第76話迎え討とうとする絶望
今回75話書きました
シティオと対峙したセラフィンは、一歩も引かぬ表情で杖を構える。
「本当は……使う気はなかった。
だが、致し方ない」
深く息を吸い込み――
「能力解放──エンジェルボイス!」
瞬間、彼女の背に神々しい光の翼が生え広がる。
大気が震え、力が収束していく。
「埋まれッ!!」
天に響く声が落ちた途端、周囲の死体――そしてシティオが立つ地面までが大きく沈み始めた。
「なっ……!?」
死体たちは音もなく土に呑み込まれていく。
続けざまに、セラフィンは冷たい視線で言い放つ。
「燃えろ」
次の瞬間、地面から爆焔が立ち上った。
死体の山を炎が呑み込み、その炎はシティオをも襲う。
身を焦がされながらシティオが気づく。
「これは……この能力の弱点……死体が必要……!」
翼が霧散し、人の姿に戻ったセラフィンは横目もくれず歩みを進めた。
「そうだ。お前は死体に乗り移る。
なら、燃やしてしまえばいいだけ」
シティオは絶叫を残し、灰となった。
「お見事……と言うしかないな……」
◆
一方その頃、王イグニスは苦戦していた。
得意の素早さが発揮できない。
相手――幹部グルドの能力のせいだ。
「くそ……鬱陶しい能力だな」
拳を振るうが掠りもしない。
逆に相手の攻撃だけが確実に当たる。
「ほらほら~どうしたんですかぁ?
そのへなちょこパンチ、当たりませんよぉ?」
嘲笑と共に振るわれる拳。
しかし――
長引いた攻防は、終わりを告げる。
グルドが拳を大きく振りかざしたその刹那。
イグニスは不敵に笑った。
「能力解放──エンペラータイム」
――世界が凍った。
視界一面、瞬時に氷。
グルドでさえ、顔だけを残して完全に凍結していた。
「な、なぜだ……さっきまで満身創痍だったのに……!」
イグニスは静かに語る。
「私の力は、範囲が広すぎる。
だから住民を避難させていた。
今、その報告が届いた――遠慮はいらん」
「いい能力だった。じゃあな」
氷の巨像を、王の一蹴が粉砕した。
◆
同時刻。
遠く離れた玉座では、主人が荒れ狂っていた。
「今、何人の手下が残っている……?」
「すでに九人……討伐されています」
その言葉に、主人の座る玉座が軋み、ひび割れる。
「奴ら……何をしている?」
怒りと殺意が、空間を黒く染めた。
「残りは……六体。その六体は……とてつもなく強い幹部です」
「そうか……面白くなってきたじゃないか」
不敵な笑み。地獄の幕開け。
◆
その頃、蓮は群がる敵を薙ぎ払いながら走っていた。
(合流しないと……!)
鋭く魔力を察知。
その先には――
「おーい!みんなー!」
カケル、カイル、ライガ、エレナ。仲間が集結していた。
「どうだった、蓮?」とカイル。
「はい!七カ国をまわって、近くの敵は全部殲滅しました!
でも敵が多すぎます。主人の居場所も掴めなくて」
「短時間で七カ国……やはりお前は規格外だな」
蓮は謙虚な笑みを返す。
「まだ終わっていません。ここからが本番です」
その時だった。
空が震えた。
「っ!?みんな伏せて!!」
ドォンッ!!
地鳴りとともに、六つの巨大な魔力が降り立つ。
立ち上る禍々しいオーラ。
「ここから先は……我らが相手だ」
六体の怪物幹部が、一斉に殺気を放つ。
カイルが叫ぶ。
「落ち着け!定位置に付け!
蓮、状況を他の王に伝えられるか!」
「任せてください!――発動、テレパシー!」
(ヴァルドリン王!まずいです!)
(わかっておる。全王に召集をかけている)
「他の王たちも向かってきています!」
「よし!全員――迎え撃つぞ!!」
地獄の激戦が、今始まる。
次回も楽しみに




