第74話 フェイクパワー
今回73話書きました
ノイル、カイルが幹部を討った頃。
蓮はヴァルドリンの報告を聞きながら、戦場を駆け抜けていた。
「もう二人とも倒したのか……なら、俺も負けてられない」
彼が目指すのはフィルナ公国。
敵が多すぎて転移もできず、その数を削りながら走り続ける。
――リュシアが心配だ。どうか無事でいてくれ。
蓮は強く拳を握り、さらに速度を上げた。
◆ ◆ ◆
その頃、フィルナ公国。
リュシアは幹部ノクスと刃を交えていた。
「なかなかやるやん。僕相手に互角とか、やるなぁ?」
飄々と笑うリュシアに、ノクスは鼻で笑って返す。
「人間のくせに……貧弱な体で俺と張り合うとはな」
「褒め言葉として受け取っとくわぁ」
しかし、焦りは隠しきれない。攻撃がまるで通っていない。
――なんで効かへん? 今ので普通なら転がってるはずやのに。
「気になるようだな。教えてやるよ」
ノクスは不敵に笑い、能力を明かした。
「俺のスキルは【再生】。受けた瞬間から回復する。つまり――実質不死身だ」
「……なるほど。めんどくさいタイプやな」
リュシアは息を吐いた。
「この能力は使いたなかったんやけどな。
思い出すだけで胸クソ悪ぅなるし」
覚悟を決め、リュシアは走りだした。
「能力解放——フェイク・パワー!」
その手に、見覚えのある刃が二振り、光と風をまとって現れる。
「カイル、借りるで。
二刀流――天照ッ!」
太陽と嵐の刃が、ノクスを焼き裂いた。
「っぐ……いてぇな……!!」
ノクスは呻きながら再生し、反撃を仕掛ける。
だが、リュシアはひらりとかわし、再び踏み込んだ。
「一刀流──木枯らし(こがらし)!」
竜巻の刃が集中し、連続切断が再生速度を上回る!
「く……!やるじゃねぇか……!
だが俺を倒したつもりかよっ!」
ノクスが吠える中、リュシアは静かに構えを変えた。
「これがな、ウチの本命や。
ホンマは見せたないんやけどな」
拳を握り、太陽の力が収束していく。
「サンシャイン奥義――プロミネンス・ブレイク!」
ごく普通の拳に見えた。
だが、直撃したノクスは笑って挑発する。
「は? 何だ今の? 奥義? 笑わせ……」
止まった。
次の瞬間、ノクスの身体の内部が膨張した。
「なっ、がァァァァァ!!?」
太陽が体内で暴れる。
再生も追いつかない、内側からの破壊。
断末魔と共に、ノクスは爆散した。
「……いっちょ上がり」
リュシアは膝をつき、荒い息をした。
◆ ◆ ◆
「リュシアさん! 大丈夫ですか!?」
駆けつけた蓮が肩を支える。
「こんなん、かすり傷や。
蓮くんこそ、めっちゃ走り回って大変やろ?」
蓮は苦笑しながら返す。
「ここに来るまでに、敵は減らしておきました。
まだ他にも戦力が分散してる。俺、行ってきます」
「頼んだで、英雄さん」
リュシアは手を振り、蓮は次の戦場へ駆け出していく。
夜明け前の空を背に――
希望の光は、まだ消えていない。
次回も楽しみに




