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第51話 涙と後悔の朝

今回51話書きました

翌朝。

僕はひどい頭痛で目を覚ました。

起き上がると、すでにライガが起きていて、僕の方を見て微笑んだ。

「おはようございます、蓮の兄貴。これ、朝ごはんです」

差し出されたのは、香ばしいフレンチトーストだった。

「ありがとう、ライガ。……にしても、こんなに飲んだのは初めてだよ」

「そうですね。でも、飲まないとやってられない時もありますから」

少し笑い合いながら一口食べる。

甘くて優しい味が、少しだけ心を癒してくれた。

――その時。

扉が開き、エレナさんが入ってきた。

「おはよう。……って、何これ? こんなに飲んだの? あと顔、大丈夫?」

彼女の言葉に、ライガが苦笑しながら間に入った。

「エレナ、今はそっとしてやってくれ。蓮の兄貴、昨日のことがショックすぎて、俺と一緒に酒を飲んだんだ」

「昨日のことって?」

――心を抉られるような問いだった。

ライガは一度外に出てから、静かに話し出した。

「昨日、家に戻ったら……アンシャが蓮の兄貴にビンタして、“もう知らない!”って言って出ていったんだ」

「……そう、だったのね」

エレナさんは俯き、少しだけ声を震わせた。

部屋の中から、また泣き声が聞こえた。

慌てて入ると、蓮の兄貴が膝から崩れ落ちて泣いていた。

僕は駆け寄り、肩に手を置いた。

「蓮の兄貴、大丈夫ですか……?」

しばらくしてようやく落ち着いたようだったので、お茶を差し出した。

その後、エレナさんが口を開く。

「花でも買っていってあげたら? アンシャ、私の部屋にいるから」

「えっ……エレナさんの部屋にいるんですか?」

「そう。昨日、蓮に送ってもらったあとしばらくして、扉をノックする音がしてね。出たら、目に涙を溜めたアンシャが立ってたの。何も言わずに、部屋に泊めてあげたの」

「そうでしたか……」

蓮は小さく息を吐いた。

「アンシャに嫌われただけで、こんなに悲しくなるなんて思わなかったです」

そう呟いて立ち上がる。

「どこへ行くんですか?」

「アンシャに渡す花を買いに行く」

そう言い残して、部屋を出ていった。

――その頃。

アンシャはエレナの部屋でベッドに腰掛けていた。

「昨日は……やりすぎたかな」

そこへ、エレナが入ってくる。

「あっ、おはようございます、エレナさん」

「おはよう、アンシャ」

「どこに行ってたんですか?」

「蓮の部屋よ」

「……蓮、どうでしたか?」

エレナの顔が曇る。

「正直、ひどかった。あなたに嫌われたと思い込んで、膝をついて泣いてたの。精神的に、もう限界だったみたい」

「……そんな、私のせいで……」

「違う、アンシャのせいじゃない!」

エレナは強く言った。

「ライガから聞いたの。蓮はね、好きで傷ついたわけじゃない。敵があまりにも強かったの。だから仕方なく“魔力増強剤を使ったの」

「魔力増強剤……?」

「そう。それを使うと魔力量が一時的に上がるけど、効果が切れたら極度の疲労で二十四時間は動けなくなる。ライガによると、蓮は最後まで迷ってたみたい。でも使わなければライガが死んでしまうと悟って、覚悟を決めたそうよ」

エレナの言葉に、アンシャの胸が締め付けられた。

「私……何も知らずに、怒って……ビンタまでして……」

「だから悪いのは、全部あの魔物たちだよ」

エレナは優しく言い、アンシャの頭を撫でた。

「蓮はね、いつだって一番にあなたのことを考えてる。それだけは、忘れないで」

その言葉を聞いた瞬間、アンシャの目から涙が溢れた。

止めどなく、ただ泣いた。

エレナは静かに抱きしめ、慰めてくれた。

やがて、アンシャは顔を上げる。

「エレナさん! 今、蓮はどこに?」

「さっき出て行ったの。たぶん、あなたとよく行く花屋だと思う。でも今の状態は危険だから、ライガに跡を追わせてるわ」

「……ありがとう!」

アンシャは急いで支度を整え、蓮のいる場所へと駆け出した。

――その想いを伝えるために。

次回も楽しみに

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