6話
私は料理長の元を訪ね、食材について聞き出す。
安価で得られる肉や調味料、卵やパン、野菜など様々なことを聞き出し準備をお願いした。
◇
翌朝、朝食を食べ厨房に向かう。
「おはようございます! 今日も使わせていただきます!」
私は厨房にいる料理人さん達に挨拶をし食材達を見る。
この国のお肉は魔物の肉であり、オーク肉やバイソン肉、バード肉がある。日本で言うと豚肉、牛肉、鶏肉だ。今回はそれらを使って作ろうと思う。
オークやバード肉は比較的安価なのでそのまま大量に仕入れてもいいが、バイソン肉だけは二つに比べると高価なので屑肉を使う。
あとは卵やバター、ミルクなどの乳製品は安価に手に入るらしい。卵は鳥の魔物、エッグバードを、バターやミルクはカピオンと呼ばれる山羊の魔物を飼育して作っているみたいで仕入れやすいんだとか。
スパイスは塩と胡椒が大量生産されているらしく安価らしいが、他のは隣国でないと取れないため高級品なんだと……。
あとの調味料は、なんと醤油とお味噌があったの! どうも東の国で作られているらしく、どこの国も使い方がわからないから安価に仕入れることができるんですって!
名前はセーイとソーイになっていたけどね……。
他にも使えそうなのがいっぱいあったから、この世界は本当に料理の文明が進んでいないだけで、食材自体は安価で手に入れられそうでラッキーだわ。なんと、お米もあったの! 東の国で食べられているらしいけどあまり美味しくないんですって。
公爵家でも珍しい食材として仕入れたけどどう扱っても中に芯が残ってしまってしまうかドロドロに溶けた状態で美味しくなかったそうよ。今は保存魔法が効いた食糧庫に入れているんですって。
ともかく、そのお米からみましょう。ちなみに、お米はリズよ。
「料理長、リズをいただける?」
「はい、こちらに用意していますよ。でも、これどう扱っても芯が残って硬いんですよ」
「フフフ、これには秘訣があるのよ。やりながら説明をするわね。
まず初めにリズを何回か水で研いで、捨てるを繰り返す。そのあとは鍋にリズ150gに対して水を200gずつ入れる。今回はリズが600gだから800gの水を入れるわ。最後に30分ほど浸水させる。こうすることによって炊いた時に芯が残りずらいのよ」
「なるほど……。今までそのまま水で煮ていたからダメだったんですね」
「そうね、浸水させている間におかずの方を作っていくわ。定食と丼を作るわ」
「丼ですか?」
「えぇ、丼とは1つの器で完成する料理よ」
「……そんな料理があるんですか⁉︎」
「えぇ、あるわ。今から作りましょう、あなた達に食べてもらってから今日の夜、お父様達に出すわ」
「旦那様達より先に私達が……?」
「えぇ、そうよ。作る人の特権だもの」
「ありがとうございます!」
「だから手伝ってね?」
「はい、一生ついていきます‼︎」
私の方を手伝ってくれるのは料理長と今日休暇の、ケンとジンらしい。休みの日なのに2人とも手伝ってくれるんだって。昨日のがよっぽど美味しかったみたい。
「じゃあ、今日は定食としてミンチカツと生姜焼き、ハンバーグを、丼物としてスタミナ丼、カツ丼、照り焼き丼を作るわ」
「「「はい、お嬢様‼︎」」」
「それでは始めます。1人は定食に使うキャベチを千切りにしてちょうだい。もう1人はオーク肉とバイソン肉のグズ肉をミンチ状にしてちょうだい。最後の1人は私の補佐よ」
「かしこまりました! お前ら2人はキャベチとミンチをやれ。俺はお嬢様の補佐をする」
「えー、ずるいですよ! 僕も補佐がいいっす!」
「そうです、そうです! ガルドさんばっかりずるいです!」
「俺は料理長だからな。決める権利は俺にある‼︎ よってお前らは他のことをやるんだな‼︎」
「「ちぇ……わかりましたー」」
「では料理長、最初にカツ丼のカツを作っていきます。カツはオーク肉を少し分厚めに切ったものを使います」
「はい!」
「今回は夜にも出す予定なので少し多めに作るわ。まず初めにお肉の筋を立ち切る。これは歯切れを良くするためよ。筋が切れたら塩と胡椒を両面に振り、小麦粉をまぶす。最後に溶き卵、パン粉の順番でつけていく。これを繰り返していくわ」
「はい、わかりました!」
「全てできたら、一度冷蔵庫にしまい、リズを炊いていくわ。鍋に蓋をして最初は中火で鍋からブクブク音がするか、蓋から泡が出てくるまで沸騰させておく。沸騰してきたらそのまま2分ほど炊いてから弱火にして3分、最後にとろ火にして7分炊くわ。
実はね私の世界には、リズを炊くための歌があるのよ、はじめちょろちょろ、中パッパ、じゅうじゅう吹いたら火をひいて、ひと握りのわら燃やし、赤子泣いても蓋とるな、ってね。これでみんな炊いていて食べていたの」
「そんな歌があるんですね。どんな意味ですか?」
「これはね、初めは弱火で次に強火、吹きこぼれてきたらまた弱火にして追い炊きしていくの。最後に火を止めて、どんなに音が鳴いても、鳴き終わるまで蓋をとったらダメってことよ。それで完成になるわ」
「へぇ、その歌はまさにレシピなんですね」
「えぇ、そうよ。ただ私がいた時代に使うことは少なかっけれどね」
「……よく覚えていましたね」
「お鍋でお米を炊きたくて小さい頃に覚えたの……懐かしいわ」
「その姿で言われても……」
「フフ、そうね。話しているうちに最終仕上げになったわ。最後に蓋をとって水が残ってないか確認して、残っていなかったらまた蓋をして中火に2分ほどかけてから火を止めて10分ほど蒸らしていくわ。それでふっくらとしたリズが炊けているはずよ」
「お嬢様、どうして最後に蓋をした後に火にかけるのですか?」
「そうしないと、鍋の中の温度が下がっているから蒸らしても炊けないのよ。だから必ず温めてから蒸らすのよ」
「なるほど、わかりました‼︎」
「えぇ、わからなかったらどんどん聞いてちょうだい」
「はい! ありがとうございます!」




