第44話 旅立ちの前に
今回44話描きました
翌日。
僕は朝からライガたちと闘技場に来ていた。
中に入り、会場の中央でお互いに剣を構える。
「ごめんな、ライガ。わざわざ剣術の練習に付き合ってくれて」
「気にしないでください。俺もちょうど強くなりたいと思っていたので。今のままじゃ、戦える気がしないんです」
ライガはそう言いながら、心の中でつぶやいていた。
(もっと強くならないと……あなたの隣に立てないから)
構えが終わり、互いに息を整えたその瞬間――
二人は地を蹴り、剣がぶつかり合った。
金属の音が響き渡る。
僕は持久力を上げたいと思いながら打ち込んだ。
斬り合いは数十分も続き、気づけば二人とも汗だくになっていた。
休憩に入り、ステータスを確認すると力と持久力が少し上がっていた。
しかしレベルは上がらない。やはり魔物を倒さなければ駄目か。
そう考えながら汗を拭っていると、エレナさんが走ってきた。
「蓮、ライガ! カイルさんが呼んでるよ!」
「わかりました!」
僕たちは急いでカイルさんの元へ向かった。
部屋に着くと、カイルさんは腕を組みながら言った。
「来たか。早速で悪いが本題に入らせてもらう。――蓮、前にアンナが開発した装置を覚えているな?」
「もちろんです。僕の魔法を参考にして作られた、“魔法を使えない人でも使える装置”ですよね?」
「そうだ。そのことでだ。どうやらアンナ一人では量産が難しいらしい。
だから、同盟を結んだオルディア連邦の大統領ヴァルドリン・オルディアに協力をお願いしてきてほしい」
「わかりました。でも、他の国は?」
「他の国はリュシアとイリスが声をかけてくれている。
だからお前たちはヴァルドリンに交渉を頼む」
「了解です。明後日、出発します」
「頼んだぞ。そしてライガ、お前も護衛として同行しろ」
「はい!」
部屋を出て帰宅し、荷造りをしているとアンシャがやってきた。
「またどこか行くの?」
「うん。明後日からオルディア連邦に行くんだ。アンナさんの装置の量産を手伝ってもらうために」
「オルディア連邦って、科学が一番発展してる国でしょ? 私も行きたい!」
「そう言うと思って、もう準備しておいたよ」
「えっ、ほんと!? ありがとう! エレナさんも来るの?」
「まだ聞いてないけど、今から行ってくる」
僕はエレナさんの部屋を訪ねた。
「入っていいよー」と声がして中に入ると、ベッドに腰かけたエレナさんが微笑んだ。
「どうしたの、蓮?」
「カイルさんからの任務です。アンナさんの装置を量産するため、オルディア連邦に協力を仰ぎに行くことになりました。明後日出発します。よければ一緒に来てもらえませんか?」
「わかったわ。ちょうど私も行きたいと思ってたところ。準備しておくね」
「ありがとうございます」
その頃――。
どこかの研究所で、冷たい笑い声が響いた。
「よし、できた……。これがあれば国を征服できる。試す場所は……オルディア連邦でいいか」
僕たちはまだ知らなかった。
旅立ちの先で、かつてない脅威が迫っていることを――。
その頃、再び闘技場ではライガと斬り合っていた。
今度はさっきよりも長い戦いだ。
ステータスを上げるためにスキル交換コーナーを開くと、
《オールアップ》――全ステータス2倍。
《ファティーグリカバリー》――その日の疲労を回復。ただし翌日反動が来る。
「次の日動けなくなるのはキツいけど……やるしかない」
僕は2つのスキルを交換し、再び剣を握った。
力が体中を駆け抜け、剣がスローに見える。
――すごい、これがオールアップか。
だが効果が切れた瞬間、体は鉛のように重くなった。
立っているのもやっとで、剣を杖代わりにしながら家へ戻る。
ご飯も喉を通らず、アンシャに食べさせてもらいながら、
「やっぱり……この先、何かが起きる気がする」
そうつぶやき、ゆっくりと眠りについたのだった――。
次回も楽しみに




