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第45話 ヴァルドリン王との謁見

今回45話描きました是非読んでください

オルディア連邦へ向かうことが決まり、二日後――。

 僕たちは馬車に揺られていた。もうすぐ目的地に着くらしい。

 化学が最も発展している国と聞いていたから、どんな場所なのか気になって胸が高鳴る。

 やがて馬車が止まり、目の前に巨大な門がそびえ立った。

 門がゆっくりと開き、その向こうに広がる街並みを見た瞬間、思わず息を呑んだ。

 ヴァルセインやアルシエルとは比べ物にならないほど発展した都市。

 道の上には、見慣れぬ“鉄の箱”が人を乗せて走り抜けていく。まるで、僕のいた世界のトラックや車のようだった。

 ライガたちは口を開けたまま、ただその光景に見入っている。

 馬車を降りると、僕はエレナさんに尋ねた。

「ヴァルドリン王はどこにいますか?」

「ついて来て。」

 そう言って、彼女は僕たちを導いた。

 辿り着いたのは、これまで見たどの城よりも巨大な宮殿だった。

 白銀の装飾に光が反射して、まるで昼間でも輝いているようだ。

 中へ入ると、長い廊下の奥に重厚な扉が待っていた。

 エレナさんがノックし、静かに声をかける。

「ヴァルドリン王、エレナです。カイルさんから話は通っていると思います。」

「入ってください。」

 中から落ち着いた声が返る。

 扉を開けると、玉座に一人の男性――ヴァルドリン王が座っていた。

 僕たちは一斉に頭を下げる。

「ヴァルドリン王、お忙しい中お時間をいただきありがとうございます。蓮と申します。」

「そう、かしこまらなくていい。肩の力を抜きなさい。」

 王は穏やかに微笑みながらそう言った。

「要件はカイル殿から聞いています。

 “魔法が使えない者にも魔法を扱える装置”の量産の件ですね?」

「はい、その通りです。」

「その件に答える前に、一つ質問をしてもいいですか?」

「もちろんです。」

 王は静かに僕を見据えた。

「あなたはその装置を作り、何を求めますか? 地位ですか? 利益ですか? それとも名誉ですか?」

 少しだけ息を整え、僕は答えた。

「僕が求めるのは、人々の笑顔です。

 この世界の六割ほどの人は魔法を使えないと聞きました。

 そのせいで、魔法が使える人から虐げられることもあると……。

 僕はこの装置を通して、その格差をなくしたい。

 誰もが笑って過ごせる世界を作りたいんです。」

 その言葉を聞いたヴァルドリン王の表情が、ゆっくりと笑顔に変わった。

「――素晴らしい考えだ。

 あなたのような志を持つ者なら、喜んで協力しよう。これからもよろしくお願いします。」

 胸の奥の緊張が、ふっと解けていく。

「ありがとうございます! このことはカイルさんにも伝えておきます。」

 部屋を出ようとしたその時、王が呼び止めた。

「待ちなさい。ひとつお願いがある。あなたの魔法を、ぜひこの目で見てみたい。」

「わかりました。」

 僕は手を掲げ、空間から一本の剣を取り出した。

 刃が光を反射し、静寂の中に金属音が響く。

 ヴァルドリン王は目を輝かせて言った。

「……なんと見事な魔法だ。実に素晴らしい。これは研究のしがいがありますね。」

 そして一枚の紙を渡してくれた。

「こちらが今夜の宿泊場所です。どうぞゆっくり休まれてください。」

 僕たちは深く一礼し、部屋を後にした。

 ――その後。

 ヴァルドリン王は玉座に腰掛けたまま、静かに窓の外を見つめていた。

 なんて清らかな心の持ち主だ、と。

 あの時、“処刑するか生かすか”の会議で、自分は周囲に流されて「殺す」に票を入れた。

 今となっては恥ずかしい。

 己の利益ではなく、ただ“人の笑顔”を願うその姿勢――

「私も見習わねばなりませんね……」

 そう呟きながら、王は静かに目を閉じたのだった。

次回も楽しみに

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