魔動車魔改造の準備
校長先生にゲンコツを食らった私は、大人しく話を聞くことにした。
「·····で、なんで私が魔動車部に入らなきゃいけないんですか?」
「あのね、魔動車部は来月に大会が控えてるのよ····· そしてソフィちゃんが壊した」
「私のせいじゃない!先輩が勝手にヒートアップして壊したんだ!!」
「·····問答無用よ、魔動車免許を特別に入手してあげた恩を忘れたのかしら?」
「脅すなんて酷い·····」
今回はマジで私は何もやってないからね?
向こうが勝手にヒートアップして壊しただけだよ?
「ううぅ····· オレのワイルドキャッツ·····」
あっ、先輩がワイルドキャッツに抱きついてしょぼしょぼしながら泣いてる·····
「はぁ、直せばいいんでしょ直せば、みんな先に帰ってて、アレ魔改造して帰る」
『『りょうかいっ!』』
「「あの、僕は見てても良い?」」
「OK!」
というわけで『なかよし組』は女子3人と男3人(※うち2人は『元』)に別れて行動を開始した。
「·····って待ちなさい!ちゃんと私の話を聞きなさい!じゃないとゲンコツするわよ?」
「はーい·····」
◇
「·····で、私に魔動車レース大会に出場して欲しいって事でいいの?」
「だからソレが微妙に間違ってるのよ·····」
「じゃあなんなんですか?」
「ちゃんと聞きなさい?」
〜校長先生説明中〜
ええと、大体わかった。
・サンドラ先輩が勝手にヒートアップしてぶっ壊したアレは、現状世界最高峰の性能を誇る最強の魔道車
・来月大会があって、先輩たちはそれの調整中だった
・そんなとき、私が校庭を爆走したからスイッチが入って走って壊した
「·····それってただ単に先輩がじばぐぁいだだだ!?割れる!割れちゃう!脳みそ出ちゃヴっ!!?」
「いいから直しなさい、出来れば改造もしなさい」
「いったたたた····· 別にアイアンクローしなくても····· はぁ、わかったけど、ケッテンクラートIIじゃダメなの?」
「いい?あの魔道車は連覇記録を持つ魔動車だから人気もかなり高いのよ?それが出なかったらウチの学校はアレよ、ウナギが無いうな重よ?」
「例えが分かりにくい!けどわかった、原型が無くなるかもですが直して魔改造していいですか?」
「多少は残しなさい」
「OK、原型だけはちょっと残して徹底的に改造します」
ガシッ!!
私は校長先生と契約成立の握手をして、早速ケッテンクラートを動かして『ワイルドキャッツ』の近くまでやってきた。
「おーい、サンドラせんぱーい、それ修理するのでどっか魔改ぞ····· 修理できる工場とか無いですか?」
「あるぜ····· 押すからついてきてくれ·····」
「んにゃ、引っ張りますよー」
「どういう事だ?」
「こういう事だよ」
カタカタカタカタッ
ケッテンクラートを操縦してワイルドキャッツの前に来た私は空中に浮かぶホログラムウィンドウを操作して、車体後部から魔法のウィンチを出した。
「ええと?馬車が元になってるから、ここらへんだったら多分大丈夫だから····· 固定!」
ウィンチの先端を動力が壊れて動けなくなったワイルドキャッツに固定して、外れないかを確認した。
「よしOK!じゃあ先輩は乗っててください、引っ張りますんで道案内はお願いします」
「お、おう」
先輩が乗ったのを確認すると、私はギアを2速に入れアクセルを回して前進させた。
すると、ケッテンクラートはなんの苦もなく軽々とワイルドキャッツを引っ張って加速し始めた。
「まてまてまてまてまてっ!!おい!ワイルドキャッツは重さ200kgはあるんだぞ!?なんでそんなに簡単に引っ張れる!というか早っ!?なんで早いんだ!」
「そういう風に作ってますので〜」
そう、実はケッテンクラートは牽引用トラクターとしても使われていた歴史もあるのだ。
だから私のケッテンクラートIIも魔法を駆使して超重量の物も運べる牽引車にしてあるのだ。
さっき先生を引きずった『5速』がそれに該当するモードだ。
確か私のケッテンクラートの素の牽引力が泥濘地帯でも約1400kgだったはずで、5速に入れると私の魔力の最大値まで増大する。
ってことは·····
約1兆kg?えっ、まじヤバくね?
「おい!そこを左に曲がれ!そっちはウリアナ・ナール部の部室だ!」
「あっ、はーい」
ウリアナ・ナールって何だっけ?
まぁいいや。
私は愛車の力に戦々恐々としながらも、先輩の指示に従って修理場所にワイルドキャッツを牽引して進んで行った。
◇
「通り過ぎてる!そこの倉庫が魔道車部の部室だ!お前らドアを開けろ!」
『『応ッ!』』
「あっ、私が開けるよー」
『『うわっ!?』』
先輩の指示で部員たちが部室の重そうなドアを開けようとしたので、魔法でサクッと開けてしまった。
ってか凄い、8台くらい魔道車が並んでる!
すっご!まさに自動車部って感じだ!
私はウキウキする心を鎮めながら、ケッテンクラートでワイルドキャッツを牽引して部室の中に入った。
で、先輩から置き場所を指定されたので見てみると、たぶんワイルドキャッツ専用の置き場所があって、色々な工具とかが置いてあった。
「おおおー!まさに自動····· 魔道車部って感じだ!」
「もうちょっと前だ、そこのリフトの所まで····· よしストップ!」
魔道車部の部室の中は、よく車を売ってる店とかにある車を点検する、あのー、えっとー·····
なんだっけ?
(※ピットです)
サンキュー解説さん!
私はワイルドキャッツをピットに入れて、牽引用の魔法を解除した。
「んじゃ、早速修理と魔改造しちゃうぞっ☆」
「まてまてまてまて!勝手に直すな!コイツはオレ専用に作ってあるし、速度が出るようにかなり繊細な魔道具とか魔法回路とか魔法陣を使ってるんだ!素人が触っていいモンじゃねえ!」
「え?コレ見て言える?」
ドゥルルルン!!
私はケッテンクラートをその場で180度旋回させ、ワイルドキャッツの横に来た。
「そうだ気になってたんだ!お前のその····· 名前なんだっけ?」
「これ?『Kettenkrad II Die Zauberflöte』」
「·····???けってんかーと つぁい でぃつぁうばふるーと?」
「ケッテンクラートでいいよ」
「おう!それでそのケッテンクラートとやらはどうなってんだ?」
「企業秘密だけど壊さないレベルでなら仕組みを見ててもいいよ!その代わり、先輩の魔道車も弄らせてもらいますよ?たぶんテセウスの船しちゃいますけど」
「てせうす?よく分からんがいいぜ!直してくれ、頼む!」
「合点承知之助っ!」
というわけで、先輩と私はお互いの魔道車を交換して観察、私は加えて魔改造もする事になった。
◇
私は先輩の魔道車を魔法を使って分析して、アカシックレコードの応用で色々なタイプの図面を作ったり、構造の解析を行っていた。
ふーん·····
そーゆーシステムね
「大体わかった」
「は!?マジかよ?じゃあワイルドキャッツのカーブはどうやってるのか分かるか?」
「この操縦桿を曲がりたい方向に倒す、例えば左に倒すと左後輪の少し前にあるこの鉤爪みたいなパーツが下がって地面を引っ掻いて抵抗を発生させて無理やり曲がってるって感じでしょ?で、ブレーキはこの操縦桿を手前に倒すとできて、両方の鉤爪が地面に当たって無理やり止めてるでしょ?それと同時にエンジンも停止させてるのかな?」
「·····そうだ、よく分かったな、というかお前のコレはどうやってブレーキしてるんだ?さっぱり分からないんだが」
「それは無限軌道についてる前後2つで計4つの駆動輪を魔法で回してキャタピラを動かしてるんだけど、基本的には駆動輪の速度を下げて止まる、あとは急ブレーキ用に魔導ブレーキシステムと時空アンカー、それとガチの緊急用システムが何個かあるよ、1番よく使うのは駆動輪の速度を下げて止まるシステムだね」
「·····わからん!!」
「だよねー、話を戻すけど、これの仕組みは完全に分かったから改造してもいい?原型は残すから」
「おう!原型は残してほしいが、カッコよくなるなら多少の改造ならいいぜ!」
「応!」
という訳で、レッツ魔改造っ☆
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:12歳
ひと言コメント
「んー····· 原型残せるかなぁ、ちょっと微妙かも」
名前:アニー・サンドラ
年齢:16歳
ひと言コメント
「ん?別にオレは学生じゃないぞ?この学校は卒業したけど魔道車の開発と操縦の才能があったから、魔道車部に残れって校長先生に言われて、特例で魔法学校に就職させて貰ってるんだ、名義上は研究者として雇われてるって感じだな」
名前:『なかよし組』
平均年齢:12歳
ひと言コメント
《アルム・グラちゃん・ウナちゃんは居ません》
フィ「あれ?もしかして僕たち忘れられてない?」
エビ「むしろワシらが混ざったらソフィの邪魔になるのじゃ、だからワシらはのんびりソフィの作業でも眺めて遊ぶのじゃ」




