第28話 貴方と一緒に歩んでいきたい
28話書きましたこれからもどんどん描いていきますよろしくお願いします
僕の過去を話してから数日後、ようやく退院の日がやってきた。
病院の外に出た瞬間、秋の柔らかな風が頬を撫でていく。
——今日は、伝えよう。
この胸に抱いてきた想いを、ちゃんとアンシャに。
とはいえ、いきなりじゃ味気ない。
まずはご飯の場所と予定を決めてからにしようと思い、家に戻って確認を終えると、僕はアンシャのもとへ向かった。
「アンシャ、今って予定ありますか?」
「ないですね。どうしたんですか?」
「……また一緒に、花屋に行きませんか?」
少し驚いたように目を瞬かせた後、アンシャはふわっと笑った。
「いいですね。行きましょう」
その瞬間、心の中で小さくガッツポーズを取ったのは言うまでもない。
けれど、その頃——アンシャの方も心を決めていた。
(よし……今日こそ、蓮に伝えよう)
そして約束の日。
いつもの街角の花屋の前で、二人並んで立つ。
穏やかな風が吹き抜け、花の香りがふわりと漂う。
「今の私に伝えたい花を、選んでください」
「わかりました。じゃあ、僕のもお願いします」
そう言って、僕たちはそれぞれ別の棚へと歩き出した。
そして——運命のように“その花”を見つける。
ラッピングを待っていると、アンシャが戻ってきた。
「見つけました。でも……今回は一緒に渡しません?」
「いいですね。ちょっと待ってください」
準備を終え、いつものベンチに並んで座る。
しばらく沈黙が流れたあと、アンシャが少し照れたように口を開いた。
「私が買った花は……赤い薔薇です。花言葉は——“貴方を愛しています”。」
頬を真っ赤にしながら、それでも真っ直ぐ僕を見つめて言う。
胸の鼓動が一気に高鳴った。
「……ありがとうございます。そんなふうに思ってくれて。
では、僕からもこれです」
僕が差し出したのは、青のガーベラとジャスミン。
「ガーベラの花言葉は“共に歩む”、ジャスミンは“貴方と一緒に”。
だから——合わせると、“貴方と一緒に歩みたい”になります」
その言葉に、アンシャの瞳が潤んだ。
そして、少し笑みを浮かべながらこう尋ねてきた。
「そういえば……蓮って、花言葉とか花にすごく詳しいですよね?」
「そうですね。昔、僕を拾ってくれた両親が花屋を営んでいたんです。
それで、いつか自分も後を継ぎたいと思ってたくさん勉強してました。
だから、花を見ると自然と意味を考えちゃうんですよ」
「ふふっ……素敵ですね。蓮らしいです」
その笑顔が、柔らかな光のように胸を温めた。
そして、僕は深呼吸をひとつして、心の底から言葉を紡ぐ。
「僕は、アンシャ。貴方のことが大好きです。
この前、病室で僕を抱きしめてくれた時に気づいたんです。
自分は、貴方のことが……本当に大切なんだって。
もし、嫌じゃなかったら——僕と、付き合ってくれませんか?」
次の瞬間、アンシャは涙を浮かべながら僕に抱きついた。
「嫌なわけないじゃないですか……!もちろん、いいですよ。
これからも、ずっとよろしくね、蓮」
その声は少し震えていて、でも確かに温かかった。
僕も笑顔で返す。
「ありがとう、アンシャ。これからもよろしくね」
その時、病室の窓に飾られていた紫のライラックの花がふと頭をよぎった。
花言葉は“恋の芽生え”。
あの時芽生えた想いは、今、こうして確かな形になった。
——僕たちは、これからも一緒に歩んでいく。
とうとう付き合うことができました良かったですこれからもよろしくお願いします




