第86話 蓮帰還
今回85話書きました
衝撃の事実を告げられた蓮を前に、子供時代の蓮は淡々と話し出した。
「早速なんだけどね。君はどうしてそんなにこの世界のために命を賭けるの?」
「そんなのみんなの笑顔を守るためだ」
「本当に? でも分かってると思うけどさ、自分の守れる範囲はそんなに広くないんだよ。そんなのできるの?」
「何が言いたい?」
「もう分かってるのに。簡単だよ、この世界を救うのを諦めなよ。時には逃げるのも大事だ。僕のつてで、もっといい別の世界にもう一回転生させてあげるしさ。それも“愛してもらえる世界”に転生できるからさ。それにもう自分が傷つきたくないでしょ?」
「そうか。素晴らしい条件だな」
「そうそう。だからさ——」
「でもその誘いは断らせてもらう」
キッパリと言い切る蓮。
「なんで?」
「簡単だ。まず僕は自分が傷つくことはもう慣れた。そして“愛されてるかどうか”なんて、そんなのとっくに捨てた。僕はみんなに愛されていようが、愛されていまいが、それでもみんなを救いたい。それに今、みんなが必死に僕のために戦ってくれてる。ここにいても分かるんだ、みんなが信じて戦ってるのを」
蓮は拳を握りしめた。
「僕が帰ってくると信じてくれてるのに、それを裏切るなんて僕にはできない。それに仲間を見捨てて他の道を選ぶほど、僕は腐ってはいない!!」
すると子供の蓮はふっと笑った。
「そっか。分かったよ。僕の負けだよ。約束通り、蘇らせてあげる。出口はあっちだよ。気をつけてね」
パチン、と指を鳴らすと扉が光り出す。
蓮は「ありがとう。それじゃあ」とだけ言って、走り出した。
「もう、せっかちなんだから」
子供の蓮は苦笑しながら、その背中を見送った。
――同じ頃。
ライガたちはボロボロの状態だった。
カケルとノイルはすでに倒れ、立っているカイルとライガも満身創痍。
レンは鼻で笑った。
「お前らもう諦めちゃえよ。そんなに足掻いても、もうアイツは戻ってこないよ」
カイルが怒鳴る。
「ふざけんな!! 簡単に諦められるか! 蓮は、アイツは俺が……いや俺たちが認めた“英雄”だ! そんな簡単に死ぬわけねぇだろ!!」
「そうか。なら——死ね!」
レンが全速力で駆けた瞬間、地面に煙が立ち上がった。
「……やったか!?」
だが煙が晴れた次の瞬間——
「なんでお前が!!」
ライガが目を見開く。
「ふ……やっとお出ましか」
カイルはニヤリと笑い、
「おはようございます、蓮の兄貴!!」
煙の中から——蓮がゆっくりと歩み出てきた。
一同は驚愕、そして安堵、さらに嬉しさが一気に込み上げた。
「皆さん、ご迷惑をおかけしました。ここからは僕が相手をします」
剣を構える蓮。
「ふん、何度蘇っても同じことだ」
レンが言い放った瞬間、蓮の姿が消えた。
次に現れたのは——
血まみれで倒れているカケルとノイルの横だった。
「二人とも無事……ではないけど、生きててよかった」
「蓮……おかえり……」とカケル。
「蓮……さん……後は……たのみ……まし……た……」
ノイルが言って気絶したのを確認すると、蓮は二人を抱え、凄まじい速度でイリスの元へ運ぶ。
「二人を頼みます!」
「任せてください。蓮さんも気をつけて」
アンシャも駆け寄る。
「蓮!」
「アンシャ。話なら後でしよう。いくらでも聞いてあげるからね」
そう言って笑い、蓮は再び戦場へ戻る。
レンが立ち塞がる。
蓮は剣を構えた。
「待たせたな」
「さぁ、最終決戦だ」
二人は同時に臨戦態勢をとり、ついに最後の戦いが始まろうとしていた。
次回も楽しみに




