第35話 平穏の朝、そして武道会の幕開け
今回35話書きました是非読んでください
翌日、僕はゆっくりと目を覚ました。
いつものように、勝手にスキルが発動する。
「一体このスキルは何なんだ? 本当に毎日三回しか引けないし、それ以外はこのバッジしか使えない……謎だらけだ」
そう呟きながら、いつも通り三回引き終えた。
世界が元に戻り、アンシャを起こさないように布団を抜け出す。
キッチンへ行くと、卵があった。
「今日は……目玉焼きでも作ってみようかな」
そう思い、静かに調理を始める。
焼いていると、ふと後ろから声がした。
「おはよー! ご飯作ってるの? 何を作ってるのー?」
「おはよう。今日はね、目玉焼きだよ」
たわいもない会話を交わしながら、二人で食卓を囲む。
――こんな毎日が、ずっと続けばいいのに。
心の中で、僕はそっとそう願った。
しばらくして、カイルさんに呼ばれたので向かうと、なぜかリュシアさんもいた。
「おはようございます。リュシアさんもどうしたんですか?」
「あー、蓮くんおはようさん。実はな……」
カイルさんが言葉を継いだ。
「俺たちはこれから他の国とも外交を結びたいと思っていてな。だが、さすがに俺たちだけじゃ不可能だから、今日はリュシアに結果を聞いていたんだ」
「結果というのは?」
リュシアさんは少し疲れた顔で笑った。
「僕がね、他の国を飛び回って“外交を結びませんか”って言いに行ってたんよ。で、OKをもらえた国ともらえなかった国の報告を、今カイルにしてるところなんだ」
「え!? この数日で全部の国を回ったんですか!?」
「うん、そうやで。さすがに疲れたわ……」
そう言いながら、リュシアさんは肩を回した。
「で、結論なんやけど――リヴァンドの治める国以外は外交自体は賛成したんやけど、他の王たちは“蓮くんの強さ”を見たいらしい」
「僕の……強さ、ですか?」
「そうやねん。君の人望は認められたけど、それに見合う力を持ってるのか確かめたいみたいやね。
それで、近々リヴァンド以外の国が出席する武道会があるんよ。そこで君にも出場してほしい」
僕は少し悩んだ。そんな場に自分が出ていいものなのか……。
だがカイルさんが笑って背中を叩く。
「安心しろ。今回は由緒正しい武道会だ。俺やリュシアも昔出たことがある。
たとえ優勝できなくても命を奪われることはない。もし何かあれば、俺たちが命がけで守る! 行ってこい、蓮!」
「……はい! わかりました。ちなみに場所は?」
「場所はここ、ヴァルセイン帝国だ。今年はここで開催される」
「なるほど、わかりました。もっと強くなってきますね」
そう言って部屋を出ていく僕を、リュシアは静かに見送った。
そしてカイルに向き直る。
「……お前、何を見た?」
「聞いて驚くなよ。蓮くんを見たとき、近い未来が見えた。――武道会の終わる日に、子供たちを攫っていく者が現れる。
そして……蓮くんが、最悪殺されてしまう未来も」
「……そうか。どうすれば未来を変えられる?」
「まずは、あの子をもっと強くせなあかんな。カイル、蓮くんを絶対に見失うな。僕も気をつけておく」
二人の決意が交わる中、僕はそのことをまだ知らなかった。
その頃、僕は久しぶりにステータスを開いていた。
――レベル45、MP220。
思っていた以上に成長していた。
最近、いろんなことがあったからかな? そう思いながら、僕は依頼をこなして経験値を少しでも稼ぐことにした。
依頼が終わると、誰もいない場所にテレポートして「ダブル」を発動。
分身と向かい合い、互いに構えを取る。
「ウィング✖️ファイヤー、二種混合魔法付与――《風火斬》!」
風と炎を纏った斬撃が放たれるが、分身は難なく回避。
すぐに反撃してきた。
「ウィング✖️ウォーター、二種混合魔法付与――《風水斬》!」
飛来する水の刃をかわしながら距離を詰め、ナックルに武器を変える。
「ウィング✖️ファイヤー✖️サンダー、三種混合魔法付与――《風雷火破弾》!」
風・雷・火を纏った打撃の弾幕が分身を襲い、ついに消滅させた。
ステータスを確認するとレベルは上がっていなかったが、攻撃力と素早さが確実に上がっている。
日が暮れるまで、僕は分身と戦い続けた。
そしてボロボロになって家に帰ると――。
「おかえり! 今日もお疲れさま!」
アンシャが笑顔で出迎えてくれた。キッチンからは、いい匂いが漂ってくる。
「すごくいい匂い……何作ってるの?」
「ふふっ、今日はね。前に私が食べた唐揚げ定食を再現してみたんだ♪」
「ほんと!? あれ食べてみたかったんだよ!」
笑い合いながら、食卓に並んだ料理を一緒に食べる。
その味は、どこか懐かしくて優しかった。
食後、アンシャがふと真剣な顔になった。
「ねぇ蓮、何か隠してる?」
苦笑しながら答える。
「やっぱりバレた? ……実はね、近々ヴァルセインで14カ国の王たちが出席する武道会があるらしくて。僕も参加することになったんだ」
「えっ!? あの武道会に!? すごいじゃん! 絶対見に行くから! 頑張ってね!」
彼女の応援に、僕はそっと微笑んだ。
その優しい笑顔に背中を押されるように――僕は、次の挑戦への決意を固めた。
楽しんで頂けたでしょうかこの調子でどんどん出していくのでよろしくお願いします




