変わる体、変わる心
「はあっ、はあっ、気持ち悪い····· 早く洗いたい·····」
魔道車大会へと行くためケッテンクラートにのって移動中だった私は、突然やってきた下半身の不快感に耐えきれず、異次元空間にある私の部屋にやって来ると急いでズボンを脱ぎ、パンツも慎重に抜いだ。
「うわ、な、なにこれ·····」
パンツにはなんか半透明な薄いクリーム色っぽい、どろっとした液体が付いていた。
不幸中の幸いで、外で動く事を想定してスポーツ系の下着をつけてたし、下はボクサーパンツっぽくしてあったから外には漏れていなかった。
「えっ、なに····· っっ!!」
私が固まっていると、また変な体液が出てきた。
慌てて手で受け止めたけど、ほんとなにこれ気持ち悪いんだけど·····
·····知らない間にフィーロ君になんかされた?って思ったけど、この世界の人間のアレがどんなのか知らないけど違うこんな感じじゃない。
それにフィーロ君を疑うような事はしたくないし、一瞬疑った私を殴りたいくらいだし·····
てか、ホントなんなのコレ?
生理だったら血が出るはずだけど、私の前世の知識にはこんな色の変なのが出るなんて記憶に無い。
「助けて····· なにこれ·····」
ピロンっ♪
《メッセージが1件届きました》
《荷物を受け取りました》
◇
件名:【速報】ソフィちゃんおめでとう【祝報】
送信元:ガイア
宛先:ソフィ・シュテイン
本文
はい、こちらお助け女神事務所です
·····ごめんちょっとふざけちゃった☆
おめでとうソフィちゃん
お赤飯炊いたから食べてね
って言えば自分の体の変化に気がつけるかな?
色々大変だけど頑張るんだよ!
◇
「··········まじかぁ」
私は色々不安になってきたので、初めて女神様に対して返信を書いた。
◇
件名:質問です
送信元:ソフィ・シュテイン
宛先:ガイア
本文
女神様
お久しぶりです
教えていただきありがとうございます。
もう1つ聞いてもよろしいでしょうか?
生理って血が出るって私の知識にはあるのですが、これには血が混ざってるようには見えないです。
私の身体に何か異常が起きてるのでしょうか?
◇
「·····」
私は汚れた所を拭きながら返信を待っていると·····
ピロンっ♪
◇
件名:心配無用!
送信元:ソフィ・シュテイン
宛先:ガイア
本文
そこは友達とかと相談してほしかったな〜?
近くに取り残された転移者ちゃんも居るでしょ?
まぁソフィちゃんから初めてメールくれて嬉しいから教えちゃうんだけどね!
ソフィちゃんはまだ生理は来てないよ、もうすぐ来ると思うけどね。
それはおりものっていう分泌液で、膣の中を綺麗にしたり自浄作用があるちゃんと良いものだから安心してね!
前世の生理用品のテレビCMでも『生理、おりものにも』みたいな文言を聞いた事あるんじゃないかな?
ちなみに他にも····· あー、うん、これは彼氏が出来てからかな?まぁ気になったら調べてね。
とにかく、それは病気とかじゃない、女の子····· いや、女性の体では普通の現象だから安心してね。
◇
「あーーーー····· そっか·····」
始まるのがなんか遅いなとは思ってたけど、とうとう私にも来ちゃったんだ·····
「生理····· まだ始まってないみたいだけど、体は·····」
私の体は否応なしに成長して、女の子の体から大人の女性の体へと変わってきているんだ。
《スキルが『賢人の石』に変化しました》
俺の体は、男だった頃の体はとっくの昔に失い、異世界でこの少女の体で生まれ変わった。
小さい頃の体は男も女もあまり差が無いからあんまり実感もなかったし、俺の精神も俺のままだった。
まぁ、俺の聖剣は無くなったけど、変化はただそれだけだった。
《スキルが『賢人の石』に変化しました》
でも、俺は変わりたいと、女として生まれたなら女として生きたいと、男から女へ変わろうと決心した。
少女の体で生きて行くと決めた俺は、俺はなんなのか、自分は誰なのか、私は何者なのか、そんな感じで凄く悩んで精神が狂って壊れかけるくらい悩んだこともあった。
でも、みんなと居るうちに、『なかよし組』のみんなと遊んでいるうちに、私の精神は自然と少女のモノに変わっていた。
みんなと一緒に居て、私の悩みは減った。
みんなが私をソフィという変な事ばっかりする少女として、なかよく接してくれたから、私は性別なんて関係ない、『ソフィ』という人物として生きていこうと決心できたんだ。
《スキルが『ソフィの石』に変化しました》
そして夏休みのある日、私は月面に秘密基地を作り、そこでフィーロ君とウナちゃんの誕生日を祝った。
だけど、フィーロ君の反応が嫌がってたと勘違いした私は、6歳の少女らしく泣きわめいて暴れて、怪我をして落ち込んだ。
そして1人寂しくお風呂に入っていた。
だけどフィーロ君がやってきて、私の事を、拒絶してた私の事を抱きしめて慰めてくれた。
途中で疲れて寝ちゃったけど、フィーロ君が優しくしてくれた事で私は落ち着き、本音を知れた私は今までよりみんなに心を開く事ができて、また1歩成長して私らしくなった。
「だから、スキルが変化していったんだ」
私のスキル『賢人の石』は、今では『ソフィの石』に変化している。
最初は変化している理由は分からなかったけど、今ならよくわかる。
「このスキルは、私の精神を表してるんだ」
転生したばかりの頃はまだ精神が男のままだったから、前世の名前『賢人』になっていた。
だけど、みんなと一緒に居て、友情を育んで、少女としての振る舞いを覚え始めた頃に、スキル名にフリガナがついて『賢人』になった。
そして、フィーロ君に抱きしめられ、心を開いた私のスキルは『ソフィ』に、私の精神のほぼ全てが少女のものに変化した。
「·····私はもう女の子じゃなくなった、女性に変わった、じゃあそろそろ来るはずだ」
《スキルが変化しました》
「やっぱりきた····· これで私は完全に·····」
◇
《スキル変化》
『キノコ神拳』
↓
『真打・キノコ神拳(ソフィ流)』
効果
キノコ神拳継承者『ソフィ・シュテイン』の肉体が成熟し、キノコ神拳が真の姿になっても耐えられると判断したため覚醒した。
彼女は覚醒する以前よりその真髄をほぼ全て理解し、独自にアレンジを加えるまでの使い手であったが故に、真なるキノコ神拳へと覚醒した。
これで君もキノコ神拳究極奥義継承者☆
◇
「んざっっっっけんなごるぁ!!!ビックリした!ほんとにビックリしたなもー!!ぴうっ!?」
やべっ、荒ぶったら漏れ·····
おごごごごごっ!?
おりものってこんな出るの!?
「あーもう!いい加減止まってよー!もういやー!わたしお風呂はいるぅー!」
バターン!
私は部屋の扉をぶち開けて、下半身を露出したままパンツとズボンを持って秘密基地を通ってお風呂に向かった。
「あれ?ソフィちゃぁぁぁぁあああっ!?!?!?」
「ひぎゃぁあぁぁああああっ!!?!」
扉を開けたら、何故かフィーロ君が居て、色々ガッツリ見られた。
「なんでいるの!!後ろ向いて!!」
「もう向いてるよっ!!というか今日休みだから居るに決まってんじゃん!!」
「休むなー!!」
「なんなー!!休ませてよー!!」
「なんなってなんなー!!」
「なんなってぼくもなんなだよ!!」
なぜか下半身むき出しの私と、キレ気味のフィーロ君がIQ2くらいのサボテン以下のケンカを始めた。
恥ずかしそうにしてたフィーロ君も、自分が噛んだのをバカにされたからなのかキレて気にせず喧嘩を始めた·····
「うるさいのじゃおろろろろっ!ええい!砂糖が邪魔なのじゃげろっ·····!ごふっ、ソフィはとっとと【自慰規制】の後処理してこいなのじゃ!うぶぇっ、フィーロはとっとと落ち着くのじゃ!おぼろろろろっ!!」
「【自主規制】しとらんわい!あーもう!お風呂入ってくる!!」
「ふー!ふー!」
「のじゃげろろろろっ!!」
めずらしくフィーロ君がキレ気味で、今も荒ぶっててエビちゃんに羽交い締めにされてるけど、それより下を洗いたい。
それにエビが砂糖吐いて床汚してるのが気になる。
「じゃちょっと行ってくる!」
「オエッ、さっさと行ってくるのじゃ!落ち着けフィーロ!お主がやってた知恵の輪をもうちょいの所で力技で解いたのは謝るのじゃ!!」
「ふがー!!」
私は荒ぶるフィーロ君を後目に、お風呂場へと向かった。
というかこれ私とばっちり受けただけじゃん!!
◇
「はースッキリした!」
お風呂に入って不快感の原因を綺麗さっぱり洗い流した私は、脱衣場の椅子で涼んでいた。
「対策、どーしよっかな·····」
私は脱いだパンツを見ると·····
「ん?汚れてな····· あっ!そっか!これ確か汚れない性質あるんだっけ!じゃあなんの対策も要らないじゃん!」
って事で、私はマジの伝説のパンツをはいて、ちゃんと着替えて『秘密基地』に帰った。
◇
秘密基地に戻ると、フィーロ君が気絶して床に寝かされてた。
あとエビちゃんが泣きついてきて、ひん曲がってしまった知恵の輪を差し出してきて直してって言われたので直した。
でも·····
「エビちゃんしばらく私の作ったご飯抜き」
「えええええーーーー!!!?」
まぁエビちゃんはどうでもいいとして、誤解を解かなきゃ·····
【〜TS少女説明中〜】
「おおー!おめでたなのじゃっぽい!」ごすぅ!
「私は妊娠しとらんわい····· でさ、みんなはもう始まってる?」
【〜なかよし組説明中〜】
そんでみんなの尊厳を守るため隠すけど·····
「お主がビリじゃから必要ないのじゃ」
あっそう?
うん、結局私はビリだった、というかみんな生理が始まってるらしいから私だけ遅れてたっぽい。
すこし凹みながらも、みんなのアレの対処方法を聞いて、特に参考にならなかったけど誤解がちゃんと解けて満足した私は、ケッテンクラートを運転するため現実世界へと戻って行った。
◇
「あら?ソフィちゃん大丈夫だった?」
「大丈夫ですよー、何とかなりました!」
「おう!そりゃ良かった、体調は万全にしとけよ!」
「はーい」
私はケッテンクラートの操縦席に座ると、雨上がりで虹の架かった空を眺めながら、女神様が送ってくれた赤飯を食べた。
「うっま!えっ?この赤飯めっちゃうまっ!」
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:12歳
ひと言コメント
「体がどんどん変わってきて怖いけど、何とかなるさ!それより、フィーロ君の知恵の輪を5分で普通に解いたらまた発狂してたの面白すぎない?」
名前:フィーロ
年齢:12歳
ひと言コメント
「うがぁぁぁぁああ!!どーして解けないんだぁぁぁあああ!!!」
名前:エビちゃん
年齢:12歳
ひと言コメント
「ソフィはフィーロが荒ぶってると言ってたけど、ソフィもかなり荒ぶっておるのじゃ····· とりあえず砂糖じゃ砂糖、糖分が欲しいのじゃ」




