第34話 帰還と新しい誕生日
今回34話書きましたが是非読んでください
エレナさんの暴走を止めた翌日。
僕たちはリュシアさんの城の中にいた。
「おはよーみんな。実はね、僕もヴァルセインに用があるから、蓮くんに連れて行ってもらうことになったんよ。
やからこの城に来てもらってん」
そう説明するリュシアさんに、僕は頷いた。
「わかりました。では皆さん、僕に触れていてください」
そう言って手を差し出す。
全員が僕に触れているのを確認して、テレポートを発動した。
――視界が一瞬白く染まり、次の瞬間には、ヴァルセイン帝国の街並みが目の前に広がっていた。
「よし、ついたー……」
魔力を一気に消費したせいで、思わず膝をつく。
「大丈夫?」とエレナさんが駆け寄ってくる。
「はい……この人数は、さすがに魔力消費が多いですね」
そう答えながら、エレナさんに肩を貸してもらって立ち上がる。
するとリュシアさんが笑顔で言った。
「ほんじゃあ僕はカイルのところに行ってくるから、君たちはゆっくり休んどき。
連れてきてもらってありがとうね」
そう言ってリュシアさんは去っていった。
その頃、リュシアさんはカイルの部屋を訪れていた。
「誰かと思えばお前か。なんの用だ?」
「蓮くんに外交を任せたんやろ? 僕はね、賛成だったから直接外交を結びに来たんだよ」
「……わかった。会議室に案内する。ついてこい」
二人はそのまま会議室へと入っていった。
一方その頃。
「やっと帰って来れた〜!」
僕たちはそれぞれの家に戻り、久々の平和な時間を楽しんでいた。
僕とアンシャは部屋に戻ると、花の手入れを済ませてベッドに横になった。
「ねえ蓮って、誕生日いつなの?」
「僕ですか? ……実はわからないんですよ。
前いた世界の時も両親が教えてくれなくて。
林夫妻に引き取られた時、その日を誕生日にしてました」
そう話すと、アンシャは少し悲しそうな目をした。
「なんか……ごめんね」
「大丈夫ですよ」
僕は笑って答えた。
でも確かに、誕生日を決めないとこれからの年齢がわからなくなる。
どうしようかと考えていると、アンシャが顔を上げた。
「だったらさ、私と同じ日はダメかな?
前に蓮がカスミソウをくれた日、あれが私の誕生日だったの。
よく考えてみたら、あの日って蓮が“世界に認められた日”でもあるでしょ?」
「――いいですね。だったらそうしましょうか」
そう言うと、アンシャの顔がパッと明るくなった。
「そうだ、アンシャって失礼かもしれないけど、何歳なんですか?」
「私? 今年で二十歳だよ。蓮は?」
「僕も同じく、今年で二十歳です」
「えっ、同い年!? びっくり!」
「ちなみに、僕がカスミソウをあげた日って何月何日でしたっけ?」
「あの日はね、九月二十五日だったよ」
――というわけで、僕の誕生日はアンシャと同じ九月二十五日になった。
そう決まった途端、アンシャが焦った顔をした。
「じゃあ私、まだ蓮に誕生日プレゼントあげてないよ!」
その言葉に、僕はつい笑ってしまった。
「誕生日プレゼントなら、もうもらってますよ」
「え? 何渡したっけ?」
「それは――“貴方”ですよ。
僕からしたら、アンシャが告白を受け入れてくれたことが、何よりも嬉しいプレゼントでしたから」
その瞬間、アンシャの顔が真っ赤になった。
「ほ、本当ですか!? ……そう言ってもらえて、すごく嬉しいです。
来年は、ちゃんとしたプレゼントを渡しますね!」
太陽のように明るい笑顔を見せる彼女を見て、僕の胸も温かくなった。
しばらくしてから、リュシアさんが僕の部屋にやってきた。
「あ、リュシアさん! どうしたんですか?」
「さっきカイルとの会議が終わってね。帰る前にちょっと寄ってみたんよ」
そう言って入ってきたリュシアさんに、お茶を出した。
「おおきに。さっきの会議でな、ヴァルセインとフィルナは正式に外交を結ぶことになったんよ。
フィルナはうちで取れる作物をヴァルセインに輸出する。
代わりに、ヴァルセインは兵の鍛錬と、魔法を使えるようにする装置の研究を協力して進める――
そういう条件になったわ」
「なるほど……うまくいって何よりです」
「それから蓮くんたちには、特別に渡すものがあるんよ。ついてきてくれへん?」
「わかりました。今から向かいますか?」
「うん、そうしよか」
そう言って、リュシアさんの肩に手を置き、再びテレポートを発動した。
着いたのはフィルナ公国の城。
リュシアさんから渡されたのは――
僕とアンシャには米俵。
エレナさんには新しい剣。
ライガには剣と盾。
「こんなにお米を……ありがたいですね」
僕は感謝の気持ちを込めて礼を言い、再びテレポートで帰還した。
二人ともすごく喜んでくれた。
僕も心から嬉しかった。
部屋に戻ると、アンシャはすでに寝ていた。
僕は静かにキッチンに立ち、米を炊き、肉を切る。
「この前食べた生姜焼き定食……再現してみようかな」
そう呟きながら、フライパンから立ち上る香ばしい匂いに、ふとアンシャが目を覚ました。
「あ、料理してくれてるんだ! 何作ってるの? いい匂い〜」
「この前食べた生姜焼き定食ですよ」
「あれ! 蓮が食べてたやつ! 一回食べてみたかったんだ〜」
興味津々のアンシャを横目に、料理は完成。
二人で机に並べて、いただきますをした。
「……おいしい!」
アンシャは目を輝かせて、おかわりまでしてくれた。
皿洗いを終え、少しだけ話をしてから、二人でベッドに入る。
穏やかな夜の中――僕たちは、ゆっくりと眠りについたのだった。
やっとヴァルセインに戻って来れましたね次回も楽しみに




