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第57話 仲間としての初任務

今回57話書きました是非読んでください

翌朝。

ふと漂ってきた、食欲を刺激するいい香りで目が覚めた。

隣ではアンシャが静かな寝息を立てている。けれど料理の匂い――?

「……なんで?」

台所に目を向けると、そこにはカケルの姿があった。

「カケル? なんでここに?」

振り向いた彼は、淡々とこう言った。

「俺は蓮、お前の部下であり護衛役だ。

寝込みを襲われたら意味がないだろ。

暇だったから朝飯を作っておいた」

「ありがとう。食べてもいいか?」

「もちろん。お前とアンシャの分だ。

俺は見回りに行く」

言い残し、部屋を出ていった。

――別に一緒に食べても良かったのに。

彼の作った料理を一口。

驚くほど、美味しい。

少ししてアンシャも起きてきた。

「蓮、ありがと……って、作ったのカケルさん?」

「そうみたいだよ」

「そ、そうなんだ……」

戸惑いがそのまま言葉ににじむ。

「とにかく食べてみ? めっちゃ美味しい」

「えっ!な、なにこれ!?」

目を丸くしながら頬張るアンシャ。

その横顔に、まだ微妙な影があった。

「蓮はさ、彼のこと……友達だと思ってる?」

「うん。そうだよ」

「昨日……眠りながら少し聞いてたの。

でも私は……許せてない。

償おうとしてくれてるのはわかるのに……どうしても」

震える声。苦しみ。

僕はそっと答えた。

「無理に許さなくていい。

ただ、ちゃんと彼を見てあげて。

人には良いところも悪いところもある。

アンシャが見てるのは、悪い部分ばかりだと思う」

「……うん。ありがとう。

まずは話してみるよ」

食べ終わると、アンシャはカケルを追って部屋を出ていった。

同じ頃。

ライガとエレナの部屋でも似た会話が交わされていた。

「ライガは……カケルを許せる?」

「許せはしねぇ。だが悪い奴じゃない。

一発殴って、わかった」

「私ね……言葉では許すって言ったけど、本当はまだ無理なんだ」

「ならまずは知れ。

あいつを“蓮を襲ったやつ”って印象だけで見るな。

違う一面も見えてくるはずだ」

エレナは深く頷き、部屋を出た。

その頃のカケルは、街で見回りをしていた。

見慣れぬ道を歩き、周囲に気を配りながら。

「カケルさーん!」

振り返ると、アンシャが息を切らせて立っていた。

「朝ごはん……ありがとう。

レシピ、教えて欲しいの」

驚きながらも紙に書き、手渡す。

「ありがとう」

その一言が、胸に温かく刺さる。

今度はアンシャが聞いてきた。

「蓮のこと、どう思ってるの?」

カケルは真っ直ぐ前を見た。

「蓮は……俺を殺さなかった。

護衛という大役まで与えてくれた。

普通できることじゃない。

俺はあいつを尊敬してる。

だから信頼を示せるように、これからも尽くす」

優しい光が、カケルの瞳に宿っていた。

続いて、エレナが近づいてきた。

「見回り? 良かったら、みんなでご飯どう?」

「……わかった。行こう」

店で料理を待ちつつ、カケルは静かに問いかけた。

「言葉で許すと言ってたが……まだ無理なんだろ?」

二人は観念したようにうつむく。

「うん……ごめん」

「謝らないでくれ。

許してくれなんて言わない。

ただ、蓮とライガを守り抜いてみせる。

だから――見ていてくれ」

その言葉に、二人はようやく笑った。

「うん。よろしくね」

会計を済ませ店を出ると、

少し離れた場所で騒ぎを見つけた。

エレナとアンシャが、

見知らぬ男に腕を掴まれ、引きずられようとしている。

「おい」

カケルの声は低く冷たかった。

「離れろ。

その二人は、俺の恩人の大切な仲間だ」

男は逆上し、殴りかかる。

腕を掴み、そのまま地面に叩きつける。

暗器を首元に突きつけ、囁いた。

「次はない」

男たちは青ざめ、逃げていった。

「助かったよ、カケルさん!」

「無事ならいい」

照れ隠しのように視線を逸らし、

見回りへと戻っていく――。

仲間としての初任務は、

静かに幕を閉じた。

よろしくお願いしますこれからも

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