魔改造の放課後
さーて、先輩から魔改造の許可も得たし、魔改造しちゃうよーっ☆
たぶん今回はかなり理論とか工業とかそっち系がメインだから、いつものグダグダをみたい人は飛ばしてもいいよっ☆
◇
「まずは故障した所の修理と補強かな·····」
「もう原因が分かったのか?」
「うん、先輩がオーバーブーストやったでしょ?アレが原因」
「マジかー····· だよなー·····」
オーバーブーストの仕組みは凄く単純で、動力源となる魔石から過剰に魔力を引き出して動力の出力を限界まで上げる、半暴走モードだ。
そんで、この魔動車の仕組みは操縦席の後ろにある魔道具が魔力コンデンサ(蓄電池の魔力版って感じ)で、そこと操縦桿は細い金属の線が繋がってて、多分操縦桿を動かして、前に倒せば倒すほどコンデンサからエンジン部分に流す魔力量も増えて出力が上がるんだと思う。
でもこの魔動車は常人の魔力では出力が足りないから、人が使えるようチューニングされた、そこそこ大きい魔石を使って出力の確保に使ってるというわけだ。
オーバーブーストは普段は丁度いい量の魔力を引き出すこの魔石から全力で魔力を吸い上げて出力と直結する機構だ。
「あーあ、やっぱりダメじゃん····· ほら先輩、コンデンサとエンジンを繋ぐ魔力導線が焼ききれてる」
「ほんとだ·····」
「これは魔力の流しすぎで発生する現象だね、たぶんこの線の魔力抵抗が高かったのと、線が細すぎたんだと思う」
「ふんふん、ってことはもっといい奴に変えるか、線を太くする必要があると?」
「うーん、でも結局は太くしても抵抗は変わらないから発熱はする、だから上質なのがいいと思う」
「だけど、それ結構いい魔鋼を使ってるんだぜ?かなり高いシロモノなんだが·····」
「最低でもミスリルが必要かな」
「はあ!?そんな高価なモノなんて、せいぜいエンジンに使えるくらいしか買えねぇよ!」
「はぁ····· 校長先生、代金は貸し一つでどうです?」
「·····めちゃくちゃな事じゃなければ貸し一つでいいわ、魔石も私が保管してるのから出すから好きにしなさい」
「わーい!魔石は自前で用意してるから遠慮なくやっちゃいますよー!·····たぶん量産が無理なくらいなモノになるけど」
ってわけで〜
んふふ〜
マジモードになるか。
◇
「ふうぅ·····『来い』」
ダァンッ!!
「なんだ?·····うぉっ!?」
ズゴゴゴゴッ!!
私が地面を1発踏みつけると、地中の奥深くから白銀色に輝く柱がせり出してきた
「うん、良いミスリルだ·····」
「はっ!?ミスリル!?これが!?」
地中奥深くからミスリルを寄せ集めて地上に到達するまでの間に精錬と整形も済ませた柱は、地上の光を浴びるとキラリと輝いた。
「『フォーミング』っと、よし線が出来たから後はワイルドキャッツの魔力導線をひっぺ返してっと」
魔法でワイルドキャッツの魔鋼でできた魔力導線を剥がし、導線に変形させたミスリルに張り替えた。
「うーん····· 効率が良くない?あっ、忘れてた!」
私は魔結晶をその場で作ると、それを粉々に砕いてミスリル導線に魔法で混ぜ込んだ。
これは魔結晶の力で魔力を通しやすくする事で性能を向上させるという裏技だ。
「うん、大体OKっと、あとはここかなぁ·····」
「·····意味わかんねぇ」
導線部分を改良した私はワイルドキャッツに乗ると、後部にあるエンジン的な魔道具の修理と魔改造に取り掛かった。
◇
ふむふむ、これの構造はアレだ、電気モーターとかなり構造が似てるな。
「先輩、これって周囲に巻かれた魔力導線に魔力を流して、シャフトに直結した回転子を周囲を流れる魔力で引っ張る感じで回す仕組みですね?」
「中身見てないのに分かるのか·····その通りだ、これはウチで開発した新機構だ、他の魔動車はこの中で風魔法を発生させてプロペラを回して車輪の動力にしてるんだが、吸気とかの問題で出力がイマイチなんだ、だがこの魔導式は違う!魔力をもった金属が回転する魔力の中に入ると回転する現象を使ってるんだ!」
「ほーん····· あっ、こういうことか」
私はミスリルの柱から親指くらいのサイズのナゲットをもぎ取って、指の先に魔力を貯めてクルクルと回してみると、フワフワ浮いてたミスリルが回転し始めた。
「は?えっ、それやるの人の力じゃ無理なはず·····なんで出来るんだ·····?」
あー、確かにうまくやらないと魔力の消費量が結構多いな·····
でも強化ミスリルの導線で真円に近いコイルを作ってやればたぶん少ない魔力でも強い動力に変換できそうだ、そうと来れば早速やるしかない。
「詠唱めんどっちい!無詠唱でいいや!」
私は無詠唱で魔結晶を混ぜ込んだ強化ミスリルを極細の線にして、それをコイルのように巻き付けて魔誘導体を作ると、ワイルドキャッツに搭載されていた動力の魔道具の蓋を開けて中身を引きずり出した。
ちなみに取り方は後輪の片方を外して、シャフトを引き抜いてから取り出す必要があるからちょっと面倒だけど魔法があるから簡単だ。
「あーー!!壊すなーー!!」
「壊すも何も元々こわれてますよ?」
取り出した旧コイルは巻かれていた導線が焼き切れて使い物にならなくなっていた。
およ?これって·····
「へぇ、一応ミスリル使ってるんだ」
「あぁ、さすがにそこはミスリルにしないとダメだったからな····· 一応って何だ?」
「魔力伝導率にムラがあって不要な不純物も多くて質が良くない、そのムラとか不純物が魔力が流れるときの抵抗になってるね、それに線の太さも微妙に違うしそもそも太い、よくこれで時速30kmも····· いや、逆に言えば本来の性能はもっと·····」
「そ、そうなのか····· 腕のいいドワーフの職人に頼んだんだけどな·····」
「まずミスリルの処理が甘かったね、その点は私の作ったミスリルなら大丈夫」
そんな誤差を私が許すはずが無いからね。
っと、こんなやすっちいコイルはどうでも良い、今はここにコイルを取り付け·····
「な、な、なにこの回転子·····」
「何って、色々試して1番いい形にしたプロペラだぞ?これもミスリルを使っててな」
「ぜんっぜんダメ!これ風力式の動力のヤツを改造しただけでしょ!これだと空気抵抗が発生して回転効率が落ちるっ!」
バギャッ!!
「あー!!てめぇ折るんじゃねぇ!ああぁ、これ一つ作るのに20万·····」
「あのさ、回転させるのに羽っている?風を使わないのに?」
「どういう事だ」
「説明するから待って」
うっわ先輩の目が怖い·····
なんで私が羽をへし折ったかというと、さっきも言った通り、風で回さないのに羽があると空気抵抗を生んで減速の原因になるからだ。
例え内部が密閉されてても真空でもない限り空気抵抗からは逃れられない。
この場合、1番理想的な形は·····
「よいしょっ、これが新しくて最も理想的な形の回転子です」
「羽が····· そういう事か!確かに魔力で回転させるなは羽は要らないな!それは盲点だった····· ドラゴンは足元が見えないってヤツだな!」
「ドラゴンは足元が見えない·····?」
教えてアカシックレコードさん!
◇
ことわざ:ドラゴンは足元が見えない
サークレット王国で一般的に使われることわざの一つ、由来は王都を襲撃してきたドラゴンの足元に潜り込んだ冒険者がドラゴンの心臓を一撃で穿って殺したことに由来する。
非常に強いドラゴンだったが、足元を見なかったせいで潜り込んでいた冒険者に気が付かず殺された事から、ドラゴンは足元が見えないという迷信が生まれ、2つが合わさってこのことわざが生まれた。
なお、ほぼ全てのドラゴンは自分の足元が見えるので、迷信を信じて足元に潜り込むと確実に気が付かれて踏み潰される。
ドラゴンスレイヤー伝説の冒険者はたまたま運が良かっただけである。
(※グラウンド・ドラゴンなどの首が短いタイプのドラゴンは足元が見えないとされている)
◇
ほーん·····
『灯台もと暗し』の異世界版って訳か·····
まぁいいや、それよりコイツは今までの回転子とは一味違う、もちろん強化ミスリル製だけど、この中に含まれる魔結晶を外側のコイルに含まれる魔結晶と共鳴させてるから回転効率がめちゃくちゃ高くなるのだ!あと円形だから空気抵抗もほぼ無いからそれでも効率が上がる。
「ってわけで、取り受けて完成!」
「早いわっ!!なんでそんなに簡単に出来るんだよォ····· オレらでも1か月掛かったのに·····」
·····なんかごめんね?
30秒で取り付け終わっちゃった☆
◇
ひとまずこれで動くようにはなったので、次なる魔改造を一気に加えていく。
「テンポあげるよー!」
まずはベアリング!
回転機構はどうしてもシャフトを外に出す時に接触部が生まれて抵抗とかが発生したり、削れて直す必要が出てくる。
なのでこの軸受けのところにベアリングを付けたかったのだが、走行時の衝撃で壊れると嫌なので先丸柳刃包丁『星断』で強化アダマンタイトを極限まで薄くスライス!そうしてできたアダマンタイト板は切断面がほぼ理論値な完全平面に近い状態になるので摩擦が限りなく低くなり、なおかつアダマンタイト(タングステン)の耐摩耗性によってそう簡単には傷つかなくなる。
それを車輪の軸が当たるところとか、動いて摩擦が生まれそうなところに片っ端から装着した。
·····が、問題発生、アダマンタイトが強すぎて軸受を削って逆に壊しそうになった。
なので軸にもアダマンタイトを貼り付けて完了。
◇
「うーん····· ぶっちゃけこの車体って意味ある?これ馬車でしょ?」
「あぁ、実用化すれば幌を付けて馬が居ない馬車みたいになる予定だ」
「なら馬車の形にする意味無いでしょ?馬が居ないならそこは邪魔でしかないんだから最低限にして無駄を省くべき」
「お、おう·····でもワイルドキャッツはこの形が·····」
「あーもういいや!分離!修理!」
「おい何やってんだ!?」
私はワイルドキャッツの動力部分を全部取り外し、魔法で元の動力部分も作りなおして『ワイルドキャッツ』に戻してしまった。
「馬車のフレームなんぞ使えない!完全に作り替えた『ワイルドキャッツ2』を作る!2が駄作なんて言わせないよっ!」
「確かに2を作ろうとしたことはあるし、色々足りなくて計画が頓挫したけど·····」
いやあるのかよ!!
まぁそれはどうでもいい、今はフレーム設計だ。
◇
「軽くて強靭な素材····· ステンレス、チタン、アルミ、ジュラルミン合金、ミスリル、強化ミスリル····· 見つけた、『カーボンファイバー』!」
カーボンファイバーはその名の通り、そして有名で知ってる人も多い、炭素を繊維状にした素材だ。
軽さは鉄の4分の1なのに強度は鉄より遥かに高いという素材で、F1とかそういうのによく使われる素材だ。
私の魔法····· というかこの世界の魔法は基本的に物を生み出す時は無から作り出しているのではなく、周囲から必要なモノを集めて作っている。
一応無からも生み出せるが、金だとたった1立方センチメートルで1000万も魔力を消費するし、炭素でさえ1立方センチメートルで1万も魔力が必要だ。
そんで、私の魔法で取り出してる元素は大半が人類が到達できないマントルにあるモノだったり、深海にある海底鉱床から持ってきてる。
ちなみにメインは海底鉱床で、クトゥさん率いる深海の方々に捜索を手伝って貰って見つけた優秀な鉱床たちだ。
あと鉱床の割と近くにクトゥさんたちの家があるらしいからいつか尋ねる予定だ。
確か絶淵都市とか言ってたっけ?
まぁいいや話を戻して、私がカーボンを選んだのには訳がある。
いやもうひとつしかないけどね?
炭素は集めるのが簡単なのにめちゃくちゃ強いからだよ?
「布化」
私は集めた炭素の塊を魔法で加工して色々やってカーボンファイバーを作り出した。
それを使ってできるだけ軽くて強靭なかっこよさげなフレームを作って行く·····
いやまてよ?
確かコンセプトに走破性もあった気がするから、タイヤは木製の馬車のじゃダメだ、じゃあゴムを合成してミスリルでホイールも作って、あーだったらシャフトもミスリルにしちゃって、走破性だからタイヤは大きくして車体は浮かしてダンパー機構も作って、あー、あんまこれ後輪駆動良くないかも、だったら魔導エンジンを改造して小型化&高出力化して前輪駆動にしちゃって、タイヤの接続部分をこれをこうすればタイヤの向きを変えながらも回転を伝えられるから前輪駆動のシステムはできるから配線を置き換えて、あー出来れば四輪駆動にしたいけどまだ無理だな·····とすれば前輪駆動のままでもいいか、じゃあ前後のタイヤの大きさは同じでいいとして、あっそうだ、前にバンパーをつけて衝突に対する耐性もつけて、これで荒削りだけど大まかな形は·····
·····
·····
·····
「やべっ、オフロードカーみたいになっちゃった☆」
「( ゜д゜)」
もういいや、オフロードカーにしちゃえ〜☆
となると、総カーボンファイバー製はあんまり良くない、重さが足りないから吹っ飛んじゃう、だったらアレだ、ミスリルとかステンレスとかの金属系をフレームにすべきだ、って事でフレームとかの変えるべき所をカーボンファイバーからミスリルパイプやステンレスに置き換え、不要なところはカーボンファイバーにして、あとは細かい装飾とかそういうのをやって····· あーまだ軽い、重すぎても良くないけどエンジン出力と車体の重さが釣り合ってなくてこれじゃうまく力が伝わらない、じゃあバンパーとかの一部をアダマンタイトにしちゃえば·····重すぎるな、じゃあミスリルパイプをアダマンタイトでコーティングしたら·····よしちょうど良い!
あとはアレだ、ドアとかガラスとかそういうのを·····
窓ガラスはアレにしちゃおう、コランダムを粉砕からの火炎溶融して1枚板の窓ガラス用の透明なコランダムが出来たから魔法で無理やり延ばしてフロントガラスとかドア用のガラスの形にして、むむむ、意外とドアのロックが難しい·····けどアカシックレコードに載ってたコレでいいや、うんOK!
あとはおしりが痛くならないようしっかりした座席を作ってシートベルトも使って、ハンドルと車輪とかアクセルブレーキペダルを作ってギアとかもつけてなんやかんややって·····
◇
「完成!これが新しく生まれ変わった『ワイルドキャッツ2』だウブベッ!?」バギャッ!!
「何普通に自動車作ってんのよこのおバカッ!!」
「いたた····· だってぇ·····」
「だってじゃないわよ!!あぁもう、完璧に出来てるじゃないのよ·····」
「私は何事にも全力で挑む女ですよ?このくらい当然ですよっ!」
ドヤァ·····
「はぁ····· で、動かすのに必要な魔力は?」
「ん?なんの事ですか?」
「だから、魔動車なんだから燃料が必要でしょう?」
「あー、ちょっと試してみますー」
私はテスト走行するため『ワイルドキャッツ2』に乗り込み、魔導式エンジンというかモーターに魔力を流してみた。
キュィィイイイイイイン!!
「うーん····· 500ってとこですね」
「分で?」
「秒」
「はぁぁぁぁぁ····· それ誰も乗れないわよ·····」
「んふふ、実はこれ、魔石を入れたら実質5くらいでいけますよ?そういう風に設計してるんで」
「は?」
「だから、ちゃんと処理したC級くらいの魔物の魔石を入れたら消費魔力が5くらいになるようにしてあるんですって、ほら」
私は魚(魔物)を捌いてる時に出てきたそこそこデカい処理済の魔石を普通ならカーナビがあるところにある魔石入れにポイッと入れると、グンと消費魔力が下がった。
ちなみに、魔石を大気中の魔力を吸わせる魔法プログラムを組み込んだケース内に入れる事で運転手の魔力を増幅させる仕組みだ。
「えーっと、じゃあ先輩、運転してみてください ·····先輩?」
「あら?サンドラちゃんどうしたのかし····· し、死んでる·····!?」
「いや、立ったまま気絶してる·····」
一連の流れを見ていたサンドラ先輩は、その場で立ったまま気絶していた。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:12歳
ひと言コメント
「座右の銘は『何事にも全力で』だよっ☆ まぁ、座右の銘なんてその時の気分でコロコロ変えるけどねっ☆」
名前:アニー・サンドラ
年齢:16歳
状態異常:気絶
ひと言コメント
(気絶中のためありません)




