第85話 二つの戦い、ひとつの命
今回84話書きました
蓮が自分の子供の頃の姿と会っていた頃、外の戦場ではカイルが休む間もなくレンに切り掛かっていた。
「呆れるな。そんなやつのためになぜ命をかけられるか」
そう言いながら、レンはカイルの攻撃をすべて交わしていく。
「くそ、こいつなかなか当たらないな」とカイルが思っていた時、すでにノイルとカケルがレンの背後を取っていた。
「出力最大!!」
「出力90パーセント《ブラッドブレイク》!!」
二人の最高クラスの攻撃が直撃し、レンは後方へ激しく吹き飛んだ。
「やったか?」とカイルが呟くが、ノイルが「いや、まだだ」と返す。
その直後、レンがゆっくり立ち上がった。体には傷一つない。
「今のが全力か? だったら期待はずれだ」
余裕の表情に、そこへライガとリュシヤが合流する。
「カイル、あれは……あの技を使うしかないな」
リュシヤが一本の剣を手渡す。
「ありがとうリュシヤ。よし、お前ら行くぞ!!」
カイルが叫び、全員がレンへ突っ込む。
まずカケルが動く。
「能力解放!」
黒い鎧をまとった兵士が大量に出現し、そのまま突撃。
続いてノイル。
「能力解放!」
黒鎧の兵士たちが次々とカイル、ノイル、カケル、ライガの姿へ変化し、一斉に攻撃。
「分身か。面白い」
レンはそれらを一体ずつ確実に潰していく。
その背後に、剣を二本構えたカイルが接近した。
「サンシャインブレード × 月光ブレード――二刃流《日食》!!」
交差する斬撃。しかしレンはこれすら避けた。
「くそ俊敏だな……だが、そいつは避けれねぇだろ!」
レンが上を向いた瞬間、ライガがすでに技を発動していた。
「レインボーバスター!!」
七色の奔流がレンの顔面へ直撃。レンは地面に叩きつけられた。
「今度こそ、やったか?」
そう言った数秒後。
「そんなもので俺が倒せるか!」
再び起き上がるレン。全くボロボロになっていない。
「マジかよ……こいつ、どんだけタフなんだよ!」
その瞬間、レンが一気に距離を詰めてカイルへ拳を振り下ろす。
カイルは反射的に回避して反撃するが、それも避けられる。
「……仕方ないか」
レンが呟く。
「能力解放」
黒いドーム状の空間が出現し、カイルたちを包み込んだ。
「なんだこの能力……閉じ込められた?」
カイルが思った瞬間、背後に気配。
「勘がいいね!」
さっきまで目の前にいたはずのレンが、なぜか背後から現れる。
「何が起きた?」と混乱する間もなく、今度は足元から現れた。
カイルはジャンプして回避する。
「そこか!」
拳を叩き込もうとするが、それは霧のように消えた。
「そいつは本体じゃないよ」
カケル、ライガ、ノイルも同じ現象に巻き込まれている。
「くそ……どこから来るんだこいつ!」
仲間たちは黒い空間を駆け回り、完全に隔離されていると気づく。
それでも――諦めない。
アイツ(蓮)のために戦うんだ、と誰もが歯を食いしばり続けていた。
――そしてその頃。
蓮は自分の“子供の頃の姿”と対面していた。
「なんで……?」
蓮が呟くと、その子供の蓮は笑って言う。
「やぁ、僕。いや、蓮。ずっと会いたかったよ」
「僕が……僕に?」
「うん」
蓮はすぐに言った。
「でも君と話してる暇はない。アイツのところに戻らないと。出口はどこ?」
「出口なら後ろだよ」
言われて振り向くと確かに扉がある。
近づいて開けようとする――が、開かない。
「なんでだ……?」
子供の蓮は静かに言った。
「簡単だよ。今、君の心臓が止まったからだ」
「……嘘だろ、もう止まったのか」
凍りつく蓮に、子供の蓮が優しく言う。
「大丈夫。僕が生き返らせるから。その代わり、僕の話をちゃんと聞いてくれないかな?」
蓮は迷いなく頷いた。
なぜなら――
戻らなければいけない理由がある
守りたい仲間が、戦っているから。
次回も楽しみに




