第11話:あなたには笑っていてほしいから
今回も今回とて第11話まできましたこれからも応援お願いします
朝、僕は目を覚ました。
あまり眠れなかった。昨日の戦いが壮絶すぎて、何度も夢に出てきたのだ。
「昨日の敵、強かったな……もっと頑張らないと」
そう呟き、胸に決意を刻み直す。
しばらくして、エレナさんも目を覚ました。
支度を整えた僕たちは、村長の家へ向かう。
村長に昨日の出来事を話すと、彼は涙を流しながら僕とエレナさんの手を握った。
「本当に、本当にありがとう。これで子どもたちも無事に過ごせるし、農作物も守られる。本当にありがとう……これからもよろしく頼むよ」
「ありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
僕とエレナさんは握手を交わし、この村を後にした。
帰り道、エレナさんが言った。
「これから蓮はどうするの? 私はカイルさんに報告しに行かないと」
「それじゃあ、僕はいきたい場所があるので、そちらに寄ってから行きます」
そう答えた僕は、ヴァルセイン帝国へと戻り、真っ先に孤児院へ向かった。
孤児院に着くと、いつも見慣れた服を着た女性が立っていた。
「アンシャさん、来ましたよ」
そう声をかけると、彼女はこちらに気づき、微笑んだ。
「おはようございます。朝早いですね」
「はい、そうなんですよ。……そうだ、アンシャさん。ちょっといいですか?」
僕はそう言い、アンシャさんの目元に手をかざした。
「再生の魔法――ガーデン!」
緑色の優しい光がアンシャさんを包み込み、数秒後に静かに消えた。
「……目を開けてみてくれませんか?」
「いいですけど、もう視力は――っ!」
アンシャさんの瞳が大きく見開かれた。
そこには青い空、緑の葉、そして――僕の姿。
「なんで……? お医者様からは、もう二度と見えないって言われてたのに……!」
混乱する彼女に、僕は静かに説明した。
「これは“再生魔法”といって、失われた器官を再生できる魔法です。魔力を大量に消費しますが、そのおかげであなたの視力が戻りました」
アンシャさんは涙を流しながら問う。
「なんであなたが、そんな危険な魔法を……?」
「カイルさんに頼んで、魔力上限を上げるための魔物討伐依頼を出してもらってたんです。
それでようやく、この魔法を使えるようになりました」
彼女は嗚咽まじりに言った。
「どうして……私みたいな見ず知らずの人のために、命をかけられるんですか? 下手したら死んでいたかもしれないのに!」
僕は微笑んで答えた。
「知っていますよ。でも、あの花屋に一緒に行こうと言ったとき、あなたが僕に見せてくれた笑顔を思い出したんです。
あの笑顔を見た瞬間、“この笑顔を守らなきゃ”って思った。
あなたには、ずっと笑顔でいてほしい。だから、僕は危険を承知で再生魔法を使ったんです」
アンシャさんは言葉を失い、僕に抱きついて泣いた。
僕はただ、その背中をそっと抱きしめ、慰めることしかできなかった。
やがて彼女は涙を拭き、微笑んだ。
「……ありがとうございます。これからも、よろしくね」
「はい。これからも、よろしくお願いします」
そして僕は笑って言った。
「じゃあ、明日にでも花屋に行きませんか?」
「もちろん。久しぶりにいろんな花を見たいです」
彼女の笑顔は、まぶしいほどに輝いていた。
――その笑顔を胸に刻み、僕は孤児院を後にした。
その足でカイルさんのもとへ向かうと、そこにはエレナさんの姿もあった。
「蓮! ちょうどいいところに来たな!」とカイルさんが笑う。
「えっと、どういうことですか?」と首をかしげる僕に、
「エレナから聞いたぞ。お前、二人でハイオークを倒したって? あいつはうちの騎士団十人でも勝てるか怪しい化け物だ。それを二人で倒すとは……すげぇな!」
「ありがとうございます。これからも精進します」
そう言って部屋を出ようとしたとき、カイルさんが続けた。
「まだ話は終わってねぇ。お前みたいな腕の立つやつを無所属のままにしとくのは惜しい。
蓮、明日からエレナの率いる部隊に入らないか?」
「えっ、いいんですか? 僕をよく思っていない人も多いと思いますが……」
そう言うと、カイルさんは豪快に笑った。
「気にするな。文句を言う奴がいたら俺が黙らせてやる! “ヴァルセイン帝国代表、カイル=ヴァルセインが認めた男だ”ってな!」
その言葉に、僕は深く頭を下げた。
「……分かりました。では、明日からよろしくお願いします!」
それを見たエレナさんは、にっこりと笑った。
「蓮、これからもよろしくね」
その笑顔を見て、僕は思った。
――やっぱり、人の笑顔っていいな。
だからこそ、僕はこれからも守り続ける。
大切な人たちの、笑顔を。
この小説ももう11話まで書くことができましたこれからもよろしくお願いします




