第9話「あなたのために」
今回から新キャラアンシャも登場します応援よろしくお願いします
あれから数日後、僕は再びヴァルセイン帝国に帰ってきた。今日は特にやることもなく、強いて言えば夕方からエレナさんとの剣術修行があるくらいだ。時間を持て余し、帝国内をぶらぶら歩いていると――
「へー、こんなところに花屋もあるんだ。後でエレナさんに買っていこう」
などと考えながら歩いていたら、目の前に誰かが飛び出してきてぶつかってしまった。
「いてっ!」
「きゃー!」
お互い尻もちをついたあと、僕はすぐ立ち上がって尋ねた。
「ごめんなさい。お怪我はありませんか?」
立ち上がった彼女は、僕と逆方向に向かいながら謝る。
「本当にすみません。ごめんなさい」
「いえ、逆です。僕は後ろにいます」
「あー、すみません、すみません……」
落ち着かせて、すぐそばのベンチに座らせ話を聞いた。
「すみません、本当に。お名前を聞いてもいいですか?」
「私の名前はアンシャです。さっきは本当にすみません」
頭を下げるアンシャさんはずっと目を閉じていた。尋ねると、彼女は静かに説明した。
「昔、魔物に襲われて両目の視力を失ってしまって……見えないんです」
その話を聞き、胸が痛くなった。
「大丈夫ですよ。もしよければ、この荷物を持つのを手伝わせてください」
「良いんですか? ありがとうございます。よろしくお願いします」
僕は全ての荷物を持ち、二人で歩き出した。
「目的地はどこですか?」
「この先に孤児院があります。そこまでお願いします」
「アンシャさんは孤児院で働いているんですか?」
「はい。目が見えないので子どもの世話しかできませんが……」
その話を聞き、僕はどうにか視力を回復させる方法はないか、と考えていた。
やがて孤児院に到着すると、子どもたちが元気に出迎えてくれる。
「アンシャお姉ちゃん、遊んで!」
広い院内に荷物を置き、僕は軽く挨拶してその場を後にした。アンシャさんは小さくつぶやく。
「どんな人だったんだろう……顔を見たかったな」
僕は考えた。
「スキルに器官の再生なんてあるのかな……?」
すると頭の中に声が響いた。
「ありますよ、再生魔法が」
「どうやって手に入れますか?」
「あなた、GPを放置していましたよね。そのGPを使えば、好きなスキルを一つ交換できます。レアリティは問わず、ただし高ければ高いほど消費GPが増えます」
翌日、スキルに「GP交換」が表示され、探していた再生のスキルバッジを見つけた。交換には1000GP必要だが、手持ちは1200GP。ぎりぎり交換できた。しかし消費MPは200。僕の現在MPは150で足りない。
「どうしよう……」
思い浮かんだのは、カイルさんに魔物退治の依頼をもらうこと。すぐに行動に移し、エレナさんに同行してもらい、カイルさんのもとへ向かった。
扉を開けると、カイルさんが立っていた。
「お忙しい中すみません」
「いや、大丈夫だ。お前の頼みなら喜んで受けてやる。俺が認めた男だからな」
「お願いしたいのは……もっと強くなるために、魔物退治の依頼をいただけませんか?」
カイルさんは少し考え、問いかけた。
「なるほど。一般人からは依頼は出せないが……急にどうした? 何かあったのか?」
僕は胸の奥にある思いを打ち明けた。
「今朝、新しいスキルを手に入れましたが、まだ使えません。そして先日、孤児院で働くアンシャという目の見えない女性に会いました。彼女が魔物に襲われたと聞き、とても悲しかったんです。せめて魔物の数を減らせば、彼女も報われると思って――」
カイルさんの目に涙が浮かぶ。
「自分のためじゃなく、他の人のために働くなんて……お前、本当に素晴らしいやつだ。聞いているだけで泣けてきたよ。よし、任せておけ。しっかり魔物退治の依頼をお前に出そう。強くなってこい!」
さらにカイルさんは紙を手渡した。
「これを持っていけ。同行させたい騎士団員に見せれば、必ず一緒に行ける」
帰宅後、僕はエレナさんに相談する。
「近々、カイルさんから魔物討伐の依頼を受けることになりました。できれば、誰かもう一人ついてきてほしいのですが……」
紙を見せると、エレナさんは笑顔で答えた。
「蓮の頼みだよ。こんなものなくても、いつでも着いていくよ!」
「ありがとうございます。では、よろしくお願いします」
その夜、僕は希望に胸を膨らませながら眠りについた。
今回はまた新しいキャラを追加させていただきましたぜひ楽しんでみてください




