第23話 必要なのは優しさと思いやり
23話投稿しました是非読んでください
とりあえず起きていたら、犯人のものと思われる布切れが見つかった。それを手掛かりに、僕は魔力感知を使って微かに残る魔力をライガと追跡していった。たどり着いたのは、誰も寄り付かなそうな廃工場。壁に耳を当てると、かすかに子供たちの声が聞こえてきた。ここだ――確信した。
一度現場を離れ、カイルさんに報告する。そして、人質の命が危険なため、今回は僕、エレナ、ライガの3人で行動することに決めた。行動は翌日に持ち越し、僕は病院に向かう。
病院では、まだ目覚めていないアンシャに向かって言った。「明日、子供たちを助けに行ってきます」
そしてそっと手を握りながら、「お願いです、目を覚ましてください。もう一度笑ってください」と、泣きそうになりながら願った。
すると、かすかに「いつでも笑ってあげさよ」と声が聞こえ、驚きながら顔を見ると、アンシャさんが目を覚ましていた。「アンシャさん、良かった!」僕は思わず抱きしめた。
「本当にごめんなさい、守れなくて」と抱きしめながら言う僕に、アンシャさんは優しく返す。「貴方はいつもそう言って自分を責めるけど、今回は急だったし、貴方のせいではないよ。知ってるよ、貴方は優しいから、なんでも抱え込んでしまうんだ。たまには周りを頼ってもいいんじゃない? 誰も貴方を責めないから、笑っていいんだよ。必要なのは思いやりと優しさ、それだけでいいんだよ」と。
胸のつかえがすっと取れた気がした。「ありがとうございます。では、行ってきます」と言って立ち上がろうとしたとき、服の裾を引っ張る感触。振り返るとアンシャさんだった。「まだ帰らないでほしいな」
「わかりました。今日の夜までここにいますよ」と答え、たわいのない話をしながら時を過ごした。
会話の中でアンシャさんは訊ねた。「蓮さん、好きな人とかいないの?」
「うーん…好きな人か、まだ自分でもわからないから、いないと思います」と答えると、笑顔で「そっか、ありがとう教えてくれて」と言った。
「なんでそんなこと聞いたんですか?」
「蓮さんは優しいから、いい旦那さんになるなって思って。好きな人がいたら応援したいなって」と返すアンシャさん。僕も笑って「また好きな人ができたら教えますね」と答えた。「やっと笑ってくれた。やっぱり蓮さんは笑う顔が似合うよ」とアンシャさんは微笑む。「そうですか、ならこれからも笑っていますね」と僕も笑顔で返した。
朝日が昇り、「名残惜しいけど、行ってきます」と告げると、アンシャさんは「気をつけてね、無理はしないで」と言ってくれた。僕は精一杯の笑顔を作り、集合場所へ向かう。
「どうやって入る?音を立てるとバレる心配があるな」と話すと、「ならこの魔法を使いましょう、ライガ、ちょっと受けて」と提案した。魔法を唱え、「ステルス!」するとライガの体はかけられ、透明になった。
エレナさんが驚く。「何あの魔法!」
「これはステルスという魔法で、対象を透明化できます。一度解除して全体にかければ、僕たち3人だけ見えて、他の人には見えなくなります」と説明する。
正面の入り口から慎重に進むと、約20人余りの半グレたちが子供たちを見張っていた。顔が見えない敵はいない。僕たちは子供たちのもとに向かおうとしたが、数が多すぎる。そこで、ライガとエレナに耳打ち。「分かった」と返事があった。
不意打ちでスモークを使うと、一面に煙が立ち込め、敵は困惑する。「なんだこれ!前が見えない!」
その隙に、僕は子供たちの肩に触れて瞬間移動させる。ライガとエレナも広範囲の魔法で敵を蹴散らしていく。
煙が晴れる頃には、ほとんどの敵が倒れていた。残り一人の子供に触れようとした瞬間、背中に痛みが走る。剣を持った敵に切られたのだ。痛みをこらえつつ、子供の手に触れて瞬間移動させ、さらに「ウォーター!」と攻撃。相手は怯み、ライガがその隙に敵を魔力化した。
倒れそうになったその時、入り口の方に、アンシャさんが言っていた黒服の人物が立っていた。「あんなにいたのにこの有様か。みっともないな。だが、ここは一旦撤退する」と言い、消えた。
「待て!」と追跡しようとするも、体が動かない。視界は暗くなり、声も遠くなる。僕は力なく倒れてしまったのだった。
さあ子供達は無事でしたねでも蓮が倒れてしまいました次回もお楽しみに




