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2章3話 初めての温もり

今回2章3話を書きました

目を覚ますと、すぐ隣でアンシャがこちらを見ていた。

「光くんは?」

そう聞くと、アンシャは僕の隣を指さした。

その方向を見ると、光くんが気持ちよさそうに眠っている。

「あの後、とりあえずここで預かるって、カイルさんに言ったの」

「……そうか」

するとアンシャが、少し心配そうに聞いてきた。

「どうしたの?」

「いや……昨日、光くんの記憶を読んでね。

 とても辛い思いをしてきたみたいなんだ」

「……そうなのね」

アンシャはそれ以上、何も聞かなかった。

ただ静かに、寄り添ってくれた。

僕は立ち上がり、言った。

「カイルさんのところに、報告行ってくる」

そうして部屋を出た。

しばらくして、光くんが目を覚ました。

「おはよう、光くん」

「おはようございます、アンシャさん」

「お腹、減ってる? ご飯作ったんだ」

「……食べたいです」

そう言って差し出した食事を、光くんは目を輝かせて見つめた。

「いただきます!」

勢いよく食べ始めたので、思わず笑ってしまう。

「そんなに急がなくても、なくならないよ」

すると突然、光くんが食器を置いた。

見ると、目に涙を浮かべている。

「どうしたの? 美味しくなかった?」

そう心配すると、光くんは首を振った。

「……違います。

 その逆です。

 こんなに美味しいご飯、初めて食べました」

涙を拭きながらそう言う光くんを見て、

アンシャは思わず微笑んだ。

「あのね。

 さっきまでここにいた蓮もね、

 私のご飯を食べて、まったく同じこと言ったの」

「……本当ですか?」

「うん。だから、ありがとうって言われると嬉しいな」

「じゃあ……おかわり、もらってもいいですか?」

「はーい、いいよ。どんどん食べてね」

アンシャはそう言って、もう一杯よそってあげた。

その頃、僕はカイルさんの部屋にいた。

ノックをしてから、扉を開ける。

「入ります」

「蓮。あの後、大丈夫だったか?」

「はい。全然大丈夫です」

「急に倒れたから、心配したぞ」

「……すみません」

「まあ、お前にはあまりしたくないことだったんだろう?」

「はい。

 僕にもそうなんですけど……

 知られたくないことの一つや二つ、誰にでもあります。

 他人の記憶を覗くのは、やっぱり抵抗があったのかもしれません」

そう言ってから、続けた。

「でも……おおよそ、彼の過去は分かりました」

「そうか」

「光くんは、監禁されていました。

 まともにご飯も食べられず、

 毎日、暴力で支配されていたんです」

その瞬間、カイルさんの表情が変わった。

纏う空気が、明らかに怒りを帯びる。

「……そうか。

 その時の部屋の形は分かったか?」

「ほとんど真っ暗で……

 目の前に鉄格子があって、

 大きくて分厚そうな扉が見えたくらいです」

「なるほど。

 場所の特定は、まだ難しいということか」

「はい。途中で途切れてしまって……」

「なら、こうしよう。

 光の魔力を感知できるか、試してくれないか」

「どうしてですか?」

「もし感知できるなら、

 その魔力の“残穢”を追えるかもしれん。

 俺はイリスに頼んでおく。

 蓮、お前は光の魔力探知を確認してくれ」

「……分かりました」

そう答えて、僕は部屋を後にした。

次回も楽しみに

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