第48話 再会、そして脅威
今回47話描きました
蓮たちがオルディアへ向かっていたその頃、
エレナは戦場の中を駆け抜けていた。
空気は焦げたような匂いを放ち、地面には無数の魔物の死骸が転がっている。
「なんで……こんなにたくさんの魔物が? おかしい……普通、強い魔物は群れないはずなのに……!」
そう呟きながら、エレナは剣を振るい、次々と魔物を蹴散らしていく。
しかし、ふと足を止めた。
目の前には、これまでのどんな敵よりも巨大で、禍々しい魔力を放つ魔物が立ちはだかっていた。
「……強い。カイルさんと同じか、それ以上かも」
エレナは息を整え、能力を全開にして一撃で仕留めようとした。
しかし、剣が届く寸前――魔物の姿がかき消えた。
「――なっ!?」
次の瞬間、背後から強烈な衝撃。
エレナの体は吹き飛ばされ、木々をなぎ倒しながら地面に叩きつけられた。
痛みが全身を走り、体が動かない。
近づく足音。魔物が、ゆっくりととどめを刺しに来る。
(あ……死ぬ。ごめん、蓮……)
エレナは目を閉じた。だが――いつまで経っても攻撃は来なかった。
おそるおそる目を開けると、そこには懐かしい姿が立っていた。
「――よう、エレナ。待たせたな」
カイルだった。
その一撃はまさに神速。魔物の巨体は一瞬で斬り裂かれ、崩れ落ちた。
エレナは思わず声を失う。
「カイルさん……!」
「立てるか?」
「……すみません、少しだけ」
カイルは腰の袋から小さな瓶を取り出し、エレナに手渡した。
「これ、蓮からだ」
中には粒状の光る薬と、一枚の紙。
そこには『再生魔法を凝縮した回復粒子』と書かれていた。
エレナが一粒飲むと、全身の傷が一瞬で塞がり、折れていた腕が動くようになった。
「……ありがとう、カイルさん。本当に助かりました」
「感謝するくらいなら、周りの魔物を片付けてくれ」
「はい!」
二人は笑い合い、再び戦場へと駆け出した。
その背に、確かな絆があった。
――その頃、蓮とライガも同じように魔物の群れを切り裂いていた。
「……はあ、こっちもキリがないな!」
そこへ、頭の中に声が響く。
『こちらヴァルドリンだ。聞こえるか?』
「ヴァルドリン王!? これは……」
『私の魔法で、遠距離でも会話ができる。状況を報告しよう。――魔物は操られている。倒した個体を調べたところ、微弱な洗脳魔法の痕跡があった。そして今、君たちの近くに強大な魔力を感知した。気をつけてくれ』
「了解しました!」
通信が切れ、蓮とライガは視線を交わす。
二人は頷き、気配のする方向へ駆け出した。
――そこに、ひときわ異質な魔物が立っていた。
「……あれ、喋った?」
「ふふ……驚いたかね?」
その魔物は不気味に笑った。
人の言葉を話す魔物――ギニョール。
「私はギニョール。この群れの長だ。“あのお方”より力を授かり、言葉を得た。そして――君たちには悪いが、ここで死んでもらう」
その言葉と同時に、ライガの巨体が吹き飛んだ。
「ライガッ!」
目の前に現れたギニョールが、蓮に拳を叩き込む。
とっさに剣で受け止めたが、衝撃が重すぎて木々をなぎ倒しながら吹っ飛ばされた。
「な……なんて力だ……!」
蓮は立ち上がり、剣を構える。
頭の中を冷静に整理しながら、詠唱を始めた。
「――《チェイン✕スモーク! 二種混合魔法・スモークチェイン!》」
鎖と煙が絡み合い、ギニョールの動きを封じる。
その隙に蓮は魔力を込めて跳び込んだ。
「――《ウォーター✕ウィング✕サンダー✕ファイヤー! 四種混合付与魔法・風雷水火斬!!》」
轟音とともに大地が揺れ、爆煙が立ち上る。
しかし、煙が晴れた時――ギニョールは傷一つ負っていなかった。
「素晴らしい魔法だ。だが、相手が悪かったな」
ギニョールの拳が閃いた。
蓮は避けきれず、再び吹き飛ばされる。
(どうすれば……勝てるんだ……?)
歯を食いしばりながら、蓮は剣を握り直した。
――戦いは、まだ終わらない。
次回もお楽しみに




