう!この肝心な時にこうなるあたり、イソップ童話みたいな展開だわぁ!!
「·····これを門番に見せれば問答無用で出してくれるはずよ、でも危なかったら絶対に引き返すこと、いいわね?」
あれ?行けちゃった。
·····賄賂に弱すぎでしょこの人。
まーいいや、ゲンコツ喰らう前に撤収しよ。
「もちろん、気をつけて行ってきます」
「じゃあ行ってらっしゃい、本当に気をつけなさい」
·····それと、普段とは違う気配も感じ取ってくれたのが原因かもしれない。
それくらい私は本気だった。
◇
「行くよケッテンクラート!」
ドゥルルルルァァァァァアアアアッッ!!
私は寮にも秘密基地にも帰らず、直接ガレージへとやって来ると、ケッテンクラートを雪上モードにした。
ちなみに雪上モードは前輪部分に魔力で作ったスキー板を取り付け、全体の重量を重力魔法で軽くして雪上走行出来るようにしたモードだ。
簡単に言うとスノーモービル状態だ。
「おりゃぁぁぁああっ!!」
私はそんな感じの魔改造をしたケッテンクラートのアクセルを捻り、『ガレージ』から現実世界にゲートを繋げてフルスロットルで外へと飛び出した。
しかし、外にカモフラージュ用に作ったガレージは雪で埋もれていて出入り出来なくなっていた。
「ぶっ飛べ!!」
ズガァァァァァアアンッ!!!
しかしそれはノープロブレム!
コイツにはマジックバレットを放つキャノンを搭載しているから、前方に魔力の弾をぶち込んで強制的に道を作って、ケッテンクラートは外へと飛び出した。
◇
「行くよフシ町!今助ける!」
「ちょっと待ちなさいソフィちゃん!この吹雪の中何処に行くつもり?まさかフシ町に·····!?」
「ドーミさん止めないで下さい、故郷がヤバいんです、これ校長先生の許可証です、怒るのはあとでお願いします、じゃあ行ってきます」
「本気の目ね、わかったわ、だけど壁に穴を開けたのはあとでみっちり怒るわよ?」
前を見ると、寮を囲んでる壁に穴が空いてた。
威力が強すぎて壁までブチ抜いてしまったらしい。
「·····『修復』」
「直してもダメよ、ほら!とりあえず行きなさい!」
「ありがとうドーミさん!行ってきます!!」
とりあえず帰ってから説教されるのは確定したが、私は無事に寮から出発した。
◇
街中は相変わらず銀世界で、川沿いには雪がほぼ手付かずで積もっていたのでケッテンクラートでその上を爆走していると、あっという間にフシ町に1番近い東門へと到着した。
そして寒そうにしていた門番さん達に差し入れ賄賂で温かいポトフを寸胴鍋ごと渡して、一緒に校長先生の許可証を見せつけた。
「すいません!校長先生から許可は得ているので外に出させて下さい!·····出してくれなきゃそのポトフに雪を入れて冷製スープにしますよ?」
「わ、わかった、出ていいが気をつけろ、道は無いぞ?」
「大丈夫です!鍋は帰ってきた時に私が回収します!それかB寮のドーミさんに渡して下さい!」
「おう!行ってこい!!」
コワモテのヤのつく自営業の方々みたいな形相の門番たちの顔が、温かいポトフを見てネコを可愛がるヤのつく自営業の方々みたいな顔になってあっさり通して貰えた。
·····でも雪を入れるって言った時の顔はチビるかと思うほど怖かった。
まぁそんなことはどうでもいい、私は今すぐフシ町へと行かなければならないのだから!!
◇
街の外は、一面の銀世界·····
なんてもんじゃない。
外に出る人が居ないせいでどこまでも続く広大な雪原が広がっていた。
その上に、私が乗るケッテンクラートがいた。
「物理結界展開、風遮断結界展開、断熱結界展開、内部気温25℃にキープ、地図表示、魔力視界投影、臨時空中走行システム起動·····」
私は雪上を時速140km以上で突っ走るためにケッテンクラートに搭載したウィンドウを操って必要な機能を付与して行った。
極寒の吹雪対策はもちろん、途中で川があってそこで雪が途切れるのを想定して空を走るシステムや、吹雪で視界が見えなくなっても見えるように視界を魔力によるものに切り替え、道も無いのでナビで現在地を把握出来るようにした。
「ふぅ····· ソフィ、いっきまーーす!!」
私はギアをいきなり『3速』に入れ、アクセルを思いっきり捻って時速140kmで雪上を爆走した。
◇
「うっひょー!!これヤバっ!スゴすぎっ!!」
私はケッテンクラートの結界の中でぬくぬくと操縦しながら雪上を爆走していた。
それにしてもヤバいねこれ、小さな沢は凍結したせいで雪に覆われて上を突っ走れるし、大きな川もそのまま飛び越せるから常にトップスピードで爆走出来ていてめちゃくちゃ気持ちいい。
ただ、吹雪のせいで視界はゼロだ。
やっぱり魔力レーダーで景色を見れるようにしてて正解だったわ、じゃなきゃたぶん事故ってた。
·····でもなんか変なのよね、ジャミング気味というかなんというか、雪で魔力波が撹乱されてる感じがする。
そのせいでレーダーに映る景色もガビガビの低画質気味だし。
「にしても、地形も全部雪が積もってるお陰で凹凸が少なくて助かるわぁ」
フシ盆地は平坦な訳じゃなくて、小さめな崖というか段丘や小山がある。
だけど今日はそれが雪で全部埋まり、大きいの以外はなだらかな斜面になっていた。
「よしっ!じゃーーんぷ!」
私はその丘の部分で思いっきりジャンプをして、雪に埋もれないよう優しく着地するとそのままフシ町に向けて雪原を爆走して行った。
まっててねフシ町のみんな、私が絶対に助けるからっ!
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:12歳
ひと言コメント
「雪上を走るのめっちゃ楽しいんだけど!何これ!マジでヤバい!!テンション上がる!!」
名前:アルム
年齢:12歳
ひと言コメント
「不安だなぁ····· みんな大丈夫かな」
名前:フィーロ
年齢:12歳
ひと言コメント
「·····僕もちょっとだけあの雪原の上走ってみたかったかも」
名前:グラちゃん
年齢:11歳
ひと言コメント
「私の故郷は元々雪が凄くて、この程度なら毎年降ってたわ、というか少ないくらいよ?でもこっちだと大惨事なのよね····· 雪かき頑張らなくちゃ!·····あっ、いけない素が出かけたわ」
名前:ウナちゃん
年齢:12歳
ひと言コメント
「ウナは暖炉の前で丸くなるうなぁ····· 寒いの苦手うな·····」
名前:エビちゃん
年齢:12歳
ひと言コメント
《就寝中のためありません》




