第55話新たな仲間
今回55話書きました
翌朝、僕は森にいた。
微かに魔物の魔力を感じたからだ。
森はのどかで、心が落ち着く場所だった。だが奥へ進むほど、魔物特有の禍々しい魔力が強くなっていく。
自然と足を速め、やがて辿り着いたのは――かつてエレナさんと出会った湖の近くだった。
少し休憩しようと腰を下ろした、その瞬間。
強烈な威圧感を感じ、咄嗟に立ち上がる。
木々がざわめき、背後から殺気。
反射的に剣を振るうと、金属音が響いた。
そこにいたのは、顔を隠した男。
暗器で僕の剣を受け止め、距離を取る。
「俺の攻撃を防ぐとは見事だ。だが今日が貴様の命日だ。一族のために死んでもらう」
「一族? 何のことだ。……それに、僕は今日死ぬつもりはない!」
次の瞬間、男は目の前にいた。
怒涛の連撃。防ぐのが精一杯で、完全に押される。
「どうした? その程度か?」
悔しさを噛み殺し、魔法を発動する。
「ウォーター×ソイル――二種混合魔法《泥沼》!」
地面が蟻地獄のように沈み、僕は空へ逃れる。
だが男はそれすら追ってくる。
そして、奴は言った。
「次は……お前が大切にしているアンシャとかいう女も殺してやる」
――その瞬間、何かが弾けた。
「……そうか。もう一回寝とけ」
一瞬で間合いを詰める。
「チェイン×スモーク――《スモークチェイン》!」
「ウォーター×サンダー――《水雷弾》!」
さらに――
「ファイヤー×サンダー×ウォーター――三種混合付与《水雷火拳》!」
渾身の一撃が腹を貫き、男は意識を失った。
僕は拘束したままヴァルセインへ戻り、カイルさんに事情を説明。
男は隔離された。
そこへアンシャ、ライガ、エレナさんが駆けつける。
「蓮の兄貴!」
「蓮、無事!?」
「大丈夫です。でも……理由が分からなくて」
カイルさんが静かに言った。
「なら、直接聞こう」
ライガと共に隔離室へ向かう。
ベッドに拘束された男は、僕を見るなり強烈な殺意を向けてきた。
「こいつだけは許さない……!
こいつが、俺の故郷を滅ぼした張本人だからだ!!」
男は語り出した。
暗器の技に長けた小さな村。
家族。仲間。平穏な日々。
――そして、燃え落ちた村。
そこへ現れた“あのお方”。
「滅ぼしたのは蓮だ」と告げ、復讐を囁いた。
話を聞き終え、僕は言った。
「僕は君の村を知らない。君は……騙されてる」
「俺たちが証人だ」とライガ。
「俺の命に誓って、蓮はやってない」とカイルさん。
男は、静かに笑った。
「……分かってるさ。
こんなに信頼されてる奴が、村一つ滅ぼすわけない」
そして告げた。
「俺の名はカケル。
エレナに精神魔法をかけたのも俺だ……悪かった」
その瞬間、ライガが怒りを爆発させる。
「お前のせいでエレナがどんな思いしたと思ってる!!」
拳を受け止めることもせず、カケルは耐えた。
「……落ち着いた。
なぁ、お前――」
「決まってるだろ。
お前は俺たちと一緒に“あのお方”を倒す。
罪滅ぼしとしてな」
カケルは一瞬驚き、そして笑った。
「……なら、この命。
この国のために使わせてもらう。
これから、よろしく頼む」
こうして――
また一人、仲間が増えたのだった。
次回も楽しみに




