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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第二章 TS賢者は魔法学校へ行くっ!
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TS賢者は魔法学校へ行くっ!


 建国1219年3月28日


 私の1才の誕生日パーティから約5年もの月日が流れ、私は6才になっていた。


 ·····その間、まぁほんと色々あったけど割愛する。

 屋根を5回ほど吹き飛ばして部屋を13回粉微塵にして超怒られて家から出して貰えなくなったからとかではない。


 何はともあれ、今日は私の生まれ故郷『フシ町』から離れ、魔法学校の入学式へ向かう日だ。


 ·····だが


「はぁぁぁぁぁあああぁぁぁあぁぁ·····」


「こら、ソフィ!せっかくの日なのに溜め息なんてしないの!ちゃっちゃと制服に着替えなさい!」


「はーい·····」


「じゃあ俺は馬車が来てるか見てくる!」

「僕も馬車見に行ってくる!」


 お父さんとお兄ちゃんは、私を遠く離れた魔法学校までドナドナする馬車を見に行ってしまった。


「ねぇお母さん、私はもう魔法使えるよ?本当に魔法学校に行かなきゃダメ?」


「ダメよ、行かなかったらソフィを無理やr·····ゲフンゲフン、色々頑張って魔法学校へ推薦したお爺ちゃん達の貴族としての地位を汚してしまうのよ?」


「うぐぐ····· わかったよ····· 着替えてきまーす·····」


 私は本当は魔法学校なんぞ行きたくなかった。

 だって私『賢者姫』だよ?


 低級無魔法『マジックバレット』を超圧縮して、私の前世にあった『対地攻撃機 A-10 Thunderbolt II』に搭載された『30mmガトリング砲 GAU-8 Avenger』が如き速度で連射して対象を木っ端微塵に出来るんだよ?

 これはメ〇でも〇ラガイアーでもない、ガトリングだ!ふはははは!!吹き飛べ!!って出来るんだよ?


 はぁ·····



 だが、魔法が使えても親には逆らえない。

 重い足取りで私の部屋まで到着すると、ベッドの上に置かれた魔法学校の制服に着替える。


「うーん····· 制服はめちゃくちゃ可愛いんだよね·····」


 魔法学校に行くのは気が乗らないんだけど、制服はかなり可愛くて好みなのよね·····


 魔法学校の制服の意匠は、上がドイツの民族衣装『ディアンドル』みたいな形の服で、下がシンプルなチェック柄のスカート、そして如何にも魔法学校っぽい短めのローブを上から羽織る感じだ。


 これを考えたデザイナーは控えめに言って神だと思うほど可愛い。


「うん、毎日着れるなら行っても良いかも·····」


 早速私は今着ている服を脱ぎ、制服に着替え·····


「おっとその前に、とうとう例のアレを身につけるとしますか!」


 私はインベントリの中を探り、私と一緒に異世界へやってきた『アレ』を取り出した。



《アイテム》

時空を超えた伝説のパンツ(ランク:不明)


『説明』


・賢人が死亡時に被っていた、地球から時空を越え付いてきたパンツ。

・神界を通り、大地の女神ガイアに触られた事で非常に強い神の加護が付与されている。

・もし吹き飛ばされても、このパンツへ着地できれば絶対に怪我をせず生還できる特殊な効果がある。


・穿き心地:神話級

・HP MP自動回復

・汚れ無効

・衝撃吸収

・攻撃吸収

・自動修復

・魔導系スキル大幅補正

・形状変形(下着限定)

・生還補正


『女神ガイアの名において、このパンツの穿き心地が神話級という事を保証いたします』



 やっぱり見てると微妙にイラッとするが、いつかコレを着ける日が来ると思い、心の準備は整えていた。


「変形、私に似合うパンツへ!!」


 その瞬間、黒い大人なパンツが眩しく輝き、どんどん形が変わっていく。


 そして光が収まると、私の手元に現れたのは·····


「シマシマ·····?」


 水色と白の縞パンだった。



 ふはははは!!

 私はもう無敵だ!!


 制服を全て着用し、鏡の前でクルクルと回る。


「バッチリ!可愛い!凛々しいっ!!」


 もう世界で1番なんじゃないかってくらい制服が似合っている。

 やっぱり私、可愛いすぎるのでは?


「んふへへへへ·····」


「ソフィ!何やってるの!早くしなさい!!」


「あっ!はーい!!」


 さぁ、この世界に超絶可愛い美少女賢者が放たれるぞ!気をつけろー!!



 家の外に出ると、私のお父さん、お母さん、お兄ちゃん、お手伝いさん、お爺ちゃんにお婆ちゃん、あとその他大勢が見送りに来ていた。


「お待たせ!着替えてきたよ!」


「あら、似合っているじゃない」


「これならちゃんとした学生に見えるな」


「ソフィ可愛い!」


「えへへ····· ありがと!」


 家族みんなに褒められながら、途中にいる私の知り合いたちから応援の声を掛けられながら、私は家の前に停まっている魔法学校行きの馬車へと向かった。



 時刻は午前7時45分。


 あと15分で馬車はこの町から離れ、約80kmは離れた魔法学校のある町へ向かう。

 馬車は時速5〜8kmくらいで進むので、休憩も考えて2日の旅路になる予定だ。


 移動手段が未熟なこの世界では、これでもかなり早い方らしい。


 馬車だったら2日で帰って来れる距離とはいえ、5年間も一緒に過ごした家族の元から離れ、在学中の9年間は連休などにしか会えないとなると凄く寂しくなってきちゃうな·····



「それじゃ、そろそろ行くね·····」



「行ってらっしゃい、頑張るのよソフィ、私たちはずっとソフィの事応援してるからね。あと、週に1度は必ず手紙を書いて近況報告するのよ?学校で沢山友達作るのよ?もしイジメられたら私に言いなさい、お爺ちゃんに言って権力で·····」


「リラ、それはやり過ぎだ。ソフィ、いくら魔法が他の子より使えるからと言って驕るなよ、イジめる側になるな、あと俺たちが呼び出されるような事は絶対に起こすんじゃないぞ?絶対だ」


「がんばってねソフィ!お兄ちゃんも応援してるよ!強くなっておとぎ話の賢者さまみたいになってね!」


「·····うん、頑張る」


 やっぱり行くの嫌だなぁ·····

 ずっと皆と一緒にここに居たい·····


 だが、その間も時間は冷酷に過ぎて行っており·····



『魔法学校行きの馬車、そろそろ出発しまーす!ご乗車の方はお乗り下さい!!』


 馬車の発車時間になってしまった。


「·····じゃあ、そろそろ行くね」



 私は家族に別れを告げ、魔法学校学園行きの馬車に乗ろうとした。

 だが、私は逆戻りして家族のもとに走って行く。



「お父さん!お母さんっ!お兄ちゃんっ!!」



 そして、そのままの勢いで皆に抱きつき、子供らしく思いっきり泣きじゃくった。


「·····やっぱり私、寂しい、ずっと皆と一緒に居たい、この家で、いつも通りの生活がしたい·····!」





 「みんなと離れるの!嫌っ!!」





 その時の私の中には、生きていれば30歳を超えていた『藤石 賢人』は一片たりとも居なかった。




 6才の少女『ソフィ・シュテイン』としての本心が、涙と共に溢れ出してきた。




「元気無いわねソフィ·····ほら!いつもの腹黒い笑顔はどうしたの?元気だしなさい!」


「ソフィ、これが今生の別れじゃないんだ、4日もあれば会いに来れるし、俺たちがすぐに死ぬ訳でもない、なんなら俺たちから会いに行ってもいい。だから、笑顔で行ってこい!」


「お母さん、ソフィに対して腹黒いって言うのは酷くない?いや、分かるけどさ····· まぁ、がんばってね!ソフィ!悪いやつが居たらお兄ちゃんが助けに行くから!」



 やっぱり、みんな優しいなぁ·····

 


「·····うん!いってきますっ!!」


 そして、私は涙を拭いながら馬車に乗り込み、発車しても家族の姿が見えなくなるまで窓から手を振り続けていた。






「·····ソフィ、やっと6歳らしい姿を見せてくれたわね、ああいう姿を見るとちゃんと心の中は普通の女の子だったんだ、ってわかって安心するわ」


「そうだな····· もしかすると、ソフィのやつ小さい頃から俺たちに『大人っぽい』って言われてたから、ずっと気張って気丈に振舞っていたのかもしれないな」


「いや、ソフィに限ってそれは無いと思う」


「「だよなぁ·····」」












〜1週間後〜


「たっだいまぁぁああ!!!!帰ってきたァ!我が家だぁぁあああ!!!」


「「はぁぁぁあああぁぁぁああっ!?!?!?」」


「あ、おかえりソフィ!」


名前:ソフィ・シュテイン

年齢:6歳

ひと言コメント

「飛行魔法覚えたから帰ってきちゃった☆」


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