第81話 月光の二閃
今回80話書きました
カイルとリュシヤは剣を構え、カタストロフと向き合っていた。
「で、わかったか?」
カイルが横目で問いかける。
「あぁ、おそらくやけどな。」
リュシヤは薄く笑いながら答えた。
「あいつ、自分の触れたものを透けさせて、
うちらに“見えへん攻撃”仕掛けてきてる。」
その言葉にカタストロフが満足げに笑う。
「ほぅ、よく見破ったな。
私のスキル《トランスパレント》は、触れた物体を任意で透明化できる。
ほら、私は今剣を握っているが……お前らには見えんだろ?」
確かに“何かを握っている”気配はあるのに、形が全く見えない。
「カイル、魔力どんぐらい残っとる?」
「まだ余裕はある。ただ、二刀展開はキツい。」
「なら、僕の能力で出したるわ。」
リュシヤは笑い、同時に二人は一気に距離を詰めた。
しかし、二人がかりの攻撃ですらカタストロフは軽々と回避する。
「ふん。二人がかりでもこの程度か?」
「言っていられるのも今だけや!」
リュシヤが叫び、二人の合体スキルが発動する。
「《竜巻ブレード ×2・合体スキル・木枯らし旋風陣!!》」
木の葉の斬撃が竜巻に包まれ、暴風の刃となってカタストロフを切り刻む――
はずだった。
「なるほど。やるではないか。」
だがカタストロフは竜巻そのものを吹き飛ばした。
「まじか!?」
「竜巻を正面から吹き飛ばしただと!?」
二人が驚く間もなく、透明な攻撃が飛んでくる。
カイルもリュシヤも反応できず、吹き飛ばされる。
「見苦しい。そろそろ死ね。」
歩み寄るカタストロフ。
ふらつくリュシヤが、それでも笑って言った。
「……僕らの勝ちや。」
その瞬間――
カタストロフの片腕が宙を舞った。
「……何が起きた!?」
理解できず目を見開くカタストロフ。
「簡単だ。お前が俺を本気にさせたんだよ。」
月の形見を模した刀――《月光ブレード》を構え、
カイルが煙の中から歩み出てきた。
「まだ舞えるか?」
「フッ、面白い……!」
ふたたび距離を取り、同時に踏み込む。
カイルは一瞬で距離をゼロにし連撃を叩き込んだ。
カタストロフは徐々に捌けなくなり、ついに攻撃を食らう。
「な、なぜだ!? 私の速度を越えるだと!?」
「俺の《月光ブレード》は特別なんだよ。
常時発動スキル《ビッグムーン》で、
月が出ている間は身体能力が極限まで跳ね上がる。」
説明を聞いたカタストロフは笑った。
「面白い! 来い、人間!!」
凄まじい速度で迫るが――
カイルが先に動いた。
「《一刀流・月影》!」
刃が光を弾き、黄と黒のオーラをまとった斬撃が放たれる。
避けられず直撃。煙が晴れると、カタストロフの両腕は消えていた。
「……これは、私の負けか。」
「随分潔いじゃねぇか。」
「私はただ……戦いを楽しみたかっただけだ。
負けは認める。」
「なら、人を殺す必要はなかったはずだ。
死んでいった人たちのことを抱えて逝け。」
カイルが首を刎ねる。
その巨体は静かに倒れ、砂となって崩れた。
リュシヤが肩で息をしながら言う。
「ふぅ……危なかったな、カイル。」
「あぁ。あと一瞬遅れてたら終わってた。」
二人は笑い合い、次の戦場へと歩き出した。
次回もお楽しみに




