第5話:アンナとの出会いとバッジの話
いつもまたくれてありがとございます今回五話書きましたがいよいよ友好国魔法国家アルシエル編スタートですこれからも応援よろしくお願いします
今日、僕は馬車の中にいた。今から友好国、魔法国家アルシエルに向かっている。隣にはエレナさんもいる。
「本当に僕なんかが行っても大丈夫なんですか? 素性もよくわからないのに」
そう聞くと、エレナさんは笑って言った。
「全然大丈夫だよ。むしろ蓮には“ぜひ来てほしい”って言われちゃったからね」
一体誰が僕に会いたがっているんだ? そう思いながら、初めて乗る馬車に感心していた。揺れはあるけど、普通に馬に乗るよりずっと安全だ。安心したせいか、いつの間にか眠ってしまった。
どれくらい経ったころだろう。馬車が急に止まり、僕は頭を打って目を覚ました。
「何だ?」
隣を見ると、エレナさんが怒った顔をしている。
「どうしたんですか?」と聞くと、外から「金目のものをよこせ!!」という声が聞こえた。――山賊!?
焦る僕をよそに、エレナさんは笑顔を浮かべて言った。
「ここで待ってて」
そう言って馬車を出ていった。影から見ていると、武装した山賊が三人。エレナさんは一瞬で懐に潜り込み、一人を制圧。けれど、もう二人の姿が見えない。嫌な予感がしていると――馬が突然暴れ出し、馬車ごと走り出してしまった。
「やばっ……!」
止めようとする間もなく、馬車は木にぶつかり、僕は外に放り出された。尻もちをついた瞬間、山賊の一人が剣を構えて突っ込んでくる。
「間に合わない!」
思わず目を瞑った。……けれど、いつまで経っても痛みはこない。恐る恐る目を開けると、僕を庇ってエレナさんが立っていた。背中から血が流れている。
「エレナさん!?」
息はあるが、意識がない。――僕のせいだ。そう思った瞬間、体が勝手に動いていた。短剣を二つ召喚し、襲ってくる山賊に突っ込んだ。
数秒後、二人は倒れていた。けれど息はある。息の根を止めようとした瞬間、視界がぐらりと揺れ、僕はその場に崩れ落ちた。
「まったく……二人とも無茶しすぎだ」
遠くで、誰かの声が聞こえた気がした。
――目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋だった。
「ここは……?」と呟いた瞬間、扉が開く。青い髪の女性が立っていた。
「そんなに警戒しないで。あなた、エレナと一緒に来た人でしょ?」
「そうです。あなたは……?」
「私はエレナの姉、アンナ。エレナは隣の部屋で寝てるよ。軽い怪我だから大丈夫」
その言葉を聞いて、僕は胸を撫で下ろした。
「えっ、エレナさんのお姉さんだったんですか!?」
「そうよ。瞳の色が一緒でしょ?」
驚いていると、後ろから声がした。
「蓮! 無事だったのね!」
エレナさんが駆け寄ってきて、僕を抱きしめた。
「僕のせいで……」と言いかけた僕の言葉を遮るように、彼女は言った。
「あんなの仕方ない。私の油断よ。本当にごめんね」
そうして落ち着いたころ、エレナさんが紹介した。
「この人が、蓮に会わせたかった人。私のお姉ちゃん」
「本人から聞いちゃいました」と答えると、エレナさんは目を丸くした。
その後、アンナさんがご飯を作ってくれることになり、僕たちはお言葉に甘えることにした。
食事をしながら、アンナさんが言った。
「ねえ、あなたって面白い魔法を使うんでしょ?」
「面白いかはわかりませんけど、魔法は使えますよ」
「見せてよ」
研究室で、僕は武器召喚のスキルを発動した。
「……!! 何もないところから剣が出てきた!? すごい!」
アンナさんは目を輝かせていた。
エレナさんが説明する。
「蓮の魔法は全部、この“バッジ”から発動してるの」
その話を聞いたアンナさんはさらに興奮した。
「そのバッジ、見せてよ! 魔力を使えない人でも魔法を使える道具を研究してるんだけど、あなたのそれ、実例そのものよ!」
僕は戸惑いながらも、「これ、僕以外が握っても反応しませんよ」と言いながらバッジを渡した。アンナさんはドライバーで解体しようとしたり、自分で握って真似したりしていたが、何も起こらなかった。
「……うーん、やっぱり本人以外は反応しないか」
アンナさんはバッジを返してくれたあと、にっこり笑った。
「ねえ、これから月に一回くらいでいいから、バッジを2つ貸してくれない? その代わり、あなたが欲しいものを何でも作ってあげる」
「どうやって渡すんですか?」と聞くと、アンナさんはニヤリと笑って小さな飛行機械を見せた。
「これで届くようになってるの」
「それなら……お願いがあります。このバッジが自動的に僕の手に呼び出せるようにできませんか?」
「できるかわからないけど、やってみるわ」
僕は「ウォーター」と「フラッシュ」のバッジを預けた。
「ありがとう。必ず形にしてみせる」
アンナさんが階下へ戻ると、エレナさんが苦笑して言った。
「お姉ちゃん、すごくグイグイ来るでしょ。びっくりしたでしょ?」
「まぁ……ちょっとだけ」
そう言って笑い合った。
――この国で、僕の新しい日々が始まろうとしていた。
今回も楽しんでもらえましたか?これからも新しい話をどんどん書いて行くのみてもらえると嬉しいです。




