67話 お前の隣に立てるなら
今回66話
会議が終わった後、カイルは残った雑務をこなしながら戦力を確認していた。
だが現状、人数が圧倒的に足りない。特に後方支援が深刻な不足だ。
その事実に頭を悩ませていると、扉がノックされた。
「入れ」
そう言うと入ってきた人物を見て、カイルの目が見開かれる。
「……お前、ヴィクトか」
「兄さん、久しぶり。元気にしてた?」
「もちろんだ」
ヴィクトは続けた。
「聞いたよ。これからでかい戦争が始まるんでしょ?」
「そうだ。しかも戦力が足りない。後方支援の人数が特にだ。
敵は十五ヶ国すべてを敵に回してもおかしくないほど強い」
それを聞いてヴィクトは笑った。
「だったら僕も参戦させてよ、兄さん」
「な、何を言っている!」
だがヴィクトの目は本気だった。
「安心して。攻撃魔法はまだだけど、支援魔法ならかなりできるようになった。
旅先で勉強してきたんだ。それに僕の仲間五千人も手を貸すって言ってる。
もう目の前で大切な人、たった一人の家族を失いたくないんだ」
その覚悟を見て、カイルは静かに頷いた。
「……わかった。だが自分の命を最優先しろ」
「ありがとう、兄さん!」
ヴィクトは嬉しそうに去った。
これで後方支援の人数は一気に増えた。他国の助けにも期待したいところだ。
***
一方その頃、カケルもまた戦力不足に頭を抱えていた。
「うむ……どうしたものか」
そこへノイルが声をかける。
「どうされたのです? 若」
「潜入部隊として敵情報の収集に行ってほしいのだが」
その瞬間、ノイルから笑顔が消えた。
「……申し上げます、若。私いや俺は今回、非常にキレています。
情報屋ではなく──鬼のノイルとして戦場に出たい」
「そうか。なら敵を倒しつつ、情報も取ってきてくれ」
「御意。どこへでも馳せ参じましょう」
姿が消えるノイル。頼もしい仲間だった。
***
翌朝、ベルディアでは国民会議が開かれた。
壇上に立ったカケルが声を響かせる。
「皆、昨日の報告をする。
まずヴァルセインの英雄レンの協力により、魔法が使えない者でも使える装置が完成した。
少し待てば皆に行き渡る」
歓声が上がる。
「次は……お願いだ。
昨日、十五ヶ国すべてに宣戦布告をした者が現れた。
戦力が足りない。どうか力を貸してほしい」
会場が静まり返る。
そこでカケルは己の過ちを語り始めた。
「俺は昔、騙されて罪のない英雄を殺そうとした。
だがそいつは俺を殺さず、仲間にした。
友だと、兄弟だと言ってくれた。
俺に人を守る資格をくれた。
──だが優しすぎるんだ。
また誰かの笑顔を守ろうとして戦おうとしている。
俺はそいつの笑顔を守りたい。
そしてそいつが守りたいこの世界を、共に守りたい。
だからお願いだ──俺と一緒に戦ってくれ!」
沈黙のあと、国民の叫びが響く。
「カケル王に従う! 喜んで!」
こうして七千人もの志願者が集まった。
カケルは空を見上げ、静かに呟く。
「レン……俺もお前の隣に立てそうだ」
次回も楽しみに




