第49話 仲間の力
今回49話書きました
僕は膝から崩れ落ちた。
あの自分が出せる一番強い技を無傷で――しかも武器まで折られるなんて。
もう、どうすればいいんだ……。
ギニョールは僕を見下ろして笑った。
「まさか、こんなに弱いとは思わなかったよ。――ならばせめて、苦しまずに殺してやる」
そう言って、凄まじい一撃を放ってきた。
けど、僕にはもう避ける気力すら残っていなかった。
……だが、いつまで経っても攻撃は届かない。
前を見ると――誰かが僕の前に立ち、攻撃を受け止めていた。
よく見ると、それはライガだった。
けれど彼はボロボロの状態で、それでもギニョールの一撃をなんとか弾き返していた。
「ライガ!? お前、もうボロボロじゃないか!」
「こんなの、貴方が負った傷に比べたらかすり傷ですよ!」
そう言って、ライガは再び敵に向き直る。
「やめろ! お前では勝てない!」
「勝てる、勝てないの問題じゃないです!」
ライガは叫んだ。
「貴方は一人で抱え込みすぎだ! 勝手に戦って、勝手に戦意喪失しないでください!
――貴方にはまだ仲間がいるじゃないですか! もっと周りを見てください!!」
その言葉に、僕はハッとした。
確かに、そうだ……。僕は一人で全部背負い込もうとしていた。
みんながいるのに、それを見ようとしなかったんだ。
僕は再び立ち上がり、ライガの隣に並んだ。
二人で剣を構える。
それを見たギニョールは、ニヤリと笑う。
「たいした根性だ。少しは見直したぞ。――では、もう一度やろうか」
そして再び、戦いが始まった。
折れた剣の代わりに、僕は短剣を二本生成する。
軽いぶん、速さを活かして攻めに出た。
蓮撃をギニョールに放つが、あっさりと避けられてしまう。
「そんなものか? ほら、隙ができたぞ!」
拳が飛んでくる。
だが今回は――僕には仲間がいる。
背後に回っていたライガが斬撃を放ち、ギニョールの注意をそらした。
おかげで僕は攻撃を回避できた。
再び向き合うと、ギニョールが面白そうに笑う。
「なるほど。興味深い戦い方をするな……面白い!」
「ライガ、本気で行くか!」
「そうですね。――では速攻で、こいつを倒します!」
ライガは能力を解放した。
“レッドモード”――彼の全力だ。
僕たちは目を合わせ、息を合わせて突っ込む。
ライガが叫んだ。
「レッドブラスターラッシュ!!」
無数の拳がギニョールに襲いかかる。
けれど、ギニョールは全てを避けきってみせた。
ならば――。
「分身×100、対象ライガ!」
「ライガ! もう一度だ!」
「了解! レッドブラスターラッシュ!!」
瞬間、ライガが100人に増えた。
四方八方から、レッドブラスターラッシュが炸裂する!
ギニョールは避けきれず、無数の拳を浴びた。
爆発のような衝撃が広がり、やがて煙の中に沈んでいく。
……しばらくして、ギニョールは虫の息で立っていた。
僕は片膝をつき、魔力の消費で息も荒い。
ライガが駆け寄ってきた。
「蓮の兄貴! 今の、びっくりしましたよ! 魔力、大丈夫ですか!?」
「やっぱり……人を増やすより、武器を作る方がマシだな。疲労も魔力の消費も、半端ない……」
そんな会話をしていると、ギニョールがかすかに笑った。
「素晴らしい……敵ながら、あっぱれだ。
だが――お前たちでは、あのお方には遠く及ばない。
せいぜい……足掻くんだな……」
そう言い残して、彼は塵となって消えた。
その瞬間、緊張の糸が切れたのか――僕の視界は真っ暗になった。
「蓮の兄貴!? しっかりしてください! 蓮の兄貴ぃ!!」
ライガの声が遠ざかっていく。
彼は僕を抱えて走っていった。
――後から聞いた話だが、残りの魔物たちはエレナさんとカイルさんたちが全て倒してくれていた。
そして、死者はゼロだったという。
次回もお楽しみに




